原作にオリ主入れるのってすごい難しいですね
そして最後は公生でいう、かをりみたいな存在をオリ主にも作りました。
まぁ、家族関係については当初から予定していたんですが、悩みどころは兄貴が姉貴か!←どーでもいいw
まぁ、そんな感じでどうぞ!
「えーっと。 こっち」
俺、渡、澤部、有馬の4人は現在、病院をウロウロと歩いていた。
「あったよ。 キンチョーしちゃうね」
「おい、ちょっと待て」
俺の言葉は虚しくドアは開けられる。
「「やっほー」」
声を上げて開け放った澤部に渡も笑顔で声を上げる。
有馬は嫌そうな顔で俺は焦ったような顔だ。
開け放たれたドアの先には……。
宮園が裸で……。
(裸!?)
「きゃああ!!」
「ノックぐらいしなさい!!」
「おおっ!」
「うなじ!」
「肌白!!」
最初に声を上げたのは、宮園。
その後に看護師さんの怒鳴り声と共に各々が感想を口にしていく。
「は!? 記憶なくせ!!!」
「ブホッ!?」
その瞬間、半回転した澤部のキックが俺らの頭に炸裂する。
俺らはその場の地面に3人仲良く倒れこんだのだった。
「あーびっくりした」
その声とドアを閉める音が聞こえてブラックアウトしたのだった。
「えーん。 お嫁に行けなーい」
「大丈夫。俺がもらってあげるから」
「まあ」
なんていうバカップル。
そんな感じをプンプン醸し出す2人に俺も有馬も白い目をする。
「でも、ビックリしたよ。 入院なんて」
問題はこれだ。
あの後、渡が途中で言えなかったことでもあり、有馬に聞かされたことなのだが、演奏後、宮園は倒れたらしい。
「お父さんも大げさなんだよ。 念のための単なる検査入院」
どうも信憑性が低い発言だ。
「前にも倒れたことあるの?」
それは有馬もどこか気になる点があるのかそう確認する。
「初めて。 元々、貧血気味なんだけど。 いい機会だからテッテイテキにね」
それが嘘なのか真なのかは俺にはわからない。
でも、俺は何か嫌な予感がした。
「大丈夫なのかよ?」
俺がそう聞くと宮園はニッと笑う。
「ちょっと無理しちゃったみたい。 ヴァイオリンの練習とか」
そこまで言うと一気に鬼の形相になり、後ろにはゴゴゴという文字が錯覚で見える。
「逃げまくる誰かさんを追いかけるとか。 一週間も演奏を合わせられない心労とか」
その発言に、有馬はダラダラと有馬は汗を流す。
「そーだそーだ」
「お前のせいだ」
「いたい いたい」
「有馬のせいだな」
「そーだ そーだ」
澤部と渡が有馬の足を蹴り、俺と宮園は後ろからクスクス笑う。
でも、今回の演奏を宮園は納得できているのだろうか。
彼女が結果を気にしてないのは嫌という程理解はした。
だが、前代未聞。 ハプニング満載。 失格は免れないだろう。
そう、それは審査対象外だ。
それで満足はできているのか?
人々に感動を与えても、そこまでだ。
彼女の演奏をさらに多くの人には聞かせられないのだ。
そして、それを余計に感じてしまうのが有馬だ。
演奏の中断。 最悪の事態。 言ってしまえば全部、有馬のせいだ。
「そろそろ帰ろ? 長居しちゃマズイよ」
「えー!! 俺泊まってく!」
「渡じゃ間違いを起こすだろ」
「どういうことだ葉山!」
しばらく話すと澤部は無難な時間にそう告げた。
渡は駄々をこねるが俺が発言するとムキになって俺の肩を掴もうとするが、それよりも早く澤部が渡の肩を掴み外に追い出す。
「じゃ、かをちゃん。 また学校でね」
「泊まってくー!」
「バイバイ」
いつまでも駄々をこねる渡を外に追い出し、俺は3番目に外に出る。
有馬が宮園に引き止められるのを聞こえながらも無視をして。
「どんてんもよう」
確かに雲が多すぎて青空は見えない。
「かをちゃんと何話してたの?」
「え? ……たいしたことじゃないよ」
澤部がそう聞く隣で有馬はニコリと笑う。
渡は……ケイコと言われる女の子に電話してるらしい。
「じゃあ、教えてくれてもいいじゃん」
「……僕にはピアノしかないのかな」
そう言った有馬の顔は消失してるような顔だ。
澤部は少しの沈黙の間を空けた。
そして、ニコリと微笑む。
「そんなことないよ。 公生にはいっぱいいいとこあるよ。 例えば……」
例えを出そうとした澤部の顔からダラダラと汗が流れ出る。
「あー! 見てみ空!」
(ゴマかした……)
俺は溜息を吐きながら澤部が指す空を見上げた。
(あ……)
「晴れ間」
俺は思わず口に出してしまったのだった。
その後、俺は2人には悪いが有馬と2人で公園のブランコに座っていた。
「葉山。 演奏家は演奏でしか気持ちを伝えられないって言ったよね」
突如、切り出されたその言葉に俺は「ああ」と短く肯定する。
「じゃあ、僕にはピアノしかないってこと?」
そう聞く有馬の顔はやはり、何か消失した顔だ。
何かを求める顔と言ってもいいかもしれない。
「有馬はさー。 今何考えてる?」
俺の質問が予想外だったのか有馬は俺の方に視線を向ける。
「ずばり、自分のせいで宮園は失格したと思ってるでしょ? 全部自分のせいって」
「なんでわかるかな」
やはり、俺の予想は当たっていたのか有馬は苦笑いで返す。
「君も僕と同じ演奏家だから?」
「人間だから」
有馬の次の質問に俺は考える間もなく即答する。
「有馬の今の気持ちなんてピアノで表したら最悪の演奏だ。 聞く人に不快を与えるそんな演奏。 でもさ、それを観客に聞かせて何が残る?」
まだわからないだろう。
俺が言っている意味が。
有馬にはこの答えにたどり着くまでにはしばらく時間がかかると思う。
「俺が言いたいのはさ。 ピアノ使って人に音楽を届けるなら名作届けようぜってこと」
俺が言い終えると有馬はボーっとした表情でこちらを見ていた。
その顔に俺は気まずさを感じ、指をビシッと有馬に向けた。
「つまり! つまらん演奏を俺らは音楽で伝えるんじゃなくて幸せ……ハッピーな演奏を共感してもらうんだよ!」
恥ずかしさあまり大声になってしまったが、俺はそう言うとブランコから立ち上がった。
「多分な。 有馬も責めたいと思う気持ちは、あそこにいた観客は少なからずいると思う。 だってやめなきゃ審査はされてたんだから」
俺は一度そこで区切ると有馬は「うん」と言って俯く。
だから、俺はニコリと笑みを作って続きを口にする。
「でも、やめたからこそ、大歓声を手に入れた。 演奏家はそれを求めるんだ。 俺も気づいたのは、つい最近だけどな」
最後にそう付け足すように二ヒヒと笑いそう言うと有馬は再度俺の顔を凝視する。
「葉山も最近なの?」
「多分、俺とお前は才能云々は無しにしてどこか似てるのかもな。 なぜか勝ちにこだわってる。 勝たないといけない理由があった」
どこか共感する部分があったのか有馬は「うん」と頷いて前を見る。
「でもよ、有馬。 お前は忘れられるか? 自分の演奏で観客が立って拍手して来るんだ。 ゾクゾクしないか?」
「宮園さんと同じことを言うんだね」
その返しに俺はニヤリと笑う。
俺だってそうだ。
最近までピアノを弾いても観客は座ったまま拍手をするだけ。
それは演奏者に対しての労いの拍手なのだ。
そこに自分の感情は含まれないだろう。
「俺は忘れられないと思う。 感じたことはないけど、俺の演奏で大歓声が起きるなら弾いていきたい。 俺が弾く理由なんてそんなもんさ」
「僕には眩しいくらいだ」
有馬はまたも俯いてしまい、そう言った。
(変わらないか)
ここまで俺はそれとなく有馬にはピアノに戻って欲しさに助言はしていたつもりだ。
でも、その言葉は有馬には届かない。
「とりあえず、下向くなよ。 過去とはいえ俺の目標だったんだ。 俺よりも下に落ちないでくれ」
俺は最底辺に落ちた。
有馬には一段でもいい。
上にいて欲しいと思うのはワガママだろうか。
「僕はそんな立派な人間じゃないよ」
それでも有馬の心には俺の気持ちは届かなかったのだった。
「集中力散漫してるわ」
「すいません」
俺は今、落合先生の元レッスンをしていた。
目指すは毎報音楽コンクール一次1位通過なのだが、俺の進歩は全くと言ってなかった。
「貴方は不器用なのよね」
落合先生の言ったことに俺は否定もできずに黙り込んでしまう。
「集中しすぎると完全に模倣演奏。 だから感情を表に出して演奏してみれば感情の入れすぎで演奏からかけ離れてしまう。 その真ん中が理想なのだけど」
落合先生の言うとおり、俺は集中を極限にして演奏するか、集中よりも感情移入を極限にして演奏するの二択しかできない。
(これじゃダメだろ……)
わかってはいるのだ。
だが、最近は有馬のこともあり、どちらも中途半端になっていた。
「それじゃ前には進めないわ。 今日はもう終わり」
「は、はぁ」
俺も今のままじゃ時間の無駄だろうと思い素直にカバンを持ち上げる。
「なにか気分をリフレッシュすることしてきなさい」
「んー、努力はしてみます」
そう言って俺は家を出たのだった。
俺はある場所に来ていた。
実際、来るのは久しぶり。
有馬が消えた演奏以来だから多分2年くらいだろうか。
「久しぶり、我が家……」
そう、きたのは実家だ。
自分で言うのもなんだが、葉山家は代々、兄弟のうち1人はピアニストになる由緒正しき家系だ。
そのため、俺も小さい頃からピアノに接することは多かったが、ピアニストになるように言われたことはなかった。
なぜなら簡単。 有馬 公生の存在だ。
有馬がいることにより、俺の演奏の価値は消えていく。
ピアニストを目指せてもらえない家に居ても意味はないと思うのは当然だろう。
有名な演奏家の親に教えてもらえば、これ以上ないくらい光栄なのだが教えてはくれない。
だから俺は家を出て近所だが一人暮らしをしているのだ。
では、家計など身の回りのことはどうしているのか?
という疑問に行き着くと思うが、それは家政婦さんを雇ってもらっている。
それは今でも継続だ。
俺は緊張を隠しきれずに震える手でインターホンを押す。
ピアノは捨て切れなかった。
だから、落合先生を師事した。
ガラリと開け放たれ、そこには兄貴がいた。
「佑樹……とりあえず中に入れよ」
俺は言われた通り中へと入り、居間に腰を下ろす。
「父さんは?」
「海外。 ちなみに母さんは買い物な」
父さんは海外でも有名なほどの演奏家だが、母さんは普通。
言わば一般庶民だ。
その父さんの血を色濃く受け継いだのが兄貴。
有馬とは違う、間違いなく天才だ。
「佑樹はもう中3……来年は高校生か」
お茶を差し出しながらそう言う兄貴に頷くと俺も確認する。
「兄貴はもう大学生になったんだっけ?」
「そうだな。 あっという間だった」
兄貴の残す成績は著しいものだった。
ピアノを触れたのは1歳の頃。
触れた歳は俺と同じだが、その才能は一気に開花した。
毎報音楽コンクール優勝
彩木コンクール優勝
森脇学生コンクールピアノ部門優勝
ウリエ国際コンクール3位
そして、東日本ピアノコンクール優勝
代表的なコンクールで言えばこれだが、まだまだ中小コンクールも入れたら数え切れないほどだ。
「それで? 今日は何の用かな?」
昔からそうだった。
兄貴はピアノに気持ちを乗せる。
聞いてる者を自分の世界に引きずり込む。
「俺は兄貴と同じ……いや、兄貴を超えた演奏がしたい」
俺の目を見た兄貴の顔は微笑だった。
それは認めてくれるようでもあり、バカにしてるような目。
「佑樹が? 佑樹まだどのコンクールも優勝したことないじゃん」
そうだ。
俺は生まれてこのかた、優勝を全て有馬に奪われ、有馬が消えてからはピアノから逃げた。
俺の演奏が間違ってることに気づいたのは最近の藤和ホールで行われたヴァイオリン部門だ。
「知ってる。 今の俺じゃ兄貴に勝とうと思っても勝てない。 だから聞きに来たんだ。 兄貴は何を思って、何を感じて、何のためにピアノを弾くのか」
言い終わると兄貴の顔は急変する。
そして、柔和な笑みを浮かべてくる。
「佑樹はピアノ楽しい?」
「へ? そりゃ楽しくなければやってないよ」
いきなりの問いかけに驚き、マヌケな声を出してしまうが、聞かれた問いにしっかりと返す。
「うん。 じゃあ、もう答えは出てるんじゃないかな。 佑樹が覚醒するには後一つトリガーが必要なんだ」
「トリガー?」
俺は言われてる意味がわからず、首を傾げる。
「そう、トリガー。 それは人それぞれで俺には俺のトリガーが。 佑樹には佑樹のトリガーが必要なんだ」
そこで一旦、間を空けると今度は真剣な顔になる。
「佑樹がピアノと真摯に向き合って弾いてればピアノは答えてくれる」
兄貴の言葉は俺の胸になぜかストンと落ちた気がしたのだった。