駆け巡る嘘   作:ぱに

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かをりの有馬に言うセリフをオリ主にも持ってくる事にしましたね。
まぁ、話の内容は違いますが、これでようやく毎報コンクールについて触れていける╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !


情報と変動

 

 

『何度言ったらわかるの!』

 

『お前にピアノは無理だ』

 

『坊っちゃま、今日はピアノじゃなくてお外でボールで遊びませんか?』

 

「ねぇ、なんで? なんでなの? お兄様はピアノを触ってるのになんで僕はダメなの?」

 

『ふざけんな! 俺だって楽しく弾いてるわけじゃねぇんだよ! お前と同じ気持ちで弾いてるとおもったのかよ!』

 

「ごめんなさい。 ごめんなさい。 だから怒らないで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢かよ……」

 

懐かしい夢を見ていた。

その夢はなぜ見たのかは多分昨日兄貴に会ったから。

結局昨日のうちに答えを見つけることはできなかった。

俺はいつも通りに支度を済ませ、家政婦さんにお願いをして学校出たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育になると有馬と俺らは合同になる。 しかし、今回は有馬と渡が同じで俺だけチームが違ってしまった。

 

(有馬のやつ、なんか考えてこんでないか?)

 

そんな風に見える顔をして間にもゲームは進んでいき、ボケっとした有馬の顔にクリーンヒット。

そして、ボールは上手く上に上がっていく。

 

「ナイストス!」

 

そして、そのボールを渡は確実に決め、俺は流れる汗を拭ったのだった。

決めた渡に対する女子の歓声の中に有馬を心配する男共の声が響く。

 

「大丈夫か有馬!?」

 

「直撃!」

 

「ピクピクしてる」

 

渡はいつの間にか俺の隣に来ており、一言言った。

 

「ボケーっとしてるから」

 

「同感」

 

俺も素直にそれを認めたのだった。

 

「ナイス顔面レシーブ」

 

「嬉しくないんだけど」

 

俺がそう言うと有馬はむすっとした表情でアイシングしながらそう言った。

 

「椿ちゃん回転レシーブ!」

 

「ネット!」

 

「元気だなあ、椿のやつ」

 

バレーで回転しながらレシーブをする澤部を見て渡は本音を漏らす。

 

「なあ、公生、佑樹。 今日、病院行かねーか?」

 

メールの音だろうか?

そんな音をした後、携帯を操作しながら渡はそう尋ねる。

 

「かをりちゃん、検査入院今日で終わりなんだって。 退院祝いでも買って行こうぜ」

 

「体育の時もケータイ持ってるのか?」

 

俺は有馬の素朴な疑問にそう言えばと思い渡の顔を見る。

 

「お前の画像を、かをりちゃんに送ろうと思って」

 

「外道!!!」

 

ヒヒヒと笑う渡に有馬は肩を揺らすほど大きく非難した。

 

(てか、メアド知ってるのか。 さすが手が早い渡だな)

 

「喜ぶぜ、きっと」

 

俺がどうでもいいこと思ってると、渡は落ち着いた声でそういった。

 

「……僕はいいよ。 渡と葉山で行ってきなよ」

 

しかし、やはりと言っていいのか、有馬は拒絶する。

 

「やっぱり、少し気まずい」

 

(やっぱり、変わらないか)

 

あの時話した内容は大して意味がなかったのだと嫌でも感じさせられる。

 

彼女のコンクールをぶち壊したのは有馬で、多分少なからず有馬は渡と宮園が仲良くしてる関係に辛さを覚えている。

 

「でも……頼られたのはお前だよ」

 

少しトーンを落とした渡の発言に俺と有馬は渡を見つめる。

 

「俺の、かをりちゃんがピンチの時、『助けてほしい』って頼ったのは俺じゃなかった」

 

そして、少し間を空け渡は有馬を見る。

 

「お前だよ。 公生」

 

「でも、それは、ピアノを弾けたのが僕で、たまたま葉山より先に知られたから。 その後に問題は起こるんだ」

 

「わかってるよ。 わかってるけどさ……わかってるけど、わかってたまるか」

 

ニカッと笑う渡に俺らは目が離せなくなる。

ほんとこいつはいいこと言う。

 

「俺に遠慮すんなよ。 一緒に行こうぜ……もしかしたらまた裸見れるかもよ?」

 

そして毎回それをぶち壊す残念発言するのも渡だなと思った。

有馬は顔を赤くしているが、そこは拒否しろよ思ってしまう。

 

「佑樹も見たいよな!?」

 

少しばかり興奮している渡から逃げるように俺はその場から離れる。

 

「興味ねぇーよ」

 

そういって離れた直後

 

「オラァァア!」

 

「いって! 何しやがる椿!!」

 

「今、いやらしい話してたろ?」

 

澤部の投げたバレーボールが顔面に炸裂し、渡が声を上げる。

しかし、ゴゴゴという効果音とともに怒る澤部に2人は顔を青ざめた。

 

「僕してない! 渡だ!」

 

「ズリー! 俺以上にエロい想像してたくせに!」

 

「両成敗!」

 

「授業中だぞ!」

 

逃れようとする有馬に渡は勝手なことを言い、澤部は両方にボールをぶつけまくる。

そしたついに先生の注意ももらってしまう。

 

「あいつらいつもあんな感じなのか?」

 

俺は遠くからその光景を眺めながら隣にいた少女に尋ねると、少女はこちらを見てから頷いた。

 

「大きくなっても、じゃれ合うのは子供の頃のままだ」

 

俺はその声に聞き覚えがあり、そちらを見ると、何時ぞや会った少女だった。

 

「あれ? 柏木か」

 

「あ、覚えてた?」

 

俺は確認を終えると、またケンカしてる3人に視線を戻す。

 

「昔から物覚だけはいいんだ」

 

「ま、忘れられてるよりはマシだな」

 

「柏木はあの3人と仲良いのか?」

 

「小さい頃のことは、まあ知ってるよ」

 

俺の疑問に柏木も淡々と答えると俺は気になったことを聞いた。

 

「昔の有馬ってどんな感じだった?」

 

「私はよくは知らないけど、椿や渡に遊びに連れ回されては大変な目に合わせられてたね」

 

「なんじゃそりゃ」

 

その後も過去の有馬のことを聞きながら、終止がつくまで話していたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は家に帰るとベッドに倒れ伏した。

柏木と話したことはとても有意義であり、得た情報は大きかった。

そしてその中で有馬と俺には決定的に違うことがあるのがわかった。

俺は今まで有馬と俺はどこか同じだと思っていた。

でも違った。

有馬は認めてほしい相手を失っているのだ。

俺でいう家族や絵見ってことだ。

 

「そりゃピアノから逃げたくなるよな」

 

全否定されるのである。

今までやってきたことを……やってきたことはなんなのか、その疑問でさえ答えてくれるものはいない。

 

俺は大きな溜息を吐くと仰向けになり、おでこに腕を乗せた。

 

でも、ダメなのだ。

俺が高みへと登るためには有馬の存在は必要不可欠。

無くてはならない存在なのだ。

 

「戻ってきてくれよ」

 

俺のワガママといえる希望は夜の闇の中にあるかのように見えなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「走れええ!!! おせーぞ、佑樹!!」

 

「速すぎだ!!!」

 

周りが引くくらいの全力疾走をしているのは渡と俺である。

この日は家政婦さんに休みをあげたので弁当がないため、渡と購買に参戦だ。

 

そして俺らはなんとか昼飯を買え、廊下を歩いていた。

 

「購買争いがこんなに過酷なら二度と弁当無し嫌だ」

 

「そーいうなよ」

 

二ヒヒと笑う渡に溜息を吐くと前に宮園がいることに俺よりも渡が先に気づく。

 

 

「かをりちゃーん」

 

「あ、渡くん」

 

渡が声をかけると宮園は嬉しそうな声で対応し、俺は自然に一歩後ろにいる状態になる。

 

「あ、葉山くんも」

 

ついでみたいな言い方だが、別にこれといって仲がいいわけでも無いため納得し、軽く応答する。

 

「退院したんだな。 俺めっちゃ心配でサッカーも集中できなかった!」

 

「えー、ほんと? ごめーん」

 

やはり、ラブラブムードを出す2人に俺は居辛さを感じ、適当に窓を向く。

 

「葉山くん」

 

唐突に話が振られ、俺は目線だけ宮園に向ける。

 

「葉山くんは演奏が終わった後、気持ちいい?」

 

突如、聞かれたその質問の真意はわからないが、俺にはわからない。

観客からは「つまらない」と思われるような演奏しかしてないからだ。

 

「わからないな。 俺は人を沸かせるような演奏をしたことないし」

 

自虐的な笑みでそういう俺を見て何を思ったのか宮園は笑う。

 

「なら、次のコンクール出るべきだね」

 

「なんで?」

 

出ることは決めているが、べき という言葉に意味がわからない。

 

「だって君はまだ体験してないんだよ? ピアノをやってて楽しいって思える最高の瞬間を」

 

「最高……」

 

俺が呟くと「うん!」と大きく頷かれる。

有馬もこの笑みにやられてるのかなと思うと有馬が好意を寄せるのも頷ける。

 

「そうだよ。 君はまだ道の途中だもん。 まだ終点に辿り着いてない」

 

終点と言われて辿り着けるのかはわからないが、俺は歩きたい。

ピアニストとしての道を。

 

「君はまた立ち上がるよね」

 

何に対してというのは聞かなくてもわかるということなのか中身を言わない宮園を見て俺は苦笑いする。

 

「出るよ。 毎報音楽コンクール」

 

「有馬くんにライバル出現だね」

 

有馬のライバルなど名乗るにも烏滸がましいが、それより気になることを言われた。

 

「有馬……でるのか?」

 

「無理矢理参加させる!」

 

またそれか。

と思ってしまう言い分に俺は珍しく笑った。

今までの微笑や苦笑いなどてはなく、本当に。

 

「やっと笑った」

 

だから、その一言を宮園から言われた時俺は驚いた。

 

「君は感情が足りないのかも。 弾きたい曲を弾きたい風に弾くのが君には合ってると思うよ」

 

感情が足りないって言うセリフについてはわからなかったが、宮園には今の俺の目指してる演奏が似合ってると言ってくれた。

 

(なら、俺はもうスタイルを決めないとな)

 

決まった。

俺のスタイルは宮園みたいに自由に。 しかし、譜面はさらう。

そんな演奏にしようと心に刻む。

 

「有馬くんと君の演奏が楽しみだな」

 

「それは俺も俺も〜」

 

宮園が嘘などてはなく本気の声でそう言うと、渡もそれに同調する。

 

「おう! 楽しみにしとけ」

 

だから、俺は満面の笑みでそう言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変わっといえば変わった」

 

「確かにそうね」

 

俺は落合先生のもとでピアノを弾き終わり2人の観客に感想をもらっていた。

それはもちろん落合先生と絵見である。

 

「でも、下手」

 

容赦ない絵見の感想に俺は頭を落としガッカリアピールをする。

 

「前とは違うけど今度はクレッシェンドやデクレッシェンドが曖昧ね。 あまり変わってるように思えないわ」

 

慰めるわけでもなく、指摘してきたため俺は真剣な表情でアドバイスを聞き入る。

 

「あと、なんか色が見えない」

 

「色?」

 

絵見の意味のわからないアドバイスには俺は首を傾げる。

 

「そう、有馬の時は辺り一帯に咲くヒマワリが見えた」

 

「ヒマワリ?」

 

ならば黄色とかだろうか。

俺は有馬の演奏を聴いた時は何も感じなかった。

強いて言うならば黒。

漆黒の黒が見えた気がしないでもない。

 

「でも、色とかどうやってつけるんだよ?」

 

「知らない」

 

結局、明確な答えは出ないまま、その日の練習も終わる。

 

「やっぱり、私一人で2人を見るのは限界があるのよね」

 

落合先生のその言葉に俺と絵見は雷に打たれたように震える。

 

「落合先生、私のほうが先ですし、佑樹を見放すべきです」

 

「えええ!?」

 

絵見の意見に俺は驚きを隠せず、大声をあげてしまう。

 

「1番いいのは佑樹を教えてくれる専属の先生がつく事なのよ」

 

確かに1人の先生に2人の生徒が師事するというのは難しいのかもしれない。

 

「でも、そんな先生なんて……」

 

「ええ、いないのよね。 一番良いのは、佑樹が家族の誰かに教えてもらう事なんだけどね」

 

それは難しいと思う。

父さんは日本にいる事さえ少ない上に俺にピアニストとしての道は歩ませる気は無いらしい。

そして兄貴は……。

 

「兄貴できんじゃん」

 

大学でピア二ストとして活躍してるが、基本暇で家にいる。

なぜなら、兄貴が師事してる先生は父さんであり、既に指導も終えてるため自主練が主だからだ。

 

「お兄さんって言えばあの?」

 

落合先生の疑問に俺は肯定する。

 

「兄貴なら話せばわかってくれると思うんですよね」

 

そう言うと、絵見はニヤリと笑った。

 

「なら、ここからは別々で技を極めるって事ね」

 

「そうだな」

 

俺も二ヒっと笑うと腕組みをしてる絵見に対抗するかのように腕を組み踏ん反り返る。

 

「負けねぇ」

 

「それは私のセリフ」

 

バチバチと音が聞こえるほど睨み合う2人に落合先生は苦笑いしか生まれなかったのだった。

 

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