the King Of Fighters NEW GENERATION 作:昆布さん
では楽しんでください。
ユウキ「ROUND9 なまっとりゃーせんが!ユウキ、怒りのネオジオ乱舞!」
ツァイス「はじまっぜええええ!」
「んで?俺達THE FRYERSの相手はまだ来て無いから、先にエージェントチーム対怒チームをやるわけ?」
と、控え室にやってきたダックに問いかけるのはチームTHE FRYERSのリーダー、九条栄助だ。
「ああ、ワリイな、それまでの間、ま、必要ねえかもしんねえけど、ヒマそうだからよ、チーム制になった一番最初のKOFの話をしてやる。あれは…」
栄助、レイズ、カイルの三人が控え室でダックの話を聞いている頃…
「クソッ!近づけねえ!」
「えーん!なんで当たってくれないのよ~!」
互いに先鋒同士がぶつかり合う第一ラウンド。ネロ対アイだ。
ネロは一定の間合い以上近付けばアイが首から提げた端末で呼び出したブロックを頭に喰らうため、近づけないでおり、しかし完璧に回避しているので千日手とも呼べる戦闘が展開されている。
「ええいッ!埒があかねえ!」
と、ネロが一気に前傾し、
「多少のダメージは覚悟して…突っ込む!おりゃあああああ!」
右足で力強くステージを蹴って突撃する。
「ぐっ、がっ、くっ、うあっ」
ブロックを喰らうたびに少しだけ声を上げるがしかしそのスピードは止まらない。そして遂に懐へ飛び込んだ!
「G・クレイス!」
右足を勢いよく振り上げ、思い切りカチ上げる。
「ジョイジョイバルーン!」
「何イッ!?気球を召喚って…そんなのアリかよ!?」
「急降下!」
いったん気球を呼び出し、ネロからの追い打ちを避けると続けて気球を消し、一気にネロの頭上に墜落する。
「あだっ!?」
「えーい!」
今度はバットを召喚し、フルスイング。
「うおおっ!?こうなりゃヤケだぜ!ゴッドプレッシャー!」
思い切り突撃し、アイを体ごとかっさらって場外へと運び去る。しかし…
「うくっ…アンタ…どうやって戻るの?」
「あ。」
ドゴーン!
「きゃあっ!」
アイを壁に叩き付けたネロはそのまま…
スタッ。
「やっちまった…」
場外に着地した。
「・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・‥」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
『なんという尻切れトンボな戦いなのでしょうか!あれほど序盤はいい感じだったのにオチが技の選択ミスによるダブル場外!次はこうならないようにお願いしたい!藤堂カズヤ選手対ソワレ・メイラ選手!』
「さあてと、始めようぜ、ガキ。」
「はい。では…」
カズヤが構えを取り、次の瞬間小さく下に向かい、弧を描くようにして腕を振った。
「うおおっ!?こいつは!?」
次の瞬間自分に向かって襲い掛かる衝撃波を蹴り潰して凌ぎ、続いてカズヤの構えをみて合点がいったような顔をする。
「ははあ…これが噂の藤堂流…重ね当てか。」
「ご存じでしたか?」
「ああ、ウチの上得意さんからいろいろとね。じゃ、こっちも!」
と、すかさず繰り出したのはスライディング。
難なく躱し、空中から重ね当てを放とうとするカズヤの目に映ったのは両手を突いて無理矢理停止、倒立に移るソワレの姿だ。
「なっ!?」
「おらよっ!」
そのまま手をつき変えての回し蹴り。
「がふっ!」
「どんどんいくぜ!」
そのままハンドスプリングで元の体勢に戻り、蹴りの連打。続けて姿勢を下げ、二連の回し蹴り。更にその状態で更に回転しながら蹴りを繰り出し、倒立するとカズヤはまるで踊っているかのような格好で蹴り飛ばされた。そもそもカポエラの特徴はそのリズミカルな動き、攻撃する側がリズムに乗っていれば自然受ける側もリズムに乗らざるをえない。
「スイスイーっと!」
仕上げとばかりにとどめの蹴りを放つ。
「ぎゃふっ!」
思い切り蹴り飛ばされたカズヤは場外に落ちそうになる。
しかし
「まだだ!藤堂死炎流の神髄、見せましょう!」
と叫び、額から青い死ぬ気の炎を吹き出させ、その推力を持ってステージに戻った。
「死炎隕石!」
「うがっ!」
フルスピードの頭突きを受け、ステージ上を滑っていくソワレだが、両足+右手で無理矢理に押しとどめる。
「今度は…ツナや吉久みてえだな。」
「こうなったら、僕の勝ちです。行きますよ!」
「来いよ。」
「はあっ!」
またしてもフルスピードでの突撃、そしてその両手は重ね当ての型を作っている。
「死炎沈静重ね当て!」
「おおわっ!」
辛うじて突撃と重ね当ての両方を躱したソワレだが、次の瞬間その表情から焦りが消え、余裕が取って代わる。
「こんどこそ!」
(見えた、あの一瞬で…)
先ずは重ね当てを回転脚で払い、次に突撃を仰向けに寝転んで躱す。そして…
「ここだ!」
「しまッ…!」
両足で首を固め、そのまま両手をつく。
「ぬおおおおおお!」
振り子の糸に指をあてると指に巻き付くようにして一回転する。
それと同じだ。振り子はカズヤ、糸はソワレ、手をつくという行動が指をあてることと同じだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ぐはっ!」
回転するようにしてカズヤが場外に吹っ飛ばされるがソワレはステージ上で床面に叩き付けられる。
と、
「♪上から目線で偉ぶってみたが、子猫のように大人しくなってるぜ♪」
と、23年ぶりになる子猫ラップで健在ぶりをみせつけた。
「やれやれ、こっちは最後かよ。けどま、こっちも仕事なんでね。手加減はしねエぜ?」
「上等!おりゃあああ!」
死炎隕石のダメージと払いのけた重ね当ての鎮静効果、そして床面に叩き付けられたダメージから、長期戦は無理だとわかっていたがゆえにソワレは一気に勝負を決めるべく自らの十八番、ダブルウェンズデーで勝負を決めに行く。
しかしツァイスは避けようとせずに体を思い切り捻り、
「ねりゃあああ!大佐直伝、ギャラクティカファントム!」
「ぐがっ!」
腰の入ったハードブロウを喰らい、ソワレの体が一撃で場外に飛ばされる。
「いづづづづ…マジでラルフ大佐の教え子かよこいつ。クソッ、ユウキ、後は任せるぜ?」
「オーケーオーケー。任せなさい!」
と、自信満々ステージに上がるユウキに
「あれ一発で終わっちゃうかもしれないのに、何呑気なこと言ってんのよ。バカユウキ。」
と、後ろからアイが辛辣な言葉を投げかける。
「こっちも仕事やから、負けれんでな。悪いけど…」
「は?何言ってンだおまえ?なまりが強くてわかんねえぞ?」
うっかり飛び出した広島弁に対して地雷にダイナマイトを投げ込むようなツァイスの台詞。案の定ユウキは爆発する。
「こンのぉ…」
「あ?」
超ド級!と叫んでユウキが突っ込む。
「ネオジオ乱舞!」
「げふっ!?」
「だあから…」
ボコボコにぶん殴ったあとで思い切りカチ上げ、自分も飛び上がる。そして手首に取り付けたカードリーダー型の小型兵器を突きつけ、
「なまっとりゃあせんがああああああああああああああああああああああああああ!」
「ぎゃあああああああああああああああ!」
思い切りビームをぶっ放した。
ふしふしと煙を上げ、気絶しているツァイス。ついでにそこは場外。
『なんかこの試合こんなんばっかですが…ゴホン!とっ、とにかく!勝者、エージェントチーム!ついでにTHE FRYERSの対戦相手、並盛風紀委員会が
到着しましたので、このまま本日四試合目を行います!』
「げ。」
恐ろしい先輩達の気配に顔を青くする栄助であった。
やっちまった…しかし後悔はしていない。
していないったらしていない!本当に…
次回 ROUND10 はばたけ!FRYERS!
栄助「じゃあまた次回で!」
久「お会いしましょう…全く、委員長はこれだから…」