the King Of Fighters NEW GENERATION 作:昆布さん
これが…おっと。月華のCDドラマから。
ジョット「ROUND10+ 幕末浪漫…」
守矢「始まるぞ…」
「横浜じゃひっそり暮らすのは無理そうだな…」
そういってブラブラと歩いているのは金髪の男。
グレーに白のストライプの入った仕立てのいいスーツを着ているその男の名はジョット。後に沢田家康と名乗る事となる男だ。
時は1871年、楓とあかりが未来へと飛ばされてから一月が過ぎようとしていた。
結局あの科学者はイタリアに帰国し、楓達が戻ってくる方法はわからずじまいだった、そんなときのことだ。
異人の出入りの多い街、横浜。そこではボンゴレ一世としてそれなりに知れ渡った存在であるジョットが隠居することは難しい。
隠居と言ってもまだ20代後半。事情を知らず、ただボンゴレのボスという所だけを知るものが見ればすぐに幕府の観察方が引っ捕らえに来るだろう。
それを避けるために旅装を整え、出発しようとするジョットの前に、一人の青年が現れた。
鮮やかな赤毛の剣士だ。着物の上からインバネスコートを羽織り、また、帯ではなくベルトを着用している。
「何者だ?」
「御名方守矢。ジョットとか言う男は貴様で間違いないな?」
やれやれ、とジョットは肩をすくめる。
「俺はまだここに来たばかりだし、何もやっていない。誰に雇われたにしろ、斬られるのはご免被りたいね。」
「なかなかこちらの言葉がうまいな。」
「そりゃどうも。で?何の用だ?」
「貴様を異国の権力ある人間と見込んで頼みがある。」
何?と思わず聞き返すジョットに守矢は続ける。
「ボヴィーノ、と言う男を知っているな?」
「ああ、イタリア人で、何でも時を越えるための研究をしているとか言う…あの人だろ?」
「その通りだ。」
「あの人を斬れってなら無理としか言えないね。俺と入れ違いに帰っちまったらしいし、そもそもお願いなんかせず、その剣で斬ればいい。雨月と同じか、それ以上の使い手みたいだからな。」
「雨月…天下無双と謳われた朝利雨月か。いや、斬れと言うのではない。」
奴の研究の試作品を知っているか?と守矢は更に尋ねる。
「ああ、どれだけ未来に飛べるかも未知数だし、帰る方法もわからないと聞いている。」
「弟が、偶然被弾した。」
「っ!」
「だから…」
そう言うと守矢は二振りの刀の内の一振りを腰から抜き、鞘ごと差し出す。
「この刀を預かっていてもらいたい。いつになるか分からんし、何代先の世に現れるかもわからんが、あいつが来たら渡してやってくれ。」
「…弟さんの名前は?」
「楓だ。」
「分かった。引き受けよう。」
そう言ってジョットが刀を受け取り、
「それじゃあ、俺はもう少しひっそりと暮らせるところを探してそこに落ち着くことにしよう。じゃあな、御名方。」
「ジョット。」
呼び止める声に立ち止まり、振り向かずに「なんだ?」と尋ねる。
「その刀、名は雪乙女。この、今俺が持っている月の桂が折れたときに妹の雪が贈ってくれた刀だ…。」
「そうか…その事、伝えておこう。」
以上、+でした。
では次回予告を。 次回 ROUND11 楓の予感
覚醒楓「そんじゃあ次回も」
刹那「楽しい時間を…」