the King Of Fighters NEW GENERATION 作:昆布さん
坂崎カイ「ROUND2 招待状、来る!」
矢吹圭太郎「はじまります!」
並盛商店街にあるまあそこそこ繁盛している飲食店。
カポエリストのソワレ・メイラの経営するパオパオカフェ四号店だ。
そこに二人の日本人と一人のアメリカ人が陣取っている鋭い空気を纏ったテーブルが1つ。
草薙京、リョウ・サカザキ、テリー・ボガードの座るテーブルは当然注目の的だ。世界でも指折りの格闘家が三人揃って何を話しているのか…他の客達は自分たちで話しながらも耳を傾けている。
で?とリョウが京に話を振った。
「わざわざサウスタウンから日本に呼びつけた理由、きかせてくれないか?」
「理由は、これさ。」
そういって京が取り出したのは栄助宛に届いていたのと同じ白い封筒。
「見りゃわかると思うが、KOFの招待状だ。神楽のヤツに出てほしいって頼まれたんだがな。」
と、頭を振りながら続ける。
「調査目的で参加するにしたってメンバーが必要だが紅丸は二階堂グループの仕事が忙しくて動けないしゴローちゃんは去年格闘技から引退した。真吾も仕事が忙しい。パオパオカフェのステージファイターの仕事はどうぞこうぞやりくりできるがそれにしたって一人じゃ出られない。そこでだ。」
「俺達の力を借りたい…ってか?」
リョウがそう返すとテリーも続けて
「OK!どのみちマリーに調査を頼まれてたんだ。ちょうど良いぜ!」
「俺は…どうするかな…すまん、ちょっと席を外す。」
そういってリョウが席を立つ。その間、テリーの技を少しだけ盗み取っていった明人の実力について話をする。ちなみに、明人の被っている赤いキャップはかつてテリーが被っていたFATAL FURYの文字の入ったものだ。
「うちのバカ息子なら大丈夫さ、お前の技も草薙流も、完璧に覚えてるぜ。」
もっとも、と区切ると京は意地の悪い笑みで
「俺ほどじゃねえがな。無式使えねえし。」
「ハハハ、手厳しいな!」
そうこうしているうちにリョウが戻ってきた。
「キングからOKが出た。チームキングオブファイターズの結成だな。」
それを聞いたテリー合点し、ちょうど今テーブルの間を縫うように歩いているソワレに向けて声を張る。
「ALL RIGHT!そうときまりゃあ景気づけに、ソワレ!ステージ貸してくれ!」
「おもしれえ、総当たり戦だ!」
「最終調整と行くか!」
三人の言葉を聞くとソワレがステージに立つ。
「いいねえ!お客様がた!サウスタウンヒーローとMr.カラテ、炎の貴公子の激レアバトルだ!楽しんでください!」
場を盛り上げるように京とテリーが綺麗な前方宙返りをキメながらステージに着地する。
「わあああああああああああああ!」
客達の歓声の中、テリーが間合いを詰めつつ攻撃するためにバーンナックルを繰り出した。
京はそれを鵺摘みの肘打ちで返す。
「HEY、京!それが40代のパワーか?」
「そりゃこっちの台詞だぜ、40代後半!」
・・・・・
同じ頃、明人ははるばる大阪からやってきた親友と自宅の玄関先で話していた。母、菊理が病死したうえに父である庵がいつも消息不明のため草薙家に居候している夕子も明人の隣にいる。
「ホントに久しぶりだな、優作。全く訛ってない大阪人め。」
「そりゃな、親父もお袋も標準語だし、社内公用語も標準語なんだ。」
「二階堂グループだからなあ。」
二階堂紅丸と二階堂―旧姓神楽ちづるを親に持つ超天才シューターの二階堂優作は生まれも育ちも大阪の癖して全く関西弁を喋らないその気障ったらしい口調で夕子にも挨拶する。
「八神さんも、お久しぶり。どう?今度一緒に食事でも?」
「いや。ホントに紅丸さんそっくりね。ユカとケイに怒られないの?女たらし。」
手厳しいね。と苦笑いする優作は三つ下の双子の妹たちに比べ、神器の力こそ弱い物の鏡の力を持っており、幻影とシューティングの複合技で高い実力を誇る、明人の親友だ。
「さて、無駄話はこれくらいにして、お前ら、これは受け取ったか?」
「ああ、俺も夕子も受け取った。後、親父も受け取ってる。その件で今は不在なんだ。」
二人の手元にあるのは白い封筒だ。中には一枚の便せんとアメリカ、ストリートファイトが世界一盛んな街、サウスタウンへ向かう為の飛行機と列車のチケットだ。
「2032年、キング・オブ・ファイターズを開催。対戦形式は3対3のチーム戦とする…インフェルノファミリ-。か。」
優作が便せんに書かれた文面を読み上げる。
「インフェルノファミリ-何てサンズオブフェイトからもバーンシュタイン商会からも、ボンゴレやハイデルン傭兵部隊でさえ知らない組織だ…」
ハッ。と優作の懸念を明人は一笑に付す。
「俺はそんなこと関係ないね。もっと強くなる。お袋を、この街を、こいつを守り通せるくらい強くなる。その修行になりそうだからな。参加してやるよ。」
ってもまあ。とバツの悪そうな口調で続けて
「まだ無式も使えねえがな。その分はマーシャルアーツでカバーするさ。夕子、お前はどうする?」
鮮やかな赤毛の彼女はその質問に
「私も、この血に負けないくらい強くなりたい。だから参加するわ。オロチの力をはじき返せるくらいに強くね。止めてもきかないわよ。」
二人の意気込みをきき、優作が笑って言う。
「よし、チームは決まったな。新三種の神器チーム、結成だ!」
さあ頑張ろうぜ!と言おうとしたところで明人と夕子の後ろで草薙家の玄関が空き、明人の母である草薙ユキが顔を出した。
「三人とも、晩ご飯できたわよ!」
「「「はーい!」」」
さっきまでの真面目な表情も何処へやら。あっという間にただの高校生の顔になって優作と夕子が家の中に消えていく。
明人がん?と言う顔をしてユキに質問した。
「なあ、親父は?まだ帰ってきてねえじゃん。」
「テリーさんとリョウさんと一緒に食べてくるって。」
「あンのクソ親父…強力通り越してもはや凶悪じゃねエか。庵さんしか勝てねえよ。オイ。ま、いいや。ってあああ!待てよ二人とも!まだ俺もお袋もそっち行ってねえじゃねエか!」
どちらかと言えば京よりユキに似た明人がその中性的な顔に思いっきり焦りの色を浮かべて家の中に猛ダッシュで駆け込んでいった。
「全く、うちのバカ息子は…まあ良いわ。三人ともー!私が行くまで食べちゃ駄目よー!」
・・・・・
大門虎五郎は今どき珍しい超のつくほどの堅物で、その上修行バカだ。父、大門五郎からの教育により、生後9ヶ月にして回転受け身をマスターした男で、同じ企業に勤めている連中からは「柔道部の悪夢」だとか「柔道界の魔王」とか、「生まれながらの柔道家」などと言われている。
しかし、年齢による上下関係を嫌う彼は比較的親しみやすいのだ。
25才である虎五郎は15才の坂崎カイと14才の矢吹圭太郎―彼は矢吹真吾の息子であり、草薙明人の一番弟子(自称)である―と、対等な口をきかれていても悪いかお一つしていない。
「で、虎五郎さんと俺を呼んだのはどういう理由なんッスか?坂崎先輩。」
「ああ、虎ちゃんも圭太郎ももらったろ?KOFの招待状。」
「うむ。」
「ええ、ですけど、それがどうかしましたか?」
「ここに三人集めて、みんな招待状を持ってるって事は…どういう事か分かれよお前ら。」
そこで虎五郎がぽんと手を打ち、
「そうか!チームか!」
と言い、そこにいたって圭太郎もやっと
「ああ、なるほど!俺達三人でチームを組んでKOFに出るんですね!」
「そゆこと。俺の極限流空手もまだまだ師範代になることすらできない実力だからな。圭太郎だってまだ明人に近付いていないだろ?」
「ハイ!恥ずかしい話まだ炎が出せないんです。」
ちなみに、真吾もかつてアナザーストライカーとしてKOFに飛び入り参加していた京子も草薙家の血縁ではないため、圭太郎に草薙の炎を出すことはできない。
「まあ、親父もKOFで実力を磨いていったというしな。よし。私も出場しよう。」
「おし、そうときまれば新日本チーム、景気づけに飯でも食いに行こうぜ!」
・・・・・
「と言うわけで、今回はCEDEF機関、バーンシュタイン商会と協力して事に当たる、各員準備に入るように。オペレーターは00:32には機器の整備を完了させる。」
軍服姿の青い髪をした端整な顔立ちの女性が基地のブリーフィングルームで指示を出す。
「司令、怒チームのメンバーはいかがいたしますか?」
司令と呼ばれた女性、かつてこの基地で最高指揮官を務めていた隻眼の傭兵、ハイデルンの義理の娘であるレオナ・ハイデルンが問いを発した大佐に答える。
「CEDEFからは藤堂、バーンシュタイン商会からはネロ・バーンシュタインが出向してくれている。あとは、私達の中から選りすぐりの隊員を集めるのよ。その中から私が選定する。」
「ハッ!了解しました!」
ラルフやクラークも退役し、ウィップも「指揮官なんてガラじゃありません」と言ったために司令官に就任した彼女は果たして誰が良いだろうかと考えながら二人の助っ人のいる部屋へ向かう。
扉が開くと真っ先に立ち上がり、黒髪をアシンメトリーに整えた少年が一礼した。
「レオナ殿、そちらはどうなりました?」
そうきく少年の名は藤堂カズヤ。藤堂死炎流武術を操るCEDEFの次期最高責任者、ボンゴレ門外顧問に最も近いとされている人物で、藤堂香澄とバジルを親に持っている。母の藤堂流武術と父の死ぬ気のコントロール技術をミックスした結果完成した藤堂死炎流は彼曰くかなり実戦向きなんだそうだ。
部屋にいるもう一人の青年はどこか気品を漂わせる整った顔立ちで、色の良い金髪をほどよい長さで切り、前髪をセンター分けにした20代前半の頃の父、アーデルハイドにそっくりな青年、次期バーンシュタイン家当主にしてバーンシュタイン商会の重鎮、あらゆる格闘技をマスターした総合格闘術の使い手であるネロ・バーンシュタインだ。
読んでいたペイパーバックから顔を上げ、ネロは
「別に良いだろ、誰がチームメイトでも。」
とカズヤのほうに目をやって言う。
「しかし…」
「誰と組もうが自分に出せるだけの力を出せよ。違うか?」
このあたり、アーデルハイドの血を色濃く受け継いでいるが正直祖父のルガール・バーンシュタインの血はほとんど表面化していないことが伺える。
口は悪いが紳士なのだ。
と、更に扉がばんっ!と開かれ、入ってきたのは一人の兵士。軍人と言うよりスポーツ選手といった感じの兵士はきっちりとした敬礼を取り、名乗る。
「ツァイス・ヴィオレント少佐、ただいま着任いたしました!」
「貴官の戦い方は?」
「ハッ!ハイデルン流暗殺術とマーシャルアーツであります!」
「(まるで大佐ね…)では、ツァイス少佐、藤堂カズヤ君、ネロ・バーンシュタイン君の三名で怒チームを結成、KOFへ潜入してもらいます。我々はあなたたちの反応をトレースしながら大会を外から監視しす。」
どれだけの時が過ぎようともハイデルン傭兵部隊と怒チームの立ち位置は変わらない。KOFの裏に潜む陰謀を暴き出すため、彼等は再び動き出した。
・・・・・
「へえ、じゃあ、吉久と宏人君と弘さんでKOFに出るんだ?」
沢田京子。ボンゴレ十代目沢田綱吉の妻であり、しかし一般人でもある彼女は白い封筒を携えた吉久に問うた。
「ああ、リボーンさんから言われちゃって…修行の一環と称してる上に負けたらねっちょりコースだ・・・ってさ。」
仕立ての良い黒スーツを着た赤ん坊に高校生がおびえる姿を想像すると少しおかしい気もするがリボーンはマフィア界最強の赤ん坊、
やると言ったら本当にしつこく、陰湿に、しかし悔しいことに効果がある方法で教え子に試練を課すのだ。
時に不良を挑発しておいて自分だけさっさと帰ったり、渦巻く渦潮の中にたたき込んだりと、とにかくはちゃめちゃなのではあるが、かつてダメツナと呼ばれた綱吉をマフィアボンゴレのボスにふさわしい人物に育て上げたあたりやはり有能なのだ。
「でも偶然ね、お隣の栄助くんも出場するんだって。」
「あいつが!?まあ、勝てなくても最後まで食らいつくことにするよ。」
・・・・・
「なあ、親父、テリーさんも出場するっていう話だけどどうするんだよ?出ねえのか?」
とある会社の社長室で鮮やかな金の髪の青年が同じ色の髪の男にことばを投げかけた。
「本音は?」
「俺が出たい。」
「だろうな。出ねえよ、仕事が忙しいんだ。出るならレイン、お前だけで出やがれ。」
「へっ!ロック・ハワードともあろうお方がその様子じゃ世代交代も近いかな?」
かつて餓狼と謳われたテリー・ボガードの義子、ロック・ハワードに息子のレイン・ハワードが不遜なことばをぶつける。
チームメイトの当てがないのでいらだっているらしい。しかしそんな棘のあることばもどこ吹く風。ロックは冷静に返す。
「バカいってんじゃねエよ。三代目の虎に連絡とってやるからあと一人は自分で見つけな。」
「へーへー、分かりやしたよ。あとでびっくりして吠え面かいてもしらねえからな。」
「分かった分かった。いいから行ってこい。」
つかつかと上質な革靴の足音を響かせ、茶色いジャケットを翻し、ハワードコネクションの社長執務室を辞去していくレインを見送ったあと、ロックはおもむろに内線電話を手に取った。
「ああ、俺だ。…と…と…と、あと…、これだけの事業計画を延期しようと思う。あと、それで○○から××にかけての期間に空きスケジュールができるわけだが、その間俺が何をしていようが口出し無用だ!じゃあそういうことで、よろしくな。」
『ああッ、ちょっ!?社長!?どう言うことですか!?社ちょっ…』
受話器を置くと少しだけ肩をすくめてロックは苦笑する。
「やれやれ、俺もまだまだ若いな、さてと…」
といって今度は携帯電話を手に取り、
「もしもし、ジェイフン?折り入って頼みがあるんだけど…」
それをこっそり盗み聞きしていたレインは廊下で苦笑している。
「やっぱそういうことかよ、わーったよ。俺は俺で格闘家仲間連れて出場してやるよ。」
今度は音も立てずにレインは廊下を歩いて行った。
ちなみに、ロックはそれから大会一週間前まで不眠不休で仕事をした末に漸く大会期間中の休みを手に入れたそうな。
ここまでで分かると思いますが、登場人物の多くは息子世代でございます。
オリキャラ多しですが、あくまで主人公は魔改造楓ですので。
ちなみに楓のそっくりさんであるロックですが、就職口がなかなか見つからず、難儀していたときにリッパー&ホッパーに泣き付かれて社長に就任したカンジです。現在表社会向きの総合企業として栄えております。
では次回予告を。
次回 ROUND3 チーム揃う
楓「それでは次回も」
あかり「死ぬ気で見てや!」