the King Of Fighters NEW GENERATION   作:昆布さん

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陰陽師がやって参りまして、いよいよストーリーも動かせます!
では!
楓「ROUND3 チーム揃う」
あかり「始まるで!」


ROUND3 チーム揃う

楓がKOFの招待状を見ながら考え込んでいる。

「この時代に僕の人脈はないし…チームメイト、どうしようか…」

並盛商店街で夕食の買い物をしながらいつもスーツのポケットにしまってある招待状を見てチームメイトについて悩むのが最近の日課になりつつある楓。

そんな悩みを抱えた楓の耳が騒ぎを聞きつけ、ふとそちらに目をやるとそこには鬼の顔に似たなにか、大きい妖怪、蛇に似た鬼が巻きついた釣鐘、渋い忍者に似たなにか…等々、どこかで見たような怪物達がそこら一体をうようよしていた。

「ええッ!?」

(オイオイ、あいつもタイムトラベルしてきたのかよ…)

「言ってる場合!?厄介ごとになる前に止めないと!」

と、招待状と買い物袋しまうとそのディパックをしっかりと背負い、怪物達のまっただ中へと突撃していった。

 

・・・・・

 

「じゃあ、楓はもう戻ってこれへんの!?」

水干を改造したような服装の少女がそう詰め寄った相手はイタリア人科学者。

「しょうがないじゃないですか!行く方法しか設定してない試作品ですもん!」

「なんでそないなモンを楓にくらわせたんや!?」

「別に喰らわせるつもりはありませんでしたよ!落っことしちゃった試作品を楓さんが踏んづけただけです!」

少女が科学者のいる部屋から退室し、研究所から出ると「お嬢、どうでした?」と大男が声をかけてきた。

「あかんわ。どうにもならへん…」

「とにかく、今日は休みましょう。もう遅いですから。」

そして大男が宿へ向けて歩いて行くと少女は少しだけ謝罪するように顔をうつむけ、そしてすぐに楓が未来へとばされた元凶となったそれを思い切り自分の足下へ叩き付けた。

(まっとってや…楓!)

時は1871年のことである。

 

・・・・・

 

「アカンなあ…ここがどこかわからへんし、式神出しても驚かれるだけやし…」

楓を追って現代にやってきた陰陽師の少女、一条あかりが頭を抱えてああどうしようと困っていると大量の式神を押しのけてやってくる一人の青年が見えた。

「あっれぇー…あの人どっかで見たことあるような気がするけど…どこやったかなあ…」

青年は黒い洋服を着ていて、藍色の髪を頭頂部あたりで一つにまとめている。と、その青年が思いきり息を荒げながら

「ゼエ、ゼエ、あっ!あかりさん!なんでこの時代にいるんですか!?」

「なにゆうてんねん!楓追っかけて来たんやないか!」

じゃなくてっ!と楓は膝に両手をついて荒い息をつきながら

「どうやってこの時代に来たのか聞いてるんですよ!って言うかとりあえずこの式神しまって下さい。騒ぎになってるんで。」

「はいはい、ほな、みんな戻ってや~。えっとなあ、たいむましん?っちゅーのの試作品を使ったんやけど、ご免。」

は?一瞬半眼になった楓にあかりがぺろりと舌を出しながら一礼。

「ウチも帰れんくなってもうた。」

「そう来ると思った。」

 

・・・・・

 

「アイ!ちゃんと3人目、探しとるんやろな!?」

茶髪に金のメッシュの入った少年、政府高官が個人的に雇っているエージェントの一人であるユウキが青と白の帽子がトレードマークの相棒、アイに向かって携帯端末を操作しながら聞く。しかしそれに対する答えはというと。

「訛ってるよ、広島人。」

「んなっ!?なまっとりゃーせんが!」

「だから訛ってるってば。それに心当たりないし。」

それを聞いてとたんにユウキはただでさえ苛ついていたのだが完全にブチギレた。

「もーしりゃーせん!かってにしーや!」

「ちょっ!?何処行くのよ!?」

ほっとけ!と言ってユウキがどこかへ行くとアイは密かに後をつけた。

「怒ったユウキは何するか分かんないもんね…」

その様子は相棒と言うよりも姉弟といったほうが近いかもしれない。

 

・・・・・

 

「あーもー!ほんとにいやになるよこんちくしょー!」

パオパオカフェ並盛支店で酔っぱらって管を巻いているのはチームメンバーを探すのが面倒になってほっぽり出してきたユウキだ。

ちなみに、こいつは17才の日本人。れっきとした未成年だ。

カウンターに陣取ってベロンベロンに酔いつぶれたユウキがろれつの回らない日本語で愚痴っているのをきいたソワレは少し心配になって声をかけてみた。

「お客さん、大丈夫かよ?何言ってるのかわかりゃしねえぞ?」

「あ゛~?なまっとりゃーせんってゆーとろーが!」

「訛りじゃねエよ!ッつーか今度こそしっかり訛ってるじゃねエか!」

しかしそんなソワレの言葉も一切耳を貸さずにユウキがふらふらと立ち上がってファイティングポーズをとった。

「だーから…」

「お客さん!?」

「なまっとりゃーせんがー!超ド級ネオジオ乱舞じゃあああああ!」

「あぶねッ!ダブルウェンズデー!」

 

・・・・・

 

「ユウキ…ど~こ行ったのかなあ?」

アイがユウキを見失った並盛商店街の入り口当たりをぶらついていると一軒の店からすごい音と一緒にユウキが吹っ飛んだ。

「ユウキ!?ちょっ!どーしたのよ?」

「うるへー!なまっとりゃせんゆーにあの店長が何回も何回もなまっとるゆーからや!」

「駄目だこりゃ、完璧に酔っぱらってる。すーっ…」

ユウキの耳元でアイは思いっきり息を吸い込み、

「起きろバカユウキー!」

と、思いきり怒鳴った。耳元での大音声に酔いが醒めたらしく、「あてててて…ありゃ?」等と言いながらユウキは周囲を見回すと顎を押さえて

「イタタタタタタタ!なんなんだよあの店長は!なんで飲み屋の店長がこんなに強いんだよ!?」

と、その辺を転げ回った。

「お客さん、お代は?シメて…¥な。」

「高え!ってそんな事言ってる場合じゃねえ!店長!」

追いかけて飲んだ分の代金を請求しに来たソワレに対し、ユウキが叫ぶように声をかけた。

「な?なんだよ?」

「頼む!俺らと一緒にKOFに出場してくれ!」

「なあ!?」

 

・・・・・

 

並盛3丁目にある川平不動産に一人の青年が入っていく。

ラーメンをすすっていた和服姿の男が店の入り口に目をやる。

「ずるずる…あ、楓くん、いらっしゃい。」

「川平さん、お願いがあってきました。」

四十代も半ばにさしかかったにもかかわらず20代前半、下手をすれば10代にも見えるこの不動産屋の主、

川平は目を丸くする。

「おや?たしか自分は一人者だからワンルームマンションでいいとか言ってなかったっけ?」

「ええ、のはずだったんですが、もとの時代から知人が僕を追いかけてきまして。」

「で、二人じゃ狭いからと。ふむふむ、なるほど…」

と、取り扱っている物件の資料をぱらぱらとめくりながら、おもむろに顔を上げて

「ところで、楓くん、その人、彼女?」

「な!?」

川平の邪推に楓が茹で蛸よりも真っ赤になって慌てるのを見て、

「ははは…若い若い…ハイ、これが新しい家の鍵ね。お金はあとで綱吉君達に請求しとくから心配しなくて良いよ。」

 

・・・・・

 

「と、いうわけで。新しい家にやってきたわけですが…」

何処にあるかもわからないカメラ目線で楓がいう。

「問題はあかりさんだ…改造水干じゃ悪目立ちしすぎる、どうしましょう?」

「せやなあ、このままやと外歩かれへんし、外出せんだらええっちゅう問題やないし…」

二人して新居の居間で顔をつきあわせて話し合っている。

「あ、せや。楓、寺子屋で先生しとるんやって?」

「高校ですよ。で、それが何か?」

「やったら生徒のお母ちゃんにちょっとだけ服貸してもろて、で、自分の服買いに行ったらええんやないか?」

「ああ、そうですね。その手がありましたか!もしもし?沢田さんのお宅ですか?ああ、綱吉さん。実はお願いが…」

 

・・・・・

 

「と、いうわけで。しばらく俺はいなくなるが客足は増えるだろう。良いか?ちゃんと店番してろよ!」

はい、店長!と言う返事を満足そうに聞いていたソワレは後ろにいるユウキとアイに向き直り、

「じゃ、いくか。」

と声をかける。

「なんか、ごめんなさい…」

どこか気弱に謝るアイとそれを見て少しだけ顔を曇らせるユウキ。そんな二人を元気づけようとソワレは自前の陽気さで

「なーに言ってんだよ!俺も招待状もらってんだ!メンバー探ししなくていい分楽だったって!前向いていこうぜ、リーダー!」

と、ユウキの肩をばしばし叩く。

「へ?リーダー、俺?」

「ったりめえじゃねえか!俺はあくまでゲストだし、ユウキの方がアイよりしっかりしてんじゃねえか!」

「そうそう、行きましょ?リーダー。」

二人からいわれてユウキはがっくり肩を落とす。

「わかったよ、もうリーダーで良いよ…せやな、そりゃこがなことにもなるわな。」

等とブツクサ言うユウキにアイが一言。

「訛ってるよ。」

「なまっとりゃーせんが!」

 

・・・・・

 

「どや?楓?におとる?」

そういって楓に自分の洋服姿を見せびらかすあかり。

そんな彼女から赤くなって視線をそらし、

「あ、ええ。にっ、似合ってますよ。」

と、どぎまぎしながら返す様子を偶然別の用件で呼び出されていた山本武が笑って見ている。

「ところでこの人も剣士みたいやけど、なんぞ事かあったん?」

一頻り自分が沢田京子から服をかり、楓の所持金で買ってきた赤いワンポイントの入った白いシャツにミニスカートという姿を見せびらかしたあかりが武を示して言う。

「あかりさん、その前に一つ聞きますが、あかりさん、武器だろうが式神だろうが使える格闘大会があったら、出ます?」

「楓次第やな、もし仮にそれが団体戦で、楓がでるんやったらうち、迷わずでるで?でも、いきなりなんや?」

そういったあかりに武が

「ほら、こういう事だぜ。」

と言って白い封筒を手渡す。

「これは?」

「まさにさっき僕が言ったチーム戦形式の格闘大会…」

そういって私服のポケットから楓は全く同じ封筒を取り出す。

「the King Of Fightersの招待状です。」

「ホントは俺のダチに届いた奴なんだけどな。そいつが出ねえって言うからその分と、あと楓と俺には最初から届いてたな。」

つまりこういうこと?とあかりが念を押す。

「うちら三人組でその大会、きんぐおぶふぁいたーずっちゅーのに出るっちゅうわけや。」

「そういうことですね。大会はあと…後、アメリカのセカンドサウスというところで開かれるそうです。ですからまあ、あと一週間はこちらでのんびりできますね。」

「それじゃ俺はツナに伝えてくるぜ。彼女と仲良くな。」

去り際に武が言い置いていった単語に楓が股真っ赤になっていると

「ほなさっそくでーとっちゅーのに出かけよやないの?」

「んがっ!」

赤面症の楓はそれすら通り越して意識を手放してしまい、楓!?と言うあかりのあたふたした声が居間に響いた。




チーム結成までの話はこれにて終了いたします。
あと一話閑話休題に使い、そこから大会へ突入です。
では。次回 ROUND4 KOF、再び

???「次回も…」
カイン・R・ハインライン「お見逃しなく。」

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