戦闘機がもっと活躍してもいいと思うんです(凍結中) 作:ヤママ
1972年、アポロ17号が月面において古代火星文明の遺跡を発見。火星への惑星間移動が可能となる「ハイパーゲート」を発見する。
のちにアルドノアと呼ばれるその技術は、同じ地球の生まれである人類を火星人と地球人に二分させることとなる。
1985年、火星調査団のレイネガリア博士が火星の開拓団民と共にヴァ―ス帝国を樹立させる。
1986年、ヴァ―ス帝国への警戒から地球は国連の指導のもと、地球連合を樹立。冷戦状態となる。
1997年、レイレガリア皇帝が病により退位。息子のギルゼリアが次期皇帝に即位。
1999年、ギルゼリアによってヴァ―スから地球へ宣戦布告が行われる。
火星の軍事ロボット「カタフラクト」の軍事力を頼みに進撃を開始。その戦火の中でハイパーゲートが暴走。
月が割れ、地球では天変地異が起こる。地球のみならず、地球に降下していたヴァ―ス軌道騎士、兵士にも大きな爪跡を残す。
この出来事は「ヘヴンズ・フォール」と呼ばれ、崩壊した月は「サテライト・ベルト」と呼ばれる岩石帯となる。
また、月で指揮を執っていたギルゼリアが戦死。両軍とも休戦を余儀なくされる。
その後、皇女アセイラムが誕生。病床のレイレガリアが皇位に復帰する。
その後は火星と月を結ぶ輸送機が開発されたり、地球製のカタフラクトが暴動の鎮圧に使用されたり、地球の戦後処理が終了したり。
そして2010年、火星。
ヴァ―ス帝国のカタフラクト用戦術輸送機「スカイキャリアー」がバレルロールやハンマーヘッド、インメルマンターンなど様々な機動を連続でこなしていた。
無重力下において、ヴァ―ス一般兵が使用している戦闘機「ステイギス」に搭乗するパイロット達はその機動を見て思わず舌を巻く。
自分たちでも目の前のスカイキャリアーの機動を一つ一つしようと思えば造作もないことだが、あのスカイキャリアーは連続で行っている。
もしあのペースでしようものなら意識を持っていかれる前に、急激なGの変化により目の毛細血管へ送られる血液の量の変化し、視界が赤くなったり暗くなったりする「レッドアウト」「ブラックアウト」になってしまう。
加えてスカイキャリアーの本来の用途は輸送機。地球の戦闘機と比べても圧倒的な運動性と火力を誇るといっても、輸送がメイン。にも関わらず未だに続く宇宙(そら)の曲芸。
大体、教本や訓練で学んできた機動をし終わったスカイキャリアー。パイロットはもちろん、整備兵、一般歩兵までもがディスプレイを見ていた。皆、その美しい機動、軌跡に目を奪われていた。そんな観客に気づいたのか、とっておきを見せてやると言わんばかりに急降下するスカイキャリアー。それこそ基地の滑走路にキスする勢いで。とちくるったのか!?と見ていた者達は焦るが、スカイキャリアーは垂直離着陸が可能なハイテク輸送機。咄嗟に腹の部分にある噴射口から爆風を起こし、今度は垂直に急上昇していく。墜落は免れないだろうと思っていた多くの観客は目の前の光景に様々な反応を見せる。
何が起こったのかさっぱりわからないという顔をするもの
興奮して騒ぎ、もはや何を言っているのかわからないもの
思わず目を手で覆っていたけど周りの反応に気づき、決定的瞬間を見られなかったことを後悔するもの
その後は皆、拍手喝采。
あんなにもスリリングで迫力のある機動は見たことがない。これこそが戦闘機。空を、宇宙(そら)を支配するもの姿である、と知らしめるかのようにただまっすぐ、真上に飛ぶ。
すると突然、スカイキャリアーが機首を真上に速度が急に落ちた。観客達はまたハラハラしだす。機体のトラブルか?操作ミスか?どちらにせよあの速度の落ち具合では失速(ストール)してしまう。皆が固唾を飲んで見守る。そんな願いが通じたのか、すぐにたて直し、水平機動へと移る。空戦に関して多くの知識がない歩兵の多くはパイロットが持ち直したのだろうと考えていたが、自らも宇宙(そら)を飛ぶパイロット、整備兵、管制官など、そらに属する者達は驚愕を隠し切れない。
今、スカイキャリアーが見せたのは「コブラ」と呼ばれる変態機動で、そんジョそこいらのパイロットはもちろん、ステイギス乗りの中でも出来るものはおそらくいないだろう。
コブラ機動は、低速での安定性のある機体ほどやりやすい機動だが、そうだとしても難しいの範疇を超えるものだ。加えて、戦闘機であるステイギスではなく、輸送機であるスカイキャリアーでやってのける度胸と技量。
本来ステイギスの方が速いはずなのに、今まで見てきた中で一番早い飛行。
パイロット全員で束になってかかったとしても勝てる気がしない完壁な機動。
一体どんな猛者があの機動をしたんだ?
観客全員に湧き上がる疑問。着陸し、完全に止まったスカイキャリアーの周りに人が群がった。皆が変態機動の主の面を拝みたかった。
上がる風防。さらさらとした銀髪が見える。銀髪の美男子か、麗人か、それとも筋肉モリモリマッチョマンな軍人チックな兵隊か。皆が想像をめぐらす。そして現れたのは
10~13歳位の男の子だった。
観客はあまりの意外っぷりに目を点にする。ステイギスパイロットに至っては「こんなガキが・・・」と口にして、驚きと、自分の腕が子供に負けたことへのショックを隠せずにいるものが何人かいる。
スカイキャリアーを操縦していた子供の名はスレイン・トロイヤード。1年前、父と共に火星へ降りる際、事故で不時着し、アセイラムから人口呼吸の応急処置を受け、一命を取り留めたと同時にアルドノアの起動因子までゲットしちゃったラッキースケベ野郎である。そして加えて説明するならば
「いぃーーーーーーーやっっっっふーーーーーーーー!!!!!!!!!!
エスコン並の変態機動決めたぜこのヤローー!!
次はハミルトンネルだな!!!ファルケンはよ!TLSはよ!!!!」
彼は転生者である。
エスコンのTASはほんと異常。ロックもしないで置きミサイルとかまじ笑えますね。
いずれスレインくんにもそのくらいになって欲しいな(白目)