旅行から帰ってきて、数日後。
明久達は学校に居た。
その理由は、登校日である。
なお、Aクラス教室にはAクラス生徒の他に、雄二、秀吉、武田兄妹、幸村、康太の姿もある。
Fクラスは現在、青空教室の真っ最中である。
具体的には、校庭。
その理由は、教室の改修工事だ。
原因不明によりFクラス教室の改修工事がなされておらず、調べた結果、予想以上に教室の損耗具合が酷かった。
それにより、当初予定していた期間よりも長い期間が必要となってしまった。
それに伴い、予定外の青空教室と相成ったのだ。
Aクラスでは担任による点呼も終わり、後は解散自由の夏期講習が行われていた。
夏期講習とは言っても、それは名前だけの自習だった。
それにより、明久達は談笑していた。
「宿題の進み具合、どう?」
「数学は即行終らせた。自由研究も目下順調だ」
「お、同じ位だな」
男子陣は宿題の進み具合を確認しており
「……このオカズ、美味しい」
「どうやって作ったので?」
「それはですね……」
女子陣は料理談義していた。
その時だった。
「うるせーー!!」
と
その二人に全員の視線が一旦集まったが、すぐに
「僕は今回、これを自由研究のテーマにしました」
「む、随分と高度じゃのう」
「……俺は、カメラの歴史を」
「お前らしいわ」
「で、隠し味にレモンを入れるんです」
「ああ、なるほどねぇ」
と会話を再開した。
つまりは、無視したのである。
「おいこらっ!?」
「無視するとは、いい度胸だな! ああっ!?」
無視されたことに怒り、常夏は怒声を張り上げた。
すると、一堂は深々と溜め息を吐いて
「なんの用だ、
「こっちだって、暇じゃないんです」
「文化祭の件で、Fクラスに強制編入になった問題児」
「道徳の補習は終わったのか?」
と、怒涛の口撃(誤字に非ず)を繰り出した。
なお、この二人は優子が言った通り、文化祭の件でFクラスに強制編入されている。
そして、夏休み期間の八割は道徳の補習とボランティアが義務付けられたのだ。
「用件も何も、てめぇら! うるせえんだよ!」
「だから俺達が直々に、文句を言いに来たんだよ!」
常夏は明久達の口撃に一瞬尻込みしたが、直ぐに威勢よくそう言った。
すると今度は、クラス全体で溜め息が漏れて
「あんたら、バカか?」
「このAクラスから、お宅らのFクラスまでどのくらい離れてると思ってるのよ」
「しかも、防音設備がしっかりしてるこの学園で声が聞こえた? んなわけあるか、アホ」
「小学校からやり直せ、カス」
「あなた達の顔見ると吐き気覚えるから、二度と来ないで」
「つか、名前なんだったっけ?」
と口撃の嵐が殺到した。
流石にAクラス全員からのは堪えたのか、常夏は涙目だった。
しかし、そこで諦める二人ではなかった。
Aクラス全員を見回すと
「てめぇら! それが先輩に対する態度か!」
「俺達が教育してやらぁ!!」
と怒声を張り上げて、袖を捲った。
それを見て、明久達も構えた。
その直後
「何をしとるか、貴様ら!!」
「あだふっ!?」
「べげっ!?」
鉄人の拳が、二人の頭に振り下ろされた。
鉄人の拳撃を受けて、二人は暫くの間蹲った。
そして
「この、何しやがる!」
「教師が生徒に暴力を振るっていいのかよ!?」
と鉄人に文句を言った。
すると、鉄人は二人をアイアンクローで持ち上げながら
「今日貴様らは、学園清掃ボランティアをしている筈だと言うのに居ないから、探しに来たんだ!」
と言った。
どうやら二人は、ボランティアをサボっていたらしい。
そして動きが止まったからか、鉄人が二人を下ろした。
その時
「ちょいと待ちな」
と新たな声が聞こえた。
全員の視線が集まった先に居たのは、学園長の藤堂カヲルだった。
「学園長……」
鉄人が不思議そうに見ている中、カヲルはツカツカと床に倒れてる常夏に歩み寄り
「おら、起きな。ジャリ共」
と二人の横っ腹に、蹴りを叩き込んだ。
雑な起こし方だが、誰も違和感すら感じなかった。
「ぐほっ」
「うぼぁ」
「とっとと起きな、クソジャリ共が」
カヲルがもう一度そう言うと、ようやく二人は起き上がった。
「なんか、懐かしい起こされ方されたぜ……」
「奇遇だな、俺もだ……」
二人は腹部を押さえながら、そう言った。
それを確認したからか、カヲルが
「さて、ちょうどいいさね」
と言った。
それを聞いて、明久達は嫌な予感がした。
「ジャリ共、あんたらにAクラスに戻れるチャンスをやるさね」
「なに!?」
「本当か!?」
カヲルの言葉を聞いて、二人は嬉しそうな表情を浮かべた。
よほど、Aクラスに戻りたいらしい。
「その条件は……お化け屋敷さね」
「…………は?」
カヲルの言葉の意味が分からず、ほぼ全員が首を傾げた。
その後のカヲルの話を要約すると、以下の通りとなる。
1、今現在、召喚獣の姿が調整によりオカルト面が色濃く出ている
2、この召喚獣を使い、変則的だが試召戦争を開催する
3、参加するのは、今現在学園に居る二年生と三年生
4、三年生が防衛側として、驚かせるか召喚獣を全員倒せば勝ち
という物だった。
「んで、あんたらが勝ったら、特別にAクラスに戻してやる」
「その言葉、忘れんじゃねぇぞ!」
「まあ、勝ったも同然だがな!」
カヲルの言葉を聞いて、二人はそう意気込んだ。
その光景を見て、Aクラスに居た全員が
(取らぬ狸の皮算用)
と思った。
戦いは二時間後とされて、それまでに三年生は簡易的なセットを
二年生はペアを作ることにした。
そして、突発的なイベントが始まったのだった。