僕と戦極姫と召喚獣   作:京勇樹

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絶体絶命

「行きなさい!」

 

『応!!』

 

久秀の指示に従い、彼女の部下とかつての男の部下達数人が明久と謙信に襲い掛かった。

しかし

 

「八華燈籠!」

 

「旋風!」

 

二人の技で、一撃で倒れた。

それを見て、久秀は

 

「剣聖……そう言えば貴方は、刀を持てなくなったと聞いてましたが……」

 

と漏らした。

すると明久は

 

「確かにね……一時期は、あらゆる刃物が持てなくなったよ……だけどね、何時までも放置する方が問題でしょ?」

 

と言った。

つまり明久は、PTSDをほぼ克服したことになる。

それを聞いて、久秀は小さく舌打ちした。

 

(まさか、精神的な弱点を克服するなんて……あいつの精神力を甘く見たわね)

 

しかし久秀は、すぐに

 

「それは予想外だったけど、そんな玩具で戦えるのかしら?」

 

と言いながら、二人の持っている刀を指差した。

今回、二人が隠し持ってきたのは仕込み刀だった。

仕込み刀は携帯に便利で、ある程度は隠し持って動ける代物である。

しかし、欠点として耐久性が著しく低かった。

その耐久性に関して、ある人物が

 

『まるで、玩具だ』

 

と酷評していた程だ。

実際問題、明久と謙信が使っていた仕込み刀もたった三撃でヒビが入っていた。

もはや、使い物にならないのは明白である。

しかし、二人は慌てずに

 

「だからどうしたの?」

 

「武器ならば、こんなに有るではないですか」

 

と言いながら、持っていた仕込み刀を捨てて、足下に落ちていた棒と小太刀を拾った。

それを見てか、数人が明久と謙信に飛び掛かった。

皆様は、達人は武器を選ばずという言葉を御存知だろうか?

これは、種類を問わずに武術を修めた使い手は武器が変わろうとも問題なく戦えるという意味合いである。

これは、一流の使い手なら特に顕著らしい。

例え武器の種類自体が変わろうが、捕捉範囲(リーチ)が変わろうが、一瞬に適応するのだ。

次の瞬間

 

「変形、秋水!」

 

「亜種、極光!」

 

二人は技を放ち、飛び掛かってきた数人を難なく倒した。

それを見て、相手に動揺が広がった。

飛び掛かった相手は、今居る中ではそれなりの武術の使い手だったのだ。

それがまるで、相手にならなかった。

 

「久秀様!」

 

「こいつら、強いです!」

 

部下の内数人が情けない声で報告すると、久秀は苛立った様子で舌打ち。

そして、右手を掲げて

 

「波十一陣! 畳み掛けなさい!」

 

と指示を出した。

それを聞いて、一気に十人程が明久と謙信に突撃していった。

その攻めは、正しく怒濤と言えた。

一人の攻撃を受け流したと次の瞬間、その後ろに居た別の一人が攻撃を繰り出す。

それを避けたのと同時に、その相手の背後から、暗器が飛んでくる。

息つく暇すらなく繰り出される攻撃に、明久と謙信の二人は防戦一方になった。

その秘訣は、一番前で攻撃した人物にある。

攻撃した人物は、すぐに離脱。

そして、形成されている列の一番後ろに回るのである。

これにより、間断ない攻撃が可能となるのだ。

その様子は、正しく波である。

例え1つ1つは小さくとも、連続して襲い掛かれば集中力と体力を奪っていく。

そして最後には、波に飲まれる(倒される)

それが、波十一陣である。

その怒濤の連撃を、明久と謙信の二人は連携して防いでいく。

だが、それにも限界があった。

明久達相手に、優に数十人の相手。

正しく、数の暴力。

途中まで防げていた攻撃が、掠り始めた。

そしてとうとう、一人の蹴りが明久に直撃。

その明久を受け止めようとして動きが止まった謙信を、一人が殴り飛ばした。

そして二人は、囲まれた。

信繁達は今だに耐えていたが、フォローに回れる余裕は無かった。

二人の絶体絶命。

それを見て、久秀が

 

「ああ……ようやく……ようやく、私の復讐が成就する……」

 

と歓喜に打ち震えたながら、自身の体を抱き締めた。

それは、勝利を確信したからに他ならない。

明久と謙信は、互いに背中を預けて相手と対峙していた。

正しく、勝利は絶望的。

しかし、二人はまだ諦めてなかった。

希望を

 

「フフフ……何を希望にしているか分からないけど、今の状況の貴方達に勝利は無い……」

 

久秀はそう言って、右手を高々と上げた。

それを見て、部下達は全員構えた。

明久達を、確実に仕留めるために。

そして久秀は

 

「さようなら、剣聖、軍神……これで、両家は終わりです」

 

と言いながら、手を

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