ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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96th Episode

12月14日

 

セシリアSIDE

 

「……ふぅ」

 

亡国機業(ファントム・タスク)との激闘から一ヶ月が過ぎた。一日の授業を終え、一息ついた私はベランダに出て夜空を見上げた。

 

(今日も帰って来ませんでしたわね……彰人さん……)

 

愛する人の名前を呟く。あの戦いで私達は世界に平和をもたらしたが、それと同時に私達にとって最愛の人達を失うこととなった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、全ての敵を倒した私は他の状況を知ろうと通信で連絡を取った。織斑先生含むほとんどのメンバーにそれは繋がったが、彰人さんと一夏さんだけは返事がなかった。

瞬間的に全員が嫌な予感を感じた。でも信じていた。2人はダメージを負っていて返事ができないだけなのだと。しかしその希望は打ち砕かれた……。

 

あの後ブラントさん達が2人が向かった国を捜索してくれましたが、カナダで彰人さんが箒さんから受け取ったというタイガーピアスとGNソードⅣが見つかり、その周囲に飛び散ったISの破片と気絶したプロフェッサーも発見されたという。そこから判断されるのは……彰人さんと一夏さんは敵を道連れに自爆した、ということだった。IS学園で報告を待っていた私達の耳にそれはすぐに届き、箒さんとシャルロットさんは愕然とし、ラウラさんと鈴さんと織斑先生は「嘘だ……嘘に決まってる……」と繰り返し、私と簪さんはその場に泣き崩れた。

公式でMIA認定がなされ、私達は大いに悲しんだ。そしていつまでも悲しんではいられないと、2人の死を乗り越えようと決意した。でも私は、2人がいつか帰ってくることを信じた……信じようとした。そうしなければ、心が折れてしまいそうだから……。

 

そして今日も私は彰人さんを待ち、空を見つめる。

 

(…………あ、そういえば……)

 

明日は彰人さんの誕生パーティーを開く予定があった。みんなで祝いたいと思い、少し前に決めたんだ。

 

「喜んで頂けるでしょうか……」

 

部屋に戻って机の引き出しを開け、プレゼントの入った箱を手に取る。自然と、涙が溢れてきていた。

 

「っ……彰人さん……!」

 

会いたい……会いたいのに……どうして……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラSIDE

 

「明日は彰人の誕生日……だな」

 

「ああ……」

 

私は廊下の壁にもたれかかり、箒と共にお茶を口にする。彰人の誕生日を祝うことは皆で決めたことだし、プレゼントも買ておいたのだが……。

 

「当事者のいない誕生パーティーか……」

 

「気が進まないか?」

 

「……ああ。私は勿論、シャルも簪もセシリアも、皆気を落としている。あの日から空いた穴が広がりそうな、そんな気さえする」

 

「それでも……祝おう。いつ帰って来るかはわからないが、少なくともアイツは喜んでくれる筈さ」

 

「っ、そうだな……」

 

箒も、本当は辛い筈なのに……強いな。私も強くあらなければな…彰人達が帰って来るまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・IS学園廊下

 

OutSIDE

 

(何故かあまり寝付けなかったな……)

 

朝早くに目を覚ました千冬はあくびをしながら廊下を歩いていた。すると視線の先に見覚えのある人物達を見つけた。

 

「ん? お前達……」

 

「あ、織斑先生……」

 

「今は千冬でいい。それにしても、揃いも揃ってどうしたんだ?」

 

彼女の前にはセシリア、鈴、箒といったいつものメンバーが勢揃いしていた。教師の千冬でさえ早すぎる時間帯だというのに、一体どういうことだろうか。

 

「昨夜から何だか寝付けなくて、ついさっき完全に目が冴えてしまったんです」

 

「それで少し廊下に出ていたら、同じ理由で出てきたみんなを見つけて合流したんです」

 

「妙な話だな。皆が皆、同じ理由で朝早くから一堂に会するなど」

 

「その……今日が彰人君の誕生日だからではないでしょうか?」

 

「……かもしれん。ともかく、このままここに居続ける訳にもいくまい。とりあえず食堂に行くとしよう」

 

こうして千冬の判断で一旦食堂に向かうことになったが、この判断を下さなければこの後の展開はいくらか先延ばしされていたかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

やがて食堂の前に着くと千冬が扉を開け、全員が中に入る。そして―――そこに居る人物を見て、目を見開いて固まった。食堂には―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごちそうさまっと」

 

「んでどうする彰人? 一ヶ月ぶりだぞ? どんな顔して会えばいいんだ?」

 

「うーん……マジでどうしよう……こればっかりは俺も良い案が思い浮かばん」

 

「気まずい空気になる予感がするなぁ……」

 

「あ!」

 

「どうした彰人!?」

 

「考え込んで放っといたんで忘れてた……ここにセシリア達が間もなく来るって予見が出たんだ」

 

「何ぃ!? まずい、急いで場所を―――」

 

「その間もなくが、今なんだよ……」

 

慌てて立ち上がった一夏と冷や汗をかきながら振り向いた彰人の視線の先には、唖然とした表情で立ち尽くしている千冬達が居た。

 

「……おいどうするよこれ? この時間帯なら誰も起きないからってここで相談することになったのに……」

 

「落ち着け……落ち着いてタイムマシンを探すんだ……」

 

「いやお前が落ち着け」

 

少々2人は揉めていたが、気を取り直すと全員を見渡した。

 

「や、やあ…久しぶり、だね……」

 

「ひ、一月ぶりだった、かな……?」

 

どうにか言葉を紡ごうとする2人だったが、その先を言うことはできなかった。

 

「い……」

 

「あ……」

 

「「ん?」」

 

「「「一夏ぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!!」」」

 

「兄さぁぁぁぁああああああああああああああああん!!!!」

 

「「「「「彰人ぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお(さぁぁぁぁああああああああああん)!!!!」」」」」

 

「「どわぁぁああああああああああ!?」」

 

目に涙を浮かべた面々に全速力で抱きつかれ、バランスを崩して床に倒れ込んでしまったからだ。

 

「一夏! 一夏! 一夏ぁ! 本当に一夏なのだな!?」

 

「突然居なくなったと思ったら突然帰って来て……アンタって勝手すぎるのよ、バカァ……!!」

 

「今までどこに居たんだ、兄さん! 連絡もしないで……心配したんだから!!」

 

「全く、姉をここまで心配させて……ようやく、ようやく帰って来てくれたのだな!」

 

「か、帰って来た! 帰って来たからどいてぇぇええええ! 苦しいぃぃぃいいいいいいい!!」

 

「彰人さん! い、今までどこに行ってたのですか!! 私がどれだけ、どれだけ心配したことか……!!」

 

「会いたかった、会いたかったよ、彰人ぉ!」

 

「帰って来てくれたのは嬉しいけど、遅いよ……でも嬉しい……!!」

 

「良かった。お前が無事で、本当に……」

 

「彰人君が心配すぎて仕事に身が入らなかったわ! だから……心配させた分、一緒に居させて……」

 

「わかった! わかったから一旦どいて! 潰れる! 俺潰れるぅぅぅうううううううううう!!」

 

抱きつかれた重みで2人は押し潰されそうになるが、どうにか説得して離れてもらい息を整える。

 

「コホン。では改めて……2人とも一体今までどこで何をしていたんだ?」

 

「話せば長くなるけど、いいか?」

 

全員が同意したのを確認すると、彰人と一夏は自分達がブルーディスティニー改を巻き込んで自爆した後、別の世界のIS学園に転移して帰る方法が見つかるまで一ヶ月間過ごしたことと、そこでの生活等を細かく話した。

 

「平行世界の地球と、僕達……本当にそんなものがあるなんて」

 

「それなら今まで連絡がつかなかったことも説明がつくわね」

 

「てか彰人、アンタ身体変化してたの!? 道理でIS展開してないのに金髪になってる訳だわ……」

 

「こっちの彰人君もカッコイイから、私としてはグッドね」

 

「でも驚きですわ。向こうには彰人さんがいないとはいえ、私達全員が一夏さんのことを好きでいらっしゃるなんて」

 

「それも二学期に入ってようやく意識する程の鈍感男とは……聞いて呆れるな」

 

ラウラの一言に一夏は何とも言えない表情をし、彰人は「うんうん」と頷いていた。

 

「……じゃあ次は私達が話す番だね」

 

今度は簪達が彰人と一夏が居なくなっていた間の状況を説明していた。

 

彰人と一夏が行方不明となった後、ブラント率いる部隊は必死で2人を探したが、やがてMIA認定が下されてしまう。省吾はその後総理を辞任。一市民として由唯と束とクロエと共に今も彰人達を探しているという。そしてデストロイやヴァサーゴ・チェストブレイク等に破壊された国の街は、徐々に復興しているとのことだ。

 

「そうか……兄ちゃん、総理辞めちゃったんだ……しかも今も探してくれてるなら、早く知らせてあげないと「その必要はないよ!!」うおおおっ!?」

 

突然天井から束がモニターを持って現れ、彰人は驚きの声を上げる。

 

「ひ、久しぶり。束さん」

 

「久しぶりじゃないよ! 私もしょーくんもゆーちゃんも、すっごい心配したんだから!!」

 

『全くだ。どんだけ走り回ったと思ってるんだよ。ったく!』

 

『今回ばかりは2人に同意するわ。やむを得ない事情があったとはいえ、一ヶ月も私達の前から居なくなったんだから』

 

「「返す言葉もありません……」」

 

『それに通信越しに聞いてたら何? 貴方達、みんなに何も言わずに自爆した訳?』

 

『『『あっ……!』』』

 

「あ、ちょっ! それスルーされてたのに……!」

 

由唯の指摘で気づいたセシリア達は、彰人と一夏を睨む。2人は冷や汗を流しながら何とか言葉を絞りだそうとしていく。

 

「み、みんな落ち着いてくれ、な? 俺達も何もしたくてやった訳じゃないんだ」

 

「そ、そうだ。それ以外に手がないと判断したからであって、だから―――」

 

『『『問答無用っっ!!!!』』』

 

『ま、そうなるだろうな……』

 

しかし当然許せる筈もなく、セシリア達のビンタを受けることとなった……。




次回、最終回です。
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