ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
皆さんこんにちは。矢作彰人だ。時間が流れるのは早いもので、あっという間に一年経ってしまった。今現在、俺と一夏は鈴ちゃんの家である中華料理屋に来ている。ここでご飯を食べながら、テレビである大会を見る為だ。
その名も『第一回モンド・グロッソ』。全21カ国の代表達で様々な競技を行う、世界大会だ。使われるのはIS。しかし、別の場所ではガーランドでこの大会が行われている。2つの大会の違いは、女性のみが出られるか男女が混ざってできるかだ。
ISの場合各部門で優勝した者は『ヴァルキリー』の、総合優勝した者には『ブリュンヒルデ』の称号が与えられる。対してガーランドの方は女性の場合はISと同じで、男性だと各部門優勝が『シグルズ』、総合優勝者が『オーディン』の称号を与えられるそうだ。
もう原作とはかなり違ってしまっているが、今更だ。
そしてこの大会には千冬さんがISの方に、省吾兄ちゃんがガーランドの方に出ている。2人ともかなり強いが、特に突き出ているのは千冬さんだ。何と言っても、各国の様々な技術を持った代表達を近接戦闘に特化したISで次々と打ち破っているからだ。その機体の名は、ガンダムエクシア。Oガンダムの次に作られたIS。原作の暮桜とは明らかに違うが、なんとなく似ていると言えば似ている。武装としてGNビームサーベルにGNビームダガー、GNブレイド(ロング&ショート)、そして右腕にGNソードを装備しており、
ガーランド側の大会はさっき省吾兄ちゃんの総合優勝で終わったので、千冬さんの決勝試合を見ている訳だが……違った緊張感を見ていて感じる。互いに構えたまま動かない。しかし次の瞬間、千冬さんは何も構えてない状態から
ただでさえ加速がかかった状態にトランザムの加速が加わって攻撃が重くなり、尚且つあれだけの連続攻撃を受けてどうなるかは、誰が見てもわかっていた。
これで千冬さんは格闘部門での優勝者、同時に総合優勝者にもなった。ブリュンヒルデの称号は、彼女に与えられた。
「凄いわねぇ、省吾さんと千冬さん。2人揃って総合優勝しちゃうなんて」
試合を見た後、鈴ちゃんが嘆息しながら言った。
「俺だって、兄ちゃんが本当に全部勝つとは思ってなかったんだ」
「俺は千冬姉さんならやってくれると思ってたけどな。生身でも圧倒的だし」
「「それは確かに」」
ぶっちゃけ千冬さんなら、生身でISを倒せるんじゃないだろうか? ……あり得そうで怖い。
「みんなテレビを見るのはいいけど、ちゃんとご飯も食べてね?」
「あ、ごめんなさい、お母さん」
おっと、見るのに集中してて箸が止まっていた。これは失敗した。ちなみに今話しかけてきたのは、鈴ちゃんのお母さんの凰
「もぐもぐ……相変わらず、ここの料理はおいしいなぁ」
「ホント。特にこの、酢豚は俺や彰人のとは違った味付けで、格別だ」
「えっと、それは……」
「ほう、一夏君も中々良いところに目をつけるね。それは鈴が作ったんだよ」
花琳さんの隣に立っているのは、鈴ちゃんのお父さんの凰
「え、これ鈴が? 凄いうまいんだけど」
「ああ。俺達が作ったのより上手かもしれないな」
「そ、そう? あ、ありがと……」
「ははは。そんなに照れなくても、素直に言えばいいだろ? それ、一夏君に振る舞う為に練習して―――」
「わぁぁぁぁー! い、言っちゃダメーーーー!!」
焚蓮さんに割り込むように真っ赤な顔で声を張り上げる鈴ちゃん。思わず一夏と一緒にビクッ、となってしまった。
「もう、あなたったら。恋する女の子を、あまりからかったらダメよ?」
「おっと、こりゃ失敬!」
「だ、だからそんなんじゃ…………もう! 知らない!!」
鈴ちゃんは慌てるようにご飯を完食すると、どこかへ(多分自室)立ち去って行った。
「「………………」」
一夏は呆然としており、俺も鈴ちゃんの心境はわかっていたとは言え、ポカンとしていた。
「……やりすぎたかな?」
「大丈夫よ。少ししたら戻って来るわ」
花琳さんが言った通り、前にも似たようなことがあったのでここはそっとしてあげた方がいいだろう。
「……なあ、彰人」
「ん?」
突然、神妙な面持ちで話しかけてきた。
「最近というか、ちょっと前から鈴の様子が変じゃないか?」
「それは俺も思ったけど、思春期だからじゃない?」
「だとしても、あんな調子だとさ……もしかしたらって思うじゃんか」
「もしかしてって?」
「それは……………何でもない」
言葉を濁す一夏だが、これは間違いなく鈴ちゃんの好意に気づき始めているな。まあ……どうしたらいいかわからないって感じだが。今回ばかりは、俺からは何も言わないぞ。相談してくるなら、遠慮なく乗ってやるけど。
それより、千冬さんと省吾兄ちゃんが優勝したことで、世界や俺達の周辺環境は大きく変わるだろう。変なことに巻き込まれないといいけど……。
鈴SIDE
思わずリビングを飛び出して自分の部屋に籠もってしまった。だってお父さん、私が内緒にしてたことをペラペラ話しちゃうんだもの。それにお母さんまで……。けど、部屋に居ても仕方ないから、少ししてからリビングに戻ろうとした。そしたら―――
「最近というか、ちょっと前から鈴の様子が変じゃないか?」
「それは俺も思ったけど、思春期だからじゃない?」
「だとしても、あんな調子だとさ……もしかしたらって思うじゃんか」
「もしかしてって?」
「それは……………何でもない」
入る寸前に一夏と彰人の会話が聞こえてきて…………耳を疑った。
もしかしたら、一夏は私の想いに気づいている?
そう考えると胸が高鳴って嬉しくなる。そう、私は一夏のことが好きになっていた。あの日助けられてから、少しずつ気持ちが大きくなっていって、いつの間にかそれが行動に出るようになっていた。それに気づいてくれたのなら、恥ずかしいけど嬉しい。でも……
(一夏には、箒が……好きな人が、いるのよね……)
一夏は小4の時に離れ離れになった女の子、篠ノ之箒と両思いになっていて、今でも彼女のことを想っている。聞いた時はロマンチックだと思ったけど、今になると心が締め付けられる。
私は一夏のことが好き。でも、一夏は箒のことが好き。こんなんじゃ、告白しても間違いなくフラれる。頭ではわかっているのに、気持ちを捨てることができない。だから料理も練習して、振り向いてもらおうとしている。無駄なこと、なのに……。