ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
一夏SIDE
鈴が中国に帰るという衝撃の事実を聞いてから早数日。俺と彰人、弾と蘭に数馬は空港に見送りに来ていた。
「もうすぐ鈴ともお別れか……寂しくなるなぁ」
「同年代で唯一の女子の親友だったからな……」
弾と数馬が悲しそうな顔をして言う。
「鈴さん、中国に帰ってもどうかお元気で……」
「当然よ。私はちょっとやそっとじゃ何ともないんだから」
「そうだな」
心配そうに見つめる蘭に鈴が腰に両手を当てながら言い、彰人が笑みを浮かべながら言った。
……まさか箒に続いて、鈴までとも別れることになろうとは思ってなかった。箒とはあれから会ってないが、元気でいるだろうか? 鈴も、何ともないとは言ったが向こうで無事で居てくれることを願うばかりだ。
そう考えていると、鈴が俺をじっと見てきた。
「……鈴?」
「一夏…ちょっと言いたいことがあるんだけど、いい?」
「別にいいけど……」
どこか決意した瞳をこちらに向けた鈴ちゃんは、一度息を吸うと―――
「私ね……一夏のことが―――好きなの。1人のい、異性として……!」
顔を赤らめながら、そう言ってきた。
…………………………………………え? 鈴が俺を? 異性として……?
「えと……マジで?」
「うん……マジで」
………………驚きのあまり一瞬反応が遅れた。弾や数馬、蘭に至ってはフリーズしてるし。あれ? 彰人だけ平常運転だ……気にしたら負けか。
それより、鈴が俺のことを好きだったとは…………薄々感づいてはいたが、本当で、しかも今告白するなんて。気持ちは凄い嬉しいけど……。
「鈴……けど俺は「言わないでっ!」え?」
「箒のことが好きなんでしょ? 大丈夫よ、断るのに悩まなくても」
「でも…だってお前……」
「私はただ、アンタのことが好きな人がここにも居るってことを、覚えて欲しかったの。返事はない方がいいわ」
鈴の言葉に俺は衝撃を受けた。こんなことを言われるとは……どこまで優しいんだ、鈴は……。
「ふぅ。にしても、言いたいこと言ったらスッキリしたわ。これで思い残すこともなくなったし、飛行機の搭乗時間も近いし、そろそろ行くわね」
「ああ、元気でな」
荷物を持ってゲートに向かう鈴を、彰人が手を振って見送る。……さては、お前が一押ししたな?
「はて、何のことやら」
人の心を読むな! いや、顔に出ていたのか? ってそんなことはいい。あからさますぎる反応のせいで逆に確信持ったわ。けど……これで鈴の抱えてたものがなくなったんなら、感謝しないとな。
「一夏!」
「……今度はどうした?」
「もし…もしもう一度会うことができたらさ、その時は……私の料理、また食べてくれる?」
「ああ……いくらでも」
「本当!? 約束だからね! 忘れたら承知しないんだから!!」
それを最後に、鈴は飛行機に乗って行った。まったく、忘れる訳がないだろ。大事な友達をさ……。
この後、フリーズが解けた弾達に尋問されたが、そこは割合する。
そして、今回の鈴の告白は、俺の心に大きな変化を与えていた。
彰人SIDE
鈴ちゃんが去ってから3日後。俺や弾達も寂しいという気持ちを乗り越え、いつもの日常に戻りつつあった。が、一夏の様子がどことなく変になっていた。そこで家のリビングに呼んで箒ちゃんの時みたいになってるのか聞いたら、どうも違うらしい。
「なら何だってんだ? 別に怒ったりしないからさ、隠さず言おうぜ(一夏の奴、まさかな……)」
「……わかった。彰人、実は俺―――」
「おう」
コップに注いだウーロン茶を飲みながら耳を傾け―――
「俺……箒だけじゃなくて、鈴のことも……好きになったみたいだ」
「ブゥゥゥーッ!?」
―――衝撃的な発言に口の中のお茶を全て噴いてしまった。
「ゲホッ、ゲホッ……お、おい一夏。お前、凄いこと言ったな……! ちなみに、理由は?」
「鈴はさ…箒が居なくなって心に穴が空いてた俺を支えてくれたんだ。当たり前かもしれないけど、俺にとっては凄く嬉しかったんだ」
「そうか……自分の心の隙間を埋めてくれた鈴ちゃんに、心惹かれたのか」
「最も、それに気づいたのは告白された時だけどな」
ため息をつきながら言う一夏。いやいや……気づいただけでも大金星だとは思うがね。原作一夏なんて気づくどころか好意を抱いてすらいないし(意識はしてたと思う)。
「最低だな、俺……箒の気持ち、完全に裏切っちまった……」
「うーん、まいったな。前にも言ったけど、こればっかりは何とも……」
複数の異性に好意を寄せられてどうしよう?という相談ならどうにかなれたが、複数の異性を同時に好きになったというのはお手上げだ。
ドイツの時も思ったが、これは本人に任せた方がいいな。……無責任で本当ごめん。
「とりあえず、俺なりに考えてみるか。何か良い考えでも浮かぶかもしれないし」
「そうした方がいい。開き直って、2人とも彼女にするとかに至るかもしれないぞ」
「……有りなのか? それ」
「いや、あくまで例えばの話だ」
相手が許可する必要があるし。にしてもまいったな。話は進んでいくというのに、厄介な悩みができてしまった……。