ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
矢作家のリビングにて、今現在俺達はIS学園から戻ってきた千冬さんと、国会議事堂からすっ飛んできた省吾兄ちゃんと由唯さんと家族会議を開いていた。家の周りにはマスコミやら科学者やら色んな人達が押し寄せていたが、千冬さんと警察の一睨みと、省吾兄ちゃんの鶴の一声によって退散していった。……兄ちゃんはどこか得意気だった。
「さて……何とも大変なことになってしまったな」
軽くため息をつきながら千冬さんが言う。
「ごめんなさい、千冬姉さん。まさか動くなんて思ってなくて……」
申し訳なさそうに一夏が謝る。でもごめんなさい、千冬さん。本当は俺達確実に動くって知ってました。
「これがガーランドだったら、特に問題とかなかったんだけどなぁ……。よりによってIS動かすとは、こりゃとんでもないことになるぞ、彰人」
省吾兄ちゃんの言葉に頷いて返す。
「ISは女性にしか動かせないっていう定義が覆されたんだ。世界は大きく変わるんだろうね」
千冬さんも神妙な面持ちで頷く。
「そうだ。ISが登場し、女尊男卑の世界になってから数年。ガーランドの存在もあって今の世界はどうにかバランスが取れていた」
「そこに、一夏君と彰人君という2人のイレギュラーが登場したのね……」
「由唯の言う通りだ。今は世界中が混乱しているが、これが収まった時、お前達は一部の人間に狙われることになるかもしれない。……あくまで可能性だが」
千冬さんの言葉に俺と一夏は黙り込む。彼女の言うように、俺達は何者から狙われる可能性が非常に高い。中学時代に誘拐した「亡国機業」みたいに、どんな敵がいつ襲って来るのかは原作を知っていても確実とは言えない。現に、この世界にはISと同時にガーランドが配備されている。この時点で原作とは大きく異なる。
「……が、1つだけ確かなことがある」
「ああ、あるな」
「あるわね」
「「?」」
不適な笑みを浮かべる兄ちゃん達に、どういうことだろうと一夏と顔を見合わせる。
「私達は、どんなことがあろうとも、一夏と彰人の味方だ」
「2人が危険な目に遭ったら、俺達が助ける。困ったことがあるなら、俺達ができる限り相談に乗ってやる。俺達は、『家族』だからな!」
俺達は半ば呆然としながら、兄ちゃん達を見た。胸中には様々な思いが流れる。……やっぱり俺達の兄ちゃん姉ちゃんだ。凄く頼もしい。
「うん……。よろしくお願いします」
「その時が来たら、頼らせてもらいます」
「「ああ、任せろ」」
揃って言う千冬さんと省吾兄ちゃんは、優しく微笑んでいた。
ラウラSIDE
「さて、どうしたものか……」
緊急ニュースの内容を見た私は、困惑していた。彰人と一夏がISを動かしたと聞いた直後、M1アストレイが解除され本当に2人が降りてきたのだ。呆然したどころの騒ぎではない。
そんな私に、友人であり副官であるクラリッサが話しかけてきた。
「隊長。彼らが隊長の話していた……」
「ああ。矢作彰人と織斑一夏だ」
「この2人が、隊長の恩人…なんですか」
「まあ、な」
彰人と一夏は、私の出世を打ち明けても全く気味悪がらなかった。特に彰人は、私を……可愛いと言ってくれたし。
「…………っ(またか)」
最近、どうもおかしい。彰人のことを考えると、胸が締め付けられるようになることがたまにある。しかも、体温まで上がる。何かの病気なのか?
「隊長? 大丈夫ですか?」
その様子を見ていたクラリッサが、心配そうに私を覗き込んできた。
「ああ、何でもない。気にしないでくれ」
あくまで平然と告げるも、胸の締め付けは未だに続いていた。6月にはIS学園に行くというのに、こんな調子で大丈夫なのだろうか? 自分で不安になってくる……。
彰人SIDE
矢作彰人だ。家族会議からしばらく日数が過ぎた。俺と一夏は共に矢作家に住むことになり、周りは省吾兄ちゃんが寄越してくれた凄腕のSPさん達が護衛をしている。
そして今、俺と一夏はIS学園に入学する為に電話帳並の厚さの参考書と格闘しつつ、ネット動画で代表候補生達の動きを見ていた(主に式典とかだけど)。
「はー、みんな凄い動きをするなぁ」
「そりゃそうさ。将来国を背負う為に、血の滲むような努力をしているだろうから」
「大変なんだな、代表候補生って」
「みんな苦労してるんだよ。……お、一夏見ろ。鈴が居るぞ」
「どれどれ? ……本当だ。あ、IS展開した」
模擬戦の様子を映したと思われる動画の中で、鈴はISを展開していた。そこから画質が悪くなったのでシルエットは不明だが、実際見た時のお楽しみにしておこう。
「彰人、こっちにはイギリスのが映ってるぞ」
「(イギリス……セシリア・オルコットか)見せてくれ」
できれば機体が映っているといいが………………!
「ダメだ彰人。映ってるのは本人だけで機体はぼかされてる。やっぱ機密なのかぁ……」
「……………………」
「彰人?」
「………………ん? あ、ああそうだな。機密じゃあ、仕様がないな」
「だな。お前の話だと必ず戦うことになるから早めに対策できた方が良かったけど、入学してからになりそうだ」
一夏の話を聞きながら俺は思った。物事は必ずしも原作通りに行くとは限らず、何が起きるかはわからない。そしてそれは、俺自身にも当てはまるんだと。