ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
20th Episode
花を咲かせる桜が美しい4月上旬。俺と一夏はIS学園に入学した。
IS学園とはIS操縦者の育成を目的とした特殊国立高等学校で、IS関連の人材はここで育てられる。学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対しての干渉は許されないという国際規約が存在する。訓練さえ積めば誰でも動かせ、(ISに比べると)危険性の少ないガーランドとは違い、ISは女性にしか動かせないこと、コアの数が限られていること、まだ未知の領域が多くあるとのことでこうした教育機関を作ったそうだ。
学園は全寮制で、生徒全員は寮で生活することが義務づけられている。支給される制服はカスタムが可能で、学年毎にリボンの色が違い、1年は青、2年は黄、3年は赤と決まっている。それと高校なので、当然一般科目も学ぶ。
……大雑把だがこんなところだろうか? 教室内にて俺と一夏に注がれる無数の視線から逃避する為に思考してみたが……全然ダメだ。誰か助けてくれ。
一夏もそう思ったのか、窓際に座っている子(あ、箒ちゃんだ。凄い久しぶり)に助けを求める視線を向ける。俺もつられて向くが、困惑した表情をされた。救いなんてなかった……。
そうこうしていると、先生らしき眼鏡を掛けた女性が壇上に立った。髪色は緑に見えるが……単に光の反射か。色は薄めの黒だ。
「皆さん、ご入学おめでとうございます。私は、このクラスの副担任の山田真耶と言います。1年間よろしくお願いします。何か分からない事がありましたら、遠慮なく聞いてくださいね」
シーン……
山田先生が挨拶しても誰も返事どころか反応すらしない。
「そ、それでは次に自己紹介をお願いします。えっと、取りあえず出席番号順で」
顔を引き攣らせながら山田先生は場の空気を変えようと話を進めた。
((不憫だ……))
奇しくも、俺と一夏の心は1つになっていた。
「では次に……織斑一夏君」
「はいっ」
お、一夏が呼ばれて立ち上がった。視線が凄い刺さってる。……俺もああなると思うと、胃が痛くなってくる……。
(頑張れ、一夏)
とりあえずアイコンタクトで励ましを送る。
「(ありがとな、彰人)織斑一夏です。趣味は料理とスポーツで、ISに関しては初心者なので、至らないところがあると思いますが、その都度教えて頂けると助かります。よろしくお願いします」
最後に頭を下げる。
シーン……
静寂が教室を包む。……これでダメなのか? ならどうすれば―――
『『『きゃあああああああああああああああーーっ!!』』』
うおおっ!? 何だ!? み、耳がぁぁぁぁぁ!!
「男子よ! このクラスに男子が居るわぁ~!!」
「しかも優しそう! 甘えさせて~!」
「ヒャッハーーーッ! 最高だっぜぇ!!」
す、すげぇ。女子のパワーってこんなにあったのか……てか最後、マ○クになってないか!? しかも鼻血出てる!
「……この騒ぎは何なんだ?」
この声は……千冬さんだ。ナイスタイミング!! 一夏もこの隙に席に座った。
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
「ああ。すまなかったな、山田先生。クラスへの挨拶を押し付けてしまって。クラスへの挨拶はもう終わったかな?」
「いえ、織斑君までが終わったところです」
「そうか。では私の自己紹介もさせてもらおう」
そう言うと、千冬さんは教壇からこちらを見て挨拶をし始めた。
「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君達新人を一年で立派なIS操縦者に育て上げるのが私の仕事だ。何かわからないことや不満があったら、私や山田先生に遠慮無く言ってくれ。限度はあるが、君達の力になろう。これからよろしく頼む」
……あれ? 原作だとどこぞのハート○ン軍曹みたいだったのに、いくらかマイルドになってる。省吾兄ちゃんとたまに電話してるって聞いたけど、そのせいかな?
おっと、今の内に耳を押さえておこう。一夏は……よかった、押さえてるみたいだ。
「きゃああああああああ! 本物の千冬様よ! この目で見られるなんて!!」
「お目にかかれて光栄です!」
「あの千冬様にご指導いただけるなんて、嬉しすぎるわ!」
「私、お姉さまの命令なら何でも聞きます!」
こんなことを言ったら皆の顰蹙を買いそうだが、言わせてくれ。うるさい……。
「……私のクラスは毎年こういうのばかりなのか? 誰か仕組んでるんじゃあるまいな?」
困った表情で頭を抱える千冬さん。苦労してるんですね、わかります。そう思っていると、千冬さんは俺と一夏を見やった。
「織斑、矢作、ここは今までには無い特殊な環境だ。が、こうなった以上は慣れていくしかない。私生活も含めてしっかり学ぶようにな」
先生として、俺達の身近な人として気遣ってくれた言葉だ。無下にする訳にはいかない。
「「はい、織斑先生」」
一夏とハモった。相変わらず息ピッタリだな、俺等。
「もしかして織斑君って、あの千冬様の弟?」
「だとしたら、男なのにISを使えるのに何か関係が……けどそれだと、もう1人の子の説明がつかないか……」
「でもいいなぁ。立場代わってほしいなぁ」
いくら何でも立場は無理だ。転生しない限りは。
「さて、自己紹介を続けて……と言いたいところだが、矢作。先に自己紹介をしろ」
「え、何でですか?」
突然指名されて、困惑しながら立ち上がる。
「最後の最後に騒がれるよりは、先に騒がれた方がマシだからな……」
「……なるほど」
要するに最初に思う存分騒がせようということか。ま、その方が確かにマシだな。にしても自己紹介か。何を言おうか…………………よし。
「矢作彰人です。趣味は料理と音楽鑑賞。一夏と同じく、ISに関しては素人です。なので、色々教えてください。よろしくお願いします」
自己紹介を終えると、席に座って耳を塞げるようにする……が、一夏の時みたいな反応は来なかった。
「矢作君かぁ。顔は……織斑君と比べると、普通かな?」
「でも、しっかりしてそうな雰囲気があるよね」
「ああいう人に将来支えて貰いたいなぁ~」
やっぱり、俺が省吾兄ちゃん……オーディンの弟ということは知られてないようだ。無理もない。モンド・グロッソのガーランド部門では省吾兄ちゃんは第一回の時点で引退したし、第二回の総合優勝者は女性でブリュンヒルデ(千冬さんの方が知名度が高い)だからな。総理の弟としてなら知ってる人も居そうだけど。
「(案外、騒がしくならなかったな)よし、それでは織斑の次から自己紹介を続けてくれ。私も皆の名前と顔を覚えないといけないからな」
その後、クラスメイトの自己紹介が着々と進められた。