ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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21th Episode

「彰人……思ってた以上にキツいんだが……」

 

「奇遇だな。俺もそう思っていた。クソッ、案外楽しめるかと思った自分がバカだったぜ」

 

1時間目が終わって休み時間になり、一夏が俺に話しかけてくる。こうしないと雰囲気に耐えられそうにないからだ。……まあこうしていても、全然休めてないんだが。動物園に居る動物達の気持ちが今なら物凄くわかるよ。

 

「「どうしたもんかな……」」

 

揃ってため息をついた俺達を誰が責められようか。

 

「2人共、随分久しぶりだが……大丈夫か?」

 

そんな時、ポニーテールの女子が心配そうに話しかけてきた。さっきも言ってた箒ちゃんだ。

 

「物凄いきつい……」

 

「正直、1時間目だけで疲れた……」

 

一夏と一緒に苦笑する。

 

「なら、外の空気でも吸いに行くか。気晴らしにはなるだろう」

 

「それもそうだな。よし、行こう。彰人もさ」

 

「あー、俺はパスな」

 

「え、何で?」

 

「だってさ、久しぶりに再会したんだろ? 色々と積もる話があるんじゃないのか?」

 

「「……!」」

 

俺の言ったことに驚いたのか、一夏と箒ちゃんは目を丸くした。……一夏の場合は、別の驚きがあるんだろうけど。

 

「……わかった。少し心配だけど、行こうか。箒」

 

「ああ。済まないな、彰人」

 

「気にすんなって」

 

一夏は箒ちゃんと共に廊下に行った。

 

教室に居る男子は俺だけになってしまったが、どうしようか。

 

「トイレにでも行くか……」

 

呟いて席を立ち、廊下に出ようとする……が、あることに気づいて立ち止まる。IS学園は実質女子校だ。基本女子を優先とした造りになってる筈。てことは……。

 

「……男子トイレって、どこにあるんだ?」

 

俺は、新たな問題に直面することとなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上にて

 

一夏SIDE

 

「……久しぶりだな、箒」

 

一息ついた後、俺は箒にそう切り出した。

 

「ああ…本当にな。しばらく会わない内に、随分と男らしくなった。それに、私のことも呼び捨てで呼んでるし。あ、別に嫌という訳ではないが」

 

「そう言う箒こそ……可愛くなった。本当に……」

 

「そ、そうか? ふふ、嬉しいことを言ってくれる」

 

顔を赤らめながら、嬉しそうに微笑む箒。幸せだという気持ちが、伝わってきた。

 

「ところで一夏。あの時交わした言葉だが……覚えているか?」

 

箒は少し不安そうに問いかけてきた。あの時というのは、別れの前の告白だと思う。いや、間違いなくそれだ。

 

「ああ、覚えてるよ。言葉の後に、したこともさ……」

 

「っ!! そうか。となると少し恥ずかしいが……嬉しいな、うん。覚えててくれて、ありがとう」

 

恥ずかしがりながらも更に幸せそうに笑みを浮かべる箒に、俺は物凄い罪悪感を感じていた。あの時俺は、箒と想いを通わせ、キスまでしたと言うのに鈴にも気持ちが向いてしまっている。……そのことを、謝らないと。

 

「箒、ちょっといいか?」

 

「ん?」

 

「俺さ、お前に謝らなきゃいけないことがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒SIDE

 

「俺さ、お前に謝らなきゃいけないことがあるんだ」

 

そう前置きして一夏が話し始めた内容は、私に大きな衝撃を与えた。

 

私が引っ越した後、一夏の心はぽっかりと空いてしまい、たまに無気力になってしまうこともあったと言う。そんな時、中国からの転校生である凰鈴音と出会い、彼女に支えてもらったそうだ。自分の心の隙間を埋めてくれた鈴音に一夏は恩義を感じ、そして……彼女が告白してきた時、彼女に好意を抱いていることに自覚したそうだ。

 

「ごめん、箒……本当に、ごめん………!」

 

話し終えた後、一夏は泣きそうな声で私に謝ってきた。普通は怒るところなんだろうが……私は怒る気にはなれなかった。一夏の気持ちが、私にはよくわかったからだ。

 

政府の要人保護プログラムによって私は一夏達と離れ、家族も離散してしまった。こうなった原因であるISを作った姉さんを恨もうとしたこともあったが、できなかった。姉さんと一緒に過ごした時間は、本当に楽しかったから。嘘偽りのない時間を共に過ごせたから、恨むことなんて……できない。

 

姉さんとはあれから電話でしかやりとりしてないが、時々姉さんが近くに居るように思うことがある(あの姉のことだから、おそらく本当に居たんだろう)。姉さんは私を見守ってくれている。そう思えたから、一夏や彰人が居ない日々をどうにか耐えることができた。でも、中学校を卒業する頃には限界だった。あの時、一夏と彰人がISを使え、IS学園に入学すると聞かなければ、とっくに壊れていたかもしれない。

 

私ですらそうなっていたんだ。もし一夏が鈴音と出会っていなければ、彰人の励ましも虚しく壊れていただろう。だから怒るなんて、できる訳がなかった。

 

「一夏、謝らないでくれ。私は別に、一夏やその鈴音という子に対して怒っている訳じゃない」

 

「……え? えっと、何で……?」

 

「彼女は、空いてしまった一夏の心を埋めて支えてくれたんだろ? そのお蔭で一夏がここに居るなら、感謝しなければな。……それに、自分を支えてくれた者に心惹かれるのは、仕方がないさ」

 

現に私だって、子供の頃一夏に助けて支えてもらったから、一夏を好きになったんだ。

 

「ほ、箒……そう言ってくれるのは安心するけど、俺はどうしたら……」

 

「ふむ…とりあえず、鈴音に出会うまでは私と……こ、恋人にならないか?」

 

「うぇっ!?」

 

「だって、子供の頃に想いは伝え合っているんだし。…………さすがに、まずかったか?」

 

申し訳なさそうに尋ねると、一夏は首を横に振った。

 

「……いいや。こんな俺の恋人になってくれるなんて、凄く嬉しいよ。俺が懸念しているのは鈴のことで……」

 

「心配するな。その時になってもいいように、私が良い考えを用意しておこう。何、案ずることはない。喧嘩する訳じゃないからな」

 

「そうか……ありがとう、箒。何から何まで、本当にありがとう」

 

目に涙を浮かべながら言う一夏を、私はそっと抱き寄せた。一夏は不安だったんだ。私に嫌われると思ったから……。だが心配は要らないぞ。お前にどんなことがあっても、お前のことが大好きなのは揺るがないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

「このように、ISの基本的な運用に関しては現時点で国家の認証が必要となり、協定内のIS運用から逸脱した場合は、刑法によって罰せられるので注意しなければなりません」

 

スラスラと教科書を読んでいく山田先生。入学前にしっかり予習しておいた甲斐があったぜ。一夏もどこかスッキリした顔で授業を受けていた。……やっぱ、屋上で不安を払拭したんだろう。でなきゃ俺に小声で「俺達恋人になった」発言しないもん。

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