ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
食堂にて、俺は一夏と今後の予定について話し合っていた。
「申請書は通ったんだよな?」
「ああ。今日明日はM1アストレイかGN-XⅣが借りられる」
「何だ、2人ともISの練習をするのか?」
一夏の隣の席に腰を降ろしながら、箒ちゃんが聞いてきた。
「そうだけど、何かまずいことでも?」
「いや、久々に2人と剣道をしてみたくてな。何せ6年ぶりだからな、どうなったか見ておきたい」
「そうだったのか。ごめんな、箒」
「箒ちゃんの分も申請できれば良かったんだけど……」
「気にすることはない。剣道に関しては空いた日数のどこかでやればいいし、ISについては、この一週間でせめて知識だけでも身につけておくさ」
「そうか……頑張ってな」
力強く語る箒ちゃんに、俺は感心しながら応援の言葉を送る。この6年間で成長したんだな、箒ちゃんも……。俺達も負けていられない。
俺達は決意を新たに、訓練所に向かった。
「さて、改めて乗り心地はどうだ、一夏?」
「どうって……実際のガンダムみたいにコックピットで動かすんじゃなくて、自分の体の延長線上な感じがするってとこかな?」
訓練所でGN-XⅣを纏って質問する俺に、M1アストレイを纏った一夏が答える。
「俺もそう思っていたところだ。ISを動かす時は、自分の体を動かすつもりでやった方がいいかもしれないな」
「空を飛ぶのは……タジャドルコンボとか思い浮かべてみるか」
タジャドルか。一夏がソレなら、俺はブレイドジャックフォームをイメージしてみるとしよう。
どれ……お、浮いた浮いた。イメージできてると案外簡単なのな。
「そんじゃ、やりますか」
「やろうか!」
武装を展開しながら、M1アストレイを真っ直ぐ見つめる。遠慮はなしだぜ、一夏。勝負開始だ―――!
「「い、痛てて……」」
訓練後、俺達は体の痛む部分をさすりながら歩いていた。結論から言うと……本気になりすぎた。ビームサーベルで肉迫しながらビームライフルでのゼロ距離射撃とか何回かやったし、両手が塞がってる時はキック攻撃なんかもした。それで気づいたら武装をフルに活用してのガチバトルに発展していて、そのせいで武装が壊れまくったので最後はクロスカウンターで引き分けに終わった。……遠慮なしとは言ったけど、やり過ぎた。メカニックの人に確実に怒られるなこれ……。
「今日はもう休むわ……」
「おう……」
若干ぐったりしながら、俺は自分の部屋へと入った。
「……おかえりなさい」
部屋では簪さんがノートパソコンに何かを打ち込んでいた。
「ただいま……」
「……どうしてそんなに疲れているの?」
ありゃ。できるだけ自然に言ったつもりだったけど、バレてましたか。
「一夏と一緒に訓練機借りて適当に模擬戦してたら、いつの間にかガチンコバトルに発展して、武装が全部壊れてクロスカウンター入ったところで止めたから」
「……何それ?」
うん、絶対そう言うと思った。理由があまりにもあり得ないんだもの。
「深く考えなくてもいい。とにかく、今は疲れてるから少し休むよ」
そう言ってベッドに寝そべった時―――
「……少しいい?」
「ん?」
「矢作君って、仮面ライダー……好きなの?」
「そりゃあ大好きだけど。どうして?」
何だろう? 簪さんに関する大事な何かを思い出せそうな気がする……何だっけ?
「……私も、好きだから……仮面ライダー」
「…………え?」
そうか、思い出したぞ。簪さんは勧善懲悪のヒーローものが大好きだったんだ。てことは…これはより良い関係になれそうだ!
「……や、やっぱり変かな? ライダー好きの女子って……」
と思っていたら、沈んだ声でそう言われた。え、何故?
「別に変じゃないぞ。人それぞれ色んな趣味があるし、箒ちゃんだってライダー好きだ。それに俺としては、趣味が合う友達が増えて嬉しいんだけど」
「……本当? よかった」
簪さんはホッとした笑みを浮かべて胸を撫で下ろす。相当不安だったのか……。
「あ、そうだ。簪さんもライダーが好きなら、これをあげるよ」
俺は近くにあるカバンからソレを取り出し、簪さんの前に出した。
「……これって、サイガギア!?」
「最近DXベルトが溜まってて、誰かにあげようと思ってたんだ。これ以外も持ってて箒ちゃん達に渡そうと思ってるんだよね」
簪さんに渡したのは、DXサイガギア(ベルト部分は改造して伸ばしてある)だ。省吾兄ちゃんが買っては家に送るを繰り返した結果、大分溜まってしまって少し困っている。なのでいくつか(布教も兼ねて)IS学園に運んだという訳だ。
「さすがにこれは……要らなかったかな?」
「ううん、そんなことない! 凄く嬉しい!!」
「そ、そうか。喜んでくれるなら、俺も嬉しいぜ」
物凄い食いつきようにびっくりしたが、喜んでるみたいなので俺も笑顔になる。
「……矢作君って、優しいんだね」
しばしサイガギアを大事そうに抱えていた簪さんが、そんなことを言った。
「何で?」
「私の趣味を笑わなかったし、ベルトもくれたし……それに髪の毛のことも、そんなに言わなかったから……」
髪の毛……あ、水色の髪の毛っていうのは、実際にはあり得ない色だから変な目で見られることがあるのか。……こんなところでアニメと現実の差を感じるとは。
「やっぱ言われることがあるのか……かわいい色してるのになぁ」
「……っ!?」
俺の言葉に驚いた様に目を丸くする簪さん。どうしたのさ?
「……えと、そういうこと面と向かって言われるの本音達以外になかったから……嬉しくて……」
そうだったのか。って、かわいいって言われたことあまりないの? ソイツ等目がどうかしてるんじゃないか? ま…言ってくれる人も居るからいいけど。
「……あの、矢作君達ってオルコットさんと試合するんだよね?」
「え? そうだけど……」
「……なら……」
簪さんは俺の耳元に近づくと、ひそひそとソレを話し始めた。
「え、マジでいいの!?」
「……うん。その代わり、私も織斑君や篠ノ之さんと仲良くなりたいんだけど……」
「お安い御用だ! 明日を楽しみにしててくれ!!」
気分上々のまま、俺はベッドに沈んだ。