ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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26th Episode

翌日、食堂にて。

 

「彰人、大事な話って何なんだ?」

 

「隣に居る子と何か関係があるのか?」

 

俺は一夏と箒ちゃんとテーブルを挟んで向かい合って座っている。俺の横には、簪さんが居る。

 

「そうだな……まず彼女だけど、俺のルームメイトの更識簪さん。一夏や箒ちゃんと友達になりたいんだって」

 

「……更識簪です。よろしくお願いします」

 

緊張気味にぺこりと頭を下げる簪さん。

 

「(今思ったけど、水色の髪の毛なんて綺麗で珍しいな)友達に? それくらいならいいけど……何でまた?」

 

「それ何だが……あまり声を上げずに聞いてくれ」

 

ここからは周りに聞こえないように注意する。簪さんは周りには内緒にしているから、知られたら多分まずい。

 

「実は簪さん、仮面ライダーが好きなんだ。それで、趣味を共有できる友達が欲しいんだと」

 

そう言うと、一夏と箒ちゃんは驚いた表情をしていたが、すぐに満面の笑みへと変わった。

 

「なるほど、そういうことならむしろ大歓迎だ! よろしくな、更識さん!」

 

「新しい仲間がまた1人できたな……ふふ、良いことだ」

 

やはり趣味を共有できる友達が多いのは嬉しいのか、さっきよりもテンションが高い。俺も昨日知ってなかったら、絶対テンションがMAXになっていただろう。

 

「……あの、できれば私のことは簪と呼んで欲しいんだけど……」

 

「っと、友達を名字で呼ぶのは失礼だったか。じゃあ改めてよろしく、簪さん。俺のことも一夏でいいよ」

 

「ふむ。では私も、簪と呼ぼう。簪も、私のことは箒と呼んでくれていい」

 

「あ。なら、俺のことも名前で呼んでくれると嬉しいな」

 

「……うん。よろしく……あ、彰人、一夏、箒」

 

少し照れたように簪さんは頬を赤らめ、笑みを浮かべた。……そう言えば簪さんって、専用機のことで一夏に恨みがあった筈だけど、その様子は見られないな……何でだろ? 今度聞いてみようかな。

 

「で、彰人の用件はこれだけか?」

 

「おっとそうだった。実は簪さんがあるデータを見せたいらしいんだ」

 

「……これを」

 

ipadを取り出した簪さんは、画面に映っているものを一夏と箒ちゃんに見せた。直後、2人の顔色はみるみる変わっていった。

 

「これって、オルコットさんのIS情報……!? な、何でまた?」

 

「……今度試合を行うと聞いたから、力になりたいと思って」

 

「……そっか。ありがとう、簪さん」

 

「……友達として、ライダーファン仲間として、当然のこと」

 

……理由が気になってたが、そういうことか。自分と同じ趣味を持っている人が居ることが嬉しくて、何かしてあげたいと思ったのか。俺としては何もなくていいけど、それだと簪さん本人が納得しないんだろうな。

 

「このデータは俺と一夏でじっくり見るけど、箒ちゃんも見とく?」

 

「ああ。私はオルコットと試合をする訳ではないが、どのようなものか気になるのでな」

 

その後、俺達は一旦一夏と箒ちゃんの部屋に集まってからデータを改めて見た。機体情報に関して感想を述べると……予想通りと言うか、似ているからこれだろうなと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、お前はロングライフルを持ってる訳だ」

 

放課後の訓練では、GN-XⅣを借りている俺がオプションとしてGNロングライフルを選択し装備していた。もちろんGNショートライフルもある。オルコットさんの得意なのが

狙撃だというのは原作知識で知っているが、連射の可能性も考えたからだ。

 

「そういうこと。んじゃ、行くぜ!」

 

GNロングライフルを構え、一夏が動かすM1アストレイを狙い撃つ。

 

「おっと!」

 

M1アストレイは避けたが、逃がさずに追撃する。……ギリギリのところで避けたか。

 

「うおっ!? 危なかった……」

 

「気をつけろよ。オルコットさんの射撃技術は、俺より遥かに上だからな」

 

「……肝に命じとく」

 

俺達はその後しばらく、訓練を続けていた。しかし何だろう。こうして狙撃をしてみると、狙撃する側の気持ちが段々わかってくる。どうやって相手を追い詰めるのか。どうやって確実に狙い撃つのか。そして……接近された場合の対処法等も。

 

ひょっとしたら、オルコットさんとの戦いで使えるかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。俺は一夏と箒ちゃんと共に剣道場に来ていた。今は一夏が箒ちゃんと対峙している。

 

「一夏、手加減は無用だ。互いに全力でいくぞ」

 

「なら、遠慮無く……!」

 

ついに試合が始まった。最初に動いたのは箒ちゃんで、面を狙ったが防がれる。そのまま横に払われると思いきや、一夏は箒ちゃんの竹刀を上に押し返しその一瞬の隙に逆に面を打った。

 

「なっ!?」

 

さすがにカウンターを決められるとは思ってなかったのか、大いに驚く箒ちゃん。

 

「くっ、もう一度だ!」

 

何度か一夏と竹刀を交えるものの、結局一夏が全勝した。全国優勝する程の腕前の箒ちゃんに完封するとは、一夏は凄いな。

 

「まさか私が、完全に封じられるとはな……」

 

「大丈夫か、箒? ケガは?」

 

「心配ない。これでも全国大会を勝ち抜いた身だ。これくらいではびくともしないさ。ま、一方的にやられるとは思ってもなかったが。……ところで、彰人と一夏が戦った時の勝率はどうなんだ?」

 

「俺と一夏が? うーん……五分五分といったところかな?」

 

実際一夏とは中々勝負がつかない。大抵互角のまま戦いが進み、どちらかが勝つのだが次の戦いでは勝つのが必ず逆になる。勝っては負け、負けては勝っての繰り返しという訳だ。……かなりの負けず嫌いだからな、俺達。

 

「ということは、彰人の実力は一夏と同等。なら、戦うまでもないか」

 

箒ちゃんは竹刀を降ろすと、防具を外していった。

 

「あれ、俺とは勝負しないの?」

 

「お前の実力は一夏と等しいんだろう? その一夏に私は手も足も出なかったなら、お前と戦っても結果は同じさ」

 

実力を見極めたということか。うぅむ、原作での箒ちゃんとの違いに最近驚かされっぱなしだ。別に悪いわけじゃないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま……あれ、いない?」

 

試合が終わって部屋に戻ると、簪さんはいなかった。出かけてるのかな?

 

「ま、いいか………………おや?」

 

ふと机の上に置かれたノートパソコンを見ると、とあるISについての情報が載っていた。俺はそれをついじっくりと見てしまった。

 

「これは……「っ!? み、見ないで!!」か、簪さん!?」

 

いつの間にか部屋にいた簪さんがノートパソコンを奪う。

 

「それ…簪さんの専用機のデータ、だよな? 完成してないみたいだけど……何で?」

 

「………………」

 

敢えて知らないふりをして問いかけるが……関係に亀裂が生じたか? だとしたらまずいが……

 

「……誰にも言わないって約束して」

 

「え? ああうん、いいけど」

 

俺がそう言うと、簪さんは訥々と話し始めた。自分の専用機として作られる筈だったISのスタッフが俺と一夏のISの方に取られてしまい、未完成のまま放置されていたこと。それを受け取り、自分1人の力で完成させようとしていることを。

 

……まさか、俺の専用機も関わっているとは思ってなかった。けど、そうだとしたら疑問がある。

 

「理由はわかったけど……だったら何で俺達にオルコットさんのデータを? ある意味俺達とは因縁があるんじゃ……」

 

「……私も、会うまでは彰人達を恨んでいた。でも、彰人は私の髪を綺麗って、かわいいって言ってくれた。一夏や箒も、私の趣味を知って喜んでくれた。本当に悪い人なら、こんなことはしない。そう思えたから、データを渡したの」

 

俺達としては普通の感覚だったんだけど、それが簪さんとの関係を円滑にしたのか。結果オーライと言う奴だな、これは。

 

「なるほど。……ところで、何でISを1人で完成させようと? メカニックの人達に手伝って貰えばすぐできるのに」

 

「…………私のお姉ちゃんが、自分のISを自力で作ったから。私も自分の力だけで、作るの」

 

若干暗い表情で言う簪さん。……わかってはいたけど、地雷踏みまくってるな、俺。

 

「もしかして、姉さんに苦手意識持ってて疎遠だったりする?」

 

「……うん」

 

「うーむ……これは俺の勝手な想像だけど、簪さんの姉さんは実は完璧ではないんじゃないか? 完璧な人間はこの世にはいないって言うしさ」

 

「……そう言えば、確か編み物が苦手だったような」

 

「その様子を見た時、どうなってた?」

 

「……虚さんに手伝ってもらってた」

 

「ほらな? 誰だって、1人じゃできないことはあるんだ。もし簪さんが手助けが必要だって言うなら、その時は遠慮なく手伝わせて貰うよ」

 

簪さんは俺の言葉を聞いて、ただ黙っていた。これは失敗したかな? そう思った時、彼女は口を開いた。

 

「……少し、考えさせて」

 

「わかった。いきなり答えを出すのは難しいもんな」

 

考えた末に出した答えなら、何であろうと俺は文句は言わない。少し痼りを残したまま、俺は眠りについた。

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