ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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2nd Episode

皆さんこんにちは、桑原……いや、今は矢作彰人だったな。ともかく、改めてよろしくっ。

無事ISの世界に転生でき(時期は物心ついた頃かな? はっきり覚えてない)、元気に暮らしている。龍……一夏も転生できたみたいで安心安心。でもいくつか解せないことがある。

 

「兄ちゃん。最近束さんとどこに行ってるの?」

 

「ん? それは……今は秘密だ」

 

まず1つは、今普通に会話してたけど……何でメガゾーン23の矢作省吾が俺の兄ちゃんになってる訳!? 道理で名字がこうなってる筈だ! しかも省吾兄ちゃんは千冬さんと束さんと幼なじみだったらしくて、俺、一夏、箒ちゃんは産まれた時から仲良しになっている……あ、これ2つ目ね。

まあ戸惑った訳だけど、今は別にいいかと考えてる。前世で一人っ子だったから、割と楽しいし。でも最近どうも束さんと2人で何かをしているみたい。ISを作ってるんだと思うけど、千冬さんに話したら恐ろしいまでに無表情になって、震えが止まらなくなったのは記憶に新しい。

 

「んじゃ、行ってくる」

 

「行ってらっしゃい。……俺もそろそろ道場に行くか」

 

時計をちらりと見やり、荷物を持つと俺は玄関へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「めーーーーーーーん!!」

 

篠ノ之道場にて、俺と一夏と箒ちゃんは篠ノ之柳韻さん指導の元、剣道を習っている。柳韻さんは厳しいくも優しい人で、俺と一夏に対しても本当の父親のように接してくれている。……何故父親みたいと認識しているかと言うと、俺と一夏には親がいないからだ。俺の方は父親が既に亡くなっていて、母親は俺を産んだ直後に死んでしまったらしい。だからかな、省吾兄ちゃんが俺に優しいのって。でも一夏の両親は……どうなったのかわからない。兄ちゃんや千冬さんに聞いても、「あのバカ野郎共のことなんて知るか」、「答えたくない……」としか言わない。やっぱり、捨てられたのかな……。

 

「よし、一旦休憩にするぞ」

 

柳韻さんの言葉で肩の力を抜き、防具を外していく。

 

「お疲れ、彰人、箒」

 

「ん…一夏も、お疲れ様」

 

「ああ、お疲れ」

 

互いに労いの言葉を掛けながら、飲料水を飲む。箒ちゃんの性格は原作みたいにトゲトゲしくはない。丸くなってると言うのかな? まあ何でもいいけど。

 

「ふぃ~、疲れた……君らよりも俺の方が体力ないのかね?」

 

俺達に話しかけてきたこの人は、桜木博人君。4歳年上の同門の子だ。剣道を始めた理由は、自分にできる限界を見極めたいからだとか。

 

「そんなことないって。博人君の方ががっしりしてるし」

 

「体だけはな。体力はからっきしだ。それに比べて、君達はキレもいいし、体力もある。柳韻先生が絶賛するのも頷けるよ」

 

「先生、そんなこと言ってたんだ」

 

「でも素直に喜べないなぁ。博人さん、俺達より年上なのに……」

 

「一夏、こういう時に下手な感傷は相手を傷つけることになる。素直に喜ぶのも必要だと、父が言っていた」

 

「そうなのか……ありがと、箒」

 

「何、気にすることではない」

 

「はは、相変わらず仲良いな、2人共」

 

一夏と箒ちゃんのやりとりを見て博人君が笑う。俺達3人の中でも、この2人は特に仲が良い。でもまだ恋愛感情は互いに抱いていないようだ。まだ子供だもんな。

 

「あれ? そう言えば千冬さんは? 君らと一緒じゃないの?」

 

「千冬姉さんなら、あっちの壁にもたれかかってる」

 

「どれ……あ、本当だ。相変わらず、綺麗な人だなぁ」

 

「……博人君、今見とれてた?」

 

「うおっ!? 真由里お前、いつの間に……!」

 

突然博人君の隣に現れたのは、新藤真由里ちゃん。博人君と意気投合していて、俺達の中では似合いのカップルだと話題になっている。なっているんだけど……

 

「……今、気配もなく現れたよな?」

 

「うん……話しかけられるまで気づかなかった……」

 

「私も気配を感じるどころか姿を認識できなかった……どうやったらあんなことができるんだ?」

 

そう、この人は気配を消すのがとにかく上手い。単に存在感が薄いだけかもしれないけど……

 

「あの、さっきのは見とれてたんじゃなくて、感想を述べただけで!」

 

「……ふんっ」

 

「おーーーい!?」

 

嫉妬したらしくそっぽを向く真由里ちゃんと、あたふたする博人君。これも日常茶飯事だ。

 

「相変わらずだな……」

 

「放っといていいんだよな?」

 

「どうせ後で仲直りしている。いつものことだ」

 

その後は戻ってきた柳韻さんが「そろそろ練習を再開するぞ」と言ったので、防具を付け直して練習に励んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。夏祭りに行ってきて、その帰りにとある丘の上にみんなで立ち寄った。ちなみに全員浴衣姿だ。

 

「おお、月がすっげぇ輝いてる。こんなに綺麗だったんだな」

 

「私、初めて知ったかも。月がこんなに綺麗なんて……」

 

省吾兄ちゃんと隣にいる由唯さんがどこか感慨深そうに言う。言葉には出さないけど、2人共ずっと宇宙船に居たんだっけ……。

 

「そうか? 私はずっと前から知ってたがな」

 

「束さんだって、月は素敵だって思ってるよ。ホントだよ?」

 

そうは言うが、2人も何かを想いながら月を見ている。はて、何を想ってるのやら。

 

「しっかし、今日のは本当綺麗だな。丘の上から見てるから、やたらでかく感じるし」

 

「確かに。……こ、ここに落ちて来るんじゃないか!?」

 

「「いや、ないない」」

 

何故か突拍子もないことを言う箒ちゃんに一夏と揃って首を振る。そんなこと起きたら一大事どころじゃない。

 

「…………ねぇ。あっくん、いっくん、箒ちゃん」

 

「「?」」

 

「姉さん?」

 

いつもとは違った声の調子で話しかけてくる束さんに、揃って首を傾げる。どうしたんだろう?

 

「あっくん達はさ……月に行ってみたいと思う?」

 

「月に?」

 

考えたこともなかった。月に行くなんて、アポロ計画の時みたいに選ばれた人達が行くものだって思ってたし。けど……

 

「そりゃあ、行けるなら行ってみたいですよ」

 

「俺も彰人と同じ。月に自分の足跡残せたら、最高じゃないですか」

 

「月か……私も、行ってみたいな」

 

各々に月への思いを口にする。誰だって一度は月に行ってみたいとは思う筈。前世じゃ、よく月の裏側にウサギが居るとかどうとかで騒いだこともある。

 

「そっか……うん!」

 

俺達の答えに満足そうに頷くと笑顔になり、省吾兄ちゃんや由唯さんまでも笑顔になる。

 

「ようし。だったら束さん達が、みんなを月に連れて行っちゃおう!」

 

「えぇ!? そ、それ本気何ですか、束さん!?」

 

「もっちろん! まだ当分先だけど、絶対連れてくって約束するよ!」

 

「へへっ。そうと決まれば、俺も応援させてもらうぜ! 月に、いや宇宙に行けるようにな!」

 

「省吾兄ちゃんまで!?」

 

束さんはISを開発するからともかく、兄ちゃんも関わってるなんて……凄いびっくりだ。

 

「省吾が応援するなら、私もしない訳にはいかないわよね~」

 

「お前等……絶対どこかで打ち合わせただろ……」

 

「むしろアドリブでここまでやると思ってたのですか?」

 

「そういうことではないが……」

 

頭を抱える千冬さんに箒ちゃんがツッコミを入れる。実際明らかに打ち合わせしてると思うもんな……ノリが良いのも多分あるんだろうけど。

 

「そうと決まれば、今日から改めて頑張っちゃうぞ~! ブイブイッ!!」

 

相変わらずハイテンションが続いている束さんに苦笑してる俺達を、月は暖かく見守っていた。

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