ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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33th Episode

四月下旬。春の半ばが過ぎた頃、俺達は千冬さん指導のもとISの本格的な授業を受けていた。

ここに至るまで、俺達の周囲はとりあえず平穏だ。箒ちゃんにセシリア達と付き合うことを話したらそれなりに驚かれたけど、「お前が自分で決めたことなら、私は応援するぞ」と言ってくれて、今では仲良しになってる。……まあ、一夏達みたいに付き合ってることは内緒だけど。でも千冬さんにはバレてるだろうなぁ……あの人、勘が鋭いし。

それと、簪さんの機体制作に新たにセシリアが加わることとなった。正直なところ、かなりありがたい。お陰で制作スピードも早くなりそうだ。

 

……まあ、前置きはここまでにしておいて、授業に集中しよう。

 

「今回はISの基本的な飛行操縦と、武装展開のデモンストレーションを諸君らに見てもらう。織斑、オルコット、矢作。ISを展開し、試しに飛行するんだ」

 

「「「はい!!」」」

 

揃って返事をすると、意識を集中させる。待機状態のウイングゼロ(形状はトリコロールカラーの左腕のガントレット。ちなみに一夏は青が多めのトリコロールカラーの右腕のガントレットで、セシリアは青いイヤーカフスだ)が一夏とセシリアとほぼ同時に展開、その姿を表した。やっぱりGガンとダイ○ーン3をヒントにして、機体の全体像を頭に叩き込むのが功を奏したな。

 

「ふむ、3人とも中々の速さだ。よし……では、飛行始め!」

 

合図と同時に急上昇し、上空で待機する。滑り出しは上々といったところか。……そういえば、一夏の機体にはコアが二機積まれてる(つまるところツインドライヴの再現)って一夏から聞いたな。となると、あの高性能さは頷けるな……おっと、この件は千冬さんに相談した時に口外禁止になったんだった。俺達だけの秘密として封印しておこう。

 

「よし。では3人とも、次は急降下と急停止をやってもらうぞ。目標は地表から10cmだ」

 

「了解しました。では彰人さん、一夏さん、お先に」

 

そう言うとセシリアは頭から地上に向かい、地上ギリギリで反転。完全停止をやってみせた。

 

「うまいもんだなぁ」

 

「代表候補生は伊達じゃないな。さて、次は俺だ」

 

「気をつけてな」

 

セシリアと同じように頭から地上に向かい、視認できたところで反転、急停止をする。距離は……12cm程か。ピッタリとはいかなかったか。

 

「矢作も悪くなかったぞ。今後は10cmにより近づけることを目標にしなさい」

 

「はい!」

 

千冬さんの言葉に返事すると、空を見上げた。次は一夏の番だが……俺達と同じように頭から来てるな。スピードは少し速めだが、反転すると無事に急停止した。距離は……11cmか。惜しいっ。

 

「後1cmか。悪くはないが惜しかったな、織斑。お前も矢作と同じく、10cmジャストを目指すように」

 

「はいっ!」

 

一夏が元気よく返事をする中、俺は一安心していた。原作では一夏が猛スピードで突っ込み、グラウンドに大穴を開けていたので少し危惧していたが、さすがにああはならなかったのでホッとした。

 

「それでは、次は武装展開だ。まずは織斑」

 

「はい!」

 

千冬さんに指名された一夏は周囲の安全を確認すると、まずはGNソードⅢをライフルモードからソードモードに変形させた。

 

「最初から装備されているとは言え、良い展開速度だ。が、もう少し速ければ尚良くなるから心がけるように。では、残りの武装も好きな順でいいから展開してみろ」

 

「はい!」

 

次に一夏は右腰側のGNソードⅡを左腕で引き抜き、すぐにしまうと後ろに刺さっているGNビームサーベルを引き抜く。更に、両肩のオーライザーユニットを正面に向け、GNビームマシンガンの発射口を見せた。

まるで流れるような速さだった。

 

「こちらもイメージが纏まっているようだな。よし、次は矢作だ」

 

「はい!」

 

落ち着いて、まずはツインバスターライフルを取り出す。

 

「しっかりイメージができているようだな。今後はより速さを意識するように。さて、残りの武装も展開してみろ」

 

「はい!」

 

次に両肩のマシンキャノンを展開。そして両肩のアーマー内からビームサーベル2本を引き抜いた。

 

「こちらも中々だな。引き続き頑張るように。最後にオルコット」

 

「はい!」

 

セシリアは返事と共に両腰のビームライフルを引き抜いて水平に構える。なんて速さだ……1秒にも満たなかったぞ……。

 

「流石は代表候補生だ。だが、銃身は横ではなく正面を向けて展開しなさい。戦いではそれが命取りになるぞ」

 

「はい」

 

千冬さんが述べた正論に、彼女自身思うところがあったのだろう。反論せずに素直に返事をした。

 

「次は近接武装を含めた残りの武装の展開だ」

 

「えっ…は、はいっ」

 

少し戸惑いながらも、セシリアはレール砲を展開。次にライフルを仕舞ってビームサーベルを引き抜こうとするが、中々上手くいかないようだ。

 

「まだか?」

 

「うぅ……ああもう! ビームサーベル!!」

 

半ばヤケクソになって音声コールで引き抜くセシリア。やはり近接戦闘は取得していないようだ。

 

「……これに関しては、練習が必要だな。織斑と矢作に懐を許していたし、やっておいた方がいいだろう」

 

それが妥当だろなぁと思っていると、セシリアがぷくぅっと膨れた顔でこっちを見て個人間秘匿通信(プライベートチャンネル)で語りかけてきた。

 

『あ、彰人さん達のせいですわよ!』

 

『おいおい……そりゃあないだろ?』

 

どこか冗談めかしたように、セシリアに問う。

 

『……すみません。私が、未熟なせいですわ』

 

しおらしくなっちゃったけど、素直に謝るのが一番良い。自分の非を認めることは大事だからな。

 

『また練習しような? 一夏も、手伝ってくれるか?』

 

『勿論さ』

 

『あ…ありがとうございます!』

 

そう言って笑顔になるセシリア。やっぱり女の子は笑顔が一番だ。特に可愛い子なら、尚更だ。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

ここで授業終了のチャイムが鳴った。

 

「時間だな。では、今日の授業はここまで。各自解散っ」

 

そう言うと、千冬さんと山田先生は先に去って行った。さてと、俺達も帰るとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴SIDE

 

「ついに来たわね……IS学園……」

 

私は今、ボストンバッグを片手にIS学園正面に立っている。一夏達と別れてから、私は中国の代表候補生になった。一夏と彰人とはまた会えると信じていたけど、こんな形になるとは予想してなかった。

 

「まさか、ISを動かしちゃうなんてね……規格外すぎるわよ、2人とも」

 

ため息をつきながらも、私の顔は笑顔になっていた。一夏と会えなくなってから一年……たったの一年と捉える人もいるかもしれないが、私にとっては永劫に感じられた。

 

「告白の返事、もらえるかな? ……わかってはいるんだけどね」

 

彼には好きな人がいる。だからどんな返事かは見当がつくんだけど、それでもどこか期待してしまう自分がいる。

 

「って、そんなのは後々。まずは受付しなくちゃ」

 

すぐに気持ちを切り替えて、私は総合事務受付に歩を進めた。……あれ? そういえば、IS学園の案内図、持ってきてなかったような……。

 

我ながら先行きに不安を感じてしまう私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

「というわけで! 織斑君、クラス代表決定おめでとう!」

 

「おめでとう~!」

 

 

ぱんぱん、ぱ~ん!

 

 

パーティーが始まると同時にクラッカーが乱射される。壁には『祝☆織斑一夏クラス代表就任パーティー』と書かれた紙が掛けられている。

 

食堂には一組のメンバー……いや、他クラスのメンバーも集まっているな。でなきゃ明らかに50人も集まらないもの。俺と一夏は椅子に腰掛けているが、一夏の右隣には箒ちゃんが、俺の右隣にはセシリアが、左隣には簪が座っている。

 

「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるよねぇ」

 

「ほんとほんと」

 

「織斑君、カッコよかったもんね。『俺はここだ!!』なんて、私じゃ絶対出ないもん」

 

「ほんとほんと」

 

ソレはあんまり弄くらない方がいいんじゃないか? 一夏も、何とも言えない表情になってるし……。

 

「随分人気者だな……一夏?」

 

隣に居る箒ちゃんが拗ねた感じで一夏に言う。

 

「まあな。でも、こうしているのは箒が応援してくれたからだぜ? ありがとな」

 

「そ、そうか。わ、わかってくれてるならいい……」

 

おうおう、箒ちゃん照れてるな~。内心嬉しいんだろうな。

 

「にしても、一夏が羨ましいぜ。まるでヒーローみたいだし」

 

「ふふ。それを言うなら、私達にとって、彰人さんは最高のヒーローですわよ?」

 

「……台詞も見た目も、凄くカッコよかった」

 

「嬉しいけど、見た目に関してはかなり恥ずかしいんだよねぇ……」

 

思わず苦笑しながら返す。だって、金髪に翡翠の眼なんて……一歩間違えば厨二病をこじらせた奴に見えかねんし……。

 

(けど、喜んでくれるならいいか……)

 

そう思っていた時だった。

 

「はいはーい、IS学園新聞部でーす。本日は話題の新入生、織斑一夏君と矢作彰人君の特別インタビューに来ました~!」

 

二年生らしき女性が俺達の前に現れていた。おぉ~!と一同が盛り上がる。……俺も取材されるんだ。

 

「あ、私は二年の黛薫子(まゆずみかおるこ)。新聞部副部長をやってま~す。これ、名刺ね」

 

「「どうも……」」

 

一夏と俺が名刺を受け取ると、黛先輩はやや一夏に近寄った。

 

「ではまずは織斑君から。クラス代表になった感想をどうぞ!」

 

やっぱりこれが来たか。考えると、意外と難しいよな。これって。

 

「うーん、そうですね……まだまだ俺は未熟ですが、勝負には全力で挑みたいと思っています。みんなの挑戦、待ってます!!」

 

「おっ! 中々良いのが頂けたよ~。こういうのをずっと待ってたんだよね!」

 

無難かつ満足のいく答えを言ったみたいだ。前から知ってはいるが、大した奴だ。

 

「では次に、矢作君。これからの意気込みをどうぞっ」

 

「意気込みですか……」

 

やばい、これ下手なこと言えないじゃん…………どうするか……ええい、ままよ!

 

俺は椅子から立ち上がると、右手の人差し指を真っ直ぐ天井に向けた。

 

「―――天を、獲る」

 

「え?」

 

「女尊男卑となったこの世界で、俺達は何の因果か新たなファクターとなりました。それが何を意味するのかも、当然理解しています。ですが、俺は敢えて宣言します。この世界に挑み、必ず頂点に立つと! ……勿論、これに異議を唱える人達もいるでしょう。そういう方達は、遠慮なく勝負を挑んできてください。どんな相手だろうと、俺が受けて立ちます!!」

 

『『『………………………………』』』

 

勢いに任せて全て言い切ると、水を打ったかのように周りがシーンと静まり返った。……あれ? これ、もしかしてやっちゃった?

 

「彰人。水を差すようで悪いが、間違ってるところがあるぞ」

 

一夏が言って立ち上がる。やっぱそうだったの!? うわ、どうしよ……。表情には出さないように後悔していると、一夏は俺と向かい合った。そして―――

 

「『俺が』じゃなくて、『俺達が』……だろ?」

 

不適な笑みを浮かべて、そう告げてきた。

 

「……ああ。そうだったな……!」

 

彼の言葉に俺はハッとし、同じく笑みを浮かべた。そして自然と右手を前に出すと、一夏と「友情のシルシ(弦太朗がやっていたやつ)」を交わした。中二臭い? だから何?

 

「さて……これでいいでしょうか? 黛先輩」

 

「……はっ!? え、ええと、はい。充分……ううん、超満足なコメントだったわ! ふふふ、これはいい記事が書けそうだわ……!!」

 

「そ、そうなんですか」

 

テンション上がりまくりだな、この人。

 

『す、凄い宣言を聞いちゃったわ……』

 

『天を獲るだなんて、大胆だけどカッコイイ!』

 

『それに、織斑君とのやりとりも凄かったよね。『俺が』じゃなくて『俺達が』、か……』

 

『やばい……濡れてきた……』

 

『大丈夫~?』

 

周りの女子達、そのことに関してはもう触れないでくれ……今更だがやっちまった感あるんだから。てか最後から二番目の人本気で大丈夫か!?

 

「す…凄く素敵でしたわ……彰人さん……」

 

「……惚れ直しちゃった……」

 

「ま、まさか一夏まで乗るとは思ってなかったが……中々どうして…か、カッコイイんだ……」

 

近くではセシリア、簪、箒ちゃんが顔を赤らめてやや感動に浸っていた。

 

「……そんな感動したの?」

 

「らしいな……」

 

俺も一夏も困惑するばかりだ。

 

「さてと。それじゃあ最後に、専用機持ち4人の写真を撮らせてくれるかな?」

 

「「「「え?」」」」

 

黛先輩が最後に言った一言に、俺達4人は首を傾げた。

 

「一年の専用機持ちが一堂に会するなんて滅多にないからね。是非とも一枚欲しいのよ」

 

なるほど。確かに、考えてみれば今年の一年に居る専用機所有者は二年と三年と比べてもかなり多い。このチャンスを逃すわけにはいかないんだろう。

 

「いいですよ。少々お待ちを」

 

俺は右隣にセシリアを、左隣に簪を座らせ、箒ちゃんがその隣で更に隣が一夏という順で並んだ。

 

そしていざシャッターを切ってもらったのだが……凄まじい速さで全員が後ろに回ってきたので、結局集合写真になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~、疲れたな~」

 

パーティーが終わった後、俺は1人で部屋に戻っていた。1人なのは、一緒に帰ってる途中でトイレに行ったからだ。

 

「……ん?」

 

俺はふと足を止めて、後ろを振り返った。当然誰もいない。が、僅かに気配を感じる。誰かがどこかに隠れているのだろう。

 

「………………誰かは知りませんが、そろそろ出てきたらどうですか? 隠れて人のことをじっと見ているのは、いささか失礼なのでは?」

 

返事はない。しかし、影になっててよく見えない場所からその人物は現れた。

 

「よく気づいたわね。これでも、気配は消していたんだけど」

 

扇子を持った水色の髪の女子生徒。学年は、リボンの色からして二年だ。どことなく……簪に似ている気がする。

 

「気づかれるように敢えて気配を感じさせたんでしょ? でなきゃ、今の今まで気づかない筈がない」

 

「それもそうね。けど、普通の人ならこれでも気づかないのよ。正直驚いてるわ」

 

彼女が扇子を広げると、そこには『驚愕』という字が書かれていた。あれ、即興なのかな? それとも用意していたのか?

 

「で、貴女は一体何者なんですか? 俺に何か用事でも?」

 

「そうね……まずは1つ目の問いから答えさせてもらうわ」

 

そう言うと、彼女はどこか気品を感じさせるような仕草をし―――

 

「私は更識楯無。この学園の生徒会長をしているわ。よろしくね」

 

名前を名乗った。…………俺、厄介な人に目付けられたかも……。

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