ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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38th Episode

一夏SIDE

 

ビーム砲による襲撃の後、アリーナの中央には大量の粉塵が舞っていた。

 

「な……何? 何が起きたの?」

 

「俺にもわからんが、『何か』が来たのは間違いない」

 

戸惑いを隠せない鈴に言うと一瞬何のことかわからないといった表情になるが、すぐに一変させた。

 

「一夏、試合は中止よ! すぐにピットに戻って!」

 

良い判断だ。ピットに入りさえすれば、一時でも安全は確保される。……そう、入りさえすれば。

 

「……残念だが、それは無理らしい。ピットの格納扉が全て閉まっている」

 

「!? そ、そんな……!」

 

逃げることさえも許されない状況に、鈴は動揺する。それを好機と見たのか、未だ見えない敵からビームが放たれた。

 

「っ! 危ない!!」

 

俺は咄嗟に鈴を抱きかかえると、その場を離脱する。瞬間、さっきまでいた場所を強力な熱量が通過した。

 

「危機一髪だったな……鈴、大丈夫か?」

 

「う、うん。大丈夫……」

 

「そうか……よかった。悪いが敵機を視認するまでしばらくこのままだ。いいか?」

 

「は、はい!」

 

何故か様子がおかしい鈴をかかえながら、俺は敵がいるであろう方向を見る。やがてその姿が露わになった。

 

通常のISの二倍近くある大きさを持つ漆黒の機体―――サイコガンダムが。

 

(よりにもよってコイツか……彰人が黙っていなさそうだな)

 

そう思いながら鈴を下ろすと、彼女は険しい顔つきでサイコガンダムを睨んでいた。

 

「ちょっとアンタ! 一体どこのどいつなのよ!?」

 

「………………」

 

怒鳴りながら問いかける鈴だが、相手は無言のまま答えようとはしない。

 

『織斑君! 凰さん! 急いでアリーナから脱出してください! すぐに制圧部隊がそっちに向かいます!!』

 

山田先生から通信が入った。俺は静かに、それに答える。

 

「ごめんなさい……それはできません。ピットの格納扉が閉じていて、脱出不可能なんです」

 

『えっ!? で、では今開き……!? そんな……シールドレベルが4になってる!? しかも、扉が全てロックされてるなんて!!』

 

想定外の出来事に慌てる山田先生。それを見かねたのかどうかはわからないが、千冬姉さんが介入してきた。

 

『織斑、凰。今聞いたように、現状は最悪だ。ロックを解除しない限り、そちらへの支援はできそうにない』

 

つまり、2人だけで戦えというわけだ。なら俺に迷いはない!

 

「わかりました。では、こちらで迎撃行動に入ります!」

 

『お、織斑君ダメです! いくら何でも無茶な……』

 

『許可する! ただし、決して無理はするな。これは命令だ、わかったな?』

 

「「了解!!」」

 

『織斑先生!? ですが……』

 

『山田先生、今は彼らを信じるんだ。生徒を信じるのも、教師の役目だ』

 

『っ…………はい!』

 

直後、通信が切れた。さてと……。

 

「行くぞ鈴! 攻撃開始だ!!」

 

「ええ! 遠慮なしでやるわよ!!」

 

俺達は敵ISを挟み撃ちにした状態で、攻撃を開始した。

 

「食らえ!」

 

まずは鈴がビームキャノンを放つ。が、サイコガンダムのIフィールドバリアに阻まれてしまう。

 

「バリアですって!? 小癪な……!」

 

「鈴! そのIフィールドはビームライフル系にしか、効果がないぞ!」

 

「っ、そういうことね! だったら!」

 

今度はドラゴンハングを放ってサイコガンダムに食らい付く。効いているのか、バランスが崩れる。

 

「今よ一夏!」

 

「うおぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!」

 

そこへGNソードⅢで斬りかかる。手応えは確かにあった……が、サイコガンダムは人間では到底あり得ない動きで体勢を立て直すと、こちらに接近しながら拡散メガ粒子砲を放ってきた。

 

「!? くっ!」

 

粒子化しつつ敵から距離をとった俺は、一旦鈴のもとへ戻った。

 

「一体何なのよ、アイツ!? 何で私や一夏の攻撃を何度も受けて平気なわけ!?」

 

「相当頑丈なんだろう。これは厄介だな……」

 

どうにかできないものかと考えていた―――その時。

 

 

ドガァァァァァァン!!

 

 

サイコガンダム後方にあるピットから爆音が聞こえた。同時に黄色いビームが姿を見せると、サイコガンダムに直撃しIフィールドバリアを貫通。威力は弱まったものの、構えていたシールドにはいくつかヒビが入っていた。

 

「今度は何!?」

 

「今のはツインバスターライフルの……てことは」

 

ピットから一機のISが発進し、俺達に近づいてくる。その正体はハイパーセンサーで見ずともわかる。

 

「あれは……!」

 

「待たせたな、2人とも」

 

「やっぱり来たか、彰人」

 

彰人のウイングガンダムゼロだ。

 

「彰人! アンタ何で!?」

 

「こういう時こそ、助け合い……だろ?」

 

「……! そうだったわね!」

 

納得する鈴だが、俺はプライベートチャンネルでこっそりと会話する。

 

「で、本音は?」

 

「あの機体をぶっ潰しに強行突破して来た」

 

「だと思ったよ……」

 

前からある癖のようなものの1つだ。彰人はサイコガンダムシリーズの他に、デストロイガンダムや仮面ライダーG4といった『パイロットをもパーツとして扱う機体』に物凄い嫌悪感を抱いている。今回も居ても立ってもいられなくなったんだろう。

 

理由はなんであれ、こちらの勝率が上がったのは確かだ。ここで鈴に敵ISの情報を教えるべきだろう。

 

「2人ともちょっと聞いてくれ。実はずっと戦っててわかったことがあるんだ」

 

「? 何がわかったの?」

 

「結論だけ言おう。……あのISに、人は乗っていない」

 

俺の言葉を聞いた鈴は一瞬唖然とした。

 

「ち、ちょっと待ちなさい! アンタはあのISが『無人機』だって、そう言いたいの!?」

 

「……理由を聞こうか」

 

慌てて尋ねる鈴と知ってる上で尋ねてくる彰人。正直どんな理由を言えばいいのか戸惑っていたが……この戦闘で充分すぎる程集まった。

 

「まず1つに、アイツの機動性だ。とてもじゃないが、人間では不可能な動きをしている。鈴、アイツと同じ動きができるか?」

 

「そ、それは……」

 

できる訳がなく、言葉に詰まる鈴。

 

「次に現在の状況だ。俺達がこうして会話している時に限って、アイツは殆ど攻撃をしてこない。まるでこっちを観察しているみたいだと思わないか?」

 

「っ! 言われてみればそうね……こんな時こそ、攻撃するチャンスだってのに……」

 

「理由はどうだっていい。アイツが無人機なら、遠慮はしなくていいってことだ」

 

彰人はビームサーベルを引き抜いてやる気満々なオーラを出している。……こういう時の彰人は相手をとことんこてんぱんにするから、少し危ないんだよな。そう考えていると……。

 

「ん?」

 

モニターに新たな情報が表示されていた。

 

単一仕様能力(ワンオフアビリティー)???、第二段階解除。ライザーソード、使用可能』

 

……何故にこのタイミングかはわからないが、どうやら運はこっちに味方してくれるようだ!

 

「ならアレを無人機と仮定するとして、何か作戦はあるの?」

 

「ああ。まず鈴と彰人が左右から攻める。狙いは両手と胸部発射口の破壊だ。破壊したらすぐに離脱してくれ。頭部のビーム砲は俺に任せろ」

 

「任務了解!」

 

「わかった。やってやるわ!!」

 

作戦通りに2人が動く。彰人はビームサーベルを、鈴はツインビームトライデントを構えて突撃する。

 

「おらぁぁぁあああああああああ!!」

 

「せぇぇりゃああああああああ!!」

 

攻撃は発射寸前のサイコガンダムの両手に見事ヒットし、エネルギーを暴発させ破壊した。すぐに拡散メガ粒子砲をチャージするが、発射口にサーベルとトライデントを突き立てられ、エネルギーの逃げ道がなくなり再度暴発。破壊された。

 

「よし、後はこれで!」

 

2人が離れたところで、俺は新たな機能を解放した。

 

「ライザーシステム、作動!」

 

モニターに『RAISER SIS COMPLETE』という文字が出て、機体が真っ赤に染まる。俺はGNソードⅢを真上に掲げ―――

 

「トランザム……ライザァァァァァァァァッ!!」

 

その名前を叫んだ。直後、GNソードⅢから赤く巨大なビームが天高く放たれた。……出力は全開ではないが、それでもシールドギリギリとは、恐れ入る。

 

「な、何よそれぇぇぇ!?」

 

「ヒュウ~、わかってるなぁ」

 

鈴は大いに驚き、彰人は感心する。サイコガンダムも予想外のことに処理能力が追いついてないのか動きが止まっている。チャンスだ!

 

「そこだぁぁぁぁああああああああああああああ!!」

 

俺は右腕を一気に振り下ろす。サイコガンダムは左腕のシールドで防御するが、ライザーソードはそれごと機体を両断した。ダブルオーライザーが通常モードに戻る頃には、サイコガンダムは左半身が消し飛んだ状態で倒れていた。

 

「倒したみたいだな」

 

「ええ……って言ってる場合じゃないわよ! 今のは何よ一夏! あんな隠し球持ってたなんて……私との戦いは本気じゃなかったって訳!?」

 

「ご、誤解だ鈴! アレが使えるようになったのはつい今さっきなんだ。鈴との時は、全力だったよ」

 

怒り心頭の鈴をどうにか宥めていた時、ダブルオーのハイパーセンサーがサイコガンダムがまだ完全に機能停止してないことに気づいた。

 

「鈴、気をつけろ! 敵が狙っている!!」

 

「え!?」

 

驚く鈴を横目に、俺はGNビームサーベルをサイコガンダムに投げつける。が、頭部に突き刺さる前にメガビーム砲が放たれた。直後にサーベルが頭部を貫き、サイコガンダムは今度こそ機能停止した。だがメガビーム砲は鈴に迫っていた。

 

「避けろ鈴!!」

 

「あ、あぁ……!」

 

「くっ、どけぇ!!」

 

突然のことに固まってる鈴を彰人が俺に突き飛ばす。だが―――

 

「しまっ、うぐあっ!?」

 

メガビーム砲がウイングゼロの頭部に直撃。衝撃で彰人は地面に落下し、ISが解除された。俺達は急いで彰人に駆け寄る。

 

「あ、彰人! 大丈夫!?」

 

「どれ……………………軽い脳震盪を起こしてるようだ。命に別状はない」

 

「そ、そう……よかった……」

 

彰人の無事にホッと一息ついていると、千冬姉さんから通信が入った。

 

『織斑、聞こえるか!?』

 

「はい」

 

『不明機のエネルギー反応が消失を確認した。矢作が飛び出したようだが、被害状況は?』

 

「当の彰人が気絶したこと以外は、特にありません」

 

『そうか……全く、人に心配をかけておいて……。ピットに医療班を待機させてある。すぐ戻るんだ』

 

「了解しました」

 

ツインアイから光が消えたサイコガンダムを一度見た後、俺達はピットへ向かった。

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