ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
どうも、矢作彰人だ。あれから何日か過ぎた。俺達3人組は相変わらず仲良しで、いつも一緒に遊んだり、何かしらの勝負をしたりする(主に吹っ掛けてくるのは箒ちゃんだが)。
現在は小学校に入学したてだが、俺達の仲は健在だ。学校生活も問題なく行ってる。
筈だったんだが……
「一夏~、帰ったらライダーごっこやろうぜ」
「いいぞ。今日はどれにする?」
放課後、人が少なくなった教室で帰りの準備をしながら一夏と談笑する。俺と一夏は仮面ライダーが大好きで、早くも周囲に認知されていた。
「そうだな、草加カイザがホースオルフェノクにやられるシーンを「やーい、男女~!」ん?」
「ん?」
会話に割り込む形で聞こえた声に振り向くと、箒ちゃんを4~5人くらいの男子が囲んでいた。うわぁ……入学したばっかなのに、いきなりあるんだ。こういうの。
「……彰人。ランドセル持ってて」
「え? ちょっ!?」
俺が制止しようとするも遅く、一夏は単身彼らに向かって行った。アイツの性格なら、絶対行くとは思ってた。けど……
(一応、先生は呼んでおくか)
「箒ちゃんが集団いじめを受けていて、一夏が助けに入った」と言っておけば信じるだろう。それに、この場は一夏1人に任せても大丈夫だろう。
一夏SIDE
皆さん初めまして。織斑一夏(旧名・菅山龍)です。今日は箒ちゃんがいじめられてて、それを見てたら知らない間に俺の体は動いていた。
理由はわからない。単にいじめられてたのが許せなかったのか、それとも箒ちゃんだったからなのか。でも、体が動いたのは事実で。
「そこまでだ」
俺は仮面ライダーみたく(?)間に割って入ると、いじめていた奴らを睨み付ける。
「何だ? おい織斑。お前男女の味方するのか?」
「知ってるぜ。お前等、いつも一緒に居るもんな」
「まるで夫婦だな。夫婦夫婦~!」
おいおい……一緒に居るのが夫婦って、なら彰人の立場はどうなるんだ? 除外してるの? もしそうなら、彰人は泣くな。
それより、いい加減うるさくなって来た……
「どうした? 何か言い返「おい……恥ずかしくないのか?」え?」
「男の子が女の子を、しかも4人がかりでいじめるなんて、恥ずかしくないのか?」
「そ、それは……」
「お前達がどういうつもりか、俺は知らない。けど、箒ちゃんは俺にとって大切な子なんだ。これ以上バカにしたら……許さんぞ!!」
ふぅ、スッキリした。思ったことを全部ぶつけるのって意外と気持ちいいな。ってあれ? 箒ちゃんの顔が真っ赤だ。俺何か言…………あぁ!? れ、冷静に考えたら俺、とんでもないこと言っちゃってる! しかも「俺にとって大切な子」なんて……うわぁあ!! とらえ方によっては告白に思われてるかも!!
ってそんなこと考えるのは後だ! いじめっ子達がどんな手に出るのか注意しないと―――
「う、うるさい! 俺達に逆らうな!!」
何か下っ端みたいなのが殴りかかってきた。やっぱりか……この場合は、こうした方がいいか。
俺は最初の一撃を敢えて避けずに顔に受ける。う、右側が痛い。だが少しもよろめかずに相手をニヤリと笑いながら見つめ、逆に右手を捻り上げる。「痛い痛い!」と悲鳴を上げるが特に構わず、空いた左手で腹パンをして体がくの字に曲がったところで右手を放し、素早く足払いをする。打ち所が悪かったのか、彼はしばらく悶絶していた。
「後4人……」
突然のことにいじめっ子達と箒ちゃんは何が起きたのかわかっていない顔をする。最大の隙を逃さず、俺はたっくんみたいに手首をスナップさせると近くにいるいじめっ子2人を纏めて足払いで倒し、鳩尾に拳を同時に叩き込む。これでしばらくは行動できまい。
「残り2人。……まだやるのかなぁ?」
「ひっ……! ご、ごめんなさいぃー!!」
草加雅人ばりの笑顔で台詞を言うと、1人が逃げだした。やっぱ効くんだね、草加スマイル。残りの1人は……足どころか全身が可哀想なぐらいガクガク震えてる。
「どうする? 戦う覚悟はできてるのか? 俺はできてるぞ」
「う…うわぁぁぁあああああああああああ!!」
半ばやけになったのか、残る1人は左のパンチを放つ。それを見極めると、左手を両手で掴みながら背を向け、受け流すように前方に放り投げる―――一本背負いだ。
これで全員を倒した。後は……。
「箒ちゃん、ケガはない?」
座ったままの箒ちゃんに手を伸ばす。すると、箒ちゃんは赤くなりながらも俺の手を取ってくれた。
「あ、ああ……その…ありがとう、一夏」
はにかむ箒ちゃんを見て胸がトクンと鳴ると同時に、何故さっき助けに入ったのか気づいた。俺が助けたのは、単に助けたかっただけじゃない。箒ちゃんだからだ……箒ちゃんが―――好きだからだ。
この直後、先生を連れた彰人が教室の扉を開けた。
彰人SIDE
俺が先生を連れて来た時にはいじめっ子達は倒れていて、一夏と箒ちゃんが見つめ合って……何か良い雰囲気になってた。最初は先生も目の前の光景に唖然としていたが、一夏達が事情を説明すると、「まるで青春漫画の1ページみたいね……嫌いじゃないわ!」と味方してくれた(先生は女性です。念のため)。
でも、そうは問屋がおろさないのがいじめっ子達の親(主に母)達。みんな揃って学校に来て「うちの息子がそんなこと」云々言っている。典型的過ぎてある意味凄い。箒ちゃんやクラスメイト達が弁護するがまるで聞く耳持たない。ついには保護者として来た千冬さんが謝ろうとしたが、一緒に来た省吾兄ちゃんがそれを止めた。
そして―――
「おいアンタ等、ちょっとは俺達の話も聞けよ。自分の言い分ばかり好き勝手言いやがってさ。「そんなことする筈がない」だ? それのどこに信憑性があるんだよ。一夏は顔殴られてんだぞ。そんないい加減な話で丸め込もうって気なら、俺ァ一夏の味方するぜ!」
有無を言わさない迫力で述べると、相手は何も言えずに子供を連れて帰って行った。やっぱ大の大人が言うと迫力あるな。
「兄ちゃん、凄い……けど、どうしてあんなこと言ったの?」
思わず問いかけると、省吾兄ちゃんは俺達の頭を撫でながら言った。
「決まってるだろ? 一夏は女の子を守ったんだ。それを咎めるなんて、どう考えてもおかしいだろ」
なるほど、正論だ。だけどそういうのは当人には教えないようにするといいかな。2人共改めて意識しちゃってるじゃん。
「まったく。お前のそういう真っ直ぐなところは、変わらないな」
千冬さんはどこか満足そうに呟いていた。