ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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39th Episode

「…………ん……ここは……?」

 

気がつくと俺はベッドの中に居た。多分医務室だろう。

 

「「彰人(さん)!!」」

 

状況を確認したら、目元を赤くさせたセシリアと簪がこちらに身を乗り出してきた。

 

「な、何事?」

 

「この状況でそれを言うか、普通」

 

「あ、織斑先生」

 

やや後ろにいる千冬さんが呆れた様子で言った。

 

「今は他人行儀でなくてもいい。それより…格納扉は壊すわ、無断出撃はするわ、仲間を庇って撃墜されるわ……最後のはともかく、普段のお前なら考えられんことだが?」

 

「……あ~……」

 

原作でゴーレムだった機体がサイコガンダムだったんで、怒りと勢いに任せて出撃したんだっけ……なんて言い訳しよう? アレがパイロットをもパーツと見なす機体だったから……て言っても、今回のは無人機だから通らないよなぁ。どうしたもんか……。

 

「それは、えっと……「まあ待て。皆まで言わなくともいい」え?」

 

「正義感の強いお前のことだ。大方、2人が心配で居ても立ってもいられなくなったんだろう?」

 

「…………は、はい」

 

言えない……違うだなんて言えない……!

 

「友を心配するのは当然のことだからな。本来は反省文を書かせるところだが、今回は特別に見逃してやる。……最も、それ以上に大変なことがあるかもしれんが」

 

「へ?」

 

思わず間抜けな声を出した俺に、千冬さんはセシリア達を見るように目配せをしてきた。言われた通りにすると……2人とも、明らかにムッとした顔つきになっているのがわかった。

 

「あの……もしかしなくても、怒ってる?」

 

恐る恐る聞いてみる。

 

「当たり前ですわ!! 勝手にいなくなったと思えばアリーナに突入して、戦闘に加わって……!」

 

「しかも攻撃を受けて倒れちゃうし……あの時は本気で心配したんだから!!」

 

……そうだった……俺には、俺のことを気遣ってくれる人が2人もいるじゃないか……なのに、俺はサイコガンダムを墜とすことだけを考えてた……。人として、甘すぎるな。

 

「…………ごめんなさい……」

 

自分の犯した罪を痛感しながら、俺は2人に謝った。

 

「……今回は、特別に許しますわ。ですが、条件がありましてよ」

 

「わかった。何でも言ってくれ」

 

どんな無茶なことでも、それで許してくれるなら安いもんだ。でも一応身構えておくか……。

 

「え、えっとですね……」

 

が、何故かセシリアは顔を赤らめて若干もじもじとする。簪の顔も赤くなっている。……何か恥ずかしいことでもされるのか? さすがにそれは―――

 

「わ、私と、その…………き、キス……してくださいまし……!」

 

「……わ、私とも…してほしい……!」

 

―――何て考えてたら、顔から火が出るんじゃないかと思うぐらい真っ赤になった2人にそう言われた。………………え、キス?

 

「……そういえば、1人ずつではしてなかったっけ……」

 

セシリアとしかけたことはあったけど、簪が割り込んで告白したから有耶無耶になって結果的に同時にした気がする。ふと簪に視線を向けると、ばつが悪そうに俯いていた。自覚してたのね。

 

千冬さんを見ると……空気を読んだのか反対側を向いていた。再び視線を戻すと、2人は訴えかけるように俺を見つめていた。……そんな目をしたら、何も言えなくなるじゃないか。

 

「……いいよ。キス、しようか」

 

「!! は、はい……! ではまず、私から……」

 

セシリアがゆっくりと顔を近づけてくる。吐息が当たってきて、俺も凄くドキドキしている。多分顔は真っ赤になっているだろう。そして………………。

 

「「んぅ……」」

 

俺とセシリアの唇が、重なった―――。

 

一瞬とも永劫ともとれない時間を感じながら、俺達は唇を離した。

 

「「………………」」

 

何とも言えない空気が漂う。な、何か言わなければ……!

 

「つ、次は……簪だったよな……」

 

「え、ええ。そうでしたわね……」

 

「う、うん。じゃあ……」

 

今度は簪がゆっくりと近づいてくる。一回した後だから余裕がでるかと思っていたが、そんなの全然なかった。

 

「「ん……」」

 

俺と簪の唇が重なる。セシリアとはまた違う感触にどぎまぎしながら、再び唇を離した。

 

「「………………」」

 

やはり黙ったままの俺達。……このままでは仕方ないので、俺が言うことにした。

 

「あの、さ。2人とも……こんな俺だけど、これからもよろしくな」

 

そう言うと、セシリアと簪は少し驚いた顔をしながらも、微笑みながら言ってきた。

 

「「はい。こちらこそ、よろしくお願いします(わ)」」

 

そんな彼女達を見てドキッとしながら、我ながら幸せ者だと思った―――その時。

 

「やれやれ、やっと入れそうだな」

 

少し呆れたような顔で、一夏が入ってきた。後ろには箒ちゃんと鈴ちゃんもいる。

 

「よっ、親友。元気そうで何よりだ」

 

「おう。元気は俺の取り柄だからな。…ところでお前、まさかと思うが見てた?」

 

「え? ああ、うん。入ろうとしたら、丁度セシリアが迫ってくとこでな……ごめん……」

 

「仕方ないよ。同じ状況になったら俺だって気まずいもん」

 

軽く話しているが、相手が一夏達でなければこうはいかない。絶対テンパるだろう。

……まあ親しいから軽くできるのは俺と一夏ぐらいだな。セシリアと簪と箒ちゃんと鈴ちゃんは、真っ赤のままどうしたらいいかわからないって顔をしてるもん。

 

「え、えっと……彰人。その、ありがとね。私を助けてくれて」

 

「気にするな。友達を助けるのは当然だからな」

 

辛うじて喋った鈴ちゃんに答える。そういえば千冬さんは……目を逸らされた。俺と一夏に丸投げする気ですか。

 

「そ、そう……ところでさ、一夏」

 

「ん?」

 

「さっき見たキスで思ったんだけど……私って、まだ一夏とき、キスしてなかったわよね?」

 

「……ああ、確かに。でもなんで今?」

 

「それは………………ええい!」

 

「うおっ!?」

 

鈴ちゃんは顔を真っ赤にし、一夏に飛びつきながらキスをした。さては見ていて当てられたな……。

 

勇気を出すのはいいが、余計気まずい空気になった為、落ち着くまでかなりの時間を要した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千冬SIDE

 

生徒達が寝静まった頃。私は山田先生と共にレベル4権限を持つ者しか入れない、学園の地下15メートルにある秘密の場所に訪れていた。

 

「織斑先生、あのISの解析結果が出ました」

 

「そうか。で、どうだった?」

 

私達の目の前には機体の半分が消し炭になり、機能停止したIS(一夏と彰人が言うにサイコガンダムという名前らしい)が運び込まれ、解析を行われていた。

 

「はい。……あれは……無人機です」

 

「そうか……」

 

予想していたことが山田先生の口から語られ、私は目の前の無人機ISを睨むように見た。

 

ただでさえISは謎が多く、世界中が躍起になって解析・開発している最中だ。ISの無人稼働も課題の1つだが、未だ完成には到ってない筈。だが今回襲撃してきたISにはそれがある。独立稼働か遠隔操作か、或いはその両方か……。何にせよ、表沙汰にはし難い事実だ。学園関係者全員に箝口令を敷いたのは正解だった。

 

「どのような方法で動いていたかは不明です。織斑君の攻撃で機能中枢が破壊されていたので、修復は不可能かと」

 

「コアはどうだった?」

 

「それが……登録されていないコアでした」

 

「……やはりか」

 

私は確信と疑念を持ってそう言った。

このISを作ったのは間違いなくアイツだ。世界の技術の数歩先を行くことなど、朝飯前だろうからな。ただ……これをアイツが送り込んできたのかとなると、話は別だ。何故かはわからないが、私は直感でこいつはアイツとは別の何者かが送り込んだのでは? と思った。単に直感に過ぎないのだが、頭にこびりついて離れない。何か私達の知らないところで蠢いてるのでは……と感じてしまう。

 

「何か心当たりでも?」

 

「(考えすぎだな……)いや、ない」

 

憶測であれこれ考えてても仕方ない。今は目の前の問題をどうにかしなければな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室

 

楯無SIDE

 

「無人機ねぇ……」

 

私は手元にある襲撃してきたISに関するファイルを見通していた。

 

「こんなもの作れるのって、あの人以外にいないわよねぇ?」

 

「はい。篠ノ之博士、ですね」

 

虚ちゃんもそう言って頷いた。これについては間違いはない。けど……。

 

「…………本当に、篠ノ之博士が送り込んだのかしら?」

 

「お嬢様?」

 

「っ、何でもないわ。とにかく、この件について徹底的に調べる必要があるわね。手配してくれるかしら?」

 

「わかりました」

 

虚ちゃんが退室したのを確認し、私はふぅとため息をついた。あのISを送った目的は大方データ取りだ。それはわかっている。けど、そんなことの為にわざわざ無人機に襲撃させるかしら? 試合中の様子をハッキングして見ればいいだろうに。

 

「……やっぱり、裏に何かがいると見て間違いはなさそうね」

 

再びため息をつく。……そういえば、クラス対抗戦が終わった後に簪ちゃんと戦う約束をしていたわね。よし。見えない敵より、まずは可愛い妹と全力で戦ってみますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

束SIDE

 

「う~ん……」

 

私こと篠ノ之束は、先ほどからこうしてうんうん唸っていた。理由は私が廃棄した筈の無人IS『サイコガンダム』が、何者かの手によって起動しいっくん達を襲撃したからだ。そう簡単には起動できない筈なのに、それを可能にする程の技術力を有しているということは……。

 

「相手は組織……それも、かなり古くからあるものが妥当かな。強いて言うなら、亡国機業(ファントム・タスク)かな?」

 

その可能性は高い。となれば……いっくん達の変革を予定より早めなければならない。はぁ、これから忙しくなりそうだ……。

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