ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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シャルロット&ラウラ編
40th Episode


ある日の放課後。アリーナにてそれは行われようとしていた。

 

「ついにこの日がきたか……」

 

「姉妹の直接対決か。どんな試合になるんだろうな」

 

そう。簪と更識さんによる対決が行われるのである。更識さんは既にISを纏って空中に待機している。……あ、簪のブルーフレームが出撃した。

 

「2人とも、頑張ってください」

 

「かんちゃ~ん、頑張れ~!」

 

俺達は観客席にて試合を見守るのだが、のほほんさんや彼女の姉である虚さんも来ていた。他にも観客がちらほらといた。

 

(頑張れ、簪)

 

俺は二機のISをじっと見ながら、心の中でエールを送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪SIDE

 

「……更識簪、ガンダムアストレイブルーフレームセカンド。出撃します」

 

ピットからISを纏って出撃した私を出迎えたのは、ロシアのブリッツガンダムを基に姉が制作し、動かしてるIS『ガンダムアストレイゴールドフレーム天ミナ』だった。

 

「ようやく来たわね、簪ちゃん。少し待ちくたびれちゃったわ」

 

とは言ってるけど、実際は楽しみにしていたに違いない。本人は隠しているつもりだと思うけど、私には何となくわかる。

 

「……ねぇ、簪ちゃん」

 

「?」

 

「今日の勝負だけど、私の地位とか肩書きとか、一切気にしないでほしいの。普通の姉妹として、全部ぶつけてきて」

 

そんなこと……

 

「……言われなくても、わかってる」

 

直後、試合開始を告げるブザーが鳴り響いた。

 

「そう……なら、私も遠慮せずに全力を出すわ。だから見せて頂戴。簪ちゃんのを全力を……!」

 

その言葉と共に、お姉ちゃんは右腰のトツカノツルギを引き抜き、トリケロス改と一緒にに構えた。

 

「……っ」

 

それを見た私も背面のタクティカルアームズを分離・ソードフォームに変形させて両手で持って構える。

 

「……行くよ…!」

 

ブースターを噴かして接近し、タクティカルアームズを上段から一気に振り下ろす。

 

「先手必勝ってことね。でも!」

 

対するお姉ちゃんはトリケロス改で防ぎ、鍔迫り合いになる。

 

「「ぐぅうう……!」」

 

拮抗した状況の最中、お姉ちゃんはトツカノツルギで私の右肘関節を突いてきた。そのせいで力が抜け、押し返される。

 

「……くっ!? なら……!」

 

素早くタクティカルアームズをガトリングフォームに変形させ、トリガーを引いた。

 

「っ!?」

 

まさか銃にもなるとは思ってなかったようで、咄嗟にトリケロス改で防ぐものの何発かは直撃した。

 

「危ない危ない……まさか遠距離武器にも変形するなんて。お姉ちゃん、びっくりしちゃったわ」

 

あくまで平静を装う姉に、私は少しカチンときた。

 

「……お姉ちゃん。今日の戦いは互いに全てをぶつけ合うんだよね? だったら……普段思っていることも言っていいかな?」

 

「え? 別にいいけど……」

 

少し戸惑いながらも、お姉ちゃんは了承した。……ここで息を整える。そして―――

 

「お姉ちゃんってさ……いつもいつも―――自己中心的過ぎるよ!」

 

「なっ!?」

 

自分の気持ちをさらけ出しながらソードフォームのタクティカルアームズで斬りかかるが、トリケロス改に再度阻まれる。でもまだだ。まだ終わらない。私が言いたいことはまだたくさんある……!

 

「昔からそうだった! 何でもできるからって勝手が許されてて、そのくせ変にシスコンで過保護だから、私のことまで手を出して私に何もさせないし! 挙げ句に『あなたは何もしなくてもいいのよ』!? 冗談じゃない!!」

 

左手でタクティカルアームズを所持したまま、右手でナイフ型のアーマーシュナイダーを取り出すと、何らかのアクションをしようとしていたトツカノツルギを切り裂き破壊した。

 

「私の人生は私のだ! 勝手に決めないでよ!! 確かに私はアンタのように何でもできないけど、努力してるし、結果も少しずつ出てきてる!! 私はベッド脇に飾られてるお人形じゃない! 距離をとろうとしてもチラチラチラチラと、こっちの様子を見に来て! 私は!アンタの娘じゃないっ!!」

 

「か、簪ちゃん……!?」

 

驚愕しつつも左腕のクロー『ツムハノタチ』を展開して私の腕に引っかけ、無理矢理タクティカルアームズから放そうとする。けどその前に私は足を振り上げ、つま先のアーマーシュナイダーでツムハノタチを突き刺し破壊する。

 

「しかも、生徒会長の癖に仕事を放り出して私の様子見に来るから、仕事が滞るって虚さんが零すし! 思いつきでイベントやったりして被害を被ったって先輩達から、入学早々言われるし! 私、関係ないじゃない!! そういうのは本人に言ってよ!! 間接的にも迷惑かけないで!! 余計なことに時間を取らせないで!! 真面目にやってれば誰にも迷惑かけないんだから! お願いだからおとなしくしててよ!! 皺寄せが、私に来てるんだってばっ!!」

 

「くっ!」

 

距離を取ったお姉ちゃんはランサーダートとビームライフルを同時に撃つと、ビームサーベル刃を出現させ接近してきた。

 

「そんな攻撃っ!!」

 

ランサーダートをタクティカルアームズを楯にして防ぎ、左右に小刻みに移動してビームライフルを避ける。……心なしか狙いが雑になってるような?

 

でもそんなことは今はどうだっていい。ビームサーベルを振り翳す姉に対し、私はタクティカルアームズをフライトユニットに戻すとトリケロス改を右手で掴んだ。

 

「っ!!」

 

予想してなかったのか、マスク越しでも驚いた表情をしているのがわかる。けど、私が掴んだトリケロス改は実体刃でもあるのでシールドエネルギーが削られる。それでも決して放そうとせず、左手でトリケロス改の外側を掴むと―――一気に引き剥がした。

 

「まだだ! 逃がすかっ!!」

 

更に左腰に装備されたままのトツカノツルギを無理矢理引き抜くと、心臓部めがけて突きを放った。

 

「がっ!?」

 

装甲の一部が破損し、短い悲鳴を上げながらお姉ちゃんは落下しつつ壁に激突。ISが解除された。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……っ!!」

 

荒く息継ぎをしながら、私はISを解除しお姉ちゃんに近づく。

 

「………………」

 

何て声を掛ければいいのか、わからなかった。というか冷静に考えてみたら私、とんでもないことしちゃったかも……ど、どうしよう!?

 

「あ痛た……派手にやられたわ……」

 

「……お、お姉ちゃん。私、その―――」

 

「やっぱり、変に肩書き気にしてたからいけなかったのね……そのせいで簪ちゃん、ストレス溜まりまくって爆発しちゃったんだし」

 

「うっ……あ、あれは、我ながらやりすぎたというか……」

 

「いいのよ。勇気を持てなかった私のせいなんだから、甘んじて受けるわ…………」

 

そう言うと、お姉ちゃんは優しい目で私を見つめた。

 

「ごめんね、簪ちゃん……私のせいでたくさん苦労させて……本当に、ごめんね……」

 

「お姉ちゃん……」

 

「……ねぇ、簪ちゃん。もし簪ちゃんが許してくれるなら、時々でいいから、会いに行ってもいい? 話したいことが、たくさんあるの」

 

「……うん、いいよ。私もお姉ちゃんと、もっともっと色んなことを話したいから」

 

お姉ちゃんの手を握り、応える。今この瞬間、私達は何の隔たりもない普通の『姉妹』でいられた。ううん、今だけじゃない。これからもそういう時間はたくさんあるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

「……姉妹間の確執が取れた、ということか」

 

ウイングゼロの集音機能を使って会話を聞いていた俺は、そっと呟いた。

 

「だな。その方法が、想いを拳に乗せてぶつけることとは今日に至るまで予測してなかったが」

 

冗談を混ぜながら同意する一夏に、「言ってなくてごめんな」と述べながら笑みを浮かべる。原作ではかなり後の方での和解だったが、早めにできてよかったと思う。

 

「……アンタ達、よくそんな涼しい顔でいられるわね……」

 

「「え?」」

 

何故か鈴ちゃんが顔を青くさせながら言ってきた。お腹でも痛くなったんだろうか?

 

「今の試合見てたでしょ!? あの大人しめの口調からは想像できない捲し立てに容赦ない戦い方! ……正直、恐ろしく感じたわ」

 

「ふ、普段滅多に怒らない人程、怒ると恐ろしいとはこのことでしょうか……」

 

「あの凄まじさからしてそうだろうな」

 

セシリアと箒ちゃんも顔色が優れないようだ。そんなに恐ろしいかな? 俺にしたら、本気で怒った時の千冬さんの方がかなり恐ろしいけど……。

 

「俺だって怒った時はああなるぞ?」

 

「俺もなるな、間違いなく」

 

「本気で怒るって……どんな?」

 

その問いに、「うーん」と腕を組んで考える。俺達が本気で怒る時は……やっぱり、これかな。

 

「例えば大事な人……セシリアと簪が傷つけられた時だな」

 

「やっぱ、好きな人……そう、箒や鈴に手を出された時だな」

 

奇しくも俺と一夏の考えは同じだったようだ。さすがは親友。

 

「そ、そうなの。じゃあそうされた相手にはどんなことを?」

 

「「とりあえず男女関係なく四肢をもいで磔は確定な」」

 

息ピッタリに俺達が言うと、セシリア達……ではなく、のほほんさんや虚さんが青い顔をして震えていた。

 

「あ、あっきーに逆らうのは絶対やめようね、お姉ちゃん……」

 

「そ、そうね。そうした方がいいわ……」

 

そんなに怯えなくても……ちょっとしたジョークなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺は簪と廊下で話をしていた。

 

「よかったな。更識さんと仲直りできて」

 

「……うん。でも、少し言い過ぎちゃった……」

 

「大丈夫だって。本人は気にしてなかったんだろ? それに、自分の想いをぶつけたんだ。何も悪いことはないさ」

 

そう言って、頭を優しく撫でると簪は「ふにゃっ」と気持ち良さそうに反応する。

 

(……ん?)

 

その時、どこからか誰かの視線を感じた。……この感覚には覚えがある。

 

「……どうしたの?」

 

「いや、何でもない。それより早く戻ろう。疲れてるんだろ?」

 

「……彰人はどうするの?」

 

「トイレに行ってから戻るよ。大丈夫、すぐに済ませるから」

 

やや強引だが、簪と別れて1人になる。人通りがないこともなって凄く静かになるが……。

 

「……そろそろ出てきたらどうです? 居るんでしょう、そこに」

 

「あらら、バレてたか」

 

俺が振り向きながら言うと、柱の影から更識さんが現れた。

 

「それで、今日は何の用です?」

 

「決まってるじゃない。……ありがとう。私に大事なことを気づかせてくれて」

 

「礼を言われることじゃありませんよ、更識さん。俺はただ促しただけで、辿り着いたのは貴女自身の力ですし」

 

それを聞いて目を丸くする更識さんに、「もうよろしいですか?」と問いかける。

 

「あ、後もう1つだけ、お願いがあるの」

 

「何ですか?」

 

「私のこと、名前で呼んでほしいの。ダメかしら?」

 

名前か……更識さんとはいつの間にか結構親しい仲になっているから……いいか。

 

「わかりました、楯無さん。これでいいですか?」

 

「ええ。………………………いずれは、本名を教えてあげるけどね(ボソッ」

 

? 最後に何て言ったんだろう。小さすぎてよく聞こえなかったな……。

 

まあ何はともあれ、万事上手くいって安心した。これで少しの間は一息つけそうだな。

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