ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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44th Episode

「午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」

 

起動テストを終えた一・二組合同班は、格納庫にISを移して再度グラウンドへ戻る。千冬さん達先生は連絡事項を伝えると、先に引き上げて行った。

 

「はぁー……結構重かったな」

 

「確かにな」

 

汗を拭いながら一夏と話す。訓練機はIS専用のカートで運ぶのだが、それには動力が一切ついていない。よって人力で運ばなければならない。

 

「それより、早く更衣室に行って着替えよう」

 

「ああ。シャルルも一緒に行こうぜ。俺達男子はアリーナの更衣室まで行かなきゃならないんだし」

 

「え!? ええと……僕は機体の微調整をしていくから、先に行って着替えててよ。時間がかかるかもしれないから、待たなくてもいいよ」

 

「別に微調整ぐらい今やらなくてもいいんじゃ……まぁ、君がそう言うんなら俺は行くよ。一夏、行こう」

 

「……ああ」

 

俺と一夏は互いに訝しみながら、更衣室へと歩を進めた。そして少しした時……。

 

「あの、彰人さん。ちょっとよろしいでしょうか?」

 

セシリアに話しかけられた。てか戻ってなかったんだ。けど俺はともかく、一夏を待たせる訳には……そう思っていたら。

 

「俺は先に行ってるから、遠慮なく話をしててくれ」

 

と言い残し、立ち去って行った。何も言わなくても伝わるとは……さすが親友。

 

「……で、何か用か?」

 

「彰人さん、その……今日の昼は空いていますか?」

 

「え? 空いてるけど、何かあるの?」

 

「そ、その、もしよかったらですけど…私と一緒に昼食を取りませんか?」

 

「昼食を?」

 

「はい。屋上で……簪さんにも、声を掛けますので」

 

「……わかった。ご一緒させて貰うよ」

 

「っ! あ、ありがとうごさいます!!」

 

俺が行くことを告げると、ぱぁっと顔を笑顔に輝かせる。やばい、可愛い……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

俺はセシリアと簪と共に屋上にやってきていた。一般における高校の屋上というのは立ち入りができないのだが、IS学園(ここ)ではそんな制約はない。今日は女子達がシャルル目当てで全員食堂に行ってるので、3人だけの貸し切り状態……になると思ってたのだが。

 

「「まさか、お前等までここを選ぶとはな……」」

 

一夏と台詞がハモる。そう、一夏、箒ちゃん、鈴ちゃんの3人も来ていたのだ。箒ちゃん達から誘ったらしい。

 

「考えてることは同じ、でしたのね」

 

「そういうことになるな……」

 

女子陣も互いに苦笑いしてしまう。更に―――

 

「あれ? なぁんだ、彰人達もここに居たんだ」

 

「やはりここだったか。道理で見当たらない訳だ」

 

シャルルとラウラちゃんまで来た。まずシャルルの理由は、

 

「だって2人ともどこかに行っちゃうから、僕1人で食堂に行ったら……ねぇ……」

 

とのことだ。これにはさすがに申し訳なく思った。……そういえば、俺が教室を出た直後にシャルルが三年の先輩に何か言ってたな。確か『僕のような者の為に、咲き誇る花の一時を奪うことはできません。こうして甘い芳香に包まれているだけで、もうすでに酔ってしまいそうなのですから』だった気がする。普通だと気障に感じる筈だが、シャルルが言うと全く違和感がない。これこそ驚きもんだ。

そしてラウラちゃんの理由は、

 

「久しぶりに2人と話をしたくてな。食堂に居ないので、探していたんだ」

 

と言っていた。……ラウラちゃんからすれば、俺達は初めてできた異性の友達だ。再会できた嬉しさは俺達以上なんだろう。なので2人はそのまま同席させることにした。シャルルは本当にいいのか不安げだったが、みんなも賛成してくれたのでそれはなくなった。

 

「ところで彰人さん。そちらのボーデヴィッヒさんとはどのようなご関係で?」

 

「そういえば私も気になってたのよね。もしかして、ドイツに居た時に知り合ったの?」

 

セシリアと鈴ちゃんがそう言って尋ねて来る。簪や箒ちゃん、シャルルも興味津々といった感じだ。

 

「鈴ちゃんの言う通り、ラウラちゃんとは第二回モンド・グロッソを観戦しにドイツに行った時に知り合ったんだ」

 

「改めて、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。私のことはラウラと呼んでくれ。お前達のことは事前に見通した名簿で知っているが、名前で呼んでもいいだろうか?」

 

「いいですわよ」

 

「……いいよ」

 

「いいに決まってるじゃないの」

 

「ああ、構わないぞ」

 

「勿論いいよ」

 

「だとさ。良かったな、ラウラ」

 

「……ああ」

 

一夏が言うと、ラウラちゃんは嬉しそうに微笑んだ。が、直後。何か気になることがあったのか怪訝そうな表情になった。

 

「……ところで、彰人と一夏は彼女達とは特に親密な間柄のようだが、一体どのような関係なんだ?」

 

さすがにラウラちゃんにも俺達の関係は気になったらしい。ここはきちんと話しておいた方がいいだろう。

 

「そうだな。まずは俺から説明するよ」

 

最初に一夏が説明することになった。

 

「内緒にしといて欲しいんだが、箒と鈴は…俺の恋人なんだ」

 

「こ、恋人だと? 2人同時にか?」

 

「嘘っ……」

 

ラウラちゃんとシャルルは目を丸くしていた。普通そうなるよね。けど、この状態で俺についても話さないといけないから、辛いなぁ。

 

「ということはまさか、彰人も……」

 

「ああ。セシリアと簪は、俺の彼女だ」

 

「な、何だとぉおおおおおっ!?」

 

「うおっ!?」

 

戦慄しながら尋ねるシャルルに答えると、ラウラちゃんが突然大声を出しながら身を乗り出してきた。な、何事!?

 

「ど、どうしたのさ?」

 

「あ……す、済まない。よもや彰人までとは思ってなくてな……」

 

申し訳なさそうに謝るラウラちゃん。いや、君は悪くないんだ。悪いのは俺だから。

 

「驚くのも無理はないけど、早くご飯食べないと時間来ちゃうわよ。はいこれ、一夏と彰人の分」

 

そこへ鈴ちゃんが言って俺達にタッパーを渡す。中身は……

 

「お、酢豚だ!」

 

「凄く美味しそうだ」

 

「今朝作ったのよ。アンタ達、前に食べたいって言ってたからね。まあ……どちらかと言うと、一夏が主だけど」

 

苦笑しながら言う鈴ちゃん。一夏は鈴ちゃんの彼氏なんだから、そっちが優先されるのは仕方がない。俺にも作って来てくれたんだから、良しとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪SIDE

 

(……ねえセシリア。あのラウラって子……)

 

私は彰人達に聞こえないように、こっそりセシリアに話しかけていた。

 

(ええ……私達と同じものを感じますわ。自覚してないだけで、彼女も彰人さんのことが好きなんでしょう)

 

(……やっぱり)

 

彰人の方で過剰な反応を見せていたし、それに無自覚かも知れないけど、彰人をチラチラと見ていたから間違いないと思う。

 

(……どうしよう、セシリア?)

 

(私は彰人さんが平等に愛して下さるなら構いませんが……簪さんは?)

 

(……私も、セシリアと同じ考え。彰人は優しいからまた凄く悩むと思うけど、きっと全てを包み込んでくれるから)

 

どんなことがあっても、彰人は私達を見捨てない。根拠はないけど、私はそう確信している。

 

(……それより早く弁当を出さないと、彰人達に変に思われるよ?)

 

(あ、そうでしたわ)

 

私達は内緒話していたことがバレないように、弁当を前に出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

「あの、彰人さん。これを」

 

「……どうぞ」

 

今度はセシリアがバスケットに入ったサンドイッチを、簪が炒飯の入った保温弁当を差し出してきた。

 

「ほう、これはまた上手そうだ。頂きますっと」

 

両手を合わせて、まずはセシリアのサンドイッチを手に取る。見た目は上々だが……何故か嫌な予感がする。はて何だったか……思い出せない。

 

「(まあいいか)……あむ」

 

サンドイッチを口に含む。ふむふむ……これはまた刺激のある独特な味が―――

 

「って! ゲホッ…な、何じゃこの……ゲホッゲホッ、味は……!」

 

口の中に広がる刺激による痛みに悶絶し、咳き込んでしまう。そうだ、思い出した。セシリアは料理がとんでもなく下手だったんだ!

 

「あ、彰人さん!? どうしたんですの!?」

 

「お、おい彰人! 何があった!? 大丈夫か!?」

 

心配そうにみんなが駆け寄ってくれる。けど、一夏は箒ちゃんの唐揚げを食べる直前だった筈だ。ごめん……本当にごめん。

俺はお茶を飲んで何とか落ち着かせる。

 

「あ、ああ……大丈夫だ。それよりセシリア、このサンドイッチ…一口でいいから食べてみてくれ」

 

「え? いいですけど……何故ですか?」

 

「俺がこうなった原因が自ずとわかる筈だ……」

 

怪訝に思いながらも、セシリアは自分で作ったサンドイッチを口にした。途端に顔色が悪くなり、ケホケホと咳き込んでしまった。

 

「な、何ですのこれ……! こんな酷い味だったなんて……」

 

「……後で猛特訓する必要があるな、これは」

 

「はい……申し訳ありません…………………グスッ……彰人さんに、おいしい料理を食べてもらいたかったのに…………」

 

若干涙声になってるセシリアを、簪がよしよしと慰める。……何故だが知らないが、無性に庇護欲が湧いてきた。

 

「んぐんぐ……この唐揚げかなり美味いな! 混ぜてあるのはショウガと醤油と……ニンニクかな? 後は……何だろう?」

 

「あらかじめコショウを少量混ぜ込んである。それと、隠し味に大根おろしを適量だ」

 

「なるほど、道理でどっかで食べた味がした訳だ」

 

隣では箒ちゃんの料理を一夏が絶賛していた。

 

「……そういえばラウラって、特撮作品が好きだって情報があるんだけど」

 

「ん? まあな。主に仮面ライダーオーズが好きなんだが、如何せんドイツにはDVDがあまり売ってなくてな……」

 

「……じゃあ、今度貸してあげるよ。オーズ以外にも色々あるけど、それも見る?」

 

「な、何!? 持ってるだけではなく、他にもあると言うのか…で、では、お言葉に甘えさせて貰おう……!」

 

反対ではラウラちゃんと簪がすっかり意気投合していた。がっちり握手まで交わしている。

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