ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
「……一夏の奴、遅いな」
あの後食堂にて俺は一夏を待っていたが、中々来ないので痺れを切らしていた。……まさか、既にシャルルの正体を見ているのか?
「(可能性はあるな。心配は無用だと思いたいが……)セシリア、箒ちゃん。俺、一夏を呼んで来るよ」
「ええ、お願いしますわ」
「すまない、迷惑を掛けるな」
「気にしないでくれ。それじゃっ」
俺は席を立つと、足早に一夏の部屋へと向かった。
「よし、案外早く到着したな。……一夏、居るかー?」
部屋に到着すると、俺はドアを軽くノックする。が、返事はない。もう一度ノックをする。やはり返事はない。
「……入るぞー?」
そっとドアを開けて中に入ると、誰も居なかった。おかしいな……洗面所に居るのか? 試しに入ってみると、誰かがシャワールームに入っていた。一夏か?
「彰人?」
そう考えた直後、後ろから声が聞こえた。
「一夏? お前、どこに行ってたんだよ?」
「食堂に行こうとしたら腹の調子が悪くなって、トイレに行ってた。もしかして、呼びに来てくれたのか?」
「ああ。早く行こうぜ、みんな待って―――」
シャワーに居るのは一夏じゃないと確信した為に長居は無用だと促した時、隣のシャワールームの扉が開いた。……遅かったか…………。
「…………あ、彰……人? それに………い、一夏……………?」
シャワールームから出てきたのは長い金髪に、豊かな胸を持った『女子』だった。俺と一夏は彼女に見覚えがあった。つい先ほど、一緒に練習した相手だからだ。
「シャルル……」
「俺の方から言及するつもりだったのに、こういう形で晒されるとは……」
「2人とも……もしかして、気づいてたの?」
「最初は単に怪しいとしか思ってなかったが、一緒に着替えた時……女性物のコルセットが一瞬見えて、その時確信したんだ」
「そっか……最初から、とんでもないミスをしていたんだね。僕は……」
目を逸らしながら言うと、シャルルは呆然としながら自嘲するようにため息をついた。
「お前の事情が何であれ、このことは見過ごせない。先生には内緒にしとくから、せめて俺達には正直に話してくれ。それと一夏、ここにみんなを呼んできてくれ」
「ああ、すぐに呼んでくる」
そう言って一夏は部屋を出た。
一夏SIDE
(まさかこんなことになるとは……)
右手で軽く頭を押さえながら、俺は廊下に出た。タイミングを見計らって言おうと思っていたのに、想定外だ。
(ともかく、みんなを探そう)
「む、そこに居たか」
その時、背後から箒の声がした。もしやと思って振り向くと、箒とセシリアが立っていた。
「どうした一夏? 挙動がおかしいぞ?」
「何かありましたの?」
「俺も少し困惑しててな……とりあえず鈴と簪、それにラウラを呼んで、俺の部屋に来てくれ」
2人にそう告げると、頭に疑問符を浮かべながらも鈴達を呼んでくれた。俺はみんなを部屋に案内した。
彰人SIDE
一夏が退室してから少しして、全員が部屋に集められた。俺はセシリア達を見て話を切り出す。
「みんな晩飯もまだだと思うけど……シャルルから大事な話があるんだ。言っておくが、かなり驚くことは確実だ。心して聞いてくれ」
「「承知した」」
「わかりましたわ」
「……わかった」
「それで、どんな内容なの?」
ことの重大さが伝わったらしく、皆緊張した面持ちで頷いていた。やがて髪を下ろし、コルセットを外して胸の膨らみを露わにし、ジャージを着込んだシャルルが出てきた。当然ながらみんなは驚きを隠せない……が、箒ちゃんとラウラちゃんは幾分か冷静であった。
「っ、もしやとは思っていたが……」
「やはりそうだったか……」
「えっ!? シャルルさん、その胸の膨らみは……!」
「まさか、アンタ女だったの!?」
「……そんな……!」
シャルルは頷くと自分のベッドに座り、力なく言った。
「……黙っていてごめんなさい……」
「で、正直に話してくれるか? 何かする訳じゃないから、安心してくれ」
「……うん。本当のことを話すよ。何の弁解にもならないけど……」
シャルルは息を整えると、訥々と真実を話し始めた。
「僕はね…妾の子なんだよ。実家のデュノア社は量産機のシェアが世界第三位だけど、結局GN-Xシリーズはどれも第2世代型止まりで、第3世代型の開発が遅れに遅れてて、経営が成り立たなくなろうとしているんだ。欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』からも外されちゃってるし……そんな時、社長である僕の父……正確には、父さんを傀儡にして会社の実権を握っている正妻、僕の義理の母が彰人と一夏、2人の男性IS操縦者と、愛人の娘である僕に目をつけた。僕に注目を集めさせた上で君達に近づかせ、その専用機のデータを盗ませる為にね……」
「だから男装してIS学園に転校してきたのか。……シャルル、お前自身はこのことをどう思っているんだ? 本当にこんなことをしたかったのか?」
「したくなかったよ! 僕は勿論、父さんだってこの提案には反対した。たった1人の娘を、大人の都合で危険な目に晒したくないって言ってた……でも、あろうことかあの人は、部下に命令して父さんを監禁したんだ! それだけじゃない、僕や父さんの味方をしてくれた人達も、あの人のせいでみんな会社を解雇された! ……もう僕の周りには、誰も味方になってくれる人はいなくて、だから…………」
話していくに連れ、シャルルの声は涙声に変わっていった。同時に、彼女やその周囲へのあまりの仕打ちに、俺の…俺達の中には怒りが湧き上がっていた。セシリアと鈴ちゃんに至っては完全に激怒している。
「目的の為に自分の娘を利用するなんて……それでも親ですの!?」
「しかも、自分の言うことを聞かない人達まで追い出すなんて、人でなしにも程があるわよ!!」
「女の…否、親の風上にも置けない奴だ……!」
「『如何なる作戦行動中であろうとも、決して民間人を巻き込むな』、軍で教わった鉄則だ。人の倫理が問われるのだが、どうやらその女には欠落しているようだな……!」
「……どうしてそんなことができるの!? 同じ人間なのに!」
「「…………………」」
正妻である女性に対して怒りが強くなる中、俺は考えていた。そろそろ『彼女』が来る頃だろうか、と。
「そうね……確かに、同じ人間がする事とは思えないわ」
そこへ一夏が集めた人達以外の声が聞こえてきた。タイミングは正解だったな。
「「「「っ!!?」」」」
「っ! この私が、気配を読めなかっただと……」
俺と一夏以外の面々が彼女……楯無さんが唐突に現れたことに驚く(にしても、軍人であるラウラちゃんですら気配を読めないとは一体……)。
「あ、貴女は……?」
「私は更識楯無。IS学園の生徒会長で、簪ちゃんの姉よ。そんでもって、更識家の当主でもあるの。改めてみんな、よろしくね」
「え、ええ。……まさか、あの更識楯無さんとこうして近くで接することができるなんて……簪さんとの試合でしか目にできないとばかり思ってましたのに……」
「……それでお姉ちゃん、どうやってここに来たの?」
「彰人君にメール貰ったからよ」
そう言ってスマホを見せる楯無さん。簪はびっくりした顔で俺と彼女を交互に見る。
「……その生徒会長さんが、僕にどのようなご用件で?」
「決まってるじゃない、貴女の処遇についてよ。本来ならしかるべき処置をするんだけど……今回は私も腹に据えかねてるから、色々言わせてもらうわ。…親がいなければ子どもは生まれない。それは変わらないけど、だからと言って親の都合で子どもの人生が歪められるなんてこと、許される筈がないわ。ましてや貴女の場合は、戸籍上での義理の母親とはほとんど他人に近いし。……いい? 生き方を選ぶ権利は誰にだってある。それを邪魔されて選択権を奪われるのは、決してあってはならないこと。だから、貴女だって誰の言いなりにもならずに自由に生き方を選ぶことができるの。貴女は自分の生きたいように生きればいいわ」
「気持ちは嬉しいですけど……でも、どうすれば……? デュノア社がバックにあるんじゃ、僕1人じゃ……」
楯無さんの言葉にシャルルは揺れるが、まだ決心をつけるには至らない。後一歩というところか。
「そうね……シャルル君、貴女はどうするの? 今は私達が話を聞いているからいいけど、世間にバレたら一大事よ。それを含めて、貴女はどうしたいの?」
「どうって……時間の問題じゃないですか? フランス政府も真相を知ったら黙っていないだろうし、最悪デュノア社は倒産して僕は代表候補生を降ろされ、良くて牢屋行きとかに……」
「そうじゃないわ。ちゃんと思い出して。貴女がどうなるのかじゃなくて、貴女がどうしたいかを私は聞いているの。……
「え?」
戸惑うシャルルに、楯無さんは生徒手帳を開いて該当箇所を見せながらスラスラと読み上げていく。
「『特記事項第二一、本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする』。つまりこの学園に居れば他国からは介入されないのよ。それならいくらでも方法はあるし、自由に生きていけばいいわ。……さて、彰人君。貴方の兄さんに電話を繋いでくれないかしら? できればテレビ電話モードがいいんだけど」
「わかりました。……やれやれ、結局全部持ってくんだからなぁ」
完全に話の主導権を握った楯無さんに苦笑しながら、俺は携帯電話を取り出してテレビ電話モードで省吾兄ちゃんに電話を掛けた。
「そういえば、彰人さんのお兄さんって、どんな方なんですの?」
「……矢作って名字はあまり見かけないけど……」
「うーん……」
セシリア、簪、シャルルが首を傾げる。
「そうか、みんなは彰人の兄さんのことを知らないのか」
「単に名字が同じだけって思ってる人も多いし」
「知ったらかなり驚きそうだ」
「間違いなく驚くだろうな」
箒ちゃん、鈴ちゃん、ラウラちゃん、一夏が楽しそうにしている。……俺自身、あまり知られたくはないんだけどな。まあ今回は事情が事情だけに目を瞑ろう。
『はいもしもし、首相官邸ですが』
「「「っ!?」」」
いきなり出てきたトンデモワードに3人がビクッとしている。この声は由唯さんか。
「もしもし由唯さん。彰人ですけど」
『あら彰人君。ちょっと待ってて、今代わるから』
そう言うと電話が保留モードになる。しばし待とう。
「あ…あの、電話を掛けた先は……」
「そっ。彼の兄で初代オーディンのあの人のところよ」
「お、オーディン!?!?」
「そ、それって確か、第一回モンド・グロッソのガーランド部門で優勝したあの……!」
「しかも現在は総理大臣になっているとか……」
驚愕する3人に楯無さんは『ご名答!』と書かれた扇子を広げる。……どういう作りになってるんだろ。
そうこうしてると兄ちゃんが画面に表示された。
「もしもし、兄ちゃん?」
『よう彰人。楯無ちゃんから聞いてるんで予想がつくけど、エリックさんの娘さんのことだろ?』
エリックさんとは、シャルルの父親のことだろう。
「大当たり。てか酷いよ兄ちゃん。俺にも内緒にして」
『はは、悪い悪い。さすがに何でも身内に話してたら、一国の首相はやってられないからな』
「そりゃそうだな。……じゃあ兄ちゃんは、シャルルの正妻について思うところとかある?」
『ありまくりだ。前に会談しにデュノア社に行ったんだが、まあ態度が酷いのなんの。女尊男卑の縮図と言っても過言じゃないなあれは。何度殴りたいと思ったことか……正直思い出したくないぜ』
「そこまで酷いんだ……」
女尊男卑の縮図という時点で、どんな人物なのか大凡わかってしまう。多分小物感ありありな人だと思う。
『それはともかく、彼女と直接話がしたいんだけど…代わってくれるか?』
「わかった、ちょっと待ってて。……シャルル、代わるよ?」
「う、うん……」
シャルルは緊張気味に携帯の画面を覗き込む。
「は、初めまして。シャルル・デュノアです」
『初めまして。君がエリック氏の娘さんだな。俺は矢作省吾。ご覧の通り内閣総理大臣をしている』
「そ、総理大臣!? やっぱり……!」
飛び上がらんばかりにシャルルは驚いた。やっぱそうなるよな。
『君が実家の都合で色々とつらく苦しい状況下に置かれて、肩身の狭い思いをしながらIS学園に編入したことは楯無ちゃんやB…ブラントから聞いている。俺としては、是非とも君の助けになりたいと思っている』
「え!? ほ、本当ですか!?」
『ああ。ただ、救出方法等の詳細はブラントから説明させるから、少し待っててくれ』
そう言うと兄ちゃんはパソコンらしきものを操作してどこかに電話をした。……ブラント? はて、誰だろうか。
少しして、画面が左右に分割され右側に別の人が映った。あれ? この人どこかで見たような……。
『省吾、ちゃんと繋がってるだろうな?』
『ばっちりだぜ』
『よし。では…………諸君、初めまして。アメリカ合衆国大統領のブラント・ダグラスだ』
『『『っ!?』』』
新たに現れた人物の言葉に、今度は全員(楯無さん除く)が驚いた。……そうか。この人、兄ちゃんと仲良かったあの議員さんだ。まさか大統領になってるとは。
「し、省吾さんは大統領とも親しくなっていたのか……いや、あり得ない話ではないが」
「寝耳に水で驚いたぜ……」
「しかもダグラス大統領は、確か精鋭隊員で構成されたヴィルデ・ザウ隊の隊長を勤めていると聞きましたが……」
何かとんでもない話がセシリアから零れた。ちょっと待て。それ、どこのアーマード大統領なのさ?
「だ、大統領まで……!?」
『驚くのも無理はなかろう。だが私も省吾と同じく、君の父……エリックを助けたいと思っている。そこでだ、エリックの直接的な救出と保護を我々アメリカ政府が引き受けたいと思う。私はこう見えて対IS戦を想定したヴィルデ・ザウ隊の隊長をしていてな。直接デュノア社に乗り込んで摘発と救出をしようと言うわけだ。何、幸いにも今のデュノア社を摘発する材料は揃っている。抜かりはない』
「ほ、本当に、助けてくれるんですか……? でも、フランス政府やIS委員会が……」
『心配は無用だ。実はデュノア社が裏で起こしてきた様々な犯罪は、政府の女尊男卑派もグルになっていることが既に明らかにされている。それに各国政府の男女平等派とのパイプがあるから、それを利用すればデュノア社の犯罪に肩入れした政府の者達を摘発することもできよう。IS委員会には政府の諜報班とガーランド部隊を派遣して対処する。問題はない』
何から何まで準備してるってことか。この大統領、ホント用意周到って感じだな。
「そこまでして……どうして、僕1人の為に……?」
『君の父、エリックを助けたいからだ。私は彼の古い友人でね、以前彼に『私に何かあったら娘を頼む』と頼まれたんだ。今こそその約束を果たす時…と言いたいが、君の性別に関する一件が発覚した場合、エリックが責任を被せられてしまう可能性がある。私はそういう理不尽なことは嫌いでね。だからこそフランス政府の裏を暴くと同時に、君には正しい形で今の生活を送ってもらおうと行動している。それと、君が希望するならフランスに支社がある我が国の企業に代表候補生として再登録させようと考えている。君がIS学園に残る際の後ろ盾にもなり得るからな。後、エリックと解雇されてしまった社員の方々は、フランス支社の企業に再就職させたいと思っているのだが、どうだろうか?』
「僕は…………」
『答えは急がなくとも良い。選択権は君にあるのだから、最終的な決断は君に任せる。では、私はこれで。…………省吾、後は手筈通りにな』
そこで画面の半分が消えて省吾兄ちゃんだけとなる。
『ブラントが言ったように、全力で君をバックアップする準備は整っている。良い返事を期待してるぜ。…………さてと。コイツの性能、確かめさせてもらうか』
そこで電話が切れる。……2人とも最後に何を言ってたんだろうか? まあその辺りは気にしないでおこう。俺はシャルルに向き直る。
「ということだそうだ。大統領があらゆることに備えてくれるらしい。どうするかはシャルルに任せるって言ってたけど、望み通りにやればいいさ。お前はこれから自分の好きなように生きていける。苦しむ必要はないんだ」
「……彰人…いいの? 僕は、みんなのことを騙そうとしたんだよ?」
「だが本意じゃなかった筈だ。それに、俺達はお前に騙されたことなんて一度もない。される前に正体がバレたって話だ。シャルルは潔白、ということだ」
「彰人……あり、がとう……僕……僕は……!」
「おっと」
シャルルは俺の胸を借りて泣いた。今度はきっと嬉し涙だ。兄ちゃんや大統領、楯無さんへの感謝の想いが溢れてるんだろう。
「シャルル……よかったな……」
その様子を一夏達が感激した様子で見ている。セシリアや簪は貰い泣きしている。
やがてシャルルは泣き止むと、皆を見渡した。
「……決めたよ、みんな。僕は…
「よく言った。お前は自分の意志で自分がどうしたいか決めたんだ」
「ええ。本当に、良かったわ」
「ありがとう……でも、どうして更識先輩まで、僕の為に……?」
ふと疑問を感じたのか、感心した楯無さんに問いかける。
「ああ、それはね……彰人君に影響されたから、かな?」
「え、俺ですか?」
まさか自分の名前が出るとは思わなかったので、驚いてしまう。俺、何かしたのかな?
「いつもならさっき言ってたみたいに、然るべき処置を下していたんだけど……ふと思ったのよ。彼なら…彰人君なら、こういう時どうするんだろうって。で、気がついたら彼の兄さんに連絡していたって訳。実際彰人君なら、私が関わってなくてもそういう行動をしたでしょう?」
「……勿論」
少し驚きながら言う俺にシャルルは目を丸くしていたが、俺からすれば当然のことだった。単に原作通りだからじゃあない。純粋に助けたいと思ったからだ。
「最も、彼女が本当にスパイだったのなら話は別だろうけど……」
「それはない」
楯無の言葉に、何故か一夏が即答した。
「言い切ったわね。ちなみに聞くけど、根拠は?」
「……わからない。けど、そう思った」
戸惑いながら一夏は言う。おいおい、言った本人がそんな調子でいいのかよ?
「それにしても、彰人さんのお兄様がかの有名なオーディンで総理大臣だったとは…驚きましたわ」
「私はそれよりも、大統領が送り込む部隊が気になるわ……部隊名聞くだけで嫌な予感がするんだけど」
「ヴィルデ・ザウ隊だな。私も聞いたことがある。機体そのものがエース向けなのでやや少数編成だが、個々の戦闘力は並のIS乗りを遙かに上回っているという」
「……ガーランドもISに負けない性能を持ってるって前にテレビで言ってた」
「決してISだけが軍事バランスを変えているわけではないのだが……難しいな」
みんなは思い思いのことを口にする。うーん、こういう抑止力みたいなものがあるってのも、ありがたいというかなんというか……。
「おっと、そうだ。みんなそろそろ夕食にしようぜ!」
何も食べてなかったことを思い出して言うと、全員がうんと頷いたので一緒に食堂を目指した……のだが、途中でシャルルが何度かくっついてきた。
「……ありがとう彰人。彰人のお陰で、絶望だけだった道に光が見えたよ」
「俺1人だけの力じゃないけど、受け取っておこう。そして約束する。どんな時でも俺は…俺達は、シャルルの最後の希望になると」
軽く握り拳を作りながら言うと、シャルルは頬を赤く染めてもじもじし始めた。……気障過ぎて引かれたか……。
(……もしかして、あの子も……)
(ですわね……はぁ、彰人さんは中々罪作りな方ですわ)
セシリアと簪が何か言ってたような気がしたけど、多分気のせいだと思い、食堂へと歩を進めた。