ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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47th Episode

OutSIDE

 

シャルルの正体が明かされた日の夜。デュノア社の敷地内にはブラント率いるヴィルデ・ザウ隊と彼の命で招集されたGR-2ガーランド隊が集結していた。今回彼らの指揮官を勤めるのは、隊長のブラント・ダグラスと視察と銘打って訪れた矢作省吾だ(双方とも政治の方は知人議員に代理を頼んである)。彼らの目的は1つ、デュノア社への突撃だ。ブラントは楯無からシャルルの意志を聞いた後、すぐさま諜報部に連絡。デュノア社とフランス政府の女尊男卑派が行い隠蔽してきた犯罪行為を全世界に暴露させ、データのバックアップを取るのと同時に相手側のコンピューターに極秘で開発していた最新型ウイルスを送信した。

その後デュノア社を包囲し、作戦開始時間である明朝5時を刻一刻と待つ間、ヴィルデ・ザウ隊とGR-2ガーランド隊は作戦会議を念入りに行っていた。この時、近隣の住民達には既に避難誘導が為されていた。

 

「諸君、作戦内容の確認をするぞ。作戦開始時刻になり次第、ヴィルデ・ザウ隊はデュノア社に対し迎撃、A班及びB班はエリックの救出行動に移る。ここまではいいか?」

 

ブラントの言葉に、全隊員が一斉に頷く。

 

「GR-2ガーランド隊はA~C班がヴィルデ・ザウ隊と連携して迎撃しつつ侵攻。残る班は本社への入り口を発見し屋内に侵入、制圧をする。……これでいいか?」

 

『『『了解(ラジャー)!!』』』

 

続いて行われた省吾の確認に、隊員達は力強く返事する。すると、GR-2ガーランド隊の1人がこんなことを言った。

 

「それにしても、伝説のガーランド乗りである矢作省吾さんと共に戦えるとは……夢みたいです」

 

「大げさだって。今じゃ隠居して政治に営む1人の男……と言っても、ただの男じゃないけど」

 

照れながら、省吾は首から掛けられたペンダントを弄る。

 

「……お前がソレを動かせると聞いた時は、部下共々目が飛び出る程驚いたぞ」

 

「だろうな。俺だってかなり驚いたし……しかもコイツ、中々高性能ときてるからな。あ、ちゃんとここだけの秘密にしといてくれよ?」

 

「当然だ。だが、いい仕事をするのだな、お前の幼なじみは。……と、そろそろ時間か。諸君! 直ちにマシンを装着、突撃に備えよ!!」

 

『『『了解(ラジャー)!!』』』

 

時計を見て叫んだブラントに隊員達は後方に鎮座しているヴィルデ・ザウに乗り込んだり、MC形態のGR-2ガーランドに跨がると素早く人型に変形させたりした。ブラントもヴィルデ・ザウをカスタマイズした実質上の専用機、ザーメ・ザウに乗り込む。

 

「俺も行かせて貰うぜ!」

 

省吾は左手でペンダントに軽く触れる。と、それを中心に体が輝いていく。程なくして光が収まると、その姿はやや大きめなV字アンテナが特徴的なIS『アストレイアウトフレームD(エールストライカー装備)』に変貌した。

 

そう、彼もISが使える数少ない男性の1人なのだ。

 

アウトフレームの雄姿に皆が感心している時、ブラントの通信機に連絡が入った。

 

「……ふむ。たった今、保護した住民全員の避難誘導が完了したとの報告が入った。何も遠慮することはない。全力で戦うまでだ」

 

不適な笑みを浮かべながら言うブラントに、全員の士気が高まっていく。作戦開始時刻はもうまもなくであり、そして……。

 

「時間だ。総員、突撃!!」

 

「派手に行こうぜ!!」

 

『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!』』』

 

2人の指揮官の合図と共に、全隊員の進軍が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘開始から一時間。戦局はヴィルデ・ザウ隊とGR-2ガーランド隊に分があった。敵部隊は全ての元凶と言える社長夫人『ソランジュ・デュノア』が率いるデュノア社の警備部隊だけではなく、彼女が持っている経済力等をフルに使って招集されたフランス軍所属のIS部隊まで配備されている。しかし、相手は対IS戦を想定して戦闘訓練を行い選抜された猛者達。それもISと違ってシールドエネルギー切れによる戦闘不能の概念がない為、彼らにとっては分が悪かった。

 

IS部隊はヴィルデ・ザウとGR-2ガーランドを重火器による弾幕で仕留めようとするが、パイロット達は優れた機動力を生かして攻撃を巧みに回避、反撃に出る。

 

「コイツを食らえ!!」

 

「ただのビームガンと思って、バカにするなよ!!」

 

『『『うわぁああああっ!?』』』

 

「レーザーブレードだ!!」

 

「接近戦なら勝てると思ったか!!」

 

『『『ぐあぁぁああああああああ!!』』』

 

ISの攻撃も何のその。彼らは一糸乱れぬ連携攻撃を見せつけ、次々とIS部隊を撃墜。操縦者達の身柄を拘束していく。すると、1機のヴィルデ・ザウがザーメ・ザウに通信を送る。

 

「隊長! 社屋への入り口を確保しました!!」

 

「よくやった! 作戦通りガーランド隊は屋内に侵入して制圧! ヴィルデ・ザウ隊A班B班はエリックの救出を頼む!!」

 

『『『了解(ラジャー)!!』』』

 

局面は、いよいよクライマックスへと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかこんなことになるなんて……!」

 

『ざ、残存勢力……20%ですって!?』

 

『ほぼ壊滅だと! そんなバカな……!』

 

『っ! 敵IS、発見!!』

 

『直ちに制圧する!!』

 

『なっ!? し、侵入者発見! 侵入者……うわぁぁああああああああああ!!』

 

「どいつもこいつも役立たずが! たかがガーランドとその派生機に、何を手間取ってるのよ!」

 

侵入してきたGR-2ガーランド隊により、IS部隊が倒される様を管制室のモニターで見て吐き捨てるように言ったのは、全ての元凶である女性、ソランジュ・デュノアである。

 

彼女は焦っていた。デュノア社のメインコンピューターどころか全ての端末が、アメリカ諜報部より送られた新型コンピュータウイルスによって完全に麻痺してしまい、更にこれまで隠してきた脱税等の様々な犯罪行為が世界中に暴露されてしまった。こうなってはデュノア社の倒産は免れず、自身の全財産の差し押さえは勿論、逮捕され裁判になれば有罪が確定。最悪の場合終身刑になる。

 

そうなっては一大事と考えたソランジュは、ふと思い至った。実は彼女は裏でとある組織と繋がっており、ソレを頼りに金を持って逃げようと考えたのだ。

 

「そう、それがいいわ……デュノア社も最早これまで。もう用なんてないわ。部下も新しく作ればいい。どうせ代わりは幾らでも―――」

 

「なるほど。ここまでの非道をしでかして、自分1人だけ助かるというわけか」

 

「っ! 誰!?」

 

「敢えて言わせて貰う……そうは問屋が卸さねぇぞ!」

 

「なっ…………………」

 

突然聞こえてきた声に振り返ったソランジュは絶句した。彼女の目の前に居たのは、ザーメ・ザウから降り怒りの形相で睨み付けるブラントと、同じく激怒し彼女を睨む省吾、そしてブラントの肩を借りて立っているエリックだった。

 

「因果応報って奴だ。テメェが義理の娘であるシャルル……いや、シャルロットちゃんと彼女に味方したエリックさん達にしでかしてきた仕打ちの結果さ!」

 

「何だと!? 男の分際で、偉そうに!!」

 

「それだけじゃない! 金まで持って逃げようとしたことを、俺は聞き逃さなかったぞ! だが残念だったな、そうはいかないぜ!!」

 

「ど、どういうことよ!?」

 

「ここからは私が説明しよう……悪いが君の財産は、全て凍結させてもらった! それに会社としての財産は、エリックの意志によってアメリカ政府に寄付された! 当然、解雇された人達の為にな……最早、貴様の思い通りにはさせん!!」

 

「黙れ……黙れ、黙れぇえええええ!! 下等な男共がっ! よくも、よくもこの私をぉおおおおおおお!!」

 

完全にブチギレたソランジュは、自身のIS『カオスガンダム』を展開。機動兵装ポッドを展開・分離しつつビームサーベルでブラントに斬りかかった。だがアウトフレームD(ソードストライカー装備)を展開した省吾のマイダスメッサーによりポッドは撃ち落とされ、ビームサーベルはシュゲルトゲベールによって受け止められた。

 

「ついに生身の人間にISで襲いかかったか……だったら遠慮はいらねぇな!!」

 

「き、貴様!? 男の癖にISを―――」

 

「そうさ! その男に、テメェは負けるんだ!!」

 

省吾はソードストライカーからランチャーストライカーに換装すると、アグニを構えてゼロ距離から最大出力でソランジュに放った。

 

「ぐぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

シールドエネルギーがあっという間に削られ、カオスガンダムは待機状態になって地面に落ちる。同時にソランジュもその場に崩れ落ちた。

 

「お……お願い……助けて……! もう何もいらない……せめて命だけは…………」

 

「テメェ……!」

 

命乞いをするソランジュに省吾は近づくと襟を掴み上げて立たせ、アウトフレームDのツインアイで睨み付ける。

 

「そうやって助けを求めた人達を、テメェはどれだけ陥れて来たと思ってやがる!? テメェみたいなクズにかける情けなんざ、一欠片もねぇ!! 独房の中でテメェ自身の愚かさを噛み締めやがれ!!」

 

そう言うと、省吾は突き飛ばすようにソランジュを放した。と、そのタイミングで通信が入る。

 

『やっほー、しょーく~ん! どうだった? 『その子』の性能(ちから)は?』

 

「束か…………最高といったところだな。俺にピッタリと合う。だが……俺はプロトガーランドの方がどっちかと言うと好きだな」

 

『あはは、その辺はしょー君の感性だもんね……で、そこに居るクソ女はどうすんの? 殺っちゃう?』

 

「そこまではしねぇよ。……んなことしたら、コイツと同じになっちまうからな」

 

ISを解除しながら省吾は呟く。

 

 

その後、ブラントの通達を受けた警察が到着。捕らえられたIS操縦者の引き渡し及び、ソランジュの逮捕が成された。尚、既に逮捕状は出ていたので通常逮捕という形であった。

 

 

 

このニュースは世界中で緊急報道され、それを見たシャルルが泣いて喜んだのは言うまでもなかった。

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