ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
省吾SIDE
「おうおう、いきなり彰人と一夏の対決か。最初からクライマックスとはよく言ったもんだぜ」
表示された対戦表を見ながら、俺は呟いた。
「あ…見て省吾。みんなが出てきたわ」
由唯の言葉に前を見ると、4機のISがそれぞれ出撃するのが見えた。
「どっちのチームが勝つのかしら?」
「さあな………………さて、お手並み拝見させてもらうぜ。4人共」
俺は持ってるコーヒーを飲み干し、試合を見守ることにした。
彰人SIDE
俺とラウラちゃんがピットから出撃すると、ほぼ同じタイミングで一夏とシャルルが発進してきた。
「まさか1戦目で当たることになるとはな……待つ手間が省けた、と言うべきか」
「そんなとこだな。お互い万全の状態で挑めるし、良いこと尽くしだぜ」
ラウラちゃんと一夏が言い合い、火花を散らす。気持ちは既に戦闘体勢に切り替えてるようだな。
「俺も全力で行くからな、シャルル。手加減は一切無用だぜ」
「それはこっちの台詞だよ?」
俺とシャルルも互いに睨み合う。普段は仲の良い友人だが、勝負となると話は別だ。ルールに違反しない限り、どんな手を使ってでも勝つ。それだけだ。
「彰人、まずはどうする?」
「そうだな……」
試合開始のカウントを見る。5、4、3、2、1、そして―――0。
「各個撃破でいく! 俺はシャルルだ!!」
「了解! なら私は一夏を!」
開始早々指示を出し、俺はスラスターを全開にしてシャルルに向かった。
OutSIDE
「僕の相手は彰人か……!」
そう言うのと同時に、シャルルはGNツインビームライフルで迎撃するが彰人は避けながらビームサーベルを取り出し、シャルルに斬りかかった。
「はぁっ!」
「くっ!」
咄嗟にシャルルはGNビームサーベルで受け止め、空いた左腕のGNビームサブマシンガンを展開、攻撃した。
「うおっと!?」
彰人はどうにか避け、更にシャルルに肉薄する。
「さすがだね彰人。でもこれなら!」
そこでシャルルは一旦距離を取ると、MA形態に変形。GNビームシールドを展開しつつ突撃する。
「速いな……だが!!」
対する彰人もバードモードに変形、機動力を上げて攻撃を回避すると再変形して分割状態のバスターライフルでシャルルを狙い撃った。
「っ!?」
咄嗟にシャルルも再変形してGNビームシールドで攻撃を防いだ。
「ようし…行くぜラウラ!!」
一方一夏は、GNビームサーベルを取り出してラウラに投げつけた。
「ふんっ!」
だがラウラはビームナイフを展開し銃剣モードにしたビームサブマシンガンで、それを弾いた。
「虚を突くとは、やるではないか」
「そりゃどう……もっ!」
一夏はGNソードⅢをソードモードにし、GNソードⅡを左手で持つと一気に接近。勢いよく斬りかかったが―――
「させんぞ!」
切っ先が機体に届く前にアルミューレ・リュミエールを全身に展開。攻撃を完全に防いでしまった。
「っ!? これがアルミューレ・リュミエール……!」
「今度は私から行くぞ!」
アルミューレ・リュミエールで攻撃を防ぎながら、ラウラはビームサブマシンガンを放った。
「チッ!」
距離を取りながら攻撃を避けた一夏は、オーバーブーストを使用してラウラの真後ろに移動。GNソード二本を振り翳すが……。
「っ、ダメか!」
「言った筈だ。完全なる防御だとな!」
やはり攻撃はアルミューレ・リュミエールで防がれ、逆にバリアフィールドの内部から攻撃される。
(まずいな。何か手はないか……ライザーソードで一気に行くとか? いや、あれはエネルギー消費が多い。ラウラを倒せても彰人にやられてしまうかもしれない…!)
回避行動を取りながら、一夏は今後どう行動すべきか考えていた。
「一夏!」
「余所見してる場合か!?」
シャルルは一進一退の攻防を続けている最中で一夏の危機を感じた。しかし、彰人はそう簡単に援護に行かせる真似はしない。
「(だったら!)一気に決める! トランザムッ!」
意を決し、シャルルはトランザムを発動。目にも止まらぬ速さで彰人の死角に移動するとGNツインビームライフルを放った。しかし……。
「……ゼロシステム、起動」
呟くように彰人が述べた直後、彼は振り向きもせずに最低限の動きで弾丸を回避した。
「今の避け方は!? くっ……!」
驚愕しつつも武器をGNビームサーベルに切り替え、今度は真上から斬りかかる。
「…………」
ガキッ!
だが彰人は首すら動かさずに右腕のみを素早く動作させ、ビームサーベルを掲げて攻撃を防いだ。
「そんな! どうして僕の攻撃が―――まさか、これが『ゼロシステム』……!?」
ウイングガンダムゼロに搭載されている
(それなら、こうだ!)
一度機体を遠ざけると、MA形態に先ほどと同じように変形し彰人に突進する。
「その程度……!」
容易く回避する彰人。だが通り過ぎた直後、アリオスは急減速。人型に戻ると、GNビームサブマシンガンを展開して構えた―――が。
「甘い!」
「っ!?」
即座に彰人がツインバスターライフルを構えて振り返ったことに、一瞬動きが固まってしまう。
「ツインバスターライフル、出力最大!!」
そこを逃さず、最大出力のビームをお見舞いする。シャルルは反射的に回避するが機体の左側に当たってしまい、シールドエネルギーが大きく削れた。
「うわあああああああああ!?」
バランスを崩し、シャルルは地面に墜落する。体勢を立て直して飛び立とうとした時、目の前にバスターライフルの銃口が見えた。
「チェックメイト……だな」
「あ…あはは……」
バスターライフルを突き立てて立っているウイングゼロに、シャルルは乾いた笑みを浮かべてへたり込んだ。
「(一か八か、この手でいくか……)トランザムッ!!」
彰人がゼロシステムを発動した時、一夏はトランザムを発動させGNソードⅢとⅡでアルミューレ・リュミエールを斬りつけていた。
「トランザムだと? エネルギーの無駄遣いになるだけではないのか!?」
全方位バリアで守られている状態でのトランザムの使用に疑問を抱きつつ、ラウラはビームサブマシンガンによる攻撃を続ける。その度に一夏は量子化等を駆使して回避し、鋭い一撃を何度も何度も与えていた。
「いい加減……しつこいぞ!!」
ここでラウラはフォルファントリーの狙いを定め、ビームキャノンを放った。
「この一撃で……!」
一夏は量子化して避けつつ目の前にテレポート。GNソードⅢを勢いよく振るった―――瞬間。
ピシッ……パリィン!!
突如としてアルミューレ・リュミエールによるバリアが割れて粉々になってしまった。
「な、何だと!? 何故だ!?」
バリアが破壊された衝撃で後退しながら驚愕の表情を浮かべる。
「うおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!」
この瞬間を待ってたと言わんばかりに、一夏はGNソードⅢを正面に構えて一気に加速した。
「っ、まだだ! まだ勝負は決してない!!」
対するラウラも闘志は捨てず、マスクの下で眼帯を外しヴォーダン・オージェで変化した金色の瞳を露出。状況判断能力を上昇させ、ウイングバインダーの先端部にあるアルミューレ・リュミエールを機体全部にランス状に展開。スラスターを全開にして突撃する。
これこそ、ラウラがハイペリオンが登場する作品を見て研究し、自分のものにした必殺技―――フォルファントリー突撃である。
「はぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!」
二機はスピードをMAXにし、互いを目掛けて突き進んでいた。
「ん……?」
その様子を彰人がチラリと見た時、ゼロシステムは彼にあるビジョンを見せていた。それを見た途端、彰人は血相を変えて叫んだ。
「っ、よせ一夏!! ラウラを撃墜するんじゃない!!」
同時にスラスターを噴かし、シャルルを無視して一夏達の元へ向かった。1人残されたシャルルは何故見逃されたのか不可解に思いつつ、ラウラ撃墜の絶好のチャンスを邪魔されまいとすぐに彰人を追いかけた。
「「うおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
「ダメだぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」
「させるかぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!」
4人の叫びがアリーナに木霊する。そして―――
ザシュッ!
―――一夏の剣が、ラウラの機体を切り裂いていた。彼は下に潜ることで彼女の突撃を回避したのだ。
「かはっ……!」
強烈な一撃を受けたラウラは、真後ろの壁へと吹っ飛び、激突した。
「はぁ……はぁ……やったぞ……!」
「まずは、一機撃墜ってとこだね……!」
勝利の余韻を噛み締める一夏とシャルル。しかし彰人だけは仲間が撃墜されたことの悔しさとは別の、強い危機感を抱いていた。
「なんてこった……最悪の事態だ……!」
ラウラSIDE
一夏の斬撃を受け壁まで吹き飛ばされた私は、息を切らしながら驚きを隠せないでいた。
(一夏の奴、まさかアルミューレ・リュミエールを一点集中で破るとは……!)
そう。あの無意味に思えた攻撃は、全て正確に1カ所のみを攻撃し続けていたのだ。どんなに強固なバリアでも、攻撃していけば疲労が蓄積される……それを読んでの行動だったんだろう。
だとしても、だ。同じ場所を正確に攻撃するなど、普通の人間にできる筈はない。
(おまけに先ほどの突撃も、ギリギリで避けられてしまった……ある種の恐ろしさを感じるな)
そしてそれは、一夏だけに言えたことではない。ハイパーセンサーで見ていたのだが、彰人もゼロシステムとやらを使いこなしてシャルルを圧倒していた。あれには、さすがの私も危惧の念を抱いた。
(ダメージレベルD……最早これまでか。世の中上には上がいる、ということか)
彼らの強さにどこか納得しつつ、自分の敗北を噛み締めていた―――その時だった。
『―――願うか? 汝、力を欲するか?』
(何……?)
どこからか、突然声が聞こえてきた。……力………か。
(……欲しくないと言えば嘘になる。負けたのは正直悔しいし……いつか、2人に勝つだけの力を身につけたいとは思う)
とは言っても、その道が平坦なものではないことはわかる。かの仮面ライダー響鬼でも、音撃戦士達は自らの体を常日頃から鍛え続けていたし、私が今こうしていられるのも当時教官だった織斑先生に鍛えてもらったからだ。
(また鍛えることになるか。ふふ、少々滅入ってしまうが……やり応えは『良かろう。汝に、強力無比の力を与えよう』……? 何なのだ先ほどから? 力とは一体―――うぐぁあああっ!?)
再び聞こえた声に違和感を覚えた時、私の体に痛みが走った。まるで何かが侵食しているかのような、そんな感触だった。
(な、何だこれは!? 私が、私でなくなっていく……い、嫌だ……! 助けてくれ、彰人っ!!)
彰人に助けを求めた瞬間、私の意識は途絶えた。
彰人SIDE
「うぐぁあああっ!?」
「ラウラちゃん!?」
ラウラちゃんから悲鳴が上がり、ハイペリオンガンダムから凄まじい雷撃が放たれる。……こうなってしまったか……。
「い、一夏。ラウラに、何が起きてるの……?」
「俺が聞きたいくらいだ。けど、彰人はこうなることをゼロシステムで知ってたみたいだな」
「まあな……」
目の前で変形―――否、装甲が溶けてドロドロになって変化していくハイペリオンガンダムを見ながら俺は呟いた。
あの時、ゼロはこの事態……
「なのに俺は、ラウラを倒してしまった……すまない」
「気にすんな。こうなるなんて、俺以外の誰も予想できる訳な「助けてくれ、彰人っ!!」い?」
話してる途中で聞こえた叫びに振り向くと、ドロドロに溶けた装甲が悲痛な顔をしたラウラちゃんを飲み込み、表面を流動させながらゆっくりと地面へと降りて大地に辿り着いた直後、凄まじい速さで全身を変化、成形していく。その姿には見覚えがあった。以前ドイツに居た時にチラッと見せてもらったことがあるものだ。
千冬さんの現役時代、搭乗機のガンダムエクシアのパワーアップ案の1つとして考案されたものの本人が拒否し、お蔵入りとなった赤と黒のエクシア。
その名も―――ガンダムエクシアダークマター。
俺達の目の前には、ソレが立っていた。
本作でのVTシステムの起動設定は変更してあります。