ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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55th Episode

「「疲れた……」」

 

昼休みの食堂にて、俺と一夏はげんなりとテーブルに突っ伏して同時に呟いた。

 

「また戦いか?」

 

「ああ。それも連日連戦……全然疲れが取れやしない」

 

「昨日ついに千冬姉さんに相談しといたからどうにかなるとは思うが……懲りずに挑んできそうで怖い」

 

「お2人とも、苦労なさっているのですね……」

 

今度は椅子の背もたれに思い切りもたれる俺達に、セシリア達が憐憫の視線を向けてくる。

 

「ていうか、みんなしつこすぎなのよ。束になって敵わない時点で諦めればいいのに」

 

「うーん、女尊男卑思想が染み付いちゃってる人には難しいんじゃないかな? 自分のアイデンティティを否定されてるみたいで」

 

「なるほど。気持ちはわからんでもないが……それでもやり過ぎだとは思うな」

 

口々に意見を言い合う。やはり俺と一夏の身に起きてることに、思うところはあったようだ。……まあ、それが普通なんだけどね。

 

「……あの、みんな一旦そこまでにしといて」

 

と、ここで簪が話し合いの場を収め、俺を見た。

 

「……彰人。今度の週末って、何か用事ある?」

 

「いや。ないけど……どうかしたの?」

 

「……ちょっと私達の買い物に付き合って欲しいんだけど」

 

「買い物? それならお安い御用だけど、何を買うんだ?」

 

「……もうすぐ臨海学校があるから、水着を新調したいと思って……どれが似合うか選んで欲しいの」

 

簪の言葉に俺は納得すると同時にドキリとさせられた。簪達の水着姿……軽くイメージしけど、やばい。何だか興奮してきてしまった。想像なのに。

 

皆も簪の言ったことにハッとしたのか、期待するように俺を見てきた。箒ちゃんと鈴ちゃんは、一夏に簪が俺に言ったのと似たようなことを言っていた。俺と一夏は顔を見合わせると各々の恋人へと視線を戻す。言うべきことは、決まっていた。

 

「わかった。俺でよければ、一緒に行こう」

 

「上手くコーディネイトできるかわからないけど、俺でいいなら」

 

そう言うと、みんなはぱあっと表情を輝かせた。そんなに嬉しいものなのかな? 選んで貰えるのって。それとも単にデートみたいだから…か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週末、日曜日

 

「はぁ~。やっぱ広いな、ここ」

 

駅前のショッピングモール『レゾナンス』に入った俺はその光景に感嘆の声を漏らした。中学の頃に一夏や弾達とちょくちょく来ていたからよく知っているとは言え、その広さと人の多さにはいつも驚かされてばかりだ。今日は水着を買うだけと思っていたが、ラウラがあまり私服を持ってなかったことがわかったので、急遽そちらも買うことになった(さすがにそっちはシャルに任せた)。

 

ちなみに今回の買い物だが、俺と一夏は最初店の入り口付近で待機していて、最終的な候補が決まったら順次持ってくるようになっている。さすがに女性物の下着売り場に男である俺と一夏が踏み入れるのは、抵抗があるものな。

 

「では皆、行こう。……しかし、どんな水着にすればいいものか……」

 

「自分で可愛いと思ったものでいいんじゃない?」

 

「私は、あまり派手なものは着たくないが……」

 

「うーん……彰人に褒めて貰えるようなものがあるといいな」

 

「こんなにたくさんあると、探すのにも一苦労ですわね」

 

「……本音はある程度露出があった方がいいって言ってたけど、どうしよう」

 

女子達は口々に言いながら店の奥に入って行った。俺達は普通に待っていようと思ったが、女性の買い物はとても長いことを以前弾の愚痴で聞いたことがあるのを思い出した。

 

「折角だ、俺達も新しく水着を買おう」

 

「おう、いいぜ。暇つぶしにゃ持ってこいだ」

 

俺達は移動して男性の水着売り場へ行くと、店内を物色して気に入った水着を一着ずつ選んで買った。基本的には俺も一夏もトランクスタイプだが、色が異なっている。ちなみに俺のが赤で一夏のが青だ。

 

 

俺達の買い物は終わったが、女子達はまだ候補が決まってないみたいで誰も入り口付近に集まってなかった。なので近くにあったベンチに座って一夏と談笑していると、声を掛けられた。

 

「ちょっとそこの貴方達。そこの水着、片付けておいて」

 

明らかに見ず知らずの女性が、命令するかのように言ってきた。その足下にはいくつか水着が散らかっている。それを片付けろということか。

 

「冗談はよしてくれ。それが初対面の人に言うことか? ていうかそれ以前に、そんなのは自分でやるのが常識だろ」

 

「それに人に命令するのが癖になると、ヤバイことになるぜ? いや…既に癖になっててそれしかできないってことか? だとすると、アンタの頭が心配だな」

 

「へぇ、そう言うこと言うんだ。男が女に口答えできると思ってるの? こっちは訴えることもできるんだけど?」

 

言うが早いか、女性は警備員を呼ぼうとした。やはりガーランドという抑止力があるとは言え、女尊男卑が浸透した結果、こういう人達が世に蔓延ることになるのに変わりはないようだ。

しかし訴えられるのはさすがにまずい。俺はこういう時の為の手段を使うことにした。

 

「おいおい、俺を訴えるのは勝手だけど、その後はどうするつもりなんだ?」

 

「どうするって、有罪になって終わりじゃ―――」

 

「お生憎様。ここの店には監視カメラもあるし、こんなこともあろうかと、俺はこんなものまで持ってるんだよ」

 

懐からボイスレコーダーを取り出して女性に言う。何かあった時に咄嗟に使おうと思って買っておいたのが、功を奏したようだ。

 

「物的証拠じゃ俺達の方が有利。アンタの証言だけじゃ、訴えるのには不十分なんだよねぇ」

 

「それに、だ。仮にもし裁判で有罪にできたとして、世間に何て伝わると思う? 水着を無理矢理片付けさせようとして片付けなかったから訴えた……かな。そうしたら、アンタは余りにしょうも無い理由で裁判を起こしたことで後ろ指を指されることになるんだけど……それでも構わないのかなぁ?」

 

「っ……! お、覚えてなさい!!」

 

俺と一夏ですんごい挑発するように言うと、女性は顔を真っ赤にして走り去って行った。覚える気なんて更々無いんだが。

 

そうこうしていると、セシリア達が集まってきた。

 

「お待たせしました、彰人さん」

 

「ああ、候補が決まったのか。で…どんなのだ?」

 

「うん。こういう感じなんだけど……」

 

そう言うと、みんなはそれぞれ水着を二着ずつ見せてきた。

 

「……最終的に候補を2つに絞り込んで、後は彰人に決めて貰おうと思ったの」

 

「彰人はどちらが似合うと思う?」

 

「そうだな……」

 

俺は顎に手をやりながら、チラッと一夏の方を見る。と、箒ちゃんと鈴ちゃんも水着を二着ずつ持っていた。考えることは皆同じらしい。

 

「俺の意見としては―――」

 

何度か悩みながら、俺はみんなの水着を順次選択していった。どんな水着になったかって? そいつは向こうに行ってからのお楽しみだ。それにしても臨海学校が楽しみだ。早くその日にならないかな?

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