ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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57th Episode

夕食の時間になり、俺達は大広間に集まっていた。一年全員がずらりと並んでおり、お膳と座布団が同じく綺麗に並べてある。ちなみに全員浴衣を着ている。此処じゃ食事中は浴衣着用っていう決まりがあるらしく、俺も一夏も着てるけど……何でそんな決まりがあるんだろう?

 

それと俺達の席だが奥側を選んでおり、俺の右側と左側にそれぞれにシャルとラウラが、俺の真正面と斜め左に簪とセシリアが居る。んで俺から見て斜め右が箒ちゃんで、そこから隣へ一夏、鈴ちゃんという並びだ。そして食前の挨拶をし、早速刺身を食べ始める。

 

「うん、美味い! やっぱり刺身に本わさは欠かせないな」

 

「だよな。このつーんとする感覚が何とも言えない心地よさを出してる」

 

「わさびがあるか無いかでは味が大きく違うからな。これ無くして、刺身は食えない気がする」

 

「わさび? 一体何なんだ、わさびとは?」

 

俺と一夏と箒ちゃんが和気藹々と話していると、ラウラちゃんが尋ねてきた。やっぱりわさびは知らなかったか。まあドイツに居たんじゃあ、食べる機会もないからな。この機会に教えてあげよう。

 

「わさびって言うのはな、ここに小さく盛られている緑色の物体のことを言う」

 

「これのことか?」

 

「そう。これを刺身に少量乗せて、醤油をつけて食べる。先に醤油に溶かしておくという手もあるけど、こっちの方がわさびのおいしさをより感じられるんだ。あ、つけ過ぎには―――」

 

「ふぐっ!?」

 

「?」

 

突如聞こえた奇声に思わず隣を向くと、口と鼻を押さえて悶絶するシャルが居た。机に落ちてる箸にはわさびが付いてる。てことは……。

 

「シャル……さてはわさびをそのまま食っただろ? ほら、これ飲んで」

 

俺は湯飲みにお茶を入れるとシャルに渡す。受け取るや否や、シャルはお茶を一気飲みする。

 

「う……ぷはっ……ふ、風味があっておいひいね……?」

 

「無理して言わなくてもいいのに……けど、これからは気をつけてくれよ」

 

俺が言うと、シャルは何度か頷いてまたお茶を飲んでいた。俺はシャルを心配そうに見ているラウラを再び見た。

 

「わさびを食べ過ぎるとこうなる。わかったか?」

 

「あ、ああ。では……」

 

ラウラは刺身の上にわさびを少量乗せると、醤油につけて頬張った。何度か噛んで飲み込むと、ラウラはとても良い笑顔になった。

 

「美味しい! こんなに美味しいものは、初めて食べたぞ!」

 

「喜んでくれて何よりだ」

 

俺もラウラにつられて笑顔になる。誰かの笑顔を見ていると、見てる側まで幸せになる。こうやって幸せが広がればいいのに、と子供の頃はよく思っていたもんだ。

 

「ん……つぅ……」

 

その時、セシリアの声が聞こえた。どこか痛々しそうな声に前を見ると、辛そうな表情をしたセシリアがもじもじとしていた。

 

「どうしたセシリア? 大丈夫か?」

 

「は……はい…彰人さん…………だいじょう、ぶ…ですわ……」

 

どこをどう見ても無理をしているのは明らかだった。

 

「正座で足を痺れさせたのか。無理もないけど」

 

「……セシリア。無理に我慢しなくても、テーブル席に移ったら?」

 

簪が諭すが、セシリアは頑として首を縦に振らない。けど、これじゃあ食事が一向に進まない。……仕方ない、この手を使うか。

 

「わかった。でもこのまま痺れが取れるのを待ってたら、料理が冷めちゃうから……俺が食べさせてあげようか?」

 

「「「「!!??」」」」

 

その瞬間、セシリアだけではなく他の3人も同時に反応した。思わず後ろに下がりかけるが、気を取り直す。

 

「あ、彰人さん、そ、それは本当ですの!? 食べさせて、下さるんですの!?」

 

「ああ。折角のご馳走が傷んだら大変だからな」

 

「そ、そうですわね! 折角のお料理を、残したらシェフに申し訳ありませんもの!」

 

必死で建て前を取り繕うセシリアに苦笑しつつ、俺は刺身を箸で摘んで食べさせてあげる。

 

「……ん?」

 

(((じー……)))

 

ふと見ると、簪、シャル、ラウラが羨ましそうにこちらを見ていた。

 

「……そんなに見つめなくても、順番に食べさせてあげるから」

 

そう言うと、3人はぱあっと表情を輝かせた。……不覚にも、かなりドキッとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏SIDE

 

「おうおう、彰人の奴やってるな~」

 

セシリア達とはい、あーんをしている彰人を見てニヤニヤしながら言う。どうもこういうのは見てると笑みを浮かべてしまう。何でだろう?

 

「……なぁ、一夏」

 

「ん?」

 

「私達には……してくれないの?」

 

箒と鈴がねだるように俺を見てきた。……そんな目で見られたら、断れないじゃないか。

 

「勿論するさ。順番にな」

 

すると、2人はたちまち笑顔になる。はぁ……俺も彰人のこと、笑えなくなったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

「ふぅ、さっぱりした~」

 

「やっぱ温泉はいいな。これぞ文化の極みって奴だ」

 

食事の後、俺と一夏は露天風呂に入った。海が一望でき尚且つ広々としていたので、俺も一夏も大満足で今に至る。んで部屋に戻ったのだが。

 

「あれ? 千冬さんがいない」

 

「ミーティングでもしてるのかな? それとも温泉か」

 

言いながら地面に座る。そのまましばし談笑を続けていたが、ふと一夏が急に真面目な顔をして切り出した。

 

「あのさ、話は変わるけど……俺のISの能力、トランザムバーストは何で積まれたと思う?」

 

「へ? 何でってそりゃあ、神様に機体頼んだからだろ? 原作再現ってことで」

 

「それはそうかもしれないけど、束さんはどんな想いでこれを組み込んだのかって最近思ったんだ。いくら神様が決めたことだからって、束さんが何も考えずにトランザムバーストとかゼロシステムとか、積むと思うか?」

 

「……思わないな。むしろ、何か裏があるように思う」

 

言われてみて気づいた。束さんは原作からしてミステリアスで何を考えているのかわからない人物像だった。一歩間違えば操縦者の危険が伴うゼロシステムを搭載したのも、考えがあってのことなのか?

 

「けどさ、俺達にどうしろって言うんだ? トランザムバーストで全人類を和解させろとでも? それかゼロシステムで希望ある未来を導けとか?」

 

「それは……俺にもわからん。今度束さんに会ったら思い切って聞いてみるか。答えてくれるかわからないけど」

 

「そうした方がいい」

 

ごろんと寝転びながら俺は言った。けどもし、束さんの考えてることがトランザムバースト+ゼロシステムによる全人類の和解だとしたら、どうする? 俺達にそんな大役が務まるのか? クソッ、いくら考えてもわからない。……仕方ない。こういう時は無理に考えず、目の前のことを考えていこう。っと、そういえば明日はISを使うんだったな。軽いメンテナンスでもしとくか。

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