ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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夏休み編
64th Episode


「……何で俺ばっかりこうなるんだろうな……」

 

ある日の昼休み。俺は一夏と偶然通りかかった男性用務員の轡木十蔵さんに愚痴を零していた。この轡木さん、柔和で親しみやすい人柄から『学園内の良心』と言われている。俺も最初は取り留めない話をしていたのだが、いつの間にか愚痴っていた。

 

「絶対さ、俺より一夏の方がイケメンだと思うんだよ。周りの女子に告白されたことなんてなかったし、あったとすれば俺経由で一夏に告白を伝えてくれって奴だったし」

 

「ああ、片っ端から断ってたアレか。けど、んなこと言われてもな……案外お前の方がカッコイイんじゃね?」

 

「ええ? それこそないって。俺の顔は平凡だし」

 

「ふふ……一夏君が言ったのは内面的なカッコ良さではないでしょうか?」

 

「内面的、ですか?」

 

微笑みながら言った轡木さんに、俺は首を傾げた。内面的って、顔はアレだけど性格は良い人ならいくらでもいるんじゃ?

 

「あ。確かにコイツ、いつもカッコイイ台詞言ってるな。それもここぞという場面で」

 

「……そうだっけ?」

 

「言ってたじゃないか。シャルロットの時だって、操真晴人の決め台詞使ってたじゃんか」

 

「いや、あれは体に染み付いてるというか。てかそれ言うならお前だってそうじゃないか」

 

「操真晴人? ドラマか何かの登場人物でしょうか?」

 

「あ、それはですね―――」

 

頭に?を浮かべていた轡木さんに、俺は仮面ライダーシリーズについてかいつまんで話した。

 

「―――で、俺と一夏は仮面ライダーに出てくるようなカッコイイ人に憧れてて、よく決め台詞やカッコイイ台詞の練習とかをしていたんです」

 

「そういうことだったんですね。納得がいきました……だから彰人君は、複数の女性に想いを寄せられるのですね」

 

…………………ん? 何か轡木さんがおかしなことを言ったぞ?

 

「ち、ちょっと待ってください。今の流れで何故そのような結論が?」

 

「君が行動力に富んだ人物だということは前々から噂されていましてね。『あたかもヒーローみたい』だそうですよ?」

 

それ簪が言ったんじゃないか!? 広めちゃってどうすんの……!

 

「ヒーローのような行動にヒーローのような言動……女の子なら誰しも、そんな人に惹かれるのではないでしょうか?」

 

「そうかもしれませんけど、それでしたら一夏だって似たようなもんですよ?」

 

「いやお前の方が俺より積極的に行動してたからな?」

 

「え……」

 

一夏のツッコミを受けて、俺は全てのピースが当てはまっていく感覚に陥った。そうだ……箒ちゃんや鈴ちゃんのことはともかく、IS学園に来てからは俺が率先して行動したんじゃないか。セシリアも、簪も、シャルも、ラウラも……原作で一夏が行う部分を俺がやってしまったんだ。だから、一夏じゃなく俺を……。

 

「……なーんだ、結構簡単な理由だったんだ。わかってスッキリしたぜ」

 

「おいちょっと待て。お前、自分の恋人が多すぎることに悩んでいたんじゃなかったのか?」

 

「違うよ。何で俺の方が数多いのかなーって疑問に思ってたんだよ」

 

「……そうだな、お前は昔からそういう奴だったな」

 

「そういう奴とは?」

 

「コイツ、『無理を通して道理をぶっ飛ばす』を座右の銘にしているんですよ」

 

「ああ…だから疑問を感じる点が違ってたんですね」

 

轡木さんに一夏が説明すると、更に納得したような表情になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後轡木さんと別れると、俺達は廊下の窓から外を眺めた。どこからかセミの鳴き声も聞こえてくる。

 

「もう夏なんだよな……」

 

「そういえば後少しで夏休みか。変に長かった気がするよ」

 

IS学園はもう少しで夏休みに入る。中学の時はクラスの男子と一緒に合宿的なものをやってたが、今年の夏はどうやって過ごそうか……。

 

「……カラオケでも行くか?」

 

「カラオケ? 別にいいけど……ってまさか5時間歌いまくる気か?」

 

「おう。前にもやったことあるだろ?」

 

「そうだけど、あの時は人数大分居たからな。弾と数馬も誘うのか?」

 

「いいや誘わん。2人で思う存分歌いまくる!」

 

「俺等だけかよ……まあでも、たまには親友と2人ではめを外すのも悪くはないな」

 

「んじゃ、決まりな」

 

とまあ一夏とカラオケの約束をしたのだが、その時一瞬だけ誰かの気配がした。

 

「ん?」

 

「彰人?」

 

「今、誰か近くに居なかったか?」

 

「いや、気のせいなんじゃないか?」

 

何か嫌な予感がしたものの、気のせいだと片付けて俺達はその場を立ち去った。にしてもカラオケ行くのは今年に入ってから初めてだな。何を歌うのか今の内から決めておこうかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某レンタカー店の中にあるカラオケルームにて。

 

俺と一夏は若干気落ちした表情で椅子に座っていた。別にカラオケが急に嫌になったという訳ではない。

 

「ここがカラオケルームというところなのですね。思ってたより広いですわね」

 

「何だか薄暗いな。どこもこんな感じの暗さなのか?」

 

「多分そうじゃない? ジャ○レン以外行ったことないからわかんないけど」

 

「あ、メニュー表がある。食べ物や飲み物を頼むことができるんだね」

 

「なら冷たいお茶を頼んでおいた方がいいだろう。大声を出した後はのどが枯れるからな」

 

「……戦隊とライダー、どっちから歌おうかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「どうしてこうなった……」」

 

そう、カラオケに行く途中で偶然(を装った)セシリア達に出会い、同行することになってしまったのだ。

 

「ちょっとちょっと2人とも、テンション下がってない? 折角のカラオケなんだから、明るく行きましょう?」

 

「「誰のせいだと思ってるんだ!!」」

 

俺達は『明るく楽しく』と書かれた扇子を持った刀奈を睨み付けて言った。というのもこうなったのは彼女が原因で、俺が一夏と簡単な約束をした日に偶然聞いていたらしく(あの時感じた気配は刀奈のだった)、セシリア達に情報をリークしていたのだ。

 

「ったく、久々に2人で全力出して歌えると思ったのに……まあ他ならぬ簪達だからいいけど」

 

「これで赤の他人来たら俺も即帰ってるな。けど、どうしてこんなことを?」

 

「んー、そうねぇ……単純に2人の歌声がどんなものか気になったのと、この中じゃ私が一番新参者だから、何かしないとってつい思っちゃったの」

 

ウインクしながらペロリと舌を出して言う刀奈。彼女のことだから、どっちも本心なんだと思う。でなきゃ何か仕返ししてやる。

 

「……まあ、過ぎたことを言ってても仕方ない。歌おうか」

 

「そうだな……って、アイツ等既に入力してるし」

 

しかも曲が流れ始めてる。この曲は確か……幸せの砂浜?

 

「夕焼け空~」

 

(おっ)

 

セシリアが歌うのか。てか何気に歌上手いな。

 

「中々上手かったよ、セシリア。次は僕だね」

 

今度はシャルがマイクを手に取る。その間に俺と一夏は曲を入力していくが―――

 

「わたしが願うすべて~」

 

(ほう、これは……)

 

自主恋Shoooooter!を歌うのか。これまた上手いし。心の中で感想を言いながら曲が終わるのを待ち、そして次の曲になる。

 

「キミを見てるといつも~」

 

箒ちゃんはふわふわ時間を歌っていた。みんな歌唱力高いな~……声綺麗だし。

 

「次は私よ! ……タラリンTurn it up~」

 

スタ→トスタ→を元気よく歌う鈴ちゃん。何だかこっちまで元気になって来そうな感じになる。

 

「む、私の番か。では…I saw unswerving~」

 

ラウラが歌っているのはSteadfast。意外と上手いな……向こうでも歌ったことがあるんだろうか?

 

「……わ、私の番だね。えっと、光の街の天使達に~」

 

お、簪が歌ってるのはデカレンジャーか、懐かしい歌だな。デカブレイクの真似をよくやったっけ。

 

「今度は私が歌う番か。……ねぇ、こんな~」

 

DAYBREAK'SBELLを歌う刀奈。うーん、上手い! ていうかみんな上手い!

 

「よし、次からは俺と一夏の番だっ」

 

「交互に歌うんだからな。間違えんなよ?」

 

やっと5人の歌が終わり、俺と一夏の番になる。交互に歌っていくんだけど……ほぼ衝動的にやったせいで入力した曲の数が半端じゃないことになっている。これ、二桁超えてるけど……歌えるよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……!!」」

 

結論から言うと、死に物狂いで全てを歌いきることができた。てか時間のほとんどを一気に歌って使い切るってどうよ……休憩挟むべきだったよ……。

 

ちなみに歌ったのは序盤だけでも―――

 

 

 

 

 

 

『マジか! マジで!? マジだ!!』

 

『今っにも、飛び抜ける~』

 

『チェンジッ! チェンジッ! ゲッター!!』

 

『友よ一緒に、腕を組め~!』

 

『名~護~シーステム』

 

『エイッエイッ、オー!! エイッエイッ、オー!!』

 

『溢れ出す、感情が』

 

 

 

 

 

 

―――……等々。もう途中からは何を歌ったかすら覚えていない。あ、ただし最後の曲名がReckless fireだったのには覚えている。

 

「し、死ぬかと思った……主に喉が」

 

「酸欠で若干クラクラしやがる……新鮮な空気をっ」

 

すっかりダウンしてしまった俺達だったが、みんなが心配して声を掛けてこないことに気づいた。心配する必要はないと思われてるのか? と思って見てみたら……。

 

「な、何て迫力の歌ですの……痺れてしまいましたわぁ」

 

「「か、カッコよかったよぉ……」」

 

「何て素晴らしいんだ……心を撃ち抜かれてしまった……」

 

「身体も心も熱くなっている……この気持ちは、何なのだ?」

 

「やば、興奮しすぎて鼻血が……」

 

「私も……」

 

何故か俺達以上にグロッキーなことになっていた。鼻血まで出るようなことなのか!? ていうかいつからそうなった!? 途中から酸欠気味だったんで全くわからないんだけど!

 

「……時間も時間だし、帰るか」

 

「……そうしよう」

 

時間が来たのとグダグダになったこともあり、俺と一夏はセシリア達を正気に戻してジャ○レンを後にした。……どうしてこうなってしまったんだろう。




今回のカラオケ、簪以外のヒロインのチョイスは全部声優ネタです。
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