ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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69th Episode

一年一組

 

「ここが、彰人君達がやっている喫茶店よ」

 

列に並びながら、刀奈は繁盛している俺達の教室を指す。

 

「結構繁盛してるんだな……他のとこと客の勢いが違う気がするが」

 

「そこは気にすんな。それより、次は俺達だ」

 

前の客が席に移動し、案内し終えた一夏がやってくる。

 

「いらっしゃいませ……って、弾と数馬じゃないか」

 

「よお一夏! 執事やってるって聞いたが本当だったんだな」

 

「ったく似合っちゃって。だからお前はモテるんだろうね」

 

「いやそれはわかんないが…でも何で彰人達も? 案内してたのか?」

 

「そんなところだ。それよりどうだ、売り上げは?」

 

「見ての通りさ」

 

教室全体を見渡し、肩をすくめながら言う一夏。この様子なら売り上げは大丈夫だし、俺が抜ける分の余裕はまだありそうだ。

 

「で、これからどこに行くつもりなんだ?」

 

「次は二組に行く予定よ」

 

「てことは鈴か。……あれ? 何かか…楯無さんが仕切ってる?」

 

「ああ、ご覧の通り仕切られてる」

 

苦笑して一夏に言う。さすがは生徒会長の肩書きを持っているだけあり、色々な場面で刀奈は率先して先導していく。……率先して変なことをやらかすこともあると虚さんから聞いたが。

 

「2人とも、聞いての通りだ。今から二組行って鈴に会うぞ」

 

「おう。久々の再会といくか」

 

「そうだね」

 

久しぶりに再会するであろう中学時代の友人に思いを馳せる2人と共に、俺達は二組へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年二組

 

ここは中華喫茶をやっているようで、クラスの女子のほとんどは色取り取りのチャイナドレスを着ている。

 

そんな中でクラス全体を見渡していると鈴ちゃんを見つけた。丁度接客を終えたタイミングだったので、声を掛けることにした。

 

「おーい、鈴ちゃん!」

 

鈴ちゃんは俺の方を見ると、俺の後ろに居る2人に一瞬目を丸くするものの、すぐに笑顔になって駆け寄ってくる。

 

「よう鈴! 久しぶり!」

 

「元気にしてたか?」

 

「弾! 数馬! そっちこそ久しぶりじゃない! ていうかよく来られたわね」

 

「彰人に招待券を貰ったんだ」

 

俺を指して言う弾に、鈴ちゃんは納得したように何度か頷く。と、ここで鈴ちゃんは2人が背負っているものを見てあることに気づいた。

 

「そういえば、簪が彰人と一夏に男子の助っ人を紹介してくれるよう頼んだって言ってたけど、それって弾と数馬のこと?」

 

「正解。で、ライブ会場まで案内しているんだけどまだ時間があるから、立ち寄ったんだ」

 

「へぇ~……私は時間的に見に行けないけど、成功を祈ってるわ」

 

「ああ、期待していてくれよ!」

 

激励の言葉を貰ったところで、俺達は二組の教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特設ライブ会場

 

アリーナの1つに作られたライブ会場に俺達はやってきた……のだが。

 

「あ。彼って確か、天を獲るって言ってた人?」

 

「隣にいるのは更識会長? でも後ろにいる2人は……誰だろう、友達かな?」

 

「う~ん、私は茶髪の人が好みかな?」

 

「そう? 私はその隣の人だと思うけど」

 

もう歩いているだけで注目が集まる集まる。俺と刀奈は苦笑し、弾と数馬は顔を顰めていた。

 

「彰人、お前等の普段感じてる気持ちがようやくわかった……」

 

「よく今まで無事でいられたな……」

 

「知り合いが居たのと、早い内から皆と打ち解けることができたからね」

 

弾と数馬が理解してくれたことに内心感謝しながら、肩をすくめて言う。

 

その後、控え室兼集合場所となっている更衣室の前に来て弾にノックを促すと、ドアを三回ノックして「あの、四組の助っ人として来た弾と数馬です……」と緊張気味に言う。するとドアの向こうから「どうぞー」と声が聞こえた。

 

「「し、失礼します……」」

 

完全に緊張しながら部屋に入る。その直後―――

 

パンッ! パンッ!

 

『『『ようこそ、一年四組へ!!』』』

 

クラッカーを一斉に鳴らされながら四組の女子達が出迎えてくれた。そのことに弾と数馬は驚きつつ、中へと入る。

 

「更識さんから話は聞いているわ。2人とも、今日はよろしくね」

 

「「……はい!!」」

 

1人の女子が期待して言った言葉に、2人は真剣な眼差しで頷く。まだ緊張しているとは言え、スイッチが入ったようだ。その時、俺達の後ろから声が聞こえてきた。

 

「6番、後5分で出番です」

 

振り返ると虚さんが居た。連絡事項を伝えに来たようだが、丁度弾と目が合った。

 

「あ……貴方は、あの時の!」

 

「っ、まさか……!」

 

二度目の再会に言葉が出ない2人。青春してるねぇ。刀奈なんてニヤニヤが止まらないって顔してるよ。

 

「いけない、もうこんな時間! 早く行かないと!」

 

そう言って先ほどまで座っていた女子達が部屋から出て行った。頑張ってな~。

 

「ところで虚ちゃん、2人の出番は?」

 

興味本意に刀奈が虚さんに問いかけると、持っていたプログラムを見た。俺も横から内容を覗き込む。

 

 

 

 

 

 

 

『一年四組主催・特設野外ライブ~私達の歌を聴け!!~』

 

1日目

 

(1)Round ZERO~BLADE BRAVE (2)W-B-X~W Boiled Extreme~ (3)JUST COMMUNICATION (4)Switch On! (5)Shout out

 

休憩

 

(6)守護神-the guardian (7)Realize (8)Action-ZERO (9)Double-Action Strike form

(10)Alive A life―全員合唱ver―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……色々と濃いラインナップだった。しかも最後に龍騎の主題歌を合唱か……混ざりたいな。

 

「お2人の出番は…9番の『Double-Action Strike form』ですね」

 

ふむ、今が6番だからまだ時間はあるな。

 

「じゃあ俺は先に観客席に行ってるよ。楯無も行くか?」

 

「ええ」

 

ここで俺と刀奈は観客席に移動しようとしたが、

 

(ん?)

 

偶然にもスタンバイしている簪を見つけた。刀奈は気づいてないようだが、可愛い衣装を着ているな……あ、目が合った。

 

「どうしたの?」

 

「いや、何でもない。先に行っててくれ」

 

「? わかったわ……」

 

先に刀奈を観客席に行くように言うと、俺は簪にそっと手を振った。簪はニコリと微笑んで手を振って返してくれた。俺は同じく笑顔になると、刀奈を追いかけ観客席へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後俺は刀奈と、弾達の活躍を見たいと言ってやってきた一夏と共に簪達の歌う『Action-ZERO』を聴いていた。

 

「心に響くな……」

 

「素晴らしいの一言だ」

 

「ええ。あんな風に歌い上げるのは私にだって難しいわ。さすがは簪ちゃんね」

 

やがて歌が終わり簪達がステージから下がると、ステージ袖から弾と数馬が緊張気味に歩み出てきた。無理もないか。

 

見守っていると2人は目を閉じて一度深呼吸した後、一気に見開いて楽器を掻き鳴らし、歌い始めた。周りに居る人達は更に盛り上がる。

 

「すげぇな。2人とも本気出すとここまでやれるのか」

 

「こりゃ一部の人達には効果覿面だな」

 

「みたいね」

 

チラリと横を見ながら言う。俺達から少し離れたところには虚さんとのほほんさんが座っており、弾と数馬をポーッと見ていた。

 

しばらくして歌い終えた2人は下がり、ステージ上には誰もいなくなる。最後の歌を今か今かと待ち侘びていた時、スモークと共に四組女子達と弾達がステージ下から迫り上がって来た。こんな演出までやるとは、改めてかなり凝ってることがわかる。そして……。

 

「本日最後の曲、行くわよ!」

 

「「俺(僕)達の!」」

 

『『『私達の!』』』

 

『『『歌を聴けぇぇえええええええーっ!!』』』

 

魂の籠もった叫びと同時に曲が始まる。全員揃っての合唱は中々迫力があり、観客達も先ほど以上に盛り上がり、聞き入っていた。

 

歌い終わる頃には、割れんばかりの拍手と歓声が四組の皆に送られた。一日目のライブは大成功で幕を閉じることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OutSIDE

 

「あー疲れた……」

 

「こんなに疲れるとは思ってなかった……」

 

更衣室にて弾と数馬はベンチに座って背伸びしていた。周りには四組の女子達が疲れ果てて寝てしまっている。

 

「……2人とも、お疲れ様」

 

そこへ簪がお茶の入ったコップ2個を持って現れた。

 

「あ、どうも」

 

「ありがとう」

 

2人はお茶を受け取って一口飲むと、歌っている最中に観客席に見えた女性をそれぞれ思い出した。

 

「「布仏虚さん(布仏本音ちゃん)、か……」」

 

今日初めて出会ったあの2人に、彼らは好意を抱いていた……が、相手はIS学園の生徒。もう会えることはないかもしれない。それを寂しく感じながら、2人は楽器等の片付けを始める。そこへ―――

 

「あ、あの、五反田さん……」

 

「え、えっと…カズー……」

 

聞こえてきた声に弾と数馬は即座に振り返る。そこには頬をほんのり赤く染めた虚と本音が立っていた。その様子を見た簪は、気づかれないようにそっと部屋を出た。

 

「その、は、話がしたいのですが……ついてきて、くれますか……?」

 

「は、はい……」

 

虚に促されるまま、弾は人気のない廊下へと出た。そこで互いに何も言い出せない状況がしばし続く。

 

(こ、こういう時はどうやって切り出せばいいのかしら!? うぅ、こんなことならお嬢様か妹様に聞いておけばよかった……)

 

「……う、虚さん……?」

 

「は、はひっ!」

 

名前を呼ばれたことで思わず返事をするものの噛んでしまい、恥ずかしそうに顔を赤くする。その様子を弾は可愛いと思い見とれていたが、我に返って本題に入った。

 

「お、俺とメールアドレスを……交換、してくれませんか……?」

 

「え…………」

 

弾の申し出に虚はポカンとしていた。弾はこれまでの経験から、「ダメだ……脈なしか……」と判断した。だが、

 

「……はい。いいですよ」

 

「やっぱり……って、え?」

 

今度は弾がポカンとしていたが、慌てて携帯を取り出すと赤外線でメールアドレスのやりとりをした。その時点でいっぱいいっぱいだったので戻ろうとしたが、虚が声を掛けた。

 

「あの、五反田……弾さん! 私、待っています……明日も」

 

「っ! はい! 必ず来ます! ですから、楽しみにしていて下さい!!」

 

弾は満面の笑みを見せて応える。それから彼はガッツポーズを連発していたが、一方で虚もとても嬉しそうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、更衣室では。

 

「隣…座っても、いい?」

 

「え? ああ、うん……いいけど」

 

ベンチに数馬が頷くと、本音は嬉しそうに笑みを浮かべて数馬の右隣に座る……が、ベンチの上に置こうとしていた本音の左手が数馬の手と当たった。

 

「っ…!」

 

「はわわっ!? ご、ごめんね……!」

 

互いに顔を赤くしながら身を寄せ合う。数馬は初めての経験にドギマギしながら、本音をチラチラと見た。

 

(可愛い……こんな可愛い子、僕の学校には居たかな? 居ないだろうな……)

 

「? カズー、どうしたの?」

 

それに気づいた本音が首を傾げて尋ねる。気がつくと数馬は思っていたことを口走っていた。

 

「いや、君みたいな可愛い女の子と一緒に居られるなんて、幸せだなって…………あ」

 

慌てて口を塞ぐも時既に遅し。本音はびっくりした表情で数馬を見つめていた。

 

(いかん、下手こいた……僕、終わったかな……)

 

完全に諦めモードに入る数馬。しかしそれは間違っていた。

 

「そ、そうなんだ……えへへ、初めて男の人に可愛いって言われちゃった……」

 

照れて顔を赤くする本音に、数馬は思い切って声を掛けた。

 

「えっと…本音、ちゃん……」

 

「本音、でいいよ」

 

「……本音。その、メールアドレス、交換しない?」

 

「……うん! いいよ!」

 

にっこりと笑顔を見せて頷くと、本音と数馬は携帯を取り出してメールアドレスを交換した。それから数馬は立ち上がって弾の元へと行こうとする。

 

「カズー。明日も待ってるからね」

 

「……うん。必ず来るよ」

 

そう言い残して、数馬は立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪SIDE

 

「……本音も虚さんも、上手くいくといいな……」

 

廊下を彰人と歩きながら私は呟いた。2人とも私を支えてくれた大切な人だから、幸せになってくれると嬉しい。でも恋愛経験はなさそうだし、大丈夫かな?

 

「なーに、きっと大丈夫さ。惚れた女には一途だからな、弾と数馬も」

 

「……彰人……そうだね」

 

彰人が言うなら、心配は要らないだろう。私は今度恋愛成就のお守りでも買ってあげようかな?と思いながら歩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。とあるホテルの一室にて。

 

OutSIDE

 

「今回の任務を再確認するわ。まずオータムが偽名を使ってIS学園に侵入。織斑一夏ないし矢作彰人の所有するISを奪取する。失敗した場合は私とエムが突入して援護しつつ脱出……大丈夫かしら?」

 

金髪の女性、スコール・ミューゼルが茶髪の女性、オータムに尋ねる。

 

「私は特に問題ない。……ま、このまま組織にいていいのかとは思うけどさ。それよりアイツだよ。おい、本当にやれんだろうな?」

 

オータムは部屋の隅に一夏の写真を持って立っている小柄な少女を見て言った。その顔は織斑千冬にそっくりだった。

 

「当然だ。ただ、兄さん……織斑一夏は私の手で倒す。それを忘れるな」

 

「……いいの? 折角貴女のお兄さんに会うことができるのに」

 

「それが任務だからな」

 

淡々と述べ、写真を握り潰すエムという少女。それを見たオータムは顔を顰めていた。

 

「アイツもある意味不憫だな。この組織に居たばっかりに……」

 

「そうね……でもどうしようもないわ。私達にできることは、任務を遂行することだけよ」

 

そう言うと、スコールは自身の右耳につけてある金色のイヤリングに触れた。

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