ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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70th Episode

簪SIDE

 

学園祭もいよいよ2日目。私達は野外ライブの準備を進めていた……と言っても、ほとんどは昨日のままだからそんなに急いではないけど。

 

「……えっと、今日の内容は……」

 

手元にある2日目のプログラムを見る。

 

(1)Anything Goes! (2)ETERNAL BRAZE (3)LIFE IS SHOW TIME (4)Time judged all

 

休憩

 

(5)RHYTHM EMOTION (6)Happily ever after (7)Revolution (8)SKILL―四組全員&一年生専用機持ちver―

 

 

昨日よりかは数が少ないが、それでも十分濃密な内容だ。でも最後のにはとても焦った。実はまだ了承を得てない状況でノリと勢いで決まってしまい、大慌てでみんなに頼み込む羽目になったのだ。けど、みんな快く了承してくれてホッと一安心した。

 

「……今日もたくさん見に来てくれるといいな」

 

音楽機器を見ながら、私はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、IS学園正門前にて。

 

OutSIDE

 

「さすが学園祭だな。熱気が半端ないぜ」

 

「私達がやってた時よりも凄いわね」

 

ラフな格好をしてサングラスを掛けている省吾と同じくラフな格好をしている由唯が周りを見て言う。

 

「んふふ~、いっくん達はご奉仕喫茶をやってるんだって。楽しみだな~!」

 

隣には変装(髪型と服装を変え、伊達メガネをつけている)をした束が立っている。

 

「ったく。お前が来たと知ったら、千冬の奴どんな顔をするのやら……」

 

「ブリュンヒルデの驚く顔か……ふむ、一度は見てみたいものだな」

 

顎に手をやりながら言ったのは、省吾達と同じくラフな格好をしているB.Dことブラントだった。

 

「……つーかお前が来ることにまず驚いたわ。息抜きでもしに来たのか?」

 

「それもあるが、昨晩展示用に運び込まれた我が部隊のマニューバスレイヴがどうなってるか気になったのと、部下達を休ませようと思ってな」

 

「なるほど。道理でお前の部下まで居る訳だ」

 

言葉の通り、ブラントの部下達はそれぞれ自由な服を着て学園祭を楽しもうとしている。更に彼や省吾のSP達も、自由な格好で警護に当たっていた。

 

「もうしょーくん! そんなことより、早く行こうよ!」

 

「わ、わかったから引っ張るなって!」

 

束に服を捕まれて引っ張られる省吾を見て、由唯は「あらあら」と微笑んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

「いらっしゃいませ! あちらの席までご案内します」

 

2日目の初っ端から俺達は飛ばしまくっていた。相変わらず客足が遠退くどころか増加し続けているからである。

 

「いらっしゃいま……って兄ちゃんに由唯さん?」

 

「よう彰人! 久しぶりだな」

 

俺が次に接客しようとした相手はグラサンを掛けた省吾兄ちゃんと、由唯さんだった。

 

「何でここに?」

 

「彰人君達が頑張ってるところを一目見たかったの。ふふ、似合ってるわよ。服」

 

「うっ……あまり見られると、恥ずかしいです……」

 

いたたまれない気持ちになってしまい、一夏に助けを求めようと視線を向けるが……。

 

「執事服姿のいっくん、可愛い~!」

 

「可愛いっておかしくありません!? ていうかは、離れて下さい!」

 

「そ、そんなに一夏に引っ付くのはやめて下さい!」

 

束さんに思い切り抱きつかれており、箒ちゃんが慌てて止めに入っている始末だった。……俺の方がマシだな。

 

「ほう……これはまた、中々どうしてクオリティが高いな」

 

と、省吾兄ちゃんの隣に立っていた男性が周りを見渡して言った。あれ? この人って……。

 

「……あの、ブラントさんですか?」

 

「ああ。改めてよろしく頼む、矢作彰人君」

 

「いえ、こちらこそ」

 

俺はブラントさんと握手を交わしながら言った。それにしても大統領まで学園祭に来るとは、改めてIS学園の凄さがわかった気がする。

 

「うりうり~♪」

 

「……助けて~…」

 

……そろそろ束さんを止めた方がいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特設ライブ会場ステージ裏

 

OutSIDE

 

「俺達の出番は4番、午前のラストか」

 

「妙に緊張するよ」

 

弾と数馬は椅子に座ってプログラムを一通り見る。すると、彼らの前にお茶が出された。思わず顔を上げると弾の前には虚が、数馬の前には本音が立っていた。

 

「虚さん……!」

 

「本音……!」

 

2人は自分の思い人の名前を呼んで破顔する。虚と本音も頬が緩むが、虚は気を引き締めて言った。

 

「だ、弾さん。ライブ、見てますから……」

 

「私もカズー達のライブ、見てるからね~!」

 

「「え……」」

 

弾達は思わず呆けてしまい、そうしてる間に虚達は観客席へと去ってしまった。弾と数馬は少しして我に返ると、顔を見合わせて言った。

 

「……数馬、やるぞ」

 

「……うん」

 

「「俺(僕)達の歌を、虚さん(本音)に届ける!!」」

 

決意を胸に、2人は各々の楽器のチェックを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方観客席では。

 

「弾さん……」

 

「カズー……」

 

最前列に腰掛けた2人はポーッと空中を眺めながら恋した相手を想っていた。

 

(中学の頃まで、私の周りには良い印象の男性は居なかった。でもあの人は、弾さんは身を挺して私を守ってくれた……)

 

(カズーに助けられた時に、私の心にはカズーのことが深く刻まれちゃった……今も考えるだけで胸が熱くなっちゃう……)

 

彼女達の弾や数馬に対する想いはこの2日間で強くなっていった。それは自分の抱いている気持ちを自覚させるのに十分であった。

 

((私は、弾さん(カズー)のことが……好き))

 

そして時間は流れ、弾と数馬が歌う番になる。

 

「よし…行くぞ数馬!」

 

「ああ! 行こう弾!」

 

気合を入れ、2人はステージ上へと進む。マイクの位置等を調整すると、演奏を開始した。

 

「「Time judged all!!」」

 

歓声と共に『Time judged all』がアリーナに響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼過ぎ、一年一組

 

彰人SIDE

 

俺は一通りの接客を終え、腕時計をチラッと見た。

 

「そろそろ時間か……みんな、行くぞ」

 

声を掛けると周りに居たセシリア達が作業を止めて廊下へと向かい始めた。

 

「あら、もうそんな時間なんですの?」

 

「だったら早く行かないとな。あ、鈴は俺が呼びに行くよ」

 

「確か専用の衣装に着替えないといけないのだったな。その時間を入れると、急いだ方がいいかもしれん」

 

「何に着替えさせられるんだろう? あまり変なのじゃないといいけど」

 

「同感だ」

 

「大丈夫さ、多分な」

 

アリーナのライブ会場に向かいながら言う。人前に出す衣装なのだから変なのが混じってる訳は無い筈……だよな?

 

「あ、来た来た! こっちだよ~!」

 

ライブ会場に着くと1人の女子が手招きして、男女別で更衣室に案内してくれた(俺と一夏は大体の場所はわかってたけど)。さて、衣装はと……。

 

「この服って、まさか……」

 

「これボロボロだと思ったら仕様なのかよ……じゃあやっぱあのキャラなのか」

 

 

俺と一夏はどんなキャラの格好をするか察し、「果たして似合うか?」と思いながら着替えた。その後は更衣室から出ようとしたのだが―――

 

「ん? ちょっと待て」

 

「どうした彰人?」

 

「みんなも着替え終わったようだ。折角だから全部見てから出ようぜ」

 

「それ逆にハードル上がるんじゃ……」

 

イマイチ気乗りしない一夏の肩を軽く叩いて「いいからいいから」と言うと、みんなが出てくるのを見届けた。

 

まず最初は箒ちゃん。赤と白の二色の巫女姿だ。一夏曰く、「夏祭りの時とちょっと違う」んだそうだ。

 

「着る分には文句はないが、どことなくデジャヴ感があるな」

 

袴を見ながら箒ちゃんは言う。何となく気持ちはわかる。次に出てきたのは鈴ちゃん。ドラゴンの刺繍が入った緑と赤のチャイナドレスを着ている。二組で着てたのとは違う奴だ。

 

「アルトロンみたいな感じがするわね。良いじゃん」

 

衣装が気に入ったのか、鈴ちゃんは笑顔を浮かべる。3番目に出てきたのは簪だ。MEGAMAXで登場した美咲撫子の着ていた制服を着用している。

 

「……宇宙、キター?」

 

何となく真似をしてみたようだが、すぐに顔を赤くしてしまう。……可愛い。今度はセシリアが出てきた。青と白のワンピースを着込んでいるのだが、とてもしっくりくる。

 

「似合っていますかしら?」

 

どこか不安げにセシリアは呟いた。大丈夫、かなり似合っている。

 

次はシャルがショートパンツにオレンジのシャツという出で立ちで現れた。どことなくシャルのイメージに合っているが……。

 

「うぅ……は、恥ずかしいかも……」

 

本人は恥ずかしげだった。最後にラウラが出てきた。どうやらガンダム00の地球連邦の軍服を着ているようだ。

 

「ふむ、ガンダム00の世界観ではこのような軍服を着ているのか。良いデザインだな」

 

本物の軍人であるラウラもご満悦、と言ったところらしい。

 

「……おい、俺が言った通りにハードル高くなったぞ。どうする?」

 

「……腹括って出よう」

 

結局自信を無くしてしまい、覚悟を決めて更衣室を出た。そうしたら全員の視線が俺と一夏に集中して固まった。当然だ……何故なら、一夏がマジンカイザーSKLの海動剣の格好をしてて俺が真上遼の格好をしているからだ。が、固まったのは一瞬で次の瞬間、皆一様に顔を真っ赤にさせた。

 

「い、いい一夏! は、は、裸の上に……!」

 

「一夏!? ヤバイ、鼻血出そう……!」

 

「彰人さん……(ポーッ」

 

「「か、カッコイイ……」」

 

「に、似合っているぞ、彰人……」

 

「「お、おう……」」

 

そう言われるのは嬉しいが、顔真っ赤にする程か? うーん、恋する乙女には目にフィルターがかかると言うが、そんなものか?

 

 

 

 

 

 

疑問を感じながらステージ下へと移動すると、照井竜の格好をした弾と秋山蓮の格好をした数馬が居た。……俺達もライダー系の衣装がよかったな。

 

「おっ、やっと来たか。てか2人とも似合ってんな~」

 

「イケメンだからな、一夏も彰人も」

 

「お前等だって十分似合ってるじゃないか」

 

互いにからかいながら準備を進めていく。そして全員が立ち位置に立ったところで、ゆっくりとステージ上に上昇して行った。

 

ステージからは大勢の観客が見える。その中には省吾兄ちゃんに由唯さん、束さんと千冬さんも居る。これは期待に応えなきゃな!

 

『さて皆様、大変長らくお待たせしました! 最後は四組と専用機持ちが歌う『SKILL』!!』

 

進行役の人の合図と共に、曲が流れ始める。そして………………俺達は全力で歌った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ライブは無事大成功に終わり、俺達専用機持ちは急いで着替えて別のアリーナに向かった。そこで刀奈が開くシンデレラの劇に参加する為だ。……もう完全に嫌な予感しかしないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏SIDE

 

「あの、すみません。織斑一夏さんでしょうか?」

 

「ん? 誰です?」

 

着替えて走っている時、俺は1人の女性に呼び止められた。

 

「初めまして。私、こう言う者です」

 

名刺を渡してきたので受け取って読む。

 

「何々、『IS装備開発企業『みつるぎ』渉外担当・巻紙礼子』……巻紙さんと言うんですか」

 

「はい。是非、我が社の装備を使っていただけないかと」

 

要するに装備の売り込みらしい。本当ならじっくり話した方がいいが、生憎時間がない。

 

「すいません、今から演劇を行わなくてはならないので、それが終わってからでいいでしょうか?」

 

「ええ、構いませんよ」

 

「助かります。それじゃあ」

 

俺は大急ぎでアリーナへと向かった。……にしてもあの人、どっかで会ったことある気がするんだよなぁ。どこだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四アリーナ

 

彰人SIDE

 

『昔々、あるところに、シンデレラと言う少女達が居ました』

 

ライトが点灯すると同時に刀奈のナレーションが始まる。が、やはりおかしい。シンデレラ『達』なんて……あ、『JUST LIVE MORE』が流れ始めた。

 

『シンデレラ達は神に等しい力をもたらすという黄金の果実を手に入れるべく、戦場を駆け回っていました。しかし果実は最後に勝ち残った者にのみ与えられるもの』

 

ここで俺と一夏にスポットが当たる。……果実を与える者は俺達ってことなの?

 

『今宵もまたシンデレラ達が戦う。黄金の果実を持つ2人の王子に選ばれる為に、彼女達は駆け巡る!』

 

まずい、これ逃げた方が良さそうだ。

 

『さあ戦え、シンデレラ達よ! 戦わなければ生き残れない!!』

 

その直後、武装してドレスを着たシンデレラ(という名の肉食系女子)達が一斉に走ってきた。

 

「……どうする彰人?」

 

「……決まっている…………………逃げるんだよぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」

 

一先ず俺達は全力で逃げる。えーっと、セシリア達はどこだ!?

 

「彰人さぁぁぁああああああん!!」

 

「「彰人ぉぉぉおおおおおおお!!」」

 

「……あ、彰人…!」

 

……居た。それも目の前に。

 

「彰人さん! その王冠を渡して下さいまし!」

 

「えっと、渡したらどうなるの?」

 

「……彰人と同室になる権利が与えられる」

 

「何っ!?」

 

そんな話は初耳だ!? おのれ刀奈め、よくもやってくれたな!

 

「この中から1人選べとか、鬼畜の所行か!」

 

全員という選択肢があればまだ良かったのに!! いや、無理だろうけど!!

 

「そういうことだから、渡して……ね?」

 

「すまん彰人。私も彰人と同室になりたいのだ!!」

 

「クソッ……!」

 

過去最大級の難関を前に、俺はどうすることもできずに居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏SIDE

 

「「一夏、頼む(お願い)。私に王冠を……」」

 

「う、うぐぐぐ……!!」

 

箒と鈴に詰め寄られて俺は悶えていた。2人の内どちらかと相部屋だと? どちらともという選択肢はないのか!? 刀奈さん、アンタ鬼だよ!!

 

「し、しばらく考えさせてくれ!!」

 

そう言って俺は走り出した……が、直後に誰かに腕を捕まれて引っ張られた。

 

「うおっ!? な、何だ…って巻紙さん?」

 

「大丈夫ですか? 何やら困っていたようなので、助けに入りましたが」

 

「あ、ありがとうございます」

 

ある意味困ってはいたけど、理由言ったら呆れられそうだな……。

 

「それで装備の件なのですが」

 

「あー……それでしたらすみません。俺のISには既にパッケージがインストールされていて、それで容量埋まっててもう入らないんですよ」

 

そう、ダブルオークアンタにはフルセイバー以外のパッケージが入らないようになっている。当然交換も不可能だ。

 

「そうですか……では」

 

「っ!?」

 

直後、巻紙さんから殺気を感じて慌てて飛び退く。と、俺が居た地面がファングらしきもので抉られた。

 

「チッ! 良い勘してやがる……やっぱりただのガキじゃねぇな!!」

 

いつの間にか彼女はISを展開していた。その姿はガンダムスローネツヴァイだ。

 

「その口調……アンタ、あの時の!」

 

「覚えていたか。そうとも! 私はオータム、あの時お前等を誘拐した亡国機業(ファントム・タスク)の一員さ!!」

 

「くっ!」

 

クアンタ(フルセイバー)を展開して身構える。楽しい学園祭が、とんでもないことになりそうだぜ……。

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