ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
刀奈SIDE
(一般客の見ている前で、堂々と襲って来るなんて……少し想定外だったわ)
観客達を避難させながら、刀奈は心の中でそう呟いた。前にも無人機やスコール達が襲っては来たが、いずれも学園の生徒達のみだったり一般客には知られていなかったりと、どこか境界線が張られているような気がしていた。しかし今回のことで、それが破られたようにも思えた。
(もう世界一安全な場所だなんて、言えないわね……)
OutSIDE
ラウラ&シャルロット&簪vsソランジュ
「クソッ! クソクソクソクソクソクソクソクソッッ!! 何で当たらない!?」
「行くぞ、簪」
「……うん」
攻撃が当たらないことに苛立つソランジュにラウラと簪が接近していく。乱射されるビームライフルの弾を避けながらラウラがまずビームサブマシンガンを放って確実に当て、次に簪がタクティカルアームズⅡを振り下ろし、そこへ踵に展開したアーマーシュナイダーをキックで当てる。
「ぐぁああああ!? この……痛いじゃないかぁぁぁあああああああ!!」
ソランジュはカオスをMA形態に変形させるとスラスターを噴かせ、カリドゥス改と機動兵器ポッドからビームとミサイルを連射しながら簪へと接近する。
「……はぁ……」
深くため息をつくと、簪は両腕にソードアームを装着してビーム刃を展開。カオスの弾幕と突進を回避して背後からカオスを滅多切りにした。
「ああああああああっ! お前ぇぇぇぇえええええええええええ!!」
怒り狂ったソランジュはMS形態に再変形すると機動兵器ポッドを分離し、遠隔稼働でビームを放ってきた。
「こんなもの……!」
「セシリアの足下にも及ばない!」
だがすぐにガトリングアームとビームキャノンで2個とも撃墜され、挙げ句に貫通したビームキャノンがそのままソランジュに直撃した。
「お、おのれぇ!! たかが学生が、よくも…よくもこの私を! アンタ達、この私を誰だと思って―――」
「多分、誰も何とも思ってないんじゃないかな?」
ソランジュの耳にシャルロットの声が聞こえると同時に、背中に衝撃が走った。見れば、トランザムを発動させたアリオスがGNキャノンを構えており、続けてGNミサイルを放つと武器をGNツインビームライフルに交換して連射。更にMA形態に変形すると加速して接近、GNビームシールドでカオスを挟み込んでダメージを与える。
「シャルロットォォォオオオオオオオオオオ!! 泥棒猫の娘如きが、よくもぉぉぉぉおおおおおおおお!!」
「お前だけは許さない。手加減無しの、全力で殺ってやる!!」
機体をMS形態にするとシャルロットはGNビームサーベルを突き立て、装甲が脆くなった箇所に両腕を向けるとGNサブマシンガンを展開し―――ゼロ距離で連射した。
「うああああああああああああああ!?」
瞬く間にシールドエネルギーがゼロになり、ソランジュはISを解除されて地面に投げ出され、更に待機状態となったカオスガンダムはシャルロットに回収されてしまった。
「チェックメイト、だね」
「そういうことになるな(本気で怒るとこうなるのか……)」
「……ふぅ(二面性なのかな? シャルって)」
一夏&箒&鈴vsオー
「てやぁぁぁぁあああああああああああああああ!!」
「はぁぁぁあああああああああああああ!!」
再びツインビームトライデントでオーに斬りかかる鈴。逆側からは箒がガーベラストレートとタイガーピアスを振りかぶる。
「させないよ!」
対するオーもアトミックシザースやビームサーベルを駆使して戦う。しかし2人の合間なく放たれる攻撃によって完全に防ぎきることはできずにいた。
「どうしたの!? まさか、こんな程度じゃないでしょうね!」
「だとしたら、とんだ肩透かしだな!」
「言わせておけば……勝手なことを!!」
鈴と箒の挑発に乗ったオーは、武器を振り回して反撃に出る。そのまましばし激しい攻防が繰り広げられたが、突然鈴と箒はその場を離脱した。
「? 逃げたのか? でもこれは「うああああああああああああああ!?」ん?」
離脱したことと聞こえてきたソランジュの悲鳴に怪訝に思うオーだったが、直後にアシュタロンのセンサーが強力なエネルギー反応を察知していることに気づいて背後を見る。
そこには、トランザム状態でライザーソードを発動している一夏のクアンタがいた。
「織斑一夏!? そうか、お前が!」
「気がついたか。だが遅い!」
一夏はオー目掛けてライザーソードを振り下ろす。オーはどうにか直撃を避けるも、機体を掠めたせいで吹き飛ばされ、シールドエネルギーを大きく持っていかれてしまった。
「エネルギーが! よくも!」
(オーよ、一旦退くぞ)
尚もアシュタロンで攻撃しようとした矢先、オーの脳内にエスの声が響いた。
(姉さん!? でもコイツ等が!)
(オーよ、感情に流されるな。私達の本当の目的を思い出せ。ここは命を捨てるステージではない)
(くっ!……わかったよ、姉さん)
エスの説得によって、オーは渋々ながら離脱することを決意した。
彰人&セシリア&マドカvsエス
ヴァサーゴが腹部の武装を展開するのを見た彰人とマドカは、顔を青ざめて叫んだ。
「メガソニック砲だ! 来るぞ!!」
「避けろセシリア! さっさと仕舞え!!」
「え!? メガ…何ですって!?」
「遅い! 発射!!」
そこへエスがヴァサーゴから拡散タイプのメガソニック砲を放った。彰人とマドカは回避や防御行動を取るが、ドラグーンを収納していたセシリアは回避が遅れ、何発か被弾してしまった。
「きゃあああああああああああ!?」
衝撃でセシリアは吹き飛ばされ、地面に倒れ伏した。そこへエスが降り立ち、ストライククローを向ける。
「せめてもの情けだ。一撃で葬ってやろう」
(死ぬ……このまま、私は……)
そう思った時、セシリアの心に不思議な感情が湧き出してきた。
(……何でしょう、この気分は……お父様…お母様…チェルシー……何もかもが過ぎ去っていきますわ……今あるのは、目の前の死だけ……)
そして最後に、最愛の男性が思い浮かぶ。
(彰人さん……ッ!!)
瞬間、セシリアの脳裏にイメージが浮かんだ。水の雫が水面に落ち、静かに大きく波紋を広げていくのが……。
(っ! 見えた! 見えましたわ!!)
確信した直後、セシリアの脳裏で青い種が弾けた。そしてレール砲を展開すると同時に発射してエスを怯ませると、空へと舞った。
「何だ!? この気迫は……!」
「行きますわよ、ストライクフリーダム!!」
戸惑うエスを見つめながら、セシリアはドラグーンを射出する。更にビームライフルを連結させると、ドラグーンで縦横無尽に動かしながら攻撃し、自身も位置を変えながらビームライフルで狙い撃っていく。
「ぐああああっ! まさか……土壇場だぞ!?」
「だからこそですわ!」
更にセシリアはドラグーンを自分の周囲に並べてエスに向けると、ビームライフルを分割し全武装を展開した状態でエスをロックする。別の方向からはマドカが突撃ビーム機動砲で、彰人がツインバスターライフルで狙う。
「いっけぇぇぇえええええええええええ!!」
「これでっ!!」
「ツインバスターライフル、最大出力!!」
三機が放った必殺の一撃は、回避行動を取ったエスを捉え、シールドエネルギーを大きく減らすことができた。
「うおおおおおおおお!? こ、こんなことが……「うああああああああああああああ!?」むっ!?」
狼狽するエスの耳に悲鳴が聞こえ、ハイパーセンサーで調べるとソランジュがISを解除されるのが見えた。
(チッ。所詮は小物か……)
心の中で吐き捨てると同時に、オーの方も確認する。丁度その頃オーはライザーソードでダメージを受け、吹き飛ばされているところだった。
「いかん! オー!」
尚も戦いを続けようとするオーに、エスは通信も行わずに頭の中で話しかけた。
(オーよ、一旦引くぞ)
(姉さん!? でもコイツ等!)
(オーよ、感情に流されるな。私達の本当の目的を思い出せ。ここは命を捨てるステージではない)
(くっ!……わかったよ、姉さん)
アシュタロンがヴァサーゴの方に移動してくる。それを確認したエスはストライククローを使ってソランジュを拾い上げると、オーと共に高く移動する。
「逃げる気か!?」
「戦略的撤退と言って貰いたい。オー」
「任せて、姉さん」
促すエスに頷いたオーは、アトミックシザースのシザースビーム砲でシャルロットの持つ待機状態のカオスガンダムを正確に撃ち抜き、破壊した。
「うわっ!?」
「ち、ちょっと! 何で私のISを!?」
「フッ、戦場に誤射はつきものでね。私はただ目眩ましに攻撃しただけだよ」
「そういうことだ」
言うが早いか、ヴァサーゴはMA形態に変形したアシュタロンに乗るとその場から離脱して行った。
「勝った……のか?」
「みたいね。完全勝利とはいかなかったけど……勝ちは勝ちよね」
「うん。ともかく、戻ろうよ。僕もう疲れちゃって……」
「私も、いつもの倍以上疲れましたわ」
一先ずの勝利に安心しながら、彰人達はピットへと戻って行った。