ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
78th Episode
IS学園食堂
いつも通りに食事をしながら、これからのことを話す。
「もうすぐタッグマッチだったな。誰とペア組もうかな」
そう、もう間もなく新たな行事である専用機限定タッグマッチバトルが開催されるのだ。これは読んで字の如く、専用機持ちのみで行われる2人1組の戦いだ。なので単純な戦闘力もだがペアとの相性も大切になってくる。以前の学年別トーナメントとほぼ同じだ。
「楯無、何か良いアイデアとかないか?」
「そうねぇ……だったら私が決めようかしら? カタログスペックには全て目を通しているから、どれとどれが相性が良いのかは知り尽くしてるつもりよ」
その提案に中々決められずに居た俺達はすぐに頷いた。という訳で、各ペアは刀奈によってテキパキと決まっていった。
ちなみにペアは、俺&セシリア、シャル&ラウラ、一夏&簪、箒ちゃん&刀奈、鈴ちゃん&マドカちゃん、だ。
一夏と簪辺りが意外に思ったが、新鮮さもあって良いとも思えた。とにかくこれで後は練習をしていくだけになった。
放課後、アリーナにて
スコールSIDE
今私はアカツキ(オオワシ装備)を纏い、アルケーを纏ったオータムと模擬戦をしている。別にタッグマッチに出る訳ではないけど、体が鈍らないようにする為だ。
「オラァッ!」
振り下ろされるGNバスターソードをシールドで受け止め、ヒャクライを放つ。
「っ、やるじゃんか! なら、これでどうだ!」
一度距離を置いたオータムはGNファングを放ってくる。さすがに部が悪いか……でも。
「分の悪い戦いって、嫌いじゃないのよね!!」
ビームサーベルを連結させ、接近しつつオオワシのビーム砲を放つ。オータムはGNバスターソードで防ぐけど、それで発生した爆煙の中を私は突撃してビームサーベルを突き立てる。
「うおおっ!? チイッ!」
負けじとオータムもGNバスターソードを装甲に食い込ませてくる。そのまま膠着状態が続いた後、私とオータムは同時にため息をついて力を抜いた。
「今日は引き分け……だな」
「ええ」
そう言うと私達はピットに戻り、ISを解除してタオルで汗を拭う。途中で私はふと、あることをオータムに言った。
「攻めてくるかしら?
「来るな、間違いなく。今までもそうだったんだし」
予想してたのとほぼ同じ答えを聞き、私はさっきとは違う意味でため息をついてしまった。自分達が所属してた組織に襲われるなんて、複雑な気分だわ。
「そう気を落とすなって。今の私達は先生なんだからさ。生徒を守んなきゃな」
「……そうね。先生としての仕事だもの」
短期間で早くも順応しているオータムに少し驚きつつ、笑みを浮かべた。……向こうにはエスとオーも居るんだったわね。今頃何を考えているのかしら?
???
OutSIDE
「くしゅんっ!」
「どうした、オー? 風邪か?」
「ううん。誰か噂してるのかな……?」
「気のせいなんじゃない?」
とある施設の一室(高級ホテルのワンルームような場所)で、鼻をすするオーをエスが心配し、その隣にいる彼女達と同じ顔の少女が「大丈夫だよ」と見る。他にも同じ顔の少女達がそれぞれ自由にしていた。
「そうだね。それよりエー達こそ、何でここに居るんだい? 専用機の調整は?」
「まだだけど、プロフェッサーが今後の予定を話すって言うからからここに来たんだ。みんなもそうだよ」
「私達と同じということか」
コンコン
「失礼するよ」
ドアがノックされ、部屋の中に白衣を着た女性が入ってきた。
「プロフェッサー。私達を集めたということは、何か大事な話が?」
「ああ。まずこれからだが、少なくとも後二回は襲撃して奴らのデータを集めなければならない」
「またですか? この前行ってきたばかりなのに」
「心配せずとも、君達2人が行くのは後だ。まずは早速完成したこの機体を複数向かわせる」
プロフェッサーと呼ばれた女性は端末を操作し、とある機体のデータを3人に見せた。
「こりゃまた随分と凶悪な面構えで……ていうか私の出番は無いんですか?」
「ごめんね。機体の最終調整がまだなんだ。時が来たら暴れさせてあげるから、ね?」
「む~っ」
先ほどオーにエーと呼ばれた少女が、ぷくっと膨れ面をする。
「マスター、私の機体は?」
「ピーのは完璧だ。すぐにでも出撃可能だよ。まあまだだけど」
ピーと呼ばれた少女は、「わかりました」と言うとアイスを頬張った。
「ところでプロフェッサー。エキューデは?」
「ん? ああ、まだサイコをベースにした発展機のテスト中さ。もう何十回と強化繰り返してやっと形になってきたところなんだ。後二回の襲撃は、完成と量産までの時間稼ぎでもあるんだ」
(強化か。それって機体の方なのかそれともパイロットなのか、どっちだろうね。姉さん)
(さあな。だがこれであの女も前よりは少しは役に立ってくれるだろう。発展機が規定数まで量産され、世界を文字通り変える為にな)
ここにいないソランジュを考え、ほくそ笑む。果たして彼女はどうなっているんだろうか? それはプロフェッサーのみが知る。
IS学園、地下秘匿区画
(そろそろ、あの子も連れてくるべきかな……)
部屋に籠もりながら、束はずっと考え込んていた。自分が世界を点々とする為に作った移動基地に残してきた、ある人物が気になっているのだ。
「(ちょっとまずいことになってるし、そうしよう)くーちゃん、居る~?」
決心した束は通信を開いて、とある少女と会話をする。
『どうしました、束博士?』
「うん。実はタッグマッチが終わったら、くーちゃんにもこっちに来て欲しくて」
『構いませんが……何故タッグマッチ終了後なのです?』
「開催中に奴らが来る可能性があるから。鉢合わせするのって嫌でしょ?」
『それはまあ……』
「てな訳で決定ね~!」
そこで束は通信を切ってしまい、ディスプレーを見る。が、その目はいつにもなく真剣そのものだ。
(うーん……これは本格的にまずいね。ここに封印してある『アレ』の再起動も、早める必要があるかも……)
ディスプレーを操作しながら、束は尚も考え続ける。
夜中
彰人SIDE
タッグマッチまで後1日と迫った今日。俺は自室で色々なことを考えていた。
(結局今日まで、何事もなかったな)
本来ならここで簪と刀奈が仲直りをする話があった。けどそれは、俺が既に修復したことで無くなり普段通り過ごしていた。
(まあ今更何でもいいが。事実は小説より奇なりって言うし。てかそもそも小説の中じゃなくて、それによく似た世界だし)
でなきゃ全てのISがガンダムだなんてあり得ない。ホント今更だけど。そんなことより、明日に備えてもう寝よう。難しく考えるのはやめた。