ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
タッグマッチ開会式
どうもこんにちは、矢作彰人だ。いよいよ専用機持ちによるタッグマッチトーナメントが始まる。と言っても、まだ開会式だが。
「皆さん、おはようございます。今日は専用機持ちのタッグマッチトーナメントですが、試合内容は皆さんにとっても充分参考になるでしょう。ですのでしっかりと見ていてください」
良い声でスピーチをするなぁ、刀奈は。みんなも真剣に聞いてるし。先生の話の時は聞かない癖に。
「まあそれはそれとして、今日は生徒の皆さん全員に楽しんでもらえるよう、生徒会側である企画を考えました! 名づけて……『優勝ペア予想応援・食券争奪戦』!!」
いつもの調子で言うと同時に女子達から黄色い声援が上がる。え、何? 俺聞いてないぞ? まあ食券程度ならいいけど。
「ルールは簡単! まず事前にトーナメントに参加するチームから優勝しそうなチームを1つ選び、投票する。そしてそのチームが優勝したら、投票した生徒には食堂のマル秘メニューが食べられる食券が貰えるって仕組みよ!!」
マル秘メニューか。クイズ番組みたいで面白いな。てか投票で思い出したけど、俺黛さんに投票一覧らしきものを見せて貰った気がするわ。アレこの為の奴だったんだ……確か一位予想は箒ちゃんと刀奈だったな。で、俺や一夏のチームは最下位近くと。……泣けるぜ。
「では対戦表を発表します」
大型空中投影ディスプレイが現れ、第一試合の対戦相手が表示される。何が来るかな?
『第一試合 織斑一夏&更識簪 VS 篠ノ之箒&更識楯無』
Oh、いつもの如く最初からクライマックスじゃないですか。でも頼むから試合中に邪魔すんじゃないぞ? でなきゃ怒るぞ?
アリーナの廊下
「初っ端からこの2人とは、お前も中々ツイてないな」
「言うなよ。俺だってこうなるなんて予想できなかったんだし」
壁にもたれてオロ○ミンCを飲みながら、2人して話をする。困り顔をしてはいるが、緊張はしてないようだ。
「方や国家代表、方や最新型だもんな。しかも姉妹同士や恋人同士の対決ときてる。戦場じゃ絶対嫌だが、大会だと客は燃えるって話だ」
「何に燃えるんだよ、何に……」
「そこまでは俺も知らん。黛さんが言ってただけだ」
「だと思ったよ。てか、改めて思ったが凄いな。専用機持ちの大半が一年生で、しかもほぼ一組に集中してるし」
「俺やお前の影響だな、間違いなく」
しかも俺、一夏、箒ちゃん、マドカちゃんはイレギュラーな形で専用機を入手している。マドカちゃんに至っては強奪したのを改造してるという有様だ。
「かと言って今更何か言う訳でもないが。……それよりそろそろ時間だ。一夏、頑張れよっ!」
「それ、簪に言った方が喜ぶんじゃ?」
「………………すまん、応援してるって伝言しといてくれ」
「失念してたのかよ……」
俺だってうっかりすることはあるんだよ! 親友ならわかってよ! と、一夏に対して心の中でツッコミしていた時―――
ドォォォォォォンッ!!
「「うおおおおおおっ!?」」
突然かなり大きな衝撃が俺達を襲った。
「何だ、地震か!?」
「それならいいが……」
淡い期待は裏切られ、廊下にサイレンが鳴り響き、モニターも全て『非常事態警報発令』の文字で埋め尽くされる。
『非常事態発生! 全生徒は地下避難シェルターに避難して下さい! 繰り返します、全生徒は……きゃあああああああああ!?』
放送がかかったと思いきや、悲鳴と共に雑音と轟音が混じり、途切れた。これは間違いない。奴らの仕業だ!
「
「言ってる場合か! 早く事態を把握しないと!」
「っ、そうだな。よし、俺は簪のところへ行く。一夏は他の場所へ行ってくれ!」
「ああ、気をつけろよ!」
互いにウイングガンダムゼロカスタムとダブルオークアンタを展開しながら走り出す。頼むから無事で居てくれよ!
「うおらぁぁぁっ!!」
ビームサーベルでピットの入り口に切れ目を入れ、全力で蹴っ飛ばす。その先にはソードフォームのタクティカルアームズⅡを構えた簪と、侵入者らしきISが居た。先ほど蹴っ飛ばした扉は侵入者に当たっており、装甲に若干傷がついていた。
「無事か、簪!」
「……うん! でも、このISは……」
簪の隣に立ち、侵入者を見る。その姿はサイコガンダムに似ていたが、カラーリングが紫でメガ粒子砲の数が増えており、顔がかなり凶悪なものになっていた。なるほど、そういうことか。
「コイツはサイコガンダムMk-Ⅱだな。ったく厄介な……だがやるしかないか!!」
言いながら敵意を剥き出しにする。例えAIによる制御だろうと、こんなガンダムは破壊してやる!
対するサイコガンダムMk-Ⅱは俺にターゲットを変えたのかツインアイを光らせると、右手のビームソードを発生させて更にワイヤーで射出してきた。
「さすがはMk-Ⅱ。だが甘いな!」
俺はしゃがみ込んで攻撃を避けると同時に、射出された右腕を思い切り蹴り上げる。するとビームソードが天井に突き刺さり、サイコガンダムMk-Ⅱが戻すのを手こずらせる。
「悪いが、今だね!」
素早くビームサーベルでワイヤーを切断すると、一気に接近して本体に斬りかかる。サイコガンダムMk-Ⅱはシールドで防ぐと、全てのメガ粒子砲にエネルギーを充填させていく。おいおい、この狭い空間でソレをぶっ放すのか!? AIってのは何でもありだな。でも―――
「今だ! やれ!」
「……これで!!」
背後から簪がタクティカルアームズⅡで突き刺し、貫通させる。更にソレを真上に上げて頭部を両断する。Iフィールドバリアなんて使わせるか!
サイコガンダムMk-Ⅱはツインアイを弱々しく点滅させながら、左手の指部ビーム砲を向けてくる。
「しぶといんだよ! さっさと落ちろや!!」
ビームサーベルでまだ繋がっている部分を切断する。完全に真っ二つになったサイコガンダムMk-Ⅱは左右に倒れ、ツインアイが消えた。
「敵機撃墜!」
「……終わったの?」
「いや、おそらく他にも同型機が来てる筈だ。コイツは倒したことだし、みんなの援護に行くぞ!」
「……了解!」
ピットの壁をツインバスターライフルで吹っ飛ばすと、先へと急いだ。
箒&刀奈側のピット
箒SIDE
私と刀奈さんは突如襲撃してきた無人IS、サイコガンダムMk-Ⅱと戦っている。
「せぇぇぇいっ!!」
「はぁぁあああああ!!」
私はガーベラストレートとタイガーピアスを駆使してビームソードを弾きながら攻撃し、刀奈さんはミラージュコロイドで姿を隠しながら死角から様々な攻撃をしていく。
サイコガンダムMk-Ⅱも全身のメガ粒子砲や指部ビーム砲を放って来るが、その度に一度下がって防御することでダメージを軽減する。
やがてメガ粒子砲を放つだけのエネルギーが無くなったのか、サイコガンダムMk-Ⅱはビームソードでの格闘戦のみを繰り出して来るようになった。
「そろそろ決めるわよ、箒ちゃん!」
「はい!」
掛け声と共に各々の得物(今回刀奈さんはビームサーベルとトツカノツルギ)を構えて突撃する。サイコガンダムMk-Ⅱは右腕をロケットパンチの如く放つが、私達は左右に避けて回避すると懐に飛び込んで連続で切り裂いた。
斬られて内部構造が剥き出しになった箇所から火花が上がり、サイコガンダムMk-Ⅱは機能を停止して倒れ込んだ。とその時、後ろの壁が破壊されて一機のISが現れた。
「箒! 刀奈さん! 無事か……って大丈夫そうだな」
現れたのは一夏のクアンタだった。どうやらGNバスターソードで壁を破壊したようだ。
「援護に来てくれたんだな。だが見ての通り、コイツは既に倒してしまってな」
「ちょっとタイミングが悪かったかしら?」
「あはは……かもしれませんね。でも―――」
苦笑しながら一夏はGNソードⅤを地面に突き刺す。……否、地面ではなくよく見たらサイコガンダムMk-Ⅱから射出された右腕のワイヤーを切断していた。どういうことかと見れば、真っ二つに割れた右半分のツインアイが未だに点滅しており、今ようやく消えた。
「見方によれば、ナイスタイミングでしょ?」
肩をすくめながら言う彼を見て、私は頬が自然と熱くなるのを感じた。その後、私達は他のピットへと援護へ向かった。
ラウラ&シャルロットのピット
ラウラSIDE
(まずい流れだな……)
目の前に立っている敵IS、サイコガンダムMk-Ⅱを見つめながら私は内心焦る。奴は全身に装備されたメガ粒子砲を放っており、更にリフレクタービットを放ってビームを反射。死角から私達を狙って来る。しかもIフィールドバリアまであるので、こちらのビーム兵器はダメージを軽減されてしまう。おまけに、サイコガンダムMk-Ⅱはどうやら絶対防御を無効化するジャミング装置を備えているようで、被弾した際のダメージが軽減されなくなった。
(素の防御力は当てにできない。かと言って、このままアルミューレ・リュミエールを展開し続けていてはいずれエネルギーが……)
「くっ、この! 攻撃が鬱陶しい!」
自慢の機動性で避けるシャルロットは、狭い空間故にトランザムを封じられてかなり苦戦していた。
どうにか決定打を与えられるチャンスはないものかと考えていた、その時だった。
ドガァァァッ!!
入り口を破壊しながら赤いIS……アルケーガンダムが現れ、GNバスターソードでサイコガンダムMk-Ⅱの左腕を肩から両断した。
「怪我はねぇか、ガキども!?」
「ああ。すまないオータム、助かった」
「先生な。それとこれくらい、私にゃ朝飯前さ!」
「それより先生、気をつけて! ジャミングのせいか、絶対防御が効かなくて」
「んあ? 要するに食らったらヤバイってことか……はっ! 逆に燃えてくるじゃねぇか!!」
「おい」
どういうことか逆に闘志を漲らせるオータムにツッコむが、彼女は無視して突撃した。
「オラオラオラァァァァ!!」
サイコガンダムMk-Ⅱが反撃するよりも前に、オータムはGNバスターソードと爪先のGNビームサーベルで連撃を与えてくる。実体剣が主武装のアルケーは相性がいいのか。
「チッ、相性良すぎて逆につまんねぇな。ガキども、トドメは任せたぜ」
ボロボロになったサイコガンダムMk-Ⅱを見下ろしながら、オータムは言う。
「うわ、見る影もないや……容赦がないと言うか、何と言うか」
「いくつも戦場を渡り歩いて来たのなら、ここまでしなければ安心などできないんだ。私にはわかる」
弱々しくツインアイを光らせる頭部にビームナイフを突き立て、そのまま頭部を引き抜きながらシャルロットに言った。すると、向こうからISを纏った彰人と簪が来るのが見えた。
「シャル! ラウラ!」
「おう、遅かったじゃねーか。コイツは私が倒しちまったぜ」
「……オータム先生が? ありがとうございます」
「礼よりコイツ等のことを心配しろよ。ジャミングで絶対防御が効かない中、何とか粘ってたらしいし」
「何だって!? それは本当か!?」
「うん。お陰で中々攻められなくて」
「装甲で護られてなければ、最悪の事態も有り得た」
「……対IS用に作られていると言うの……?」
破壊されたサイコガンダムMk-Ⅱを見ながら呟く簪。その可能性は大いにあるだろうな。もし大量生産なんかされたら、絶対防御に頼り切りの奴らは太刀打ちできんかもしれん。
「ともかく無事でよかった。俺達はまた援護に向かうから、シャル達は別のところへ援護に向かってくれ」
「うん、わかった」
「了解した」
「任せときな」
頷き合うと、私達はそれぞれ飛び立った。
アリーナ内
OutSIDE
別のピットにもサイコガンダムMk-Ⅱが一機襲撃してきていた。が、その場にいる生徒の咄嗟の判断により壁を破壊して広いスペースのあるアリーナ内部に移動することができた。が……
「面倒だな。フォルテ、行ってこい」
黒い海賊のようなIS、ガンダムAGE2ダークハウンドを纏った生徒が両手をやる気なさそうにだらんとさせていた。彼女の名はダリル・ケイシー。IS学園三年生で、かなりの実力者ではあるのだが……。
「え~!? 嫌っスよ~! 先輩がやればいいじゃないっスか!」
文句を言いながら空中に寝そべっているIS、デスティニーガンダム。操縦者はフォルテ・サファイア、IS学園の二年生。彼女も相当な実力を持っている。いるのだが……。
「こういう面倒事はアンタが片付けるのがお決まりだろ?」
「いやいやいや! その理屈はおかしいっス! そこは年長者である先輩が戦陣を切るべきでは?」
「時には可愛い後輩に道を譲るのも、先輩としての役目さ」
「不思議! 良いこと言ってるのに先輩が鬼に見えるっス!」
こんな具合に全然戦おうとしない。サイコガンダムMk-ⅡのAIでさえ、戸惑ってどうしたらいいかわからなくなっている。だがすぐに判断すると、リフレクタービットを射出して全身の砲口からビームを放った。
「ヤバイッ!」
「へ? うわっ!?」
さすがの2人も慌てて回避行動に移る。先ほどまでのやる気の無さはどこへやら、2人は死角から放たれるビームを軽々と避けていた。少しすると破壊されたピットの奥から、オオワシ装備のアカツキを纏ったスコールが現れた。
「援護に来たわ! 2人とも無事?」
「どうにか、無事です!」
「ただ中々攻撃できなくて……助けてくれると嬉しいっス」
咄嗟に嘘をつく。スコールは「何か怪しいな」と思いながらも、助けない訳にはいかないので支援にまわる。
「アイツの攻撃は私が引きつけるわ。その隙に攻撃して!」
指示を飛ばしながらスラスターを点火し、サイコガンダムMk-Ⅱに肉薄する。アカツキのヤタガノカガミ装甲の前では、ビーム兵器は無意味なものとなる。
「はー、さすがっスね~。ビームを完全に無効化するなんて」
「だがアカツキの武器はIフィールドバリアとは相性があまり良くないみたいだな。フォルテ、行くぞ」
「はいっス、先輩!」
打って変わって雰囲気を変えるとフォルテはアロンダイトを、ダリルはドッズランサーを構える。そしてフォルテは光の翼を展開し、高速移動でサイコガンダムMk-Ⅱの背後を取るとアロンダイトで切り裂いた。
背中へのダメージにサイコガンダムMk-Ⅱはよろめく。そこへダリルがドッズランサーで攻撃し、拡散メガ粒子砲の発射口を潰す。ダリルはそのままドッズランサーで各砲門を破壊していき、フォルテは武器をフラッシュエッジ2に持ち替えてダリル同様砲門を潰していく。
「やるわね。私も負けてらんないわ!」
感心しながらスコールは、サイコガンダムMk-Ⅱの左腕をビームサーベルで肩から一気に両断すると、内部構造が丸見えになったところへビーム砲を放った。
「うわ、スコール先生って案外えげつない……」
「相手が無人機なのもあるんだろうよ。それより、これで決めるぞ」
若干引いているフォルテを促して接近していく。途中でビームソードを発生させた右腕を射出されるも、ダリルはアンカーショットを左手で構えて打ち出し、右腕を捕まえる。ワイヤーをフォルテがビームライフルで切断すると、ダリルはアンカーを振り回して右腕をサイコガンダムMk-Ⅱの頭部にぶち当てた。
「どうだい? 自分の右腕を食らった感想は?」
「先輩も負けず劣らずえげつないっス……」
呆れながらも接近したフォルテがアロンダイトでサイコガンダムMk-Ⅱの首をはねる。全ての武装と頭部を失ったサイコガンダムMk-Ⅱはその場に倒れ伏した。
こうして、IS学園に訪れた幾度目かの危機は排除された……かに思えた。