ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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80th Episode

IS学園司令室

 

千冬SIDE

 

「織斑先生、敵ISの内四機の撃墜を確認したとのことです!」

 

「そうか。だが油断はするな。引き続き、拠点防衛布陣のまま待機だ」

 

教員の1人からの連絡に、私は一息つく。無人ISが五機も襲撃したと聞いた時はさすがに焦りを感じたが、報告の通り一機を残して撃墜したので少しは安心できる。

 

「(問題は残る一機の動向だな)最後の一機は、現在どこに?」

 

「確認しています…………っ!? そ、そんな……!!」

 

「どうした?」

 

突然声色が変わった教員に尋ねる。何かあったのだろうか?

 

「残る一機は……ひ、避難シェルターに向かって移動しています!」

 

「何だと!?」

 

思わず叫ぶと、モニターを見る。そこには地面スレスレを飛行するサイコガンダムMk-Ⅱの姿が映っていた。

 

「何ということだ……近くに専用機持ちはいないのか!?」

 

「織斑マドカさんと凰鈴音さんが向かって……訂正、交戦してる模様です!」

 

「そうか……念のために他の専用機持ちにも連絡を」

 

そう指示を飛ばすと、私は焦る心を落ち着けようと息を整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴SIDE

 

「こんのぉ……! 止まりなさいって!!」

 

アルトロンのドラゴンハングでサイコガンダムMk-Ⅱを掴んで後ろへ引っ張ろうとするが、推力が違いすぎて止めることができない。

 

「いい加減に、止まれ! 機械人形が!!」

 

正面からはマドカのレジェンドが攻撃を仕掛けているが、ビーム兵器が主なレジェンドはIフィールドバリアの前に威力が半減されてしまう。

 

「ああもう! こうなったら!」

 

向かっ腹が立ってきた私は火炎放射でサイコガンダムMk-Ⅱのスラスターを焼き尽くし、破壊してサイコガンダムMk-Ⅱを地面に落とす。最初からこうすれば良かったかも。

 

けどスラスターを破壊しただけなので、サイコガンダムMk-Ⅱは起き上がろうとする。

 

「そのまま寝てろ!」

 

「永遠にね!」

 

そこへマドカがビームジャベリンで頭部を、私がツインビームトライデントで人間で言う心臓辺りを突き刺す。こっちは攻撃されることもなく、サイコガンダムMk-Ⅱは機能を停止した。

 

「AIが。マシンの性能を完全に引き出せるとでも思っていたのか?」

 

「確かに、人間が乗ってた方がある意味厄介だったかも」

 

でなきゃ頭部を破壊するなんて無茶なことできないし。これが無人機で良かったと心底思いながら、私達はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

全ての無人機が撃破されたと連絡があった後、俺達はIS学園の地下にある秘匿区画に集められた。俺どころか全員が戸惑ったが、きっと何か大事な話があるんだろうと考えた。ちなみにサイコガンダムMk-Ⅱ撃破に貢献してくれた二機のIS、デスティニーとAGE2ダークハウンドのパイロット(確かフォルテとダリルと言ってた)は事態が収束するなりさっさと帰ってしまった。案外マイペースな人達なのかもしれない。

 

「さて、本題に入る前に無人機の件だが……皆よくやってくれた。お陰で最悪の事態は避けられた」

 

表情を綻ばせて言うと、チラリと山田先生を見やる。端末を持った山田先生は前に出てくる。

 

「今回の無人機は以前襲撃してきた無人ISの発展型のようです。コアは全部で3つ回収できましたが、それ以外は戦闘で破壊されていました。それとコアはどれも登録してありましたが……全て行方不明になっていたものでした」

 

「それ、盗まれてたってことですか?」

 

「それも含めて、本題に入ろう。と言っても、説明するのは私じゃないが」

 

驚く鈴ちゃんに千冬さんは答えると、後ろを見て目で合図をした。すると束さんがいつにもなく真面目な顔つきで歩いてきた。ただごとじゃなさそうだな……。

 

「何故姉さんが……っ、まさか無人機と姉さんには、何か関わりが?」

 

「うん。最初に学園に現れた無人機……サイコガンダムMk-Ⅰは元は私が作ったんだ。けど色々あって廃棄処分して、気がついたら盗まれてたの」

 

亡国機業(ファントム・タスク)の仕業か」

 

「それなら納得がいくな」

 

「では、最初に得た無人機のデータを解析してMk-Ⅱを開発し、奪ったコアを……」

 

ISを強奪することができる連中なんだ。コアだけを盗んだりすることも可能なんだろう。

 

「それより本題に入るけど、その前に紹介したい子が居るんだ。……いいよ」

 

束さんが何やら促すと、その後ろから1人の女の子が現れた。彼女の姿を見た俺達は、息を飲んだ。特にラウラの驚き方が半端じゃなかった。それもその筈。女の子の見た目は……ラウラそっくりだったからだ。強膜の部分が真っ黒で両方の瞳が金色なことを除けば。

 

「お、お前は……誰だ? 何故、私と同じ顔を……!?」

 

「私の名はクロエ・クロニクル。完成形であるラウラ・ボーデヴィッヒを生み出す為に作られた、プロトタイプです」

 

「くーちゃんは私が見つけた研究所に偶然居て、まーちゃん達同様に廃棄されかかってたんだ。だから私が助けて、助手として置いてるという訳」

 

随分と複雑な経緯だな……束さんが居なかったら、この子も今頃……。

 

「……聞いたことがある。私が生まれる過程で、何人も「私」が生まれてきたと。最初は単なる噂としか思ってなかったが…………なら…貴女は、私の姉……なのか?」

 

「え?」

 

ラウラの問いかけに思わず聞き返すクロニクル。

 

「まあ間違っちゃいないわね。経緯がどうであれ、先に生まれたのはあの子みたいだし」

 

「……いえ、私は姉ではありません。私とラウラでは、何もかも違いすぎる……能力も、目の色も……」

 

クロエは刀奈さんの言葉に首を横に振ると、悲しげな表情を浮かべた。

 

「……それの何がいけないの?」

 

「っ……?」

 

「……私とお姉ちゃんにも、違う部分はいっぱいある。違うことが姉妹であっちゃいけない理由には、ならない」

 

「ですが「くーちゃん」束様?」

 

「あの子の言う通りだよ。それに私と箒ちゃんを見てよ。同じところがあると思う? そういうことなんだよ」

 

優しく語りかける束さんに、クロニクルは戸惑いを見せる。するとラウラはクロニクルを真っ直ぐ見つめて言った。

 

「私は……貴女の妹になりたい。貴女と姉妹に……なりたい」

 

「っ、いいんですか……?」

 

「ああ……『姉さん』」

 

「!! ら…ラウラッ!!」

 

尚も戸惑っていたクロニクルは、ラウラの最後の言葉で何かが吹っ切れたのか、泣きながらラウラに抱きついた。

 

「姉さん……! 姉さん、姉さんっ!!」

 

「ラウラ……ああ、ラウラ……! ずっと、ずっと会いたかった……!!」

 

2人はしばらく抱き合った後、周りを見て少し気まずそうにしながら離れた。ちょっと微笑ましいと思ったのは内緒だ。

 

「さて、結構脱線しちゃったけどいよいよ本題だ。くーちゃん、アレを」

 

「はい」

 

クロニクルは手に持った端末を操作して、空中にディスプレーを展開していく。その速度は凄まじく、人間業とは思えない程だ。やがて全て展開されると、表示された情報に目を見張った。

 

「これ、全部亡国機業(ファントム・タスク)の情報!?」

 

「そ。私とくーちゃんで調べたんだ。でも肝心なのは暗号化されてわからなくて、その中でも特にこれが気になったんだ」

 

数あるディスプレーの中から1つが前に現れ、あるファイル名が拡大される。そこには赤文字で『世界最後の日』とあった。

 

「こりゃまた大層な名前だな……何かの作戦か?」

 

「その可能性は大だな。文字通り、世界レベルの作戦かもしれん」

 

「私の方で解読は進めるけどとにかく、これに気をつけて欲しい。単なる悪ふざけや暗号にも思えなくてさ。これもあるから余計に」

 

ディスプレーが切り替わり、何かの設計図へと変わる。これは……。

 

「まさか、デストロイガンダムか!?」

 

「正解だよいっくん。どうやら亡国機業(ファントム・タスク)はコイツの量産にも踏みだそうとしてるみたいで、しかも体勢が整いつつあるんだ」

 

それを聞いた俺と一夏は戦慄し、クロニクルが見せたデストロイガンダムの設定資料を見た他の皆も同様に戦慄していた。

 

「もしかしたら、連中の目的はこれを使った世界主要都市への同時攻撃……!?」

 

「お、おい。いくら何でもそれは……」

 

「いや、彰人の意見も十分有り得るぞ兄さん。何せあそこに居る連中は過激だからな」

 

俺は単に可能性の1つとして言ったんだが、どうも可能性としては思えなくなってしまった。そんな俺の心境はつゆ知らず、束さんは「それと」と付け加えると、千冬さんに言った。

 

「もしもの時を考えて『アレ』の再起動を始めてるから、その時はちーちゃんもお願い」

 

「っ、『アレ』か……もう使うことはないと思ったんだが……わかった」

 

この後俺達は解散することになったが、俺は最悪の可能性のことが終始頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首相官邸

 

省吾SIDE

 

「ったく、厄介なことになりつつあるな……」

 

俺は唯と共に束から送られた資料を見て、呟いた。

 

「『世界最後の日』に、デストロイガンダムの設計図……何が起きるって言うの?」

 

「さあな。ただ亡国機業(ファントム・タスク)の連中が、何かとんでもねぇことをしでかすことは確かだ。それが何かはわかんねぇが」

 

とにかく、このことはB.Dにも連絡しといた方がいいな。どうも嫌な予感がしやがるし……。まさか、デストロイで世界各国襲うつもりじゃあるまいな? 考えすぎか?

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