ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
あれから数日。最悪の可能性のことが頭から抜けきらない俺は、一夏と轡木さんと共に放課後の釣りに興じていた。
「クソッ、全然釣れねぇ……」
「俺もだ……」
「はは、心に雑念がある時は中々釣れないものなんですよ」
雑念か……もしかしなくても、可能性のことだな。深くは考えるなってことか? よーし……!
「っしゃ釣れた!」
「何!? どうやったんだ!?」
「なーに、難しいことを考えるのはやめたんだよ。どうせ俺達はただの学生なんだし、世界の危機とか可能性とか、そん時ゃそん時だ!」
「お前ってたまに変に吹っ切れるよな……ま、いいけどさ!」
言いながら今度は一夏が釣り上げる。上手いじゃないの。
「よくわかりませんが、下手に考えるよりは敢えて考えないのも心を落ち着かせるいい手段です」
と、ここで轡木さんの竿が大きく揺れ出した。
「おお! 大物がかかったか!?」
「みたいですね……! くっ!」
「頑張って下さい! ……あ、そういえば弾と数馬がメール寄越してたぞ。何でも虚さんとのほほんさんのデートを取り付けたって」
「お、やるじゃん! とりあえず応援のメールを送っておこう」
「このぉぉおおおっ!!」
携帯を操作した時、轡木さんが竿を全力で持ち上げた。
ザバァァァァン!!
大きな飛沫と共に現れたのは、1匹の鯖だった。元気よくピチピチと跳ねている。
「お、鯖ですね。結構な得物じゃないですか」
「はは…おや? 君達の竿もかかったみたいですよ?」
「え?……あ、ホントだ!」
「引こう引こう!」
俺達も竿をぐいっと引っ張り、それぞれの得物を釣り上げて見る。
「鯖だな。そっちは?」
「同じく。今日は鯖づくしか…いいな」
「でしたら、後でとっておきの調理法を教えてあげましょう」
「「マジすか!? 是非!」」
思わずハモった後、しばらく釣りに興じたのであった(ちなみに得物はほぼ鯖であった)。
Out SIDE
あれから少し経ち、彰人と一夏は寮の部屋で協力し合って鯖料理を作っていた。
「この味付けはこれで……どうだ?」
「いいんじゃないか? あ、でも隠し味でこれ入れても―――」
『『『…………………』』』
楽しく料理をしている2人を、箒達はじっと待っていた。あの後、手作り料理を振る舞うと言って彼女達を部屋に呼び出したのだ。
「2人とも生き生きしてるね……」
シャルロットがため息をつきながら言う。
「一夏も彰人も、かなりの料理好きだからな」
「……でも、女子よりも女子力高いってどういうことなの…?」
「それは私も思ったわ。この前愚痴を偶然聞いた時だけど、部屋の角のほこりを取る方法だとか、キッチンの焦げの取り方だとか……何で男子なのに女子力半端なく高いのよって」
「私そんなことあんまりしないのに……どこで女子力見せたらいいのよ……」
「な、何かありませんか? こう、豆知識とか」
「いや……さっぱりだ」
ラウラの一言と共に沈黙する。どうしたもんかと腕を組んだ、その時―――
「「待たせたな!」」
どこぞの傭兵の如く現れた彰人と一夏が、テーブルに料理を並べていった。
「今日は鯖尽くしということで、色んなものを作ってみました」
(いや作りすぎでしょ! 軽く10種類は超えてるわよ!?)
(こんなにレパートリーあったかしら、鯖料理って……)
「んじゃ食べようか。せーの」
「「いただきます!」」
『『『いただきます……』』』
それぞれ料理を一口頬張り、味わっていく。
「どうだ?」
「うまいか?」
「ああ…うまい」
「おいしいですわ……」
「「「おいしいわよ……」」」
「う、うん。凄くおいしい」
「ふむ。中々の味だな」
ラウラ以外の女子達が沈んだ表情で答える。が、2人は気づかずに「よかった」と微笑む。が、その直後……
「でもね一夏……」
「彰人……」
「「ん?」」
『『『やっぱり解せなぁぁああああああい!!』』』
「「な、何がぁぁぁあああああああああああああ!?」」
乙女達の叫びに、2人の男子はただただ困惑するばかりだった。
「どれ、これも食べるか……うむ。絶品だ」
ちなみにラウラは1人、夢中で食べ続けていた。