ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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82th Episode

とある休日、生徒会室にて

 

刀奈SIDE

 

「ん~、終わった~! やっと休憩できる~!」

 

生徒会長の仕事を終え、大きく背伸びをする。この前のキャノンボール・ファストの襲撃についての書類を纏めなければならなかったので、休日なのにかなりの重労働になった。

 

「……にしても」

 

チラッと虚ちゃんを見る。綺麗な服を着て、時計を見る彼女は普段引き締まっている表情を恍惚と緩ませていた。今日は彰人君達の友達の弾君とデートするって言ってたけど、明らかに影響が顔に出てるわね。

 

(完全に恋する乙女って感じね。私も彰人君に引っ付いてる時は、こんな顔してるのかしら?)

 

何にせよ、虚ちゃんに春が訪れまくっているのは確かだ。ちょっと応援してあげようかな。

 

「虚ちゃん」

 

「っ、はい。何でしょうか?」

 

「そう畏まらなくていいわよ、プライベートなことなんだから。……今日のデート、頑張ってね♪」

 

「はい……ってえ、えぇっ!? あの、その、うぅ……」

 

「そんなんでデート中大丈夫なの……」

 

いくら何でも初心過ぎでしょ……何かちょっと不安になって来ちゃったわ。まあ弾君の人柄からいって問題は無さそうだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮の廊下

 

簪SIDE

 

今日は折角の休日。連戦で疲れた体を休ませようと、私は自販機でドリンクを買って部屋に戻ろうとした。

 

(……あれ?)

 

途中で私服を着た本音がスキップしながら向かってくるのが見えた。表情からして、かなり機嫌が良いのがわかる。

 

「……どうしたの、本音? 何か良いことでもあったの?」

 

「あ、かんちゃん! えへへ、実はね~、今日はカズーとデートなんだ~♪ だからね~、すっごく楽しみなの~!」

 

そう言うと、嬉しそうに廊下をスキップして行った。ポカンとしていると、前から戸惑いの表情を浮かべた彰人が歩いてきた。

 

「何か凄いことになってるな……」

 

「……うん。あんなに嬉しそうな本音、初めて見たかも」

 

「初デートだもんな。そりゃ有頂天にもなるさ」

 

「……上手くいって欲しいな」

 

「きっと大丈夫だ。数馬にはメールでシャルお墨付きのオススメ喫茶店を教えといたから。@クルーズって言ったかな?」

 

「…………え?」

 

私は彰人の言葉に耳を疑った。何故なら、私は少し前にある話を偶然聞いたからだ。確か一夏がラウラに「弾からデートの行き先でオススメない?って聞かれたんだけど、何か知ってる?」と尋ねてて、ラウラがそれに@クルーズと答えていた。

 

………………だ、大丈夫だよね? 時間とかずらせば………問題ない、よね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弾SIDE

 

「よし、時間は大丈夫だな」

 

俺は待ち合わせ場所に駆け足で向かいながら腕時計を見て呟いた。何せ人生初のデートだ、失敗なんてしないように気をつけないと。……だけど蘭の奴がデートの時の服を真面目になって選んでくれるとは、思わなかったぜ。やっぱこういうのって女子の目線で選んだ方がいいんだな。お陰で助かった。それと、出かける時に蘭や母さんどころか、あの祖父ちゃんまで俺を応援してくれるなんてなぁ。予想外だったな。

 

(って考えてる内に着いた……ぞ……?)

 

5分程前に待ち合わせ場所に着いた俺が目にしたのは―――ワンピースを着込んで薄く化粧をした虚さんだった。

 

「綺麗だ……」

 

思わずそう言ってしまった俺は我に返ると歩いていく。今の一言で気づいたのか、虚さんはこっちを見ると顔を赤らめる。

 

「だ、弾さん! い、今来たんですか?」

 

「ええ。すいません、待たせてしまって」

 

「い、いいえ! 私の方が早く来すぎたぐらいですからっ」

 

コロコロと表情を変える虚さんを微笑ましく思いつつも、そっと虚さんの隣に立つ。

 

「あ……それで今日は、どういったところへ?」

 

「そうですね……あの、虚さん。お昼はまだですか?」

 

「ええ、そうですが?」

 

「ならまずは昼食にしましょう。良いお店を知ってるんですよ」

 

そう言うと、虚さんは笑顔で「わかりました」と言ってきた。……俺、これだけでしばらくは生きられるかもしれない。ってダメだ、こんなとこで満足してたら!!

 

かなりドキドキしながらも、俺は虚さんの手を引いて歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数馬SIDE

 

「んへへ~、カズーとデート♪」

 

僕は本音ちゃんと手を繋ぎながら道を歩いている。内心テンションが上がりまくりだが、本音ちゃんはそれを全身で表していた。僕もやろうかな?……やめとこう。間違いなく変な目で見られる。

 

兎にも角にも、僕らはまず@クルーズという喫茶店に向かっていた。中々良いお店らしい(ちなみにメイド喫茶だという)。

 

「さ、入ろう」

 

「うん!」

 

@クルーズの前に着いた僕達は、ドアを開けて中に入る。すると―――

 

『『『お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様!』』』

 

綺麗なメイドさん達が出迎えてくれた。初めて来たけど、凄いな……。圧倒されている間に僕達は席に案内された。

 

「それではお嬢様、ご注文は如何いたしましょうか?」

 

「んーとね~、これと、これ!」

 

「ミートソーススパと烏龍茶ですね、畏まりました。ご主人様は?」

 

「えっと……カレーライスと、コーラかな」

 

「畏まりました。ミートソーススパと烏龍茶、カレーライスとコーラですね。ではお持ち致しますので、それまでの間しばしお待ち下さい」

 

メイドさんは厨房の方へと歩いて行った。僕は椅子の背にもたれて、ふと顔を通路を挟んだ反対側の席へと向けた……って、あれ?

 

「え、弾!?」

 

「ん?……か、数馬!?」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

「本音……!?」

 

僕らは驚きながらもこれ以上騒がないように気をつけ、どういうことなのか話をする。

 

「そっちもデートだったのか……何でこの店を?」

 

「一夏がラウラって子を通じて教えてくれたんだ。お前は?」

 

「シャルって子から聞いたって彰人が……」

 

そこまで来て、僕達は深くため息をついた。人に頼ってばかりじゃいけないってわかったよ、うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弾SIDE

 

数馬とまさかのかち合いをした後、俺達は昼食を取ってから店を歩いていた。

 

「まさか本音がいたなんて……は、恥ずかしい……」

 

「だ、大丈夫っスよ。俺も同じ恥ずかしさを感じてますから」

 

いや何言ってんだ俺。こんなん慰めにもならないだろ。

 

軽く自己嫌悪に陥っていると、虚さんが声を掛けてきた。

 

「……恋人みたいでしたね、本音達」

 

「え? あ、言われてみれば確かに」

 

こっちを意識しつつもじゃれてたもんな。本音って子が。メンタルすげぇと思ったよ。と思っていると、虚さんが俺の腕を絡ませてきた……!?

 

「う、虚さん?」

 

「私も……本音みたいに、好きな人に甘えたい……たくさん尽くしてあげたい……そう思っています。……へ、変でしょうか?」

 

上目遣いで尋ねてくる虚さんに心奪われながら、俺は必死に言葉を紡いでいく。

 

「えっと…いいと思いますよ? 好きな人に甘えるのは別におかしいことじゃありませんし。ただ…………その対象が俺に向いてくれると、嬉しいんですけど」

 

自分で言ったことに内心悶絶しながらドギマギしてると、顔を真っ赤にしながら虚さんは答えた。

 

「……なら……甘えても、いいですか? 尽くしても、いいですか……?」

 

「……俺でよければ、幾らでも構いませんよ…………虚」

 

「っ!! だ、弾さん……!!」

 

思い切って呼び捨てにするといよいよ虚さんは俺に正面から抱きつき、何かが吹っ切れたかのように耳元で「好き」と何度も言ってくる。俺もそんな彼女を抱き締め、何度も「好きだ」と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数馬SIDE

 

「弾と鉢合わせるなんて、思わなかったよ……」

 

本音ちゃんと歩きながら、ため息をつく。

 

「私もお姉ちゃんと会うなんて思わなかったな~。びっくりしちゃった」

 

「その割に平然とじゃれついて来たよね、本音ちゃん」

 

「あははっ! でも~、これでお姉ちゃん達には私達が恋人同士って映ったかも」

 

「だろうね……」

 

ちょっと恥ずかしかったけど、本音ちゃんの笑顔が見られたなら大満足だ。そう密かに思っていると、本音ちゃんが顔を赤くしながら僕を見上げてきた。

 

「本音ちゃん?」

 

「……ねぇ、カズー。カズーは恋人に見られてるかもって思って、嬉しかった?」

 

「え……そ、そりゃまあ……本音ちゃんとなら、そうなりたいって思ってるから……う、嬉しかったよ」

 

「ふぇっ? あ、そ、そうなんだ……」

 

僕の答えが予想外だったのか、本音ちゃんは顔を更に赤くして俯いてしまった。

 

「わ、私も……カズーと、恋人になりたい……周りに思われてるだけじゃなくて「本音ちゃん!」ひゃわ!?」

 

気がつくと僕は本音ちゃんを抱き締め、目を真っ直ぐ見つめて言っていた。

 

「ありがとう。僕なんかを、そんなに想ってくれて………………本音、好きだよ」

 

「ふぇええええ!?(よ、呼び捨て!? あ、あうぅ……)」

 

本音は恥ずかしそうに服を掴みながら、小声で「……好き」と言ってくれた。上がりまくるテンションを抑えながら、僕は本音を長い時間抱き締めていた。

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