ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~ 作:レイブラスト
第四種目・借り物競争
どう見てもガンダムファイトな第三競技が終わった後、昼食を挟んで借り物競争が始まった。先にある箱からお題の書かれた紙を取り、書かれた物を持って審査員のところへ行くというポピュラーなものだ。一組からはセシリアが参加する。
「位置に着いて。よーい……」
パァン!
ピストルの合図で一気に走り出し、箱の中の紙を取り出して見る。セシリアにはどんなお題が出たんだろうか?
「え、えぇ!? こ、これは……」
何だ? 顔が赤くなってるが……ってこっちに来る? 何で!?
「あ、彰人さん! 一緒に来て下さいまし!」
「へ、何故? まさかお題って俺!?」
「い、いいから早く!」
半ば強引に腕を引っ張られ、俺は審査員のところへと連れられる。セシリアが紙を渡すと、審査員はニヤニヤしながら俺とセシリアを見ていた。
「合格」
「それちょっと見せて」
合格は貰えたみたいなので、審査員の紙を取って見てみると……。
『初恋の人』
…………………ん?
「あ、あの、彰人さん、これは……」
「……皆まで言わなくていい。俺もセシリアが初恋だったからな」
「ふぇ!?」
「ほ、ほら行くぞ!」
セシリアだけに恥ずかしい思いはさせまいと自ら恥ずかしいことを言ったが、凄くいたたまれなくなり手を引いて二着でゴールした。……周りから余計ヒューヒュー言われて簪達にむすっとした顔で見られたが。
第五種目・クラス対抗リレー
いよいよ体育祭のクライマックス、クラス対抗リレーだ。現在は俺が一位でアンカーの一夏にバトンを渡し、一組が一位を守っている。
「一夏ぁー! 後少しだ、そのまま来いー!!」
「うおらぁぁあああああああああああああああ!!」
最終コーナーを周った一夏が全力で走り、ぶっちぎりでゴールテープを切った。
「はぁ…はぁ…よっしゃ一位じゃあ!!」
「よくやったぁ!!」
走りきった一夏と肩を組んだ―――その瞬間。
ドォォォォン!!
爆音と共に砂煙が上がった。
「何だ? 祝砲を失敗したのか!?」
「いや違うと思う。てか、もしそうだとしたらえらい事だぞ!」
確かにそうだ。となると考えられる可能性は1つ。
「また
呆れながら晴れていく砂煙の先を見つめていると、そこにガンダムヴァサーゴとガンダムアシュタロンに4機のサイコガンダムMk-Ⅱが浮かんでいた。それを確認してISを展開すると、千冬さんから通信が入った。
『専用機持ちの諸君、聞こえるか?』
「はい、聞こえます」
即座に返事をしたが、どうやら専用機持ちのメンバーに向けた一斉通信らしい。
『一般生徒の避難等は私達が行う。避難が完了するまで連中の足止めを頼む』
「了解!」
通信が切れた後、俺は一夏達とすぐに合流する。と、エスとオーがこちらに通信をしてきた。
「やあ、久しぶりだね。キャノンボール・ファスト以来だったかな?」
「ああ。全然会いたくなかったけどな……例によって行事の途中で介入して来やがるし」
「これでも待ってた方なんだよ? むしろ感謝して欲しいな」
「そこまでにしておけ、オー。私達の任務を果たさねばならないのだから」
「わかってるよ、姉さん。……という訳で一夏君。私達と戦ってくれないかな?」
「矢作彰人君、君もだ」
「「何?」」
俺達との戦いを望んでいる? だが何の為に……っ、ひょっとして……。
「俺達のデータ取りが目的か?」
「察しが早くて助かるよ」
「ふざけるな! そんなことの為に一夏達を危険な目に遭わせられるか!」
武器を構えながら箒ちゃんが反論し、他の皆も戦闘体勢を取る。
「悪いけど君達に用は無いよ。せいぜいコイツ等と遊んでいてくれ」
オーがそう言うと、サイコガンダムMk-Ⅱ達が皆の前に移動した。足止めの為に連れてきたのか。
「援護は期待できない、か。だがやるしかない」
「そうだ。俺達は負ける訳にはいかないんだ」
一夏と共にビームサーベルとGNソードⅤを構えて言う。向こうもアシュタロンをMA形態にするとその上にヴァサーゴが乗った。
「さあ行くぞ…織斑一夏君! 矢作彰人君!」
スラスターを噴かせて突撃してくるエス達は、近距離で再び分かれると俺の方にエスが、一夏の方にオーが向かった。
「先手は貰ったぞ!」
「どうかな!」
エスが繰り出すビームサーベルを右手に持つサーベルで受け止め、左手でもう一本サーベルを取り出すと突きを食らわせた。
「うおっ!? くっ、やるな……!」
退きながらもすぐにエスは体勢を立て直す。一方一夏の方ではMA形態から変形したオーがビームサーベルで斬りかかった。
「はぁっ!」
「させるか!」
一夏はGNソードⅤで防ぐと、動こうとしていたアトミックシザースにGNソードビットを当てる。
「読まれた!? ええい!」
オーも一旦後退して体勢を立て直す。
「余所見をしているとは、随分余裕だな!」
エスが左腕のストライククローを射出する。俺は回避するとマシンキャノンを撃ち込む。
今のところ俺は問題ないが、みんなはサイコガンダムMk-Ⅱを相手にしている筈。無事だといいが。
Out SIDE
箒&マドカ
一機のサイコガンダムMk-Ⅱがビームソードを発生させて構える。
「はぁあああ!!」
気合の叫びと共にガーベラストレートを持った箒が一気に近づいて右腕を切断する。
「所詮はAIか。攻撃パターンが同じだな」
その様子を少し上からマドカが見る。サイコガンダムMk-Ⅱはリフレクタービットを射出すると残った左腕のビームと全身のメガ粒子砲をマドカに放つ。
「っ……!」
左手にビームシールドを展開しながらマドカはビームの間を紙一重で回避していき、避け切れないと判断したものはシールドで防ぐ。そして至近距離まで近づくとビームジャベリンを胴体に突き刺した。
火花を散らすサイコガンダムMk-Ⅱは頭部のメガ粒子砲にエネルギーを溜めていく。が、後頭部からガーベラストレートが貫通した。
「これで……終わりだ」
突き刺さったガーベラストレートを右手で保持し、左手でタイガーピアスの切っ先を首に当てるとそのまま横一文字に刎ねた。
「ナイスアシストだ、マドカ。お陰でコイツに隙ができた」
「問題ない。……友達として、当然のことをしたまでだ」
そっぽを向いて言うマドカを見て、箒は頬を緩めた。
セシリア&鈴
少し離れた場所では別のサイコガンダムMk-Ⅱがセシリアと鈴を相手にしていた。が、
「そらそらそらそらそらぁぁぁっ!!」
「これで!」
鈴のツインビームトライデントの連撃とセシリアのビームライフルによる援護射撃で攻撃する暇もなく押されていた。リフレクタービットは放った直後にレール砲で撃墜され、メガ粒子砲の砲門も鈴によって的確に潰されていく。そう、2人は「やられる前にやれ」と考え実行したのだ。
「そんじゃ、トドメの一撃!」
「いきますわよ!」
そして鈴がトライデントを頭部に突き刺すのと同時にドラグーンの一斉射がサイコガンダムMk-Ⅱを襲い、機能を停止させた。
「ジ・エンドですわ」
「ま、こんなもんよね」
撃墜を確認した2人は、彰人達の方へと視線を向けた。
刀奈&簪
「何のっ!」
サイコガンダムMk-Ⅱが振り下ろすビームソードを刀奈はトツカノツルギで止める。腕に力を込めながら、サイコガンダムMk-Ⅱはツインアイを光らせた―――
ザシュッ!
―――直後、背後から簪が放ったタクティカルアームズの一閃が右腕を切断した。生じる一瞬の隙を突き、刀奈はツムハノタチを足に引っかけて引っ張り転倒させる。
そこに簪はタクティカルアームズ・ガトリングモードで連射し、装甲を徹底的に破壊。
「こいつで終いよ!」
最後にランサーダートを頭部に連射し、サイコガンダムMk-Ⅱの機能を完全に停止させた。
「撃破成功! サポートありがとう、簪ちゃん」
「……気にしないで」
少し照れながら簪は姉に言うのであった。
シャルロット&ラウラ
リフレクタービットを展開したサイコガンダムMk-Ⅱがビームを乱射する。
「以前と同じ戦法だな。私達にIフィールドバリアは突破できまいと高をくくっているのか……だが」
ラウラとシャルロットは互いに頷き、シャルロットがその場から離脱するとラウラが囮となり、サイコガンダムMk-Ⅱの攻撃を集める。このまま勝てると踏んだのか、サイコガンダムMk-Ⅱはツインアイを光らせる。が、そこへ背後から変形したアリオスガンダムのGNビームシールドで胴体を挟まれ、締め付けられる。
「生憎、僕達も成長しているんだよね!」
「ああ。それが人間とAIの違いだ!!」
ハイペリオンガンダムの前方にアルミューレ・リュミエールを集中させ、ラウラはフォルファントリー突撃をぶちかます。正面から直撃を食らったサイコガンダムMk-Ⅱは、シャルロットに切断されかけていたのもあり上半身と下半身に真っ二つにされた。
「何の対策も講じてないと思ってたのか? だとしたら浅はかだったな」
「言っても意味ないと思うよ」
破壊したサイコガンダムMk-Ⅱを見下ろして言うラウラに、シャルロットは苦笑しながら言った。
彰人SIDE
「はっ! でぇいっ!!」
連続で繰り出されるエスの攻撃を避け続け、ビームサーベル等で反撃する。が、相手も素人じゃない。致命傷になる攻撃は上手く躱していた。
(この前も感じたが、まるで千冬さんそのものと相手しているみたいだな……まああの人よりは戦いやすいけど)
「チィッ……! こちらの攻撃が当たらんとは、これがゼロシステムによる未来予測の力か!!」
ビームサーベルで鍔迫り合いをしながらエスは焦り気味に言う。確かに驚異的だが、髪の毛と瞳の色が変わるのはどうだかなぁ……。ところで一夏はどうなってる……?
「このっ! いい加減に当たれ!」
「そう言われて当たる奴が居るか!!」
一夏はGNソードⅤとGNソードビットを駆使し、オーを翻弄していた。イノベイターの力を全開にしているみたいだ。
「む……? まずい、オー!」
「え、姉さん!?」
突然エスが後退するとオーも一夏から離れてエスと合流する。何が起きたんだろう? そう疑問に思った時、周りにセシリア達が武器を構えてやってきた。2人はこれを察知したのか。
「君達がここに居るということは、無人機は全て撃破されたということになるか」
「思ってたより早かったね。これじゃ足止めにすらならないよ……そう思うよね、姉さん?」
「だが織斑一夏と矢作彰人の最新データは入手できた。オーよ、引き上げるぞ」
「うん、姉さん」
言うが早いかオーはアシュタロンを変形させてヴァサーゴを乗せ、ブースターを噴かせてあっという間に去ってしまった。
「また逃げられたか……」
「でも一時的ですが、危機はまた免れましたわ」
「そりゃそうだけど、何度『また』がつけばいいのやら」
ため息をつきながら、俺は破壊されたアリーナシールドを見上げた。