ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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86th Episode

どうも皆さんこんばんは、矢作彰人だ。真夜中に突然千冬さんに簪諸共叩き起こされたかと思うと、他に起こされた専用機持ち達と共に寮長室へと集められた。そこには何故か束さんとクロニクルにスコールとオータムも居て、端末には省吾兄ちゃんとブラントさんが映っていた。

 

「皆、夜分遅くにすまない。これを見てくれ」

 

そう言って千冬さんは音を小さくしてテレビをつける。それを見て俺達は眠気が一気に覚めた。どのチャンネルも一貫して同じ映像が流れており、そこにはISを纏った女性がマスクオフの状態で微笑を浮かべながら座っていた。

 

「……どういうことですか? この人は、一体……」

 

「彼女はプロフェッサー。亡国機業(ファントム・タスク)の創設者で、天才的な研究者よ。私達も何度か世話になったことがあるわ」

 

「何か変な奴だったけどな」

 

「ん? 何か言うみたいだ」

 

一夏の言葉に画面を注視すると、プロフェッサーという女性が話し始めた。

 

『テレビをご覧になっている諸君、ごきげんよう。我々は亡国機業(ファントム・タスク)。政府に生まれた闇を知り、社会から離反した者達だ。確認してみればわかると思うが、私はマスターインテリジェントシステムによって世界中のあらゆるメディアや通信網を掌握している。つまり、世界をどうにかすること等我々には容易いことなのだよ。ああ、通信の回復とか逆探知とかやっても無駄だから。ま、篠ノ之束ならできるかもしれないけどね』

 

皆言葉を失い、愕然とテレビを見た。携帯を操作してネットに繋げようと試みたが、彼女の言う通り使用不可能になっていた。でも束さんの端末は機能している。束さんならできるとはこういうことか……。

 

『ところで、我々が我々を知っている人達になんて言われているか知ってるかな? 人殺しにテロリストさ。フッ、おかしな話だよね。政府の方がもっとあくどいことをして、隠蔽までしてるのにさ。しかもインフィニット・ストラトスが広まってから余計悪化した。何の罪もない男性達が有罪にされ、良識ある女性達の声まで揉み消してしまう。呆れる以外の何者でもないと私は思うよ』

 

肩をすくめて言うと、身を少し乗り出して続きを述べた。

 

『そこで我々は今の世界が間違っていることを実力で示したいと思う。具体的には、この放送が終わったらフランス、アメリカ、イギリス、中国、ドイツ、イタリア、スウェーデン、カナダ、ロシア、ルクセンブルク、日本。これらの首都に潜伏している私達の戦力が一斉に破壊活動を行う。ISを使ったこともないのに威張り散らしている女性達は、己の愚かさを後悔しながらせいぜい逃げ惑ってくれたまえ。……後言い忘れてたけど、IS学園にも部隊を送り込むからそのつもりで』

 

映像が途切れ、画面が真っ黒になる。とてもじゃないが、冗談には聞こえなかった。アメリカの同時多発テロよりも大きな規模の行動を連中はするつもりなんだ。

 

「これが、『世界最後の日』ってこと……?」

 

「文字通り世界を終わらせる気なのか!? バカな!」

 

「だが事実だ。そして、私達もむざむざ見過ごす訳にはいかない」

 

そう言うと千冬さんは首から掛けてある待機状態のISを見せる。それは俺と一夏も見たことがある。ガンダムエクシアの待機形態だ。

 

「束、奴らが潜伏している場所の正確な位置は?」

 

「ちょっと待って……今わかったよ! ついでにプロフェッサーって奴が居る場所も!」

 

操作してる端末を見せる束さん。千冬さんと省吾兄ちゃん、ブラントさんはそれを見て重い表情をした。

 

『妙だな。これまでは絶対に逆探知はできなかったと言うのに、こうもあっさりといくとは』

 

『これ、俺達を誘ってるんじゃねぇのか?』

 

「有り得るな。だが行くしかあるまい。……一夏、お前のISでこれらの場所に私を送ることは可能か?」

 

「え? できないことはないと思うけど……っ、まさか千冬姉さん! 1人で行く気なんじゃ!?」

 

「私1人じゃない。省吾だって居る。お前達はスコール達と共に学園の警備に当たってくれ」

 

「そんな、千冬さん! いくら何でも無茶じゃないんですか!?」

 

「鈴音の言う通りです! 敵の戦力がどれ程なのかもわからないのに、戦いに赴くなど!」

 

「だがお前達を行かせるよりは、子供を戦地へ送り出すよりは……「でもこの子達の言うことにも一理あるよ」っ、束」

 

苦々しい表情で言う千冬さんは、束さんの発言に若干怒りを見せる。

 

「ちーちゃんも何度か見てきたでしょ? いっくんもあっくんも…ううん。此処に居るみんな、死線を乗り越えて来ている。それに私の計算だと、みんなを各地へ向かわせた方が勝率は高くなる」

 

「っ、だが…………」

 

千冬さんは俺達を見ると目を閉じ、やがて開けると尋ねてきた。

 

「……お前達は……奴らを止める為に世界各地へ向かってくれと言ったら……向かって、くれるのか?」

 

「はい。何せ、世界の危機ですから。それに此処に居てもどの道襲われるんですし、なら俺達に出来ることをしないと」

 

「クラリッサ達に任せてばかりでは、隊長として面目が立ちませんから」

 

俺とラウラが応え、他の皆も決意を秘めた目で頷く。そして千冬さんは深くため息をつくと、小さく笑みを浮かべた。

 

「まだ子供だと思っていたのに、すっかり強くなったか……寂しいが、頼もしい限りだ」

 

「織斑先生……」

 

「……すまんが、諸君。世界の危機を救うのを手伝ってくれ。これは命令ではない。私の、織斑千冬としての頼みだ」

 

『『『っ、はい!!』』』

 

力強く返事をすると、俺達は寮の外へと出ることにした。世界の命運を掛けた戦いに、緊張を走らせながら―――

 

「あ。あっくん、少しいいかな?」

 

「何でしょう?」

 

―――そして、俺にのみ告げられた事実に驚愕しながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなISは展開したね? それじゃあ確認するけどいっくんがスウェーデン、あっくんがカナダ、まーちゃんがイタリア、箒ちゃんがルクセンブルク、鈴にゃんが中国、セッシーがイギリス、シャルーがフランス、ラウランがドイツ、かんちゃんが日本、たっちゃんがロシアで合ってるよね?」

 

集まった俺達は束さんに言われて頷く。既にISは展開済みだ。

 

「いっくん、まずはイギリスへのゲートをお願い」

 

「わかりました」

 

束さんの指示を受けた一夏がGNソードビットでゲートを作り、そこにストライクフリーダムを纏ったセシリアが入る。

 

「それじゃ次はフランスへのゲートを」

 

一度ゲート消し、再び出現させる。こうすることで各首都へ送ることが可能だ。ただ、それを行っている間に俺はさっき束さんにこっそり言われたことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あっくんってさ、ゼロシステムを使ってる時に髪の毛と瞳の色が大きく変わるよね?』

 

『ええ、まあ……別にマスクに隠れているんでいいですけど』

 

でなかったら試合の度に恥ずかしい思いをしていたに違いない。けどどうして今そんなことを?

 

『……残念だけどあっくん。それはもうできないかもしれない』

 

『え?』

 

『ウイングガンダムゼロのアビリティーは、普通の人でも扱えるように私がちょっと細工をしておいたの。……ゼロシステムに呑まれない為に、搭乗者の肉体を耐えられるよう変質させることを』

 

『っ! それじゃあ……!』

 

俺がゼロシステムの情報量の多さを乗り越えられたのも、俺の肉体が変化していたからってことか……金髪になってたのは変化した弊害か。

 

『でもゼロシステムを何度も使ったせいで、あっくんの身体は目に見えて変化するようになってきてる。髪に少し金髪が混じってるよね? それがその証拠だよ』

 

『証拠って……もしかして、このまま使い続けると俺は変化した状態の身体で固定されるんですか?』

 

『それだけじゃない。生身の状態でもゼロシステムの力が一部使えるようにもなる』

 

『生身でゼロシステムを……』

 

恐ろしいことだ―――素直にそう思った。一部とは言え未来予知ができるなんて、いくつもの未来の重圧に押し潰されてしまいそうで……震えてくる。でも―――

 

『そうなったらなった時……ですよね?』

 

『へ?』

 

『生憎ですけど、それで怖じ気づくような人間じゃありません。どんな力にも危険はつきものだってわかってますし。それに世界の危機を前にどうこう言ってられませんよ』

 

日本人離れした外見になるとか、ゼロシステムの重圧とか、そん時はそん時だ。今はただ、目の前の敵を相手にするだけだ。

 

『そっか……そうだよね。あっくんならそう言うかもって思ってた。ごめんね、時間取らせちゃって』

 

『いいえ。俺のことを心配してくれたのは、よくわかりましたから。ありがとうございます、束さん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いずれは俺の髪と瞳は変色したままになり、ゼロシステムの一部が常時使えるようになってしまうか……複雑だな)

 

特に誰にも言えないのが一番キツイ。余計な心配を掛けたくないし、戦意を削ぐことになるからしないんだけど、辛いことは辛い。

 

「じゃあ最後はまーちゃんだね。行ってらっしゃい」

 

「ああ……アイツ等を止めてくる」

 

っと、いつの間にか俺と一夏以外の面々が転送されてた。んじゃ次は俺か。でもカナダって奴らの本拠地もあるんだよな。てことは防御も厚い筈。一筋縄じゃいかないな。

 

「そんじゃ頼むぜ、一夏」

 

「任せとけ!」

 

サムズアップしながらゲートを展開する一夏。俺は深呼吸をすると、そこへ飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

OutSIDE

 

「行ったか……」

 

「じゃあ最後にしょーくんのところへ行って、しょーくんの転送を手伝ってあげて」

 

「わかりました」

 

一夏はゲートを自分が潜り、GNソードビットもゲートの先へ消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、来たな」

 

「お待たせしました省吾さん……ってそのバイク……」

 

ジャンプした先に居る省吾は、アストレイアウトフレームD(デスティニーシルエット装備)を展開した状態でプロトガーランドに跨がっていた。

 

「これか? やっぱでかい戦いに行く時は、コイツじゃないとって思ってな。引っ張り出して来たんだ」

 

「それはいいけど、何て説明すればいいの? こんな時に総理が居なくなったら、大混乱するわよ」

 

エンジンを掛ける省吾の後ろで由唯が心配そうに言う。省吾は振り返るとこう言った。

 

「そうだな……ちょっとアメリカ(ダチ公)救って来るって言っといてくれ」

 

目を丸くする由唯を尻目に、省吾はゲートを潜って行った。

 

「どこのアーマード大統領だあの人は……」

 

ため息をつきながら一夏もゲートを潜った。

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