ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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87th Episode

イギリス・ロンドン

 

欧州連合城内等で最大の都市圏を形成しているこの都市は今、未曾有の危機に晒されていた。プロフェッサーの宣戦布告が終わると同時に密かに運び込まれていた三機の無人IS『デストロイガンダム』が起動。圧倒的な火力で街を破壊し始めた。突然の事態にIS部隊やガーランド部隊が大慌てで出撃し対応をするも、火力の差と防御力の違いから有効打は与えられなかった。

 

「クソッ! 何なんだ、この化け物ISどもは!」

 

「相手が三機だからって見くびっていた……奴ら、とんでもなく強いぞ!!」

 

GN-XⅣとGR-2ガーランドのパイロットが叫ぶ。直後、一機のデストロイが両腕部飛行型ビーム砲「シュトゥルムファウスト」を分離してビームを放つ。二機は咄嗟に回避を取ったが、それにより別のガーランドに流れ弾で直撃してしまう。

 

「そ、そんな!? うああああああああああああああっ!!」

 

ガーランドは爆散し、周囲に血が飛び散る。回避した二機の内ガーランドは肝を冷やされ、GN-XⅣは死を目の当たりにして恐怖のあまり動きが止まる。

 

「何してる!? 避けろ!!」

 

慌ててガーランドのパイロットが叫ぶが遅く、GN-XⅣはMA形態に変形したデストロイの高エネルギー砲「アウフプラール・ドライツェーン」をまともに食らってシールドエネルギーがゼロになり、パイロットは生身で放り出され放たれたミサイルランチャーによって消し飛んだ。更にガーランドも別のデストロイが放った「スーパースキュラ」を浴びて爆発した。

 

「これは……」

 

そこへセシリアのストライクフリーダムが現れた。彼女はデストロイによって破壊されていく故郷と散らばったISやガーランドの残骸を見て、驚愕すると同時に怒りが込み上げた。

 

「よくも私の故郷を……! 堪忍袋の緒が切れましたわ!!」

 

SEEDを発現し、ツインアイを光らせた彼女はビームライフルの銃口をデストロイへと向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国・北京

 

鈴のアルトロンガンダムが到着した時には、既に市街地は三機のデストロイによって戦場と化していた。逃げ惑う人々にも容赦ない攻撃を加えるのを、鈴は呆然と見つめる。

 

「な、何よこれ……これが世界を正す行為だって言うの……?」

 

地面に降り立ち、数歩進んだ鈴は傷つき倒れた少女が目に入った。少女は目の前に落ちている焼け焦げたぬいぐるみに手を伸ばしており、後少しで届きそうであった。鈴はしゃがむとぬいぐるみを手に取り、少女にそっと渡す。安心したのか、少女は鈴に笑いかけると事切れた。

 

「っ……!! こんなのが、世界を正す筈がない! こんなの……ただの虐殺よ!!」

 

ツインビームトライデントを構え、鈴は破壊行動を続けるデストロイガンダムを睨み付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランス・パリ

 

ここでも三機のデストロイガンダムが起動し、火力に物を言わせて街諸共IS部隊やガーランド部隊を薙ぎ払っていた。しかしその内の一機だけは他のとは明らかに挙動が違った。

 

「あーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!! 最っっっ高だよこれはぁぁぁああああああ!!」

 

マスクの下で狂ったような笑みを浮かべてビームを乱射するのは、ソランジュ・エキューデだった。デストロイを動かす為にプロフェッサーに『調整』され、元の人格とはかけ離れてしまっていた。

 

「パリが……何て酷いことを……!」

 

丁度そこへシャルロットが現れ、三機いるデストロイガンダムを認識する。しかし、ハイパーセンサーがシャルロットにとって不自然な反応を示した。

 

「生体反応? あのデストロイガンダム……人が乗ってる?」

 

何故無人機二機に混じって有人機が? そう思いつつシャルロットは通信を試す。以外にも相手はそれに応えた。

 

「あ゛ぁ゛!? こんな時に一体誰だぁぁぁああああああああ!?」

 

「!? まさか……エキューデさん……!?」

 

「何でお前が私の名前知ってんだよぉぉぉ!? 誰だお前はぁぁぁ!! 私の前に出たってことはお前も敵でいいんだよな!? ひゃはははははははははは!!」

 

「……………………………」

 

狂人。その一言でしか、言い表すことができなかった。自分を虐めてきたとは言え、義理の母であった女性は、もう自分のことも覚えていないただの戦闘マシーンとなっていた。

 

「貴女は、僕が倒す。それが貴女への、せめてもの手向けだ……!」

 

ターゲットをロックし、シャルロットは静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツ・ベルリン

 

「このっ! いい加減に止まれ!!」

 

ベルリン市街を蹂躙する三機のデストロイを止めようと応戦しているのは、クラリッサ・ハルフォーフが纏う『ハイペリオンガンダム2号機』率いる『ハイペリオンG』で結成された『シュヴァルツェ・ハーゼ』だ。

 

「ふ、副隊長! あのバリアを突破するにはどうしたらいいんですか!?」

 

「無理に突破しようと考えるな! 相手がMAになったら、回避に専念しろ!」

 

狼狽える隊員の1人にクラリッサは檄を飛ばし、デストロイにビームキャノンを放つ。その時、ラウラのハイペリオンガンダムが現れた。

 

「クラリッサ! 皆! 無事か!?」

 

「た、隊長!? 来てくれたのですか!」

 

「部下達に任せてばかりでは示しがつかんからな。しかし……中々厄介な相手だな」

 

デストロイガンダムを見ながらラウラは言う。その最中にも攻撃は行われ、ラウラ達はスラスターを全開にして回避する。

 

「チッ、まるで要塞だな。だが相手はISだ、倒せない筈は!」

 

軍人としての闘争心を剥き出しにしたラウラは、ビームサブマシンガンをデストロイに向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルクセンブルク

 

「街が、破壊されている……」

 

ルクセンブルクに着いた箒は、焼け野原になっている街と自然に佇む三機のデストロイガンダムを見て呟き、同時に宣戦布告してから大して時間が経ってないことに驚く。

 

「私が早く来ていれば、或いは……いや、言っても仕方がない。今は奴らを止める、ただそれだけだ!」

 

ガーベラストレートの切っ先をデストロイに向ける。直後、デストロイの目が箒を捉え、標的としてロックした。

 

「覚悟しろ亡国機業(ファントム・タスク)! 貴様等の行い、私が断ち切って見せる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スウェーデン・ストックホルム

 

工業技術が発達したストックホルムの美しい町並みも、デストロイガンダム三機によって破壊が進んでおり、多くの人々が命を落としていた。

 

「世界の間違いを正すことが、これに繋がるって言うのか……? だったら敢えて言わせて貰うぞ」

 

惨状を見た一夏はGNソードⅣとⅤを片手ずつで構えると、デストロイを睨んだ。

 

「そんなものは、クソ食らえだっ!!」

 

イノベイターを発現させ、一夏はダブルオークアンタ・フルセイバーの出力を全開にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本・東京

 

「きゃああああああああああああーっ!?」

 

「逃げろ、逃げろーっ!」

 

平和な国、日本。戦争とは無縁となった筈のこの国にも、三機のデストロイガンダムによる魔の手が伸びた。

 

「や、やめろ来るな……ぎゃあああああああああああ!!」

 

駆動系をやられたガーランドの頭部がパイロットごと踏み壊される。更に別のデストロイはM1アストレイ一機を行動不能にし、目の前でシュトゥルムファウストのエネルギーをチャージする。

 

だが放たれる直前にガトリングガンの弾をモロに食らった。

 

「……そうはさせない!」

 

デストロイとM1アストレイの間に入ったのは簪だった。その状況を見た他のデストロイも簪にターゲットを変更する。

 

「集団で来るつもり? いいわ、纏めて破壊してやる!!」

 

ソードフォームのタクティカルアームズを構え、簪は叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ・ワシントン

 

ブラント率いるヴィルデ・ザウ隊は五機のデストロイガンダムに苦戦を強いられていた。

 

「ええい! プラズマキャノンまでバリアに弾かれるとは!?」

 

「いたずらにエネルギーを消耗するな。MS形態の時に攻撃しろ!」

 

その時、プロトガーランドに跨がった省吾のアストレイアウトフレームDが現れた。省吾はプロトガーランドを止めると飛翔し、ブラント達の元へ向かった。

 

「無事か、B.D!!」

 

「省吾か。無傷とはいかないが、どうにか無事だ」

 

「そうか……にしても酷いな。まるでメガゾーンに居た頃を思い出すぜ」

 

「どっちにしろ地獄に変わりは無いがな」

 

ぼやきながら2人はそれぞれの得物を手にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イタリア・ローマ

 

「ふん、何がIS部隊だよ。軍隊の癖しててんで弱かったね、姉さん」

 

「まあ通信網が掌握されてるのもあるからな。が、確かにガーランド部隊の方が強かったな。最もメンタル的な意味でだが」

 

IS操縦者の死体を蹴飛ばしながら言うのは『ガンダムヴァサーゴ・チェストブレイク』を纏ったエスと『ガンダムアシュタロン・ハーミットクラブ』を纏ったオーだ。周囲では二機のデストロイガンダムが暴れている。

 

「……む、オーよ。工作兵達が軍事施設の制圧に成功したそうだ」

 

「やったね、姉さん。これで新しい武器を使うことができるよ」

 

仲間からの通信でオーは歓喜の表情を見せ、エスも笑みを浮かべる。そしてアシュタロンHCはMA形態に変形すると増設された砲身を展開し、ヴァサーゴCBが背部アクティブ・バインダーを展開してアシュタロンHCに乗って砲身のトリガーを持つ。

 

「エネルギーチャージ、開始!」

 

エスが指示を送ると軍事基地にある遠距離エネルギー送信アンテナと呼ばれる、緊急時にISにエネルギーを遠隔で与えられる装置からエネルギー電波が発信され、ヴァサーゴCBにチャージされていく。

 

「姉さん。お誂え向きに的があるよ?」

 

「ならば存分に使わせて貰おう」

 

オーがハイパーセンサーで察知した方向には他の国から向かって来たと思われるIS&ガーランドに戦艦の大部隊が接近し、そちらへ砲身を向けた。

 

「エネルギー充填120%。いけるよ、姉さん」

 

「確か、こういう場面ではこう言うのだったな……我らの世界に栄光あれ……!!」

 

言い終えた後、エスはトリガーを引く。すると砲身から強力なビームが放たれ、ISとガーランドや戦艦等を一瞬で消滅させてしまった。

 

「なっ!? い、今のは……!!」

 

その瞬間をやってきたマドカは偶然目の当たりにし、撃ち終えたエスとオーを唖然とした表情で見つめた。

 

「ん? マドカか。何の用だい?」

 

「……エス、オー。これがお前達の言う、世界を正すことなのか……?」

 

「そうだ。私達を黙殺した世界を破壊し、一からやり直す。世界を変えるには、これが一番の方法だ」

 

「私達は正さなければならない。ISに胡座をかき、威張り散らしている女達を。そしてISを動かし、その力に酔う者を!」

 

「そうか…………これではっきりした。そんなものは間違っている!」

 

言いながらマドカは銃口を向ける。同時にデストロイが反応するが、エスはそれを手で制した。

 

「どうやらやる気のようだな、マドカ。ならば先の約束通り、私達も容赦はせん!!」

 

「来い! お前達は、私が止める!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロシア・モスクワ

 

世界最大である国の軍隊も、電撃作戦の前では無力に等しかった。刀奈が到着した時には二機のデストロイガンダムが街を滅茶苦茶に破壊していた。

 

「酷い有様ね……復興までにどれだけ時間がかかるのか、わかってるのかしら?」

 

怒りを滲ませながら呟いた直後、背後から殺気を感じた刀奈は右に回避する。と、そこへ黒いIS『バンシィ』が殴りかかってきた。

 

「ほう、今のを避けるとはな。やはり国家代表は伊達ではないと言うことか」

 

「奇襲なんて味な真似するじゃない。でもせめて名前ぐらいは名乗って欲しいわ」

 

「私はピー。お前達のところに居る、織斑マドカの同類だ」

 

「……そう。織斑先生のクローンの1人って訳ね」

 

「察しが早くて助かる。では……行かせて貰うぞ!」

 

ピーはバンシィの装甲及び武装を展開し、その姿を黒と金の獅子のような「ガンダム」へと変えた。

 

「本気って訳ね。上等じゃない……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナダ・オタワ

 

オタワに着いた彰人は、周りの建物が破壊されているのが目に入ったが敵の姿が全く見えないのがわかった。デストロイガンダムもおらず、誰がどうやって周囲を破壊したのか疑問に思う彰人。と、そこへ金色のビームが放たれ、彰人は咄嗟に避ける。見てみれば金色のGNファングを操る巨大な機体が存在していた。

 

「コイツは、アルヴァトーレ!? 誰が乗っている!?」

 

「今のを避けるなんて凄いね。やっぱりゼロシステム使ってるからかな? ……あ、私はエーって言うんだ。よろしく!」

 

アルヴァトーレのパイロットのエーが彰人に通信する。彰人は機体をハイパーセンサーで調べてみると、ISコアの反応を7個探知した。

 

「いやそこまで再現しなくてもいいのに……ったく」

 

「早速で悪いけど、戦ってくれない? みんな弱すぎてさ、正直飽きちゃったんだよね」

 

「……何はともあれ、コイツを倒すことが先決だな」

 

ツインアイを光らせ、彰人はエーと対峙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園

 

「そろそろ来るかな」

 

端末を見ながら束は言う。近くにはISを展開した千冬、スコール、オータムが立っている。

 

「どうやらおいでなすったみてぇだな。来るぞ!」

 

オータムはハイパーセンサーで視認した物体を拡大する。そこにはMA形態で向かって来るデストロイガンダムが五機居た。

 

「反対側からも幾つか来てるが、そっちには別の専用機持ちと教師達が向かっているから問題はないな」

 

「ええ。それじゃ、行きましょうか!」

 

「ああ。蹴りをつける!!」

 

三機のISはIS学園からデストロイガンダム目掛けて飛ぶ。世界を巻き込んだIS学園と亡国機業(ファントム・タスク)の戦いが始まった。

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