ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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89th Episode

彰人SIDE

 

「さて……と」

 

送られてきた情報を頼りに、俺達はとある地下駐車場へと入る。地図的には真上に何らかの会社があったようだが、完全に倒壊していてわからない。

 

「ナビゲーターはここを指しているが、壁しかないな……」

 

「罠か、それとも秘密の入り口でもあるのか?」

 

いつでも逃げられる体勢を作りつつ、壁面を凝視する。何も無いように見えるが、果たして……。

 

そう考えていると、再び連絡が来た。

 

『ごめんごめん。入り口を開けておくのを忘れていたよ』

 

(入り口? コイツ、ふざけているのか……?)

 

そう思った時、目の前の壁がまるでドアのようにスライドし、エレベーターのような空間が現れた。

 

「というかまんまエレベーターだな」

 

「完成度の高いカモフラージュをしてたのか。ISのセンサーでもわからないとは、誰にも見つからん訳だ」

 

ISを解除(ただし腕に部分展開している)してエレベーターに乗り込む。すると驚いたことに、自動でドアが閉まって独りでに下に動き出した。

 

「向こうから遠隔操作されているようだ。やっぱり罠か、彰人?」

 

「わからない。が、用心するのに越したことは……ん?」

 

「どうした?」

 

「いや、束さんからメッセージが」

 

一体何だろうと思い見てみる。そこに書かれていたことに最初は驚き、次に喜びへと変わった。

 

「『世界各国のデストロイガンダム他ISの撃破に成功したよ!』だってさ!」

 

「っしゃあ! やったぜ! これで残るはプロフェッサーだけか!」

 

一夏とガッツポーズをし、そして再度緊張感を高める。全ての敵が撃破されたのなら、プロフェッサーとやらは目の前で逃亡を謀るかもしれない。それだけは阻止しなければ……!

 

「ん……着いたみたいだ」

 

長い時間を掛けて止まったエレベーターを降り、目の前に見えるこれまた長い廊下を表示されたマップ情報に従って歩く。やがてとあるドアの前に辿り着くとソレが自動で開き、その先の司令室らしき部屋にマスクオフした状態のISを纏った1人の女性が佇んで居た。

 

「ようこそ、亡国機業(ファントム・タスク)へ。歓迎するよ、矢作彰人君、織斑一夏君。私がプロフェッサーだ」

 

「……随分と余裕そうだな。お前達の戦力は全滅したんだぞ?」

 

「ああ、知ってるよ。デストロイは私がモビルドールシステムで直接指揮していたんだけど……やっぱり経験値の差が出ちゃったね」

 

「そんなことより、さっさと投降したらどうだ。アンタは負けたんだ!」

 

「『負けた』? フフ、バカを言っちゃ困るね。まだ私と言う戦力が残っているじゃあないか」

 

肩をすくめながらプロフェッサーはマスクを展開する。俺達も全身にISを展開し、ビームサーベルとGNソードⅣを持つ。

 

「なら、アンタをさっさと倒させてもらう! この戦いを終わらせる為に!」

 

「これ以上世界をお前達の好きにはさせない!」

 

「若くて熱いねぇ。では刮目して貰おうか。私の『ブルーディスティニー改』の力を、さ。……システム、起動」

 

ツインアイを赤く光らせ、近接武器のビームサーベルを構えるプロフェッサーに、俺と一夏は時間差で突撃した。だが……

 

 

バキッ! ドガッ!!

 

 

「「ぐおぁあああああああ!?」」

 

こちらの攻撃は避けられ、一方的に攻撃を受けていた。何故だ……? ゼロシステムで行動を読んでいる筈なのに!?

 

「クソッ……! トランザム!!」

 

一夏はトランザムを発動し、残像で相手を翻弄しつつ斬りかかる。

 

「……トランザム」

 

 

シュンッ! ズシャッ!

 

 

「うわああああ!!」

 

しかし、どういう訳かトランザムを発動させたプロフェッサーに量子化で回避され、逆に斬りかかられた。

 

「まだまだ、たっぷり見て貰うよ。私自らが特別にチューニングしたISの力を!」

 

言い終えるやいなや、プロフェッサーはトランザムを発動しビームライフルやビームサーベル、100mmマシンガンで連続攻撃を仕掛け、俺達を圧倒する力を見せつけられ、地に伏せられた。

 

「な、何で量子化ができるんだ……それにゼロシステムで予測しているのに、ちっとも避けられない………………っ! まさか、ゼロシステムとツインドライヴシステムをEXAMと同時に積んでいるのか!?」

 

「んなバカな!?」

 

「いいや、彼の言う通りだよ。私は君達のデータを元にして作った、ツインドライヴシステムを搭載し、ゼロシステムをEXAMシステムと混ぜ込んだ『EXAMゼロシステム』を搭載している。お陰で君達を圧倒することができたよ。最も、戦闘慣れしてないからさっきみたいに手加減ができないし、持て余しているんだけどね。それと余談だがこの機体を選んだのは、私の趣味だ。いいだろう?」

 

歩きながら自慢するかのようにプロフェッサーは言う。そして大げさにポーズを取りながら、何やら語り始めた。

 

「ところで君達は、疑問に思っているんじゃないかな? 何故私達は世界の平和を願いながらテロ行為を行うのか?と。まあ思ってなかったとしても、君達はここでやられるんだし話しておくよ。……私はね、他人の力を傘に威張り散らしているバカな奴らが、それより上の力で慌てふためくのを見るのが大好きなんだ。フフ、世界を救うなんてのは二の次だけど、最終的な目標は一致しているからいいだろう?」

 

「な、何だよソレ……! お前、無茶苦茶だよ!」

 

「目標が一致してるだと? ふざけるな! アンタはただ自分の欲望を満たそうとしているだけじゃないか!」

 

「だが今の世界にとっては良い薬になるんじゃないかな?」

 

「だとしても! 破壊や犠牲を必要とするものが、正しいとは言えない! たとえ正しいとしても、結果は手段を正当化したりはしないんだ!!」

 

起き上がりながらバスターライフルを構えて叫ぶ。プロフェッサーの行動原理は自分の欲望だが、確かに人間は一度痛い目に遭わなければわからないかもしれない。それは正論だ。それでも俺は……!

 

「一夏……行くぞ!! 俺達が信じる人達の為に……信じるものの為に!!」

 

「お前に言われなくてもわかってる……。俺達は、負ける訳にはいかないんだ!!」

 

「やっぱり熱いね、君達。……そういうのって、嫌いなんだよ!!」

 

プロフェッサーは有線ミサイルをぶっ放すが、寸前で避けると受け身を取りながらバスターライフルを発射する。しかしプロフェッサーは量子化して回避した。

 

「おっと。そんな攻撃じゃ「せいやっ!!」がはっ!?」

 

直後、俺がタイガーピアスで背後から横薙ぎに斬りつける。何をしたかって? さっきのバスターライフルを避けた隙に一夏がGNソードビットで作ったワームホールに飛び込んで背後に回ったんだ。ぶっつけ本番だったけど、上手くいくもんだな。

 

「え、EXAMゼロシステムの予測ではこんな攻撃は!?」

 

「実戦経験の少なさが仇になって、システムを使いこなせなかったようだな! やっちまえ、一夏ぁ!!」

 

「ぬぁああああああああああああああああ!!」

 

正面から一夏が接近しGNソードⅣを振りかぶる。プロフェッサーはトランザムを発動してビームライフルを放つが一夏に弾かれ、痛烈な一撃を食らった。その証拠に装甲に深い傷が走り、そこから火花が散っている。

 

「ごふっ……こ…こんなバカなことが……私はまだ、倒れる訳にはいかないというのに……!」

 

「残念だが、お前の企みもここまでだ。潔く負けを認めろ」

 

「潔くだと……? ふ、フフフ……あははははははははは! 誰がそんなことをするとでも!?」

 

「!? こ、コイツ!」

 

「そんなことをするぐらいなら、私は世界に爪痕を残す程凄まじい死を選ぶよ!!」

 

そう言うと、プロフェッサーはトランザムを発動させたブルーディスティニー改の出力を目に見えて危険なレベルまで引き上げた。

 

「自爆する気か!?」

 

「惜しいねぇ! 私はこれからEXAMシステムとゼロシステムで負のイメージを増幅させた上で、GN粒子を撒き散らしながら死ぬのさ!!」

 

「な、何だとぉ!?」

 

俺も一夏も耳を疑った。彼女のやろうとしていることは、恐怖のイメージをGN粒子に乗せて世界中に頒布しようというものだ。ただでさえ戦争で傷ついているというのに、そんなことをしたら…………それがコイツの断末魔の叫びか!?

 

「一応止めることはできるよ? ブルーディスティニー改のシールドエネルギーをゼロにすれば……最も、本当にできたらだけど」

 

「「何―――うああああっ!?」」

 

次の瞬間、脚や腕から放たれたアンカーランチャーが俺達の身体を雁字搦めにしてプロフェッサーと密着させて身動きを取れなくさせやがった。

 

「こんなこともあろうと用意しといたのさ! さあ! 止められるものなら止めてみなよ! あははははははははははははは!!」

 

「く、クソッ……!!」

 

碌に腕を動かすこともできない状況下で、ゼロシステムをフル稼働して勝算を導いていく。しかし見せられるものは、一貫してある行為だった。

 

「(これしかない、か……)……一夏。クアンタのパワーを上げ続けろ。俺もパワーを上げる」

 

「え? 何言って……お前、まさか―――」

 

「早くしろ!」

 

「……わかった。俺も覚悟を決めるぜ!」

 

力強く頷くと、俺と一夏はウイングガンダムゼロカスタムとダブルオークアンタのパワーを限界以上まで引き上げていく。プロフェッサーは「ん?」という様子を徐々に焦りに変えていった。

 

「や、やめろ! 君達、自分が何をしようとしているのかわかっているのか!?」

 

「「わかった上での行動だ!!」」

 

更に更にパワーを上げ続け、モニターが警告メッセージで埋め尽くされ次いで中央にそのボタンが表示される。

 

(悪いな。セシリア、簪、シャル、ラウラ、刀奈……俺、帰れそうにないかもしれない)

 

(こんなことなら、行く前に箒と鈴とキスしとけば良かったな……)

 

愛する人達を思い浮かべながら、俺達は最後の手段―――『自爆スイッチ』を押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……ここは……?」

 

気がつくと俺と一夏は無傷のISを纏って浜辺に居た。おまけに驚くべきことに、IS学園の浜辺だった。自爆の直前までカナダの地下に居たのに……?

 

「……おい彰人。こりゃ一体……?」

 

「俺に聞くな……」

 

可能性としてはクアンタのワームホールでギリギリ助かったことだけど、何か……違和感を感じる。ここは本当に、俺達が居た学園なのか……?

 

「ん? センサーがIS学園からの反応を察知している。これは味方のISだな」

 

「いや、どうだろうな」

 

どうにも不安を拭えずに腕を組む。少しして現れたのは、千冬さん率いる教師が纏ったIS達だった。が、その外見はガンダムどころか全身装甲(フルスキン)でもない、生身の四肢が露出したアーマーを纏っていた。

 

「な、何だこれは……彰人」

 

「……みんなが纏っているのは、原作に出てきたISだ」

 

「え? いやでも、俺達の世界じゃISは丸っきりガンダムだった筈じゃ」

 

大いに戸惑っていると、目の前に居る千冬さんが通信をしてきた。

 

『そこの所属不明機。悪いが大人しく投降して貰うぞ』

 

「え、何言ってるの千冬姉さん?」

 

『なっ!? そ、その声は一夏か!? だが一夏は学園に居る筈……』

 

その言葉を聞いた瞬間、俺や一夏は理解してしまった。俺達は、別の世界のIS学園に来てしまったのだと。

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