ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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91th Episode

???

 

束SIDE

 

信じられないことが起きた。時空の歪みを観測してその周囲一帯を調べた結果、見たこともないISがそこに居たんだ。しかも片方の操縦者はいっくんと同じ顔と名前だし……もう片方は全く知らない顔だけど、何故だか束さんと似た存在だと一目で感じられた。

 

束さんとしては何としても彼らのデータを集めたいけど、IS学園に保護されるとなると迂闊に手を出せない。少し前に無人機送り込んじゃったからなぁ……どうしたものか。

 

「…………ん?」

 

ふと気がつくと、束さんの携帯電話が鳴っていた。この着信音は……!!

 

「もしもし、ちーちゃん! 何か用かな~?」

 

『単刀直入に言うぞ。こちらで保護した男子生徒が2人居るんだが、彼らが元居た世界を探してくれないか?』

 

「……どういうこと?」

 

『すまない、単刀直入過ぎたな。わかりやすく話そう』

 

そう言うと、ちーちゃんは見たこともないISを纏ったあの2人が平行世界の地球からやってきたいっくんとその親友だということと、彼らがどういう経緯で現れたのかを話してくれた。

 

「ふーん、平行世界ねぇ……信じがたいけど、そうでなきゃいっくんと瓜二つな理由が見つからないものね」

 

『それで、できるのか?』

 

「元居た世界を探すって話? できないことはないよ。束さんのIQは宇宙一だからね! ただ1つ条件があるよ」

 

『何だ?』

 

「あの2人の戦闘データを取って欲しいんだ。できれば個別で……どうかな?」

 

『その程度でやってくれるなら、安いものだ。任せてくれ』

 

「任せたよ。そんじゃね~」

 

携帯を切ると、私はハックしたIS学園の監視カメラの映像を見た。そこには廊下を歩く例の2人の姿があった。

 

「見せて貰うよ。別世界のISの性能をね……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

翌日。俺と龍は千冬さんにアリーナへ呼び出された。俺達と戦って、戦闘データを取りたいんだそうだ。

 

「でもまさか、朝一番に呼び出されるとは思ってませんでしたけど」

 

「その方が人目に付かないからな。……それにしても……」

 

千冬さんは俺達を目を細めてじっと見つめた。何かを測られている気がするが……。

 

「2人とも……強いな」

 

「え、そうですか?」

 

「ああ。筋肉の付き方がとても良い。それに戦うことへの『覚悟』がひしひしと伝わってくる。いざとなったら迷いを捨てられるような、な」

 

「はぁ……」

 

戦いの時には敵味方を割り切っているのは確かだけど、そういう『覚悟』って見ててわかるもんなのかな? こっちのシャルにも言われたし。

 

「それで戦う方法だが、正直あまり時間がない。2人同時に挑むとしよう」

 

「大丈夫なんですか、千冬姉さん? 実力を見くびってる訳ではないんですけど……」

 

「何、これでも元世界最強(ブリュンヒルデ)だった身だ。性能と数の差は腕でカバーしてみせるさ」

 

何だろう、千冬さんが言うと本当に出来そうな気がしてくる。と言っても、負ける気は更々無いが。

 

「では私は打鉄を持ってくる。お前達は各々のISを展開していてくれ」

 

言い終えると千冬さんは一旦アリーナから出る。俺達はウイングゼロカスタムやダブルオークアンタを展開するが……。

 

「彰人。率直に聞くが、千冬姉さんに勝つ自信あるか?」

 

「そんなにない。今の俺は常時ゼロシステムを発動している状態だが、行動を読んでもそこを突けるかどうか……お前はどうなんだ?」

 

「お前と同じだ。量子テレポートを使っても勝てるかどうかはわかんないし、何よりGNソードⅣを丸ごと『向こう側』に置いて来ちゃったしなぁ」

 

手数が足りないんだよな、と龍は頭を掻く。俺もタイガーピアスを置いてくるべきではなかったかも……技の数は多いけど、武器の数は3つしかないんだし。

 

「ま、やるっきゃないけどな」

 

「……だな」

 

「すまない、待たせた」

 

改めて覚悟を決めたところに打鉄を装着した千冬さんが現れる。その両手には近接ブレード『葵』が握られている。

 

「問題ありません。むしろ丁度良かった位ですし」

 

ビームサーベルを右腕で引き抜き、龍はGNソードⅤを持つ手に力を込める。千冬さんも葵を構え、そして……。

 

「織斑千冬、打鉄。いざ参る!!」

 

「「勝負だ!!」」

 

ほぼ同時にブーストし、まず俺がビームサーベルで斬りかかる。千冬さんはそれをアーマーで受け止めた後右腕の葵で押し返し始めた。

 

「そこだ!」

 

龍がGNソードⅤを振りかぶって接近し、千冬さんが左手の葵の切っ先を向ける―――が、直前でGNソードビットで発生させたワープゲートに飛び込み、千冬さんの真後ろへ移動して斬りかかる。

 

「くっ!」

 

だが千冬さんは左への瞬間加速(イグニッション・ブースト)でこれを回避し、距離を取る。そこへ俺がバスターライフルをぶっ放すが、これも回避される。今度は龍のGNソードビットも攻撃として使われるが、避けられるか葵で防がれるか、致命傷ではない最小限のダメージで済まされる。

 

「このままじゃ埒が開かないな。龍、ちょっと耳を貸せ」

 

「何だ?」

 

「それがだな―――」

 

秘匿回線(プライベート・チャンネル)で俺の考えた作戦を龍に伝えると、龍は一も二もなく引き受けてくれた。

 

「じゃ、後は作戦通りに頼む」

 

「了解! トランザム!!」

 

トランザムを発動させたクアンタが、GNバスターソードと化したGNソードⅤを振るう。千冬さんは葵で受け止めるが、威力の違いに目を丸くしていた。

 

「先ほどより攻撃が重い……! それにISの性能そのものまで引き上げられている……これがお前の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)か!」

 

「ええ、そうです……よっ!!」

 

そのまま千冬さんを押し切り、残像を残す動きで千冬さんを惑わすとやがて真上にジャンプする。それに釣られた千冬さんは龍が移動した方向を見るけど、それこそが狙いだ!

 

「ん?……っ!?」

 

何かを感じた千冬さんが正面に視線を戻した時、目を疑ったような表情をした。当然だ。そこには俺が、バスターライフルを持った両腕を水平に構えていたのだから。

 

「最大出力、攻撃開始!!」

 

荒めの必殺技、ローリングバスターライフルを発射する。ハイパーセンサーで察知したら、千冬さんは2、3発は貰ったもののすぐに上空に退避していた。その判断は間違ってない。ただ……相手が単独(俺だけ)であれば。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「何っ!?」

 

GNバスターソードで龍が斬りかかり、右腕の葵を破壊しつつダメージを与える。更に俺が即座に地上からツインバスターライフルを千冬さんにぶち込む。結果、打鉄のシールドエネルギーはゼロになった。

 

「……やられたよ、降参だ。あんな連携をしてくるとは、思ってなかった」

 

「咄嗟に考えたものなんで、上手く行くかどうかはわからなかったですけどね」

 

「咄嗟であれだけできれば上等だ。互いのことを信頼し合っていることがわかる」

 

「そりゃあ俺達、親友ですから」

 

拳をトンッと軽く合わせて言う。そう、長い間ダチをやっているからこそ相手の意志を理解したり、自然に合わせることができた。多分元の世界のみんなともやろうと思えばできるだろう。

 

「何はともあれ、ご苦労だった。……これでアイツも満足する筈だ」

 

「え?」

 

「何でもない、独り言だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束SIDE

 

「ご苦労様、ちーちゃん。お陰でデータはバッチリ取れたよ」

 

コンソールに目をやりながら呟くと、コーヒーを一口飲む。けど、2人がかりとは言えちーちゃんに勝っちゃうなんて、予想外だったな。2人のコンビネーションが抜群なのもあるけど、ISの性能が『こちら側』より上なのも勝てた要因かな。

 

「敢えてオリジナルのデザインじゃなくて、既存のものを再現することで性能を高めたのか……『向こう』の束さんもやるもんだね」

 

正直嫉妬しちゃうな。別の世界とは言え、私より凄いものを作ることができるなんてさ。

 

「ま、それは別にいっか。そんなことより、早く会いたくなっちゃったなぁ」

 

久しぶりに感じることができた気がする。何かに興味を持つ感覚を。

 

「でもどうしよっかな。アイツ等と会食しなきゃなんないし、例の作戦も……あ、そうだ!」

 

我ながら良いこと閃いちゃったかも!

 

「ふふ、楽しみにしててね……2人とも♪」

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