ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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92th Episode

休み時間・一年一組

 

一夏SIDE

 

みんな初めまして。俺は『この世界』の織斑一夏だ。最近ISを動かしたこと以上に驚いたことがある。それはもう1人の俺と出会ったことだ。何でも傍に居た男共々、平行世界から来てしまったらしい。なので帰る目処が立つまで、俺達のクラスで今日から一緒に授業を受けることになった。勿論最初はみんなも驚いていたんだけど……。

 

「ねえねえ! 矢作君達が居たIS学園とここの違いって何かある?」

 

「そうだな……まず時期が違うってのがあるな。こっちじゃタッグマッチの直後だけど、『向こう』じゃ体育祭終わってるし」

 

「後は……いや、これ言ってもいいかな?」

 

「気になるから言ってよ~! 別に気にしたりしないからさ!」

 

「じゃあ。実は『向こう』ののほほんさんだけど、彼氏が居るんだ」

 

「ほぇ~!? りゅうりゅう、それ本当~?」

 

こんな具合にもう馴染んでいる。うーん、この馴染み具合は正直羨ましい。

 

「最後に一番の違いだけど―――」

 

ん? 彰人も龍もこっちを見てる……何だろ?

 

「―――ここより確実に平和だ」

 

「間違いない」

 

『『『ああ……うん』』』

 

どういう訳か周りのみんなも納得して頷くと同時に、俺に対して言いたげな目線を向けてくる。……俺、何かした?

 

「どうした一夏?」

 

「ん? ああ、箒。いやさ、彰人と龍が向こうの方が平和だって言ってるのが聞こえてな」

 

「……世界規模の戦いが起きていたのにか?」

 

「やっぱお前もそう思うよな……」

 

「それより、今日は合同実習があると聞いた。ISのダメージが抜けきってないのに、何をするのだろうか?」

 

「さあな。そん時になってみないとわからないぜ」

 

とは言え、今日の実習は特に気になる。龍達が居るのもだが、今回限りのものをやるらしいんだ。ま、特に問題が無ければそれでいいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラウンド

 

その後、俺達一年生はグラウンドへと集合して整列した。さっき箒と言ってたが、どんな内容なんだろうか。

 

「まず織斑、篠ノ之、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰、更識。前に出ろ」

 

早速呼ばれた? ということは、俺達専用機持ちに対して何か重要なことがあるのかも。

 

「先日の襲撃事件で、お前たちのISは全て深刻なダメージを負っている。自己修復がかなりかかる為、当分の間はISの使用を禁止する。いいな?」

 

『『『はい!』』』

 

さすがに前回は機体を酷使しすぎたからなぁ。その分しっかり休ませてあげないと。

 

「そしてその代わりと言っては何だが……山田先生」

 

「はい。皆さん、こちらに注目してくださーい!」

 

声を張る山田先生の後ろには、複数のコンテナが並んでいる。あれの中身を使うのか……でも何だろう?

 

「何が入っているんだろ、あれ?」

 

「新しいIS、とか?」

 

「それだとコンテナじゃなくてISハンガーじゃない?」

 

「何かな何かな? あっ! ひょっとしてお菓子!? ねぇお菓子!? ねぇお菓子かな!?」

 

「ああもううるさい! 本音! アンタ黙っててよもう、頼むから!!」

 

約二名コントをしている人達が居るんですが。ていうかのほほんさん、あのコンテナにお菓子は無いって。

 

「静かにしろ! 全くお前達は……言わなければ口を閉じていられないのか? はぁ、山田先生、開けて下さい」

 

「わかりました。それでは! オープン・セサミ!!」

 

『『『……………………………?』』』

 

「彰人、オープン・セサミって……何?」

 

「俺にもさっぱりわからん」

 

「うぅ……世代差って、残酷なんですね……」

 

誰も山田先生の掛け声を理解できず、項垂れながらリモコンでコンテナを開ける。その中からは金属製のアーマーらしきものが現れた。

 

「諸君。これは国連が開発中の外骨格攻性機動装甲、『EOS(イオス)』だ」

 

「イオス……」

 

「正式には『Extended(エクステンデッド) Operation(オペレーション) Seeker(シーカー)』。その頭文字を取って『EOS』だ。その目的は災害救助から平和維持活動など、様々な運用を想定している」

 

「あの…織斑先生。それでこのEOSをどうしろと言うんです?」

 

質問する箒に、千冬姉はシンプル且つ明確な一言を放った。

 

「乗れ」

 

『『『えぇっ!?』』』

 

「これらの実稼働データを提出するようにと学園上層部に通達があった。お前たちの専用機はどうせ今はまだ使えないのだから、テストパイロットとしてレポートに協力しろ」

 

『『『はぁ……』』』

 

戸惑いを隠さずに返事をする。だが用意されているEOSは全部で九機。専用機持ちが乗っても二機余るが、龍と彰人が乗るんだろうか?

ちなみに他の生徒は山田先生の指示のもと、訓練用ISでの模擬戦の準備をし始めた。みんなEOSの性能を見られずに残念そうだ。

 

「早くしろ、バカ共。時間は限られているんだぞ? それとも何か? お前達はいきなりこいつを乗りこなせるのか?」

 

「お、お言葉ですが織斑先生。代表候補生である私達が、この程度の兵器を扱えないはずがありませんわ」

 

「ほう、そうか。ではやってみろ」

 

セシリアの反論にニヤリと笑みを浮かべた千冬姉に、誰もが背筋を凍らせた。……これ、セシリアの奴地雷踏んだかも。そんなこんなでEOSに乗り込んだが……。

 

「うっ!? こ、の……!」

 

「なっ、これは……!」

 

「な、何て重さ……なんですの……!」

 

「嘘でしょ、これ……」

 

「凄く動かし辛い……」

 

「……くっ!」

 

俺や箒、セシリア、鈴、シャル、簪は完全に悪戦苦闘してしまっていた。まさかこんなに重いだなんて、予想だにしてなかった。これならパワーをカットしたISの方がまだマシだ。……今更ながら、ISのありがたみを心底感じた瞬間だった。

 

「ふっ、はっ……よし」

 

「おらっ! せえいっ!」

 

「でりゃっ! そぉりゃぁ!」

 

どうやらラウラはEOSの癖を掴んだようだ。羨ましい……けど、彰人と龍は何だ!? よく組み手ができるなおい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彰人SIDE

 

やれやれ……外骨格攻性機動装甲なんてカッコイイ名前だから期待してたが、とんだ欠陥機だな。スペックデータでは、30kgもするバッテリーを搭載していながらフル稼動で十数分しか保たない上に、パワーアシストはデフォルトでOFFになってるそうだ(そもそもあって無いようなものらしい)。産廃どころじゃないレベルだろこれ……同じパワードスーツでもガーランドの方が高性能だ。しかも平和維持活動って、アロウズ的なものを狙ってるとしか思えない。これでよく狙えたものだと思うが。

 

実際辛うじて乗りこなせているのは軍人のラウラだけだし、俺達も組み手をやるのに滅茶苦茶疲れた。普通にやった方がマシだったと後悔したよ。

 

「それではEOSによる模擬戦を開始する。なお、防御能力は装甲のみの為、基本的に生身には攻撃するな。射撃武器はペイント弾だが、当たるとそれなりに痛いぞ。では……始め!」

 

おっと、いよいよ始まりか。まずは誰から狙おうか……。

 

「彰人、一夏(アイツ)は俺に戦らせてくれ」

 

「おう、程々にな」

 

真っ先に一夏に向かう龍に手を振る。実力を試すつもりかな? EOSをつけた状態じゃ実力もへったくれもないが。

 

「せいやぁああああああっ!!」

 

「え、俺!? そんないきなぐほぁっ!?」

 

どこぞのATの如く地面をランドローラーで滑走する龍のパンチを受け、一夏は沈んだ。戦いにいきなりなんて言葉はないんだぜ、一夏。そんじゃ、俺は……

 

「慣れてない奴から狙っていくとしますか!」

 

ランドモーターを全開にし、まずセシリアに突撃していく。

 

「私ですか!? ええい!」

 

サブマシンガンをフルオートで放つセシリアだが、反動で照準がブレブレで簡単に避けることができた。

 

「くっ、なんて反動ですの! 火薬銃というだけでも扱いにくいのに!」

 

ISはPICとかで反動を相殺してくれるけど、これにはそんなもの無い。ほぼ生身と同じだ。

 

「そこだ!」

 

「え、きゃあ!?」

 

しゃがみながら右腕で足を掴むと、近くに居た鈴ちゃんにぶつけてバランスを崩す。

 

「ちょっ!? うわわっ!!」

 

こけたところにペイント弾をぶち込み、2人を討ち取る。

 

「二機撃墜っと……」

 

ここでふと龍を見る。あっちはどうやら、箒ちゃんとシャルを隅に追い込んでいるようだ。

 

「これで決める!」

 

そしてペイント弾を発射すると同時にスライディングし、2人の真下から更にペイント弾を撃つ。

 

「「うわあああっ!?」」

 

「三機撃墜ってとこだな。後は……」

 

龍の視線が簪とラウラに向けられる。当然俺もそちらを見る。

 

「……あ、あの……私は、降参で……」

 

簪は自分から降参してきた。なので相手はラウラ1人になった。コイツはかなりの強敵だな。

 

「戦うか?」

 

「ああ。お前達の実力は私が確信した通りだった。故に腕を試したい」

 

「二対一だが、いいのか?」

 

「戦いは不利な状況も付き物だからな。卑怯なことではない」

 

「なるほど。じゃあ、俺達も遠慮無くいくよ」

 

「その言葉を待っていた。行くぞ!!」

 

サブマシンガンを構えてラウラは連射する。狙いは明らかに正確で、反動も抑えていた。さすがは軍人だ。

 

でも俺達も負けてられない。ペイント弾を腕のシールドで防ぎつつ同時に肉薄し、龍と片腕ずつ押さえつける。

 

「くっ、この!」

 

脱出しようとあがくラウラにサブマシンガンの銃口を向け、トリガーに手を掛ける。いつでも発射は可能だ。

 

「どうする?」

 

「……はぁ。私の負けだ」

 

ラウラは負けを認め、模擬戦は終了した。

 

「織斑先生、データは取れましたか?」

 

「ああ。だが……こんなもの碌に使えるとは思えんな。ま、PKOなどで多大なシェアを獲得するだろうが」

 

肩をすくめて言う千冬さんに、俺達も顔を見合わせて苦笑した。

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