ISG~インフィニット・ストラトス・ガンダム~   作:レイブラスト

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93th Episode

昼休み・屋上

 

今日は気分転換で昼食を屋上で摂っていた。食べているのは自分で作った弁当だが、これが我ながら中々美味い。

 

「ふぃ~、ごちそうさま」

 

「やっぱ自分で美味いもんを作って食うってのはいいな」

 

「ホントそれな」

 

楽しく会話をしていると、ガチャッという音とともに箒ちゃん、鈴ちゃん、セシリア、シャル、ラウラ、簪が現れた。

 

「どうしたんだみんな? 揃いも揃って」

 

「実はちょっと、聞きたいことがあってね。アンタ達の世界のことなんだけど……」

 

「それなら前に話したぞ?」

 

そう言いつつみんなを見渡して表情を伺うと、何やら言い辛そうな顔を皆一様して浮かべていた。それを見て、俺達は直感した。

 

「ひょっとして……」

 

「「恋愛関係……?」」

 

「え、えぇ……そうですわ。お2人は、恋人はいらっしゃいますか?」

 

「え? あ、居るけど……」

 

頷くセシリアを見て、俺と龍は困り顔になる。なんせ俺達は複数の女性(しかもここに居るメンバー)と付き合っているからだ。おまけに龍は2人とまあわかるが、俺は5人だしなぁ……。

 

「あ、心配しないで。僕達はあくまでどういう過程で付き合ったのかを聞きたいだけで、誰が相手とかまでに首を突っ込んだりはしないよ」

 

あ、そうなんだ。ならそのことは言わなくていいか。にしても付き合う過程か……。

 

「参考にするのは難しいと思うぞ? 俺はその子に一目惚れして、それで告白して付き合うことになったんだからな」

 

「俺の場合は、抱いた気持ちが何なのか彰人に相談して、そんで自覚して告白したって流れだし……でもここの一夏は、惚れることはおろかそういう気持ちも抱いてないんだろ?」

 

「……うん。照れたりとか恥ずかしがったりはするけど、ね……」

 

少し呆れたように言う簪に続き、みんなも「はぁ……」とため息をついた。

 

「まあ確かに、ここの一夏がとてつもない鈍感だということは、短い間だが接したり周りから聞いたりして知ってる。けど、だからといってお前達に非が無い訳じゃない。これも周りから聞いたことだが、むしろありすぎと言っても過言じゃあない。唯一皆無なのは簪だけだ。……何故か知りたいか?」

 

俺の問いかけに、目の前に居る面々は真剣な面持ちで頷いた。なら言わせて貰おうか。原作を読んでて俺が予てから疑問に思っていたことを。

 

「まず簪を除く全員に言うが、一夏がラッキースケベ等をやらかす度に行う制裁でISを使う時点で大問題だ。そもそもISの個人的な運用は禁じられているじゃないか。この前も目の前で部屋のドアを吹っ飛ばしたし……しかも箒ちゃんに至っては木刀や日本刀を振るっているじゃないか」

 

「それはその……ついカッとなってしまって……」

 

「カッとなったで殺されかけたら、命がいくつあっても足りないよ。てかその内本当に死ぬことになるって、絶対。そうなったら殺人罪で有罪になるのは確定で、愛する人と添い遂げることもできなくなるぞ? それをわかってやってるのか?」

 

箒ちゃんの言い分に龍が言うと、全員が顔を青くして体を震えさせた。ISという兵器を扱う時点で、気づいて欲しいんだけど……恋心と嫉妬心で麻痺していて気づかなかったのか?

 

「とにかくすぐに暴力で解決しようとするのは禁止! 後、こっちの俺のラッキースケベぶりもいい加減にして欲しいが、そういう時こそ逆にチャンスなんじゃないか?」

 

「だが……そんなの、恥ずかしいし……」

 

「気持ちはわかるけど、いつまでも恥ずかしがってたらちっとも進展しないぞ? 時には羞恥心を捨て去ることも必要なんだ。あ、このことは鈴にも言えるからな」

 

「え、私も?」

 

「ハミルトンから聞いたけど、酢豚の約束を味噌汁云々の約束と同じ意味じゃないか?と一夏が問うた時、きっぱり否定したらしいな。羞恥心のせいで墓穴掘ってる証拠だ」

 

「……そっか……」

 

鈴ちゃんは龍の言葉を聞いて失敗を悟り、俯いた。

 

「セシリアとシャルは、何かあったら手を出すのをやめればいいかな。要は忍耐も必要ってことだ。さてラウラだが……」

 

「どうした?」

 

「この中じゃストレートに好意を示してはいるが、一般常識が欠けているのが難点だ」

 

「一夏に対して『嫁』なんて呼び方してるしな」

 

「だが日本では気に入った相手を嫁にするとクラリッサが言っていたが……まさか、それが間違いなのか?」

 

「大間違いだ。『嫁』という表現は女性にのみ使われるもので、女性から男性に対しては『婿』という表現を使う」

 

「そうだったのか……」

 

「加えてそれらの表現は互いを呼び合うのに相応しくない。『旦那様』とか『あなた』とか『ダーリン』とか、その方が違和感がなくていい」

 

「そのどれかを使うのが正しいということか……了解した」

 

理解してくれたようで、ラウラは頷いた。……こうすると俺達の世界のラウラが(正確にはクラリッサさんが)いかにマシだったかがわかる。Gガンダムの告白再現しただけだもんな……あれ。

 

「最後に簪だけど……注意すべき点は、特にないかな」

 

「強いて言うなら、少し押していくといいかもしれない。普段お淑やかな子の意外な行動を目の当たりにすると、男ってのは落ちるもんだ。……実際中学の頃の同級生は、これで落ちたしな」

 

「……ありがとう。勇気を出してみる」

 

全員への意見を述べたところで、最後にまとめとしての意見を言う。

 

「とにかく暴力はやめて、別の角度からアプローチをするのがいい。それでも効果がないなら、また相談してきてくれ」

 

「はい。お2人とも、ありがとうございました」

 

お礼を言うセシリアを最後に話を終え、俺達は教室へと向かう。いつの間にか昼休みが終わりそうだからな。

 

「ところで、当の一夏はどこに居るんだ? 朝から姿を見ないんだが」

 

「……特別外出扱いで、白式の開発元に行ってる」

 

道理で居ない訳だ。確か倉持技研だったな。俺達はまだ行ったことがないけど、どんなところなんだろうか。帰ったら行ってみよう。そう思った時だった。

 

「…………ん?」

 

一瞬にして廊下の……否、ありとあらゆる電気が全て消えた。停電か? だとしても……。

 

「!? そんな……防護シャッターが降りていく!?」

 

窓に備え付けられている防護シャッターが全て降り、IS学園内部は暗闇に包まれた。

 

「二秒経ったけど……緊急用の電源にも切り換わらないし、非常灯も点かない」

 

「ただごとじゃないってことは確かだな」

 

俺達はISをローエネルギーモードで展開し、視界を暗視モードに切り換える。ここで使うことになるとは思わなかったぜ。

 

『専用機持ちと菅山、矢作は全員地下のオペレーションルームへ集合しろ。今からマップを転送する。防壁に遮られた場合は、その破壊を許可する』

 

スピーカーから千冬さんの声が聞こえる。やはり何か起きているようだ。だがそれは一体……? 疑問を抱きながら俺達はマップを頼りに移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園地下・特別区画

 

「では、これより状況を説明する」

 

千冬さんと山田先生によって集められた俺達+楯無さんは、現状の説明を受けていた。ここには俺達の方ので来たことがあるが、どうやら独立した電源で動いているらしく停電にはなっていない。

 

「現在、IS学園では全てのシステムがダウンしています。これらは何らかの電子的攻撃、つまりハッキングを受けているものだと断定します」

 

神妙な顔つきで山田先生が言う。IS学園のコンピュータはちょっとやそっとのハッキングは効かないようになっている筈だが、それをやったということは自ずと犯人像が見えてくる。

 

「今のところ、生徒に被害は出ていません。防壁によって閉じ込められることはあっても、命に別状があるようなことはありません。全ての防壁を下ろした訳ではなく、どうやらそれぞれ一部分のみの動作のようです」

 

という事は、侵入者が居た場合は防壁が下りてない箇所を通り放題だということか。余計に危険だ。

 

「ではこれからの行動ですが、篠ノ之さん・オルコットさん・凰さん・デュノアさん・ボーデヴィッヒさんはアクセスルームへ移動、そこでISコアのネットワーク経由で電脳ダイブをしていただきます。更識簪さんは皆さんのバックアップをお願いします」

 

『『『で、電脳ダイブ!?』』』

 

俺、龍、楯無さん以外の面々が驚きの声を上げる。俺も選抜されてたら驚いてただろうな。

 

「はい。理論上可能なのはわかっていますよね? ISの操縦者保護神経バイパスから電脳世界へと仮想可視化しての進入が出来る。ですが、あれは机上の空論ではないんです。実際のところアラスカ条約で規制されていますが、現時点では特例に該当するケース4であるため、許可されます」

 

「そ、そういうことを聞いてるんじゃなくて!」

 

「そうですわ! 電脳ダイブというのは、もしかして、あの……」

 

「個人の意識をISの同調機能とナノマシンの信号伝達によって、電脳世界へと進入させる……」

 

「それ自体に危険性は無い。しかし、メリットが無い筈だ。どんなコンピュータであれ、ISの電脳ダイブを行なうよりもソフトかハードか、あるいはその両方をいじった方が早い」

 

「……しかも電脳ダイブ中は操縦者が無防備。何かあったら困るかと……」

 

「それに、1箇所に専用機持ちを集めるのはやはり危険ではないでしょうか?」

 

各々が意見を述べる。確かに電脳ダイブをするよりは、こちらもハッキングのプロを用意した方が早い。ていうかどうでもいいけど、ウェブダイバーみたいだな。

 

「駄目だ。この作戦は電脳ダイブでのシステム侵入者排除を絶対とする。異論は聞いていない。嫌ならば、辞退するがいい」

 

そんな言い方しなくても……でもこの発言からして、学園側にはそういった人員が居ないんだろう。だから電脳ダイブをやるしかないと。

 

「いや……別に嫌とは……」

 

「ただ、ちょっと驚いただけで……」

 

「で、出来るよね…ラウラ?」

 

「あ……ああ、そうだな」

 

「……ベストを尽くします」

 

「や……やるからには、成功させましょう……!」

 

みんなも同意するけど、何となく逃げ道を無くされた感がする。どうもこっちの千冬さんはトゲトゲしい印象があるんだよな。

 

「よし! それでは各人は電脳ダイブを始める為、アクセスルームへ移動! 準備が出来次第、作戦を開始する!」

 

千冬さんの指示で選抜された6人が退出し、残った俺達に千冬さんは視線を向けた。

 

「さて…更識。お前には別の任務を与える。菅原と矢作も頼めるだろうか?」

 

「なんなりと」

 

「良いですとも」

 

「俺もです。で、任務とは?」

 

「これは私の勘だが、この隙を狙って別の勢力が学園にやって来るだろう」

 

「便乗ってことか。敵さんも大変なこって」

 

「そうだ。今のあいつらは戦えない。悪いが、頼らせてもらいたい」

 

「了解、任されました」

 

「わかりました」

 

「任せて下さい」

 

軽く敬礼して一礼した後、俺達3人は部屋を退室して地上へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後校舎の一角に辿り着いた俺達は、そこで楯無さんが設置した監視カメラの映像を見ていた。すると6人の侵入者がカメラに映っていた。しかしその姿はやがて景色と同化した。

 

「あれは確か、周囲の風景を撮影して表面投射する最新型の光学迷彩ね」

 

「混乱に乗じるなら、それに見合った装備を持ってるということか」

 

「けどシステムダウンからこんな短時間で襲撃して来るなんて、ちょっと変じゃないか?」

 

「いいえ、常時監視されてると考えれば辻褄が合うわ。ったく、乙女が通う学園に対して無粋ったらありゃしないわ」

 

肩をすくめながら歩く楯無さんに続き、廊下へと出る。見渡す限り誰もおらず、物音1つしない。だが……『何か』が確実に居る。

 

「どうやら接触したみたいね。はぁ、私って運命に愛されてるのかしら?」

 

「こんな運命は御免だけどな」

 

「同感だ」

 

 

ピシッ、ピシッ!

 

 

小さな音と共に何かが発射された。おそらくサイレンサー付きの銃から弾丸が放たれたんだろう。

 

「連中も惜しかったな」

 

「ああ。相手が俺達じゃなければな」

 

各々のISを展開し、ウイングバインダーと左肩のシールドで弾丸を防ぐ。シールドをどけた時、楯無さんも専用IS『霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)』を部分展開していた。

 

「どうやら敵も動揺してるみたいね。気持ちはわかるけど……そこが命取りよ」

 

そう言って楯無さんが親指を閉じた途端、廊下で大爆発が起きた。

 

「ミステリアス・レイディはナノマシンで水を操ることができるの。その技の1つ、『清き熱情(クリア・パッション)』はいかがかしら?」

 

ハイパーセンサーで爆発が起きた辺りを調べてみると、アクア・ナノマシンが検出され更に爆発が水蒸気によるものだということが判明した。廊下という空間もあって強力な技だな。相手にとっちゃ不幸だが。

 

「それじゃあ次、行くわよ!」

 

今度は楯無さんの姿がいきなり5人に増える。

 

「ま、アクア・ナノマシンの応用技だけどね」

 

センサーで判断するに、ナノマシン・レンズによる幻影とアクア・ナノマシンで直接作った水人形か。しかも水人形には爆発機能付きときた。

 

「俺達も負けちゃいらんねぇぜ!」

 

「奴らに一泡、噴かせてやる!」

 

俺はゼロシステムで、一夏はイノベイターの能力解放で敵を察知し素手で相手していく。特殊装備を持っているとはいえ敵は生身なので、バスターライフルやGNソードビットは迂闊に使えない。

 

「ドカーンってね♪」

 

楯無さんの方では次々と水人形が爆発していく。実体はあるが水でできているので銃弾は効かず、敵に打つ手はない。

 

「い、いかん! 退却だ!」

 

「ダメだ! こっちにも敵が!!」

 

「こ、こんなところで死にたく……ッ!!」

 

「さあ、まだまだこれからよ」

 

逃げ惑う敵を追撃する楯無さんを見て俺は思った。これじゃあどっちが敵なのかわからない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、3人で特殊部隊(どうやら名も無き兵たち(アンネイムド)と言うらしい)の隊員達を拘束し、各教室のシャッターを破壊していた。

 

「緊急時とはいえ、学校の設備を壊すのはなぁ……」

 

「私も抵抗あるけど、仕方ないのよね」

 

「直すのに金がかかりそうだ……ん?」

 

龍が何かに気づいたらしく一方を見る。俺の予見だと、一夏が白式纏って来る筈だ。

 

「楯無さん!」

 

「あら一夏君。今帰って来たとこなの?」

 

当たりだ。でもやけにタイミングが良いな。何でだろ? こっちの世界の束さんが連絡したのかな?

 

「一夏くん、今から地下のこの場所に行ってちょうだい。そこに織斑先生も居るから、彼女に指示を仰いで」

 

「はい、わかりました!」

 

マップデータを受け取った一夏は、白式のスラスターを全開にして地下へと向かった。

 

「彼にも電脳ダイブを?」

 

「ええ。ちょっと厄介なことになったみたいだし」

 

厄介なこと? 何だろう……妙な気がする。

 

「龍、千冬さんのところへ行こう」

 

「わかった。ちょっと待ってろ」

 

GNソードビットでワープゲートを作り、そこへ俺と龍は入りゲートを閉じた。

 

「え、ちょ……私は!? 置いてかないでよ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲートを通って着いた時、千冬さんと山田先生はISを纏って敵IS一機を鎮圧していた。

 

「織斑先生?」

 

「む、お前達か。援護に来てくれたのなら、残念ながら少し遅かったぞ」

 

「そうではなくて、一夏が来ませんでしたか? 電脳ダイブやるらしいんですが、何かあったんですか?」

 

「ああ、そのことか……実はシステムへの侵入者が『ワールド・パージ』という能力を使ってきてな。電脳ダイブをした生徒達が幻覚に捕らわれてしまっているんだ」

 

「なるほど、それを救いに一夏が行ったと」

 

「良い時に来てくれたよ、アイツは」

 

少し嬉しそうに言う千冬さんだが、やはり納得できない。いくらなんでもタイミングが良すぎるし、敵の行動もまるで一夏にみんなを救わせるように仕向けているみたいだ。

 

その後聞いた話だが、一夏はみんなを助けた時にそれぞれを異性として意識し始めたらしい。……もしかして、その為だけにハッキングをしたのか? 壮大すぎるな……。

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