今回で二十六話目となりました!
外に出たいフラン、外に出したくないレミリア……
二人の思いがぶつかり合う!
レミリア「あー、まだ口の中が苦いわ………。」
フラン「もうピーマンなんて食べたくない………。」
そう言う吸血鬼姉妹は今デザートを食べ、口直しをしている。
さすがにピーマンを使ったデザートではない。
尚樹「映姫様、ご馳走様でした。皿は俺が洗っときますから休んでてください。」
ご飯作って貰って何もしないのは申し訳ない。
映姫「そうですか、じゃお願いして私はシャワーを浴びてきますね。」
部屋から出て行く映姫を見送り、皿洗いを開始する。
すると咲夜さんがタオルを持って皿を拭いてくれた。
咲夜「私も手伝いましょう。一人でやるより効率がいいでしょう。」
尚樹「あ、咲夜さんありがとう。」
しばらく皿洗いをしていてふと気付いた事がある。
尚樹「……そういえば咲夜さん、思ったんですけど咲夜さん結局休み貰ったのにいいんですか?」
咲夜は何が?と言う顔をする。
咲夜「どうしてです?」
尚樹「あぁいや、休みを貰ったからどこかに出かけるのかと思ったんですが、なんだかんだで働いてるなって
思って………」
咲夜は納得したようにうなずく。
咲夜「鬼道さん、今まで毎日休みなしで働いてていきなり休みを貰っても何していいのかわからなくなりません?」
あぁ、なるほどね。外の世界で、仲良かった野球部の先輩がそんな事言ってたな。今まで毎日練習してたのに引退したら何かしようとは思うんだけど、1週間位は何していいかわからず、ただ家でボーッとしてるって。
咲夜「でも私はお嬢様のお世話をしていて楽しいですね。この仕事は飽きませんし、何よりお嬢様が可愛いので。」
尚樹「さすがお嬢様愛ですね。ニヤニヤ」
咲夜「………なんだか悪意を感じた気がしたけど、まぁいいわ。」
吸血鬼姉妹は向こうで仲良く遊んでいる。
(まぁその遊びが人間が付き合えるレベルではないが……。)
そして尚樹は彼女たちに聞かれないよう、そっと咲夜にフランの事を尋ねた。
尚樹「咲夜さん、一つ聞きたいんですけど………。」
咲夜「ん、なんでしょう?」
尚樹は少し口ごもる。
尚樹「あの、フランの事なんですが……」
咲夜「なぜお嬢様が妹様を外に出さないかということですよね?」
尚樹「はい」
向こうもそれなりにわかってくれていたようだ。
咲夜は皿を拭く手を止めずに話し始めた。
咲夜「妹様は最初に話したとおり、刺激したら恐らくあなたでも殺されるでしょう。
能力は《全てを破壊する程度の能力》、お嬢様はもし妹様が暴走して、博霊の巫女や何かに封じられたりしたら………と考えているのでしょう。」
………なるほどね。
それなら簡単だ丁度いい能力持ちがここにいる。
尚樹「咲夜さん、ということはフランが暴走しなければいいんですよね?」
咲夜「え?えぇまぁ、そう言うことになるけどそれは無理じゃないかしら?外には妹様の狂気を刺激するものは沢山ある。」
しかしそれがどっこいなんだ。
尚樹「その狂気に影響を与えなくしてしまえばいい。俺の能力は《影響を受けない程度の能力》フランにこの能力を使えば狂気しそうなものの影響を受けない。
そうすれば外に行ってもフランが暴走することもないんじゃないですか?」
咲夜「……決定権は私にないのでそれはお嬢様に言って下さいね。多分それなら大丈夫ですよ。」
咲夜さんは尚樹に微笑みかける。
少年準備中……………
尚樹「よしっ、フラン!」
フラン「あ、うん!お兄様!!」
デザートを食べていた手を止めフランがこちらに寄ってくる。
さぁ、鬼道尚樹の「外に出よう計画」プレゼン開始だ!
尚樹「レミリアさん、お話があります!」
フラン「ありますっ!!」
レミリア「ん~?なにかしら?フランを外に出すのは駄目よ。」
………まだ何も言ってないんですが、しかも的確に当てられてるし。
レミリア「フランと一緒にお願いなんて大方外に出たいかおやつが欲しいだから、ご飯食べたばかりならそれしかないじゃない。」
尚樹「ですがレミリアさん!フランをこのまま館に閉じこめておくのはあんまりじゃないですか!」
「そーだそーだ!」とフラン
レミリア「………尚樹あなた、フランが暴走したらどれだけ危ないかわかって言ってるの?この子の能力は……」
尚樹「《全てを破壊する程度の能力》ですよね。」
レミリアの言葉を遮るように尚樹は話す。
尚樹「そこは大丈夫です、俺の能力があればフランが暴走することもありません。」
レミリア「へぇ、そういえばあなたの能力知らないわね。どんな能力なの?」
尚樹はあらかじめ咲夜に用意してもらった紅茶と………毒薬を持ってくる。
正直、咲夜に「毒薬ありますか?」と聞いてポケットからすぐに出てきた時は驚いた。
このメイド長は一体何故毒薬などを常備しているのだろうかと思う。
まぁ今はそんな事どうでもいい。
尚樹「俺の能力は《影響を受けない程度の能力》というものです。とりあえず毒薬を紅茶に入れて飲みます。
まぁこの毒は咲夜さん御用達の毒です。」
尚樹は紅茶に紫色の液体を注いでいく。
レミリアはただそれを見つめた。
尚樹「さすがに毒なんで誰かと比較する事は出来ませんがこれは結構ヤバい毒らしいので………」
咲夜「比較対象ならここに」
咲夜さんが突然寄ってきて美鈴の後ろに立つ
美鈴「ん?咲夜さん?何故私の後ろに立つんですか?
そしてその手に持つ紫色の液体が滴るナイフを何故私に向けているんでザクッ……………」
バタッと倒れる美鈴。
美鈴「体が痺れて……」
咲夜「…………とまぁこのようにかすり傷程度で並大抵の妖怪でもしばらく動く事が出来ない程の毒です。」
いや、かすり傷程度っていうか……思いっきりナイフが突き刺さっていたように見えたんだが………。
尚樹「美鈴さんの犠牲を無駄にはしません!」
一気に毒入り紅茶を飲み干す。
美鈴「………勝手に……殺さないで……下さい」
尚樹は何事もな無いですよと笑顔を見せる。
レミリア「別にあなたの能力を疑っていたわけでもないけれどまぁいいわ。で、その能力でどうするの?」
尚樹「はい、この能力を使ってフランの狂気を外からくる刺激の影響を無効化します。そうすればフランが暴走することも無くなります。ですからフランを少しだけでもいいんで外に出してあげられませんか?」
フランもここぞとばかりに畳み掛ける。
フラン「お姉様お願い!フランこれからいい子にするから!!」
レミリアは静かにティーカップを置く。
レミリア「あなたの能力があればそう言う事もできるのね。」
尚樹「それなら!」
ぱぁっとフランに笑顔なる。
レミリア「………でも駄目よ。」
…………自分の耳を疑った。
尚樹「何故です!?これなら問題ないでしょう!」
フランはただ呆然している。
理解出来ない、そういった感じだ。
レミリア「この話はもう終わりよ。フラン、部屋に戻りなさい。」
それはあんまりだ!
尚樹「レミリアさん、考え直して下さい!少し、少しでいいんです!」
尚樹は食い下がる。
しかしレミリアは冷淡に返した。
レミリア「私はこの館の主、決定権は私にある。」
そう言われると尚樹も言い返せない。
レミリア「さぁフランわかったら部屋に戻りなさい」
しかしフランはそこから動かない。
レミリア「聞こえないのフラン?」
フラン「………姉様の……………」
レミリア「フラ……
フラン「お姉様のバカぁぁぁーーー!!!」
フランは激昂した。
フラン「こうなったら決闘よ、お姉様!私が勝ったらお兄様と一緒に外に行く!レーヴァテイン!!」
フランの手に真っ赤な剣が現れる。
レミリア「……聞き分けの無い子には少しお仕置きしないといけないわね。いいわ、来なさいフラン。」
そう言うとレミリアも大きな槍を構える。
咲夜「さぁ、パチュリー様達、早く避難して下さいね~。」
咲夜さんはこういうこと馴れてるのか避難作業をしている。
フラン「お姉様の、分からず屋ぁぁー!!」
レミリア「姉の言うことは聞きなさいっ!!」
次の瞬間部屋に激しい衝撃が走った。
衝撃で辺りの物が吹き飛ぶ。
そして俺を含め部屋にいた全員がそれを見てしまった。
吹き飛ぶ椅子、吹き飛ぶ食器、吹き飛ぶプリン
映姫「はぁーいい湯でした~ベチャ」
………………………あ。
丁度風呂から上がり部屋に帰ってきた映姫の顔にプリンがぶち当たる。
争っていたレミリアとフランも攻撃の手を止める。
そして自分達がやってしまった事の重大さに気付き戦慄する。
滴り落ちたプリンの奥には笑顔で青筋の入った閻魔様の顔が現れた。
映姫「………さて、何か言うことはありますか?」
レミリア「こ、これはフランが暴れたせいで!」
フラン「ち、違うわ!お姉様が暴れたせいで!」
映姫はさらに怒りのオーラを放つ。
映姫「私はあなた達の言い訳を聞きたい訳ではないんですよ。悪いことをしたらまず言うことがあるでしょう?それともまたピーマン地獄にしましょうか?」
ピーマン地獄、その名を聞いただけで二人は背筋が凍った。
レミリア、フラン「「ご、ごめんなさい」」
その言葉を聞くと映姫は怒りを沈めた。
映姫「はぁ、今回は水に流します。でも何があったんですか?」
尚樹「そこは俺が説明します。」
俺は事のあらましを映姫に説明した。
少年説明中………
映姫「………ふむ、外に出たいフランさんとフランさんの力の強さゆえに外に出したくないレミリアさんですね。」
尚樹「まぁそう言うことです。」
映姫「分かりました。私の能力と四季映姫・ヤマザドゥの名にかけて判断しましょう。」
映姫「まずフランさん、あなたは少し力を持ちすぎている。その力がどれほど危険かもう一度考えてみなさい。もしその力が暴走したらどうなるかわかりますか?あなたはその力の使い方を間違えればこの幻想郷のバランスをおかしくしかねません。そこをしっかり理解しておいて下さい。」
フランは黙ってうなずいた。
映姫「そしてレミリアさん、まずあなたに聞きたい。
どうしてフランさんを外に出したくない?」
レミリア「……それは答えないと駄目?」
映姫「黙秘、と言うことで以降弁明なしでフランさんの意見を通します。」
そう、と一言言うとレミリアは一目フランを見て意を決し、映姫に自分の想いを伝えた。
レミリア「………私はこの子が心配なの。確かに強い力を持っていることもある。それより心配なのはこの子の身ね。正直この幻想郷には私と同じぐらい、もしくはそれ以上強い力を持つ奴らもいる。」
レミリアさん、そんな事まで考えて………
尚樹は思わず先ほどの自分が恥ずかしくなった。
この話をフランの側からしか見ていなかった。
そう思うと、申し訳ない気持ちになる。
レミリア「もし、そんな奴らにこの子が危害を加わえられたらと思うと、心配でね………」
フラン「………お姉様。」
映姫もレミリアの話に黙って耳を傾けた。
そしてレミリアはフランの方に体を向ける。
レミリア「………ねぇフラン?本当に外に出たい?」
姉の想いを知ったフランは戸惑った。
お姉様は私の事を心配してくれていてここまでしてくれていていたのだ。
確かにその気持ちは嬉しかった。
フラン「………うん、出たい。」
レミリア「外には危険な奴らもいるけど、それでも出たい?」
………でも私もいつまでも子供ではない。
フラン「それでも、それでも私は外に出たいっ!外に出て色んな物を見たい!友達も欲しい!お姉様の気持ちは嬉しかった!でも、それでも私は外に出たいの!!」
フランをは今まで思っていた事を全てレミリアにぶつけた。
フラン「私の言いたい事はこれだけよ。」
映姫「ではレミリアさん、どうですか?」
はぁと一息つくと、レミリアは微笑む
レミリア「フラン、あなたも成長したわね………。」
映姫「では、いいですね?レミリアさん。」
レミリア「えぇ、フランが外に出ることを認めましょう、ただし、条件として誰か一人が同伴する、これなら認めるわ。」
ぱぁっと笑顔になるフラン
映姫「フランさん、いいですか?」
フラン「もちろん!」
映姫「では、四季映姫・ヤマザドゥの名において判決します。フランドール・スカーレットは条件付きで外に出ることができる。これに決まりました。」
話を締めくくるように映姫がパンと手を叩いた。
尚樹「やったな!フラン!!」
フラン「うん!お兄様!!」
レミリア「フラン、約束はしっかり守りなさいよ?」
フラン「はーい!お姉様!!」
映姫は判決が終わると、ほっと一息ついた。
咲夜「四季様、お疲れ様でした。」
そう言うと咲夜さんが水の入ったコップを持ってきてくれた。
映姫「ありがとう、咲夜さん。」
咲夜「こちらこそ、わざわざ私の主人達の話を聞いて頂いて感謝のかぎりですわ。」
深々とお辞儀する咲夜さん。
映姫「いいんですよ、私の役目はこういうものですから、私もいい家族愛を見せてもらいましたから。」
吸血鬼姉妹達を暖かい目で見る。
するとそこでは、
フラン「お姉様が吹っ飛ばしたせいで私のプリンなくなったじゃない!」
レミリア「あら、フラン。そしたらお姉ちゃんのプリンもあなたに吹き飛ばれたのだけれど?」
フラン「上等ですわ、お姉様!ここは勝負で決めようじゃない!」
レミリア「望むところよ!」
素晴らしい家族愛が見られた。
喧嘩を止めようと尚樹もいるが全く相手にされていない。
映姫「私の話をなんだと思っているのかしらねぇ?」
ため息交じりに呟き、再び立ち上がる。
咲夜は苦笑いしながら、
映姫に「お疲れ様です。」と伝えた。
美鈴「くかー………」
パチュリー「………美鈴、あなたどんな体勢で寝てるのよ?」
小悪魔「……こんなにえび反りになって苦しくないんですかね?」
美鈴「………ふぇ?」