今回で二十九話目となります!
尚樹の誕生日果たしてどうなる!?
今回も見ていって頂けると嬉しいです(^^)
誕生日、か………。
尚樹は紅魔館の門をくぐりながら、ふと、外の世界での事を思い出していた。
両親は自分のことを大切にしてくれていたと尚樹も実感している。
稽古の時には厳しくも親としての優しさもあった尚樹の師範でもある父。
どんな時でも尚樹を励ましてくれた母。
三人は毎年めでたい日には必ず家族で集まっていた。
そんな両親ももういない。
………しかしこうやって祝ってくれる人達がいる。
目頭が熱くなるが、ここで泣くのも気をつかわせてしまうだろう。
嬉し涙をぐっとこらえて皆の輪の中に入る。
魔理沙「にしても尚樹、遅すぎるぜ~!何してたんだよ!?」
こういう時の魔理沙さんの絡みはありがたい。
尚樹「いや~、うっかり兎の落とし穴に鈴仙と一緒にはまってしまってね………。」
霊夢「鈍くさいわねぇ……。そんなことなら空を飛べばいいのに。」
尚樹「誰しもが空を飛べる訳じゃないんですよっ!」
尚樹の一言に笑いが起こる。
尚樹「そういえば、どうしてもみんな俺の誕生日知ってるんですか?ほとんど言ったこと無かったとおもんですけど?」
レミリア「あぁ、それは私と映姫で文屋に頼んだのよ。尚樹の誕生会するから新聞をだせってね。」
文「いや~大変でしたよ~!四季様からはサプライズにしたいと要望があったので、まず尚樹さんの誕生日を調べて、尚樹さんに見られないように新聞を配り、配った方に口裏を合わせてもらうために色々根回ししましたからね~!」
見渡せば多くの人達がこの紅魔館に来ている。
……主催者であるレミリアさんや映姫様、広告では文さん。ここまでしてくれて、さぞ大変だったはずだ。
尚樹「………皆さん、今日はわざわざありがとうございます!!」
魔理沙「何だよ水臭いな、いいんだって!みんなお前の仲間だろ!」
ビシッと魔理沙が言い放つ。
心にぐっとくる一言だった。
霊夢「魔理沙、あんたの言う通りだけど準備したのは私達で、あんたは図書館で本を盗んでただけでしょうが!!」
………俺のぐっと来た気持ちを返して欲しい。
魔理沙「いや~!尚樹様々だぜ~!普段じゃ誰かの目を気にして入らなければ行けなかったが、今日は普段より堂々と館に入れたぜ~!てか霊夢、今パチュリーがいないからいいけどあんまりそう言うこと言わないでくれよ~。」
魔理沙さんは気付いていないだろう。
パチュリー「………ねぇ魔理沙。ガシッ」
魔理沙「いっ!?」
既に本人が後ろにいることを………。
魔理沙「お、おおー!パチュリー!お、おお遅かったな!今まで何してたんだよ~!?」
パチュリー「………遅いも何も、ずっとあなたの後ろにいたわよ?ところで今の話はどういう事かしらね?」
魔理沙「………………………何のことかさっぱりだぜ☆」
あ、死んだな、こりゃ。
パチュリー「………今日という今日は逃がさないわよ、覚悟はいいわね魔理沙?」
魔理沙「ま、待ってくれよパチュリー!今日は尚樹の誕生日だぜ!?これはみんなで祝ってやらないと駄目だろ!なっ!尚樹!?」
パチュリー「………だそうよ、尚樹?ギロ」
尚樹「いや、大丈夫です。」
パチュリー「だって、魔理沙。」
魔理沙「おい!今完全にプレッシャーかけてたよな!?尚樹もそこは何とかしてくれよ!!」
いや、だってまじめに怖いから…………
パチュリー「さて魔理沙、時間はたっぷりあるわ。じっくりお話ししましょうか?」
魔理沙「尚樹の薄情者~~!!」
すいません、魔理沙さん。俺にそれは荷が重すぎた。
そして魔理沙はパチュリーに引きずられるようにして館の中に連れてかれていった。
霊夢「はぁ、魔理沙もバカねぇ………。」
鈴仙「あはは、ま、まぁ霊夢さんお酒どうぞ?」
霊夢「あら、ありがとう鈴仙。ってあんた来てたの?」
鈴仙「ずっと隣りに座ってたのにそれは酷くないですか!?」
可哀想に鈴仙は霊夢からいじられてばかりだ。
?「おーい!尚樹!!」
後ろから呼び声がした。
ん?この声は………
尚樹「勇義さん!パルスィさんも!!」
パルスィ「こんばんは、尚樹。」
勇義「おう!久しぶりだな!!」
尚樹「……にしても二人は随分遅かったですね?」
てっきり二人は既に(特に勇義)は酒を飲んでいるのかと思っていたが………。
勇義「いや~、それがよーパルスィが髪の毛がはねてるとか恰好が変じゃないかとか言って鏡の前から離れなくてな~。」
パルスィ「ちょっと勇義!!」
恥ずかしそうに顔を染めながら勇義を小突くパルスィ
尚樹「今日も綺麗ですねパルスィさん!」
パルスィ「……………………。」
すっと後ろを向いてしまうパルスィ
あれ?俺なんか不味いこといったかな?
勇義「はぁ、尚樹。お前は本当に鈍いな………。」
尚樹「はい?」
勇義「いや、なんでもない。それよりほら!私からのプレゼントだ!」
ズンッ!!と音を立てて置いたそれは………
尚樹「まさか………あれですか?」
勇義「まさかも何も、鬼と言ったら酒!酒と言ったら鬼!特注の酒だぞ!!」
や、やっぱりか。
能力の性能上尚樹は酒で酔う事は無いが、味も度数も感じるのだ。
歓迎会の時にも飲んだ(正確には飲まされた)がとんでもない代物だった。
勇義「もちろん尚樹も飲むよな!?」
尚樹「い、いや~俺もこれからちょっとやることがありまして~………。」
勇義「の・む・よ・な!?」
尚樹「……………頂きます。」
少女達はそわそわしていた。
パルスィと映姫だ。
映姫『ふ、普段から話してるのにいざこういう場面になると緊張してきますね………。』
パルスィ『行きたいけどさっきの一件があるから少し恥ずかしいわね………。』
映姫、パルスィ『『でも行くしかないっ!』』
意を決し、二人は足を踏み出す。
映姫、パルスィ「「あ………………」」
ばっちりと目が合った二人。
二人はもう一度尚樹の姿を見る。
そして二人は一瞬でその状況を理解した。
現在尚樹は勇義と酒を飲んでいる。よって尚樹の隣りに座れるのはあと一人。
パルスィ「………ねぇ四季様?」
映姫「………なんでしょうかパルスィさん?」
お互い睨み合う。
パルスィ「ここは私に譲ってくれませんか?」
映姫「いいえ、お断りします!むしろあなたが譲ってくれませんかね?」
パルスィ「お断りします。……やはり私達は決着を付けないといけないようですね?」
映姫「そうですね、今日ここで白黒はっきりつけようじゃないですか?」
そう言うとどこからともなくスペルカードを取り出す二人。
映姫、パルスィ『『尚樹の隣は私のものだっ!!』』
そしてこの二人以外にもそわそわしている少女がいた。
鈴仙「うわぁ~で、出遅れた!急いで私も……」
そう鈴仙だ。
しかし鈴仙は彼女達とは違う。なぜなら………
永琳「まぁ待ちなさい優曇華。」
鈴仙「お師匠様!」
そう、アシスタントがいるのだ。
永琳「まぁこう言うのは私に任せなさい!」
そう言うと永琳は尚樹にずんずんと近づいていった。
永琳「あ、こんばんは勇義。ちょっといいかしら?」
勇義「ん?おお!永琳じゃねーか!どうしたよ?」
永琳「少し尚樹を借りていいかしら?怪我の状態を見たくてね。」
勇義は尚樹を見ると大笑いする。
勇義「だははは!なんだ尚樹!お前怪我したのかよ!?」
尚樹「あはは、少し腹えぐられましてね……。」
尚樹も苦笑いだ。
勇義「そう言う事なら仕方ねぇ、行ってこいよ!私は萃華と飲んでるからよ。………おーい!萃華~!!」
永琳「じゃあ尚樹、こっち来なさい。」
そう言うと二人は鈴仙の隣まで来て座る。
永琳「んじゃ、ちょっと服まくって。」
尚樹は言われたとおり腹を見せる。
永琳「痛くは無い?」
尚樹「そうですね、もう特には………。」
永琳は一つ肯く
永琳「よし、じゃあこれで完治ということだね。私もここで尚樹の誕生日と完治祝いとして飲みたいのだけど少し行かなくては行けないから変わりに優曇華が話してくれるから相手してあげてちょうだい。」
鈴仙「え!?ちょ、ちょっとお師匠様!?」
尚樹「分かりました。ありがとうございます!」
永琳「ここまでしたんだから頑張りなさいよ?」
永琳は通りすがりに鈴仙の耳元で呟いた。
確かにこれは絶好のチャンスだ。
この期を逃す訳にはいかない。
とりあえず雑談でも…………
その頃上空では………
映姫「いい加減諦めてくださいって!!」
パルスィ「それはこっちのセリフですよっ!!」
当然のごとく戦闘は続いている。
映姫「拉致が空きませんね!ならば、罪符《彷徨える大罪》!!」
パルスィ「ここで負ける訳には行かないのよ!
恨符《丑の刻参り七日目》!!」
ドカーンと派手に弾幕がぶつかり合う。
既に長い事戦闘をしているため、両者共々肩で息をしている。
映姫「さすがに、やりますね、パルスィさん。」
パルスィ「四季様こそ、やるじゃないですか。」
映姫様「でも、これで、決着を、つけ、ようじゃないですか。」
パルスィ「そうですね、じゃあ…………ちょっといいかしら四季様?」
とそこでパルスィがあることに気がつく。
映姫「なんですか!?私達に休戦等不要では?」
パルスィ「いや、あれあれ。」
パルスィの指さす方向に目を向ける映姫
するとそこには楽しそうに話しながらお酒を飲む尚樹と鈴仙の姿があった。
映姫はつい数日前にレミリアから言われた事を思い出す。
レミリア『そんなことしてたら他の人や、新たな敵が出てくるかもしれないのに………。』
新たな敵………!
映姫「………パルスィさん、やはり今はお互い争っている場合では無いようですね。」
パルスィ「そのようね。本当は嫌だけどここは手を組んだ方が良さそうだし。」
映姫「じゃあ………
行きましょうか、と言う直前に大量の弾幕が飛んで来るのを二人は見過ごさなかった。
永琳だ。
永琳「優曇華の邪魔はさせませんよ。」
パルスィ「何言ってるのよ、こっちは二人。あなたは一人よ!さぁ諦めてそこを退きなさいよ!妬ましい」
映姫「そうですよ!怪我したくないなら退いてください!」
永琳「さて、誰が一人といったかな?」
そう言うと複数の影が永琳の後ろから飛び出してきた。
チルノ「アタイが最強だーーー!!」
ルーミア「そーなのかー」
そしてもう一人。
映姫「………何してるんですか霊夢さん?」
霊夢「いや、永琳が弾幕ゲームであんた達と戦ったら千円くれるって言うから。」
パルスィ「どんだけ困窮してんのよあなた!!」
思わず内心で私達の価値は千円かっ!と突っ込んでしまう。
霊夢「うるさいわね!もとはと言えばあんた達妖怪やら神やらが家の神社に寄りつくからお賽銭に誰も来なくなったんじゃない!」
映姫、パルスィ「「いや、私達まずそんなに神社行かないし………。」」
霊夢「………………………それもそうね。」
思わず納得してしまう霊夢
永琳「霊夢!そんなこといいから行くわよ!」
霊夢「そんなことではないけど!?まぁ、やるからにはちゃんと千円払いなさいよ!!」
映姫「さっさとあなた達を倒して………」
パルスィ「そこを通る!」
永琳「はっはっは!あんた達は二人。私達は四人よ!
………あれ四人?」
後ろを向くと妖精と妖怪が何かしてる。
チルノ「やっぱりアタイは最強ねー!」
ルーミア「そーなのかー」
チルノ「そーなのかー、じゃなくてチルノ様最強!!って言いなさいって!!」
ルーミア「そーなのかー?」
チルノ「むきーーー!!こうなったらアタイが最強だって事を分からせてあげるわ!」
永琳「………あんた達は二人、私達も二人。これで五分五分よ!」
あ、無かったことにしてる。
パルスィ「まあいいわ、二対二で正々堂々あんた達を潰してやるわ!」
霊夢「千円のため、死んでちょうだい!」
巫女が死んでとか言っちゃダメでしょう。
まぁ………
映姫「やるしかない!!」
?「弾幕ゲームしてるのっ!?私も混ぜて-!」
四人の背筋が凍りつく。
こ、この声は…………
フラン「フランを仲間はずれになんてしないよね!?
禁忌《フォーオブアカインド》!!」
映姫「フ、フランさん!?これは遊びではなくてですね!!」
霊夢「そ、そうよ!フラン、これは遊びじゃないのよ!!」
パルスィ「待って!本当に待って!!」
永琳「…………………………。」
フラン「キュッとしてー………。」
あ、終わった。
フラン「ドカーンーーー!!!」
幻想郷に爆音が轟いた。
尚樹「みんな賑やかだな~!」
鈴仙「そうですね~!」
尚樹「弾幕って花火みたいで綺麗だよな。きらきらしてて!」
尚樹の横顔は無邪気な子供の様に輝いていた。
今ならいけるっ!
鈴仙「あ、あのっ!尚樹さん!!」
尚樹「ん?どうした鈴仙?そんなに慌てて。」
鈴仙「わ、私!尚樹さんに誕生日プレゼントを!」
尚樹「本当に!?あ、でもまずお互い落ち着こうか。」
尚樹に宥められ、高ぶる気持ちを抑える。
鈴仙「ふぅー、とりあえず目を瞑ってもらえますか?」
尚樹「こうか?」
邪魔者はいない!
シチュエーションは完璧!
鈴仙・優曇華・イナバいきますっ!!
ゆっくりと顔を近づけていく鈴仙
このままいけばっ!!
魔理沙「うわぁーーー!!!こんな実験付き合ってられるかーーー!!!」
尚樹「え?ぐはっ!!」
すっ飛んできた魔理沙にはねられ飛ばされる尚樹。
パチュリー「待ちなさい魔理沙!!まだ実験は終わってないわよ!!」
魔理沙「あんなとち狂った実験やってらんないんだぜ!!」
鈴仙は一人、大きなため息をついた。
しばらくして…………
尚樹「痛ってて、なんだったんだ一体?」
ズキズキと痛む頭を押さえ体を起こす。
ふと、隣を見ると泥だらけになった映姫が寝ていた。
まわりを見渡すとみんな酔い潰れてるか寝ているかだった。
尚樹「あーあ、こんなに汚しちゃって……」
尚樹は軽く映姫の服を叩いて汚れを落とす。
そして映姫の横に小さな箱があるのに気が付いた。
尚樹「これは………?」
開けてみると出て来たのは
尚樹「ケーキ………。」
外の世界でよく見たいちごのショートケーキ。
?「どうですか、四季様の作ったケーキは?」
尚樹「咲夜さん!これ映姫様がつくったんですか?」
咲夜「そうですね、あなた方が紅魔館に来てから四季様は私にケーキの作り方を教えて欲しいと。鬼道さんの誕生日が近いとおっしゃっていたので。それから毎日時間が許す限りケーキ作りをしてらっしゃいましたね。」
そんなことが…………。
咲夜「フォークです。どうか食べてあげて下さい。」
尚樹はフォークを受け取り一口ケーキを食べる。
尚樹「…………美味い!」
手が止まらない。
咲夜「よかったですね、四季様………。」
その言葉を聞くと映姫は幸せそうに寝息を立てたのだった。
映姫、パルスィ「魔理沙(さん)ナイスッ!!」
鈴仙「せっかくのチャンスが………」
魔理沙「いや、私はあの恐怖から逃げてただけなんだぜ?」