この「東方閻鬼録」も三十話目になりました!
と言うわけで今回はメインストーリーから逸れて
番外編としました。
地獄のお盆は大変!?
今回も見ていって頂ければ嬉しいです(^^)
番外編夏休み 地獄メンバー休暇までの戦い
映姫「…………夏休み、ですか?」
尚樹「そうですよ!夏休み!外の世界じゃ必ずありましたから!!」
現在地獄で生活している元外の世界の住人鬼道尚樹は家主である映姫に夏休みの有無を確認している所だった。
映姫「尚樹、確かに私も休みは欲しいですゆっくり温泉にでも浸かりたいです。でも死者を裁くという重要な仕事をしている私達にそんな一ヶ月や二カ月も是非曲直庁が休みをくれると思いますか?」
少しでも希望を抱いていた少年はこのありがたいお言葉を聞き、悲しみに肩を落とした。
尚樹「えぇ分かってましたとも、外の世界では高校生でもこっちの世界では一人の職員ですものね。それも重要なお仕事ですもんね。俺達がやらないといけないですもんね………。」
尚樹はさめざめと涙を流した。
こちらに来た頃は五月頃、そんなに仕事も忙しく無かった。
しかし現在は八月、今までの生活が嘘の様に忙しくなったのだ。
今まで一週間とか連続して休みが取れていたのに、七月に入ってから今まで約一ヶ月間ほとんど休みが無いのだ。
先輩である小町からは「ここには外の世界の様に労働基準法なんてもの無いからね。」と諦めたような表情を浮かべながら教えてくれた。
尚樹「あぁ、これが今の日本社会の風潮かぁ~。」
死んだ魚のような目をしながら少年は今までやっていた書類の束に手を伸ばし、作業を再開する。
すると呆れたように映姫は作業の手を止める。
映姫「はぁ、あなたって人は…………まぁ夏休みではないですがもうすぐ連続の休みがありますよ。」
その言葉に尚樹はピタッと動きを止める。
尚樹「………本当、でありますか?」
映姫「尚樹、口調がおかしくなってますよ。」
おおっといけないいけない。
尚樹「本当ですかっ!?映姫様!!」
尚樹の目に輝きが戻る。
映姫「えぇ、来週からお盆になりますから。その時に死者は一旦自分の家に帰りますから、その時は地獄も休業。つまりお盆休みと言うことです。」
………休み、この言葉に尚樹は喜んだ。
尚樹「よっしゃあ!!久しぶりの休みだっ!!」
尚樹のテンションも上がっていく。
映姫「ところで尚樹、あなたは寺子屋で出された課題を早いうちに片付けるタイプですか?それとも最後にやるタイプですか?」
突然映姫にそんな質問をされる。
尚樹「課題、ですか?俺はどちらかといえば後者でしたね。」
外の世界で夏休みの課題等はいつも夏休み終盤まで手をつけず友人に頼み込むのは毎年のことだった。
映姫「今月に入ってからノルマ表というのが配られましたよね?あれはどれぐらい進んでますか?」
ん?あぁ、あれか。さすがに真横に閻魔様が座っているのに夏休みの課題の様に先延ばしにしているわけにもいかないのでね………。
尚樹「まぁそこそこにはやってますよ。そうですね、今はもうすぐ三分の二が終わりますね。」
映姫「そうですか、じゃあそのノルマを今日中に終わらせる事をお勧めしときましょう。」
尚樹「………冗談ですよね?」
残り三分の一と言っても中々の量だ。
映姫「冗談じゃありませんよ。」
その声と共に昼食休憩を知らせる鐘がなった。
映姫「昼食ですか、丁度いいですね。尚樹、お弁当を持って着いてきて下さい。」
尚樹「今日はここで食べないんですか?」
映姫「えぇ、今日中にノルマを達成した方がいい事をあなたに教えておきましょう。」
普段尚樹達はこの部屋で弁当を食べていたのだか今日は違うようだ。
尚樹は弁当のおにぎりを持って部屋を出て行った映姫の後を追った。
是非曲直庁廊下にて…………
尚樹「そのノルマを達成しないとそんなにヤバいんですか?」
映姫「ヤバいもなにも、ノルマを達成出来なければお盆休みは無くなりますからね。」
映姫は続けて言う。
映姫「今日中にノルマを終わらせる事を勧めるのもこれから一週間はお盆休みのために追い込みをかけます。
お盆が過ぎた時に大変にならないように。だから今日中に終わらせてた方がいいんですよ。本当に今までとは比にならないぐらい忙しくなりますからね。」
これより忙しくなるのかよ!尚樹は内心でそう叫んだ。
しかしそれも仕方ない、休みの為だ。
尚樹「……まぁ分かりました。休みの為にも今日中に終わらせます。」
映姫「そうした方がいいですよ。じゃないと………」
是非曲直庁の門をくぐり、三途の川の前までやって来た。
映姫「こうなりますから。」
するとそこには…………
小町「ひいぃぃ~~まだノルマの半分も終わってない~~!!これじゃあお盆休みが無くなる~!!」
ちゃんとノルマを達成した方がいい事を伝える見本のような小町の姿があった。
映姫「さすがにこの期に及んでサボるなんて事をしているはずもないですね。」
小町「そんなことしている場合じゃないんですって!
休みがっ!休みが無くなるぅぅぅ~!」
大慌てで死者を船から降ろしていく小町
あぁ、可哀想にそんな物のようにポイポイ投げられて死者も悲しくなるよ………。
映姫「………それは普段からノルマをやってこなかったあなたの責任です。まぁ、さすがに見るも無惨なので、ほら差し入れのおにぎりです。どうせ昼食食べてないんでしょう?」
小町はおにぎりを受け取るや否や「頂きますっ!!」
と勢いよくおにぎりを頬張った。
小町「ごちそうさまでしたっ!四季様それではっ!」
そうしてものの数秒でさっき来た三途の川の対岸目指して引き返していった。
映姫「………分かりましたか。これがノルマを先延ばしにした方々の結果です。」
尚樹「………肝に銘じておきます。」
映姫「ともかく私達もご飯にしましょうか。さっさと食べて残りの仕事を片づけないと私達も小町のようになりますよ。」
そう言って映姫はそこらにあった流木に腰掛け弁当を広げた。
尚樹もその隣に腰掛ける。
尚樹「これから一週間お昼はおにぎりにするって言うのはこのことだったんですね?」
普段尚樹達は弁当箱に白米とおかずを何品かという昼食だったが、今日は映姫からこれから一週間はおにぎりにしようという提案があったのだ。
映姫「そうです、あまりお昼に時間をかけていられませんから、簡単に食べられるものをと言うことです。」
なるほどね、映姫様も色々考えていたわけだ。
………そういえば、
ふと、一つ気になった事がある。
尚樹「映姫様、一つ聞きたいのですがいいですか?」
映姫「なんですか?」
尚樹「さっきお盆休みって言ってたじゃないですか?思ったんですがお盆の時でも人は亡くなる、でもここは休業中。その死者達はどうしてるんですか?」
あぁ、その事ですか。と映姫も話してくれる。
映姫「確かにお盆だろうがなんだろうが人は毎日亡くなります。是非曲直庁も休業してます、がそこはノルマを達成出来なかった方々が受付を担当します。………ノルマはノルマでやらなければいけませんが。」
へぇ~地獄の実態はそんな感じなのか。
映姫「で、お盆にここに来た死者達は一旦ここの受付で死んだと言うことを確認し、再度お盆後にまたここに来る事を書類にサインして、とりあえずは他の死者同様家に返します。」
なるほどな~。
でもそれって…………
尚樹「それ、帰って来ない奴とかいるんじゃないですか?」
映姫「もちろん毎年いますね。だからそう言った方々のために死神達が現世に行って死者達を強制連行してきます。」
尚樹「はぁ~、その死神さん達も大変ですねぇ~」
映姫「…………そんなに暢気に構えてられませんよ。お盆前はそれまでの仕事の追い込み、お盆後はお盆で溜まった仕事の処理、お盆休みを逃すと大変な事になるんです。だから今小町のようにノルマが危ない人達は必死なのですよ。」
確かになぁ~、これを逃したらお盆ラッシュが済むまでは休みは貰えないだろうから。
日数換算すると二カ月は休み無しと言うことになるのか。
それだけは勘弁して欲しい。
尚樹も手に持っていたおにぎりを平らげる。
尚樹「ごちそうさまっ!映姫様じゃあ俺先に戻ってノルマ終わらせてきます!!」
そう言うと尚樹は作業場へと駆け出していった。
映姫「ちゃんと今日中に終わらせてくださいよ~!」
じゃないと休みに二人でどこにも行けませんからね……
映姫はそんな少年の背中を見つめながら微笑むのであった。
尚樹達はお盆休みを取れたのか!?
その後はまた後ほど………
感想、アドバイス等お待ちしてます!