前回から随分間が空いてしまいました。
申し訳ありません<(_ _)>
今回で三十二話目となりました。
今回も見ていって頂けると嬉しいです(^^)
いや~、なんだかんだでこんなことしてるけど実際どう
尚樹「はい次の方、どうぞ~!」
小野「…………失礼します。」
パルスィ「………とりあえず名前を良いかしら?」
小野「ヒィ!!」
ドスのきいた声と鋭い眼光で話しかけるパルスィ。
尚樹「………パルスィさん、ここは裁きの場であってそんないきなり疑ってかかるような事しちゃ駄目だよ。」
パルスィ「何言ってのよ尚樹。こういう事は最初が大事なのよ!相手になめられないようにまずはこうやって………」
尚樹「うん、とりあえず落ち着こうか……。」
………昭和のヤンキーかあなたは。
犯罪者を見るような目で睨みをきかすパルスィを宥めつつ、尚樹は亡者に向かって優しく諭す。
尚樹「あはは、すいませんね。じゃあお名前は何でしょうか?」
小野「…………小野和俊です。」
おずおずと話し始めた小野さん。
事前調査によると小野和俊二十八歳
職業は会社員、未婚で実家暮らし
まぁ普通といえば普通だけど………。
若いな、この人。
尚樹「えぇと、小野さんね。じゃあこれからこの鏡で小野さんの現世の行いを見るけど何か言いたいこととかあります?」
小野「言いたい事っていうと?」
よく分からんと言った表情でこちらを見返す小野さん
パルスィ「だから、あなたが今まで生きてきて反省することとか無かったのかってことよ。」
小野「反省ですか………。」
聞いてる側だけど急に生涯で反省する事あるかと聞かれていきなり答えれる人っているのかね?
多分俺は無理だろうな。うん。
しかし小野さんはぽつぽつと話し始めた。
小野「そうですね、反省と言えば親より早く死んだことですね。」
親不孝か……。そうなると賽の河原で石積みに当たるのか。
尚樹「……わかりました。とりあえず鏡を見ますね。」
浄玻璃の鏡はその人の生涯をダイジェスト風に映像で流してくれる。
映像を見る限りいたって真面目、極々平凡な人だ。
小野「そうです。大学を卒業して会社に就職、入社して四年目で大きな仕事を持たして貰って、そのプレゼンの日に緊張して目の前の赤信号が見えて無くて、そのまま……………」
車に引かれたと……………。
映像はそこで途切れた。
……まぁ何というか、軌道に乗ってきたのに目的半ばで死んでしまったと言うことだろう。
正直なところこの仕事をしているとこういう志半ばで亡くなる人をよく見る。
尚樹「なるほどねぇ…………。」
大きくため息をつく。
パルスィ「どうしたのよ?ため息なんてついて……。」
尚樹「………いや、こういう話はよくあることなんだけどね。俺もこうなっててもおかしくなかったんだなって思ってさ。」
パルスィ「……………あぁ、そう言うことね。ごめんなさい、思い出させちゃって。」
尚樹は外の世界にいるとき尚樹の先祖に恨みを持つ夜叉に一族皆殺しにされかけたところ、八雲紫によって助けられ、現在によっていたるのだ。
尚樹「…………いや、いいんだ。ただ心配なのは今もどこかで夜叉は俺の事を狙ってる。いや、俺だけじゃない俺に関わりある人達も。」
その事を思い出すと焦りを感じる。
くそっ!今も何かを企んでるに違いない!!
小野「あ、あの~…………。」
おっと!いけないいけない!!今は裁判中だ。
尚樹「………失礼。」
小野「…………閻魔様、私はどのような判決がくだるのでしょうか?」
尚樹「え~、今回の場合ですと罪状は親不孝な当たります。なので小野和俊さん、あなたは賽の河原で一年間石積みを行って貰います。後は問題ありません。それが終われば輪廻の輪に乗って転生していただきます。」
小野はただ俯いている。
パルスィも黙ってその事を帳簿に記していく。
尚樹「以上が判断の結果です。何か言いたい事はありますか?」
尚樹は最終確認を取る。まぁこの最終確認で何か言っても変わる訳ではないが(映姫の場合は)
小野はふと顔をあげ、尚樹に問う。
小野「では閻魔様、私は母と父にもう会えないんですよね?」
尚樹「そうですね、まず会うことは出来ません。」
その言葉を聞いて小野はガックリとうなだれた。
小野「そうですよね、そりゃそうですよね。死んでしまったのだから。」
悲しげにつぶやく小野の目には涙がみえた。
小野「せめて、一言さよならだけでも言えたら!」
尚樹「………………。」
尚樹はただ黙ってその事を聞いた。
小野「すいません閻魔様、私からは以上です。ありがとうございました。」
立ち上がり出口へと向かう小野。
尚樹「…………小野さん。」
小野「…………なんでしょうか閻魔様。」
尚樹「小野さん、私はまず会うことは出来ませんと言いましたね?まずということは会えない訳ではないんですよ。」
小野は何言ってるのかわからないという感じだ。
小野「え?それって、どういう?」
尚樹「お盆ですよ、お盆にならば地獄も休み。その時は、ここの死者達は実家に帰る事が許されるんですよ。その時だけですがね。」
小野「ほ、本当ですか!?」
尚樹「ただし、しっかりと善行を積んできた方だけですが…………。」
小野は悲しんだり驚いたり大忙しだ。
小野「……………それならしっかりと自分の罪を償っておかないといけませんね。閻魔様、ありがとうございました!」
そう言うと小野は退室していった。
パルスィ「………えっと、小野和俊、罪状親不孝。刑期1年賽の河原で石積み、その後は転生予定っと。何というか、こういう話多いの?」
パルスィは複雑な感じといった表情を浮かべる。
尚樹「正直、結構あるんです。理不尽な死に方、可哀想な死に方、本当によくある。確かに話を聞くと同情したくなるようなものもあるんです。でも、情に流されるような裁判は絶対にしてはいけないのですがね。」
パルスィ「あなた達の仕事、絶対ストレスで倒れる人多いでしょう?」
尚樹「まぁいると言えばいますが、その分休みが結構長いですね。1週間とか一気に…………。」
パルスィ「1週間ねぇ、私なんて通常毎日休みなしよ。妬ましい。」
尚樹「あはは、監視する事が仕事ですもんね。」
そういえば…………。
尚樹「パルスィさん?じゃあ今は誰が橋の監視をしているんです?」
パルスィさんがここにいるなら誰かが見張ってなくてはならないはずだろう。
パルスィ「それなら、釣瓶落としのキスメに頼んで橋に置いておいたわ。」
置いて、おく?
パルスィ「ん?あぁ、キスメは桶に入ってるの。まぁ気になるなら今度会ってみなさい。」
まぁそう言うことなら今度行ってみるかな……。
イメージがごちゃごちゃになってきた。
尚樹「とりあえず、今日のノルマを終わらせないと。」
パルスィ「そうね、どんどん捌いていかないと早く帰れないわね。今日は夕方から夜にかけて雨だって言ってたし。しかも嵐になるって」
あぁ、そう言えばそんな事聞いたな………。確かに雨が降る前には帰りたいけど………。
尚樹「………パルスィさん、この仕事は時間内に帰れないなんてしょっちゅうですよ。」
パルスィ「…………やっぱりここ、ブラック企業よ。絶対にね!」
「甘いですよパルスィさん、この程度でブラックだなんて言ってたら外の世界のブラック企業は黒を通り越してもっと薄汚れた色になってますよ。こういうのは下には下があると思ってやらないと………。」
パルスィ「初めて会った頃の純粋な尚樹を返してっ!!」
そんなやりとりをしながらも残りの裁判を済ませていったパルスィと尚樹だが、閻魔の仕事は裁きだけではないのだ。
裁判結果の報告に判子を押し、それを各部署に送り、確認を取る。そしてその日の不備や問題の対処、設備工事の進行状況等々、仕事は山盛りだ。
尚樹「…………本当、映姫様はこんな事よく出来てるな。」
パルスィ「ほらこれで最後だから頑張りなさいよ。」
尚樹「パルスィさん、今日は本当にありがとうございました。」
本来パルスィは裁判だけ手伝う予定だったのだが、パルスィは乗りかかった船という事で現在も手伝ってくれているのだ。
パルスィ「いいわよ、これぐらい。まぁでも帰りにお酒でも奢ってね。」
尚樹「お安い御用です。」
さてと、最後の問題は……………
パルスィ「…………ん?どうしたのよ、尚樹?」
尚樹「あ、いやちょっとね。この問題なんだけど……」
そう言って尚樹はパルスィに資料を見せる。
パルスィ「え~と何々?………旧地獄で怨霊増加が過去最大?どういう事?」
尚樹「この怨霊増加問題なんですけど、結構前から起こっていたんですよ。まぁ普段から怨霊なんているんですが…………。」
パルスィ「元々ここ地獄だったしねぇ。確かに多い気がするけど、でもなんで怨霊が増加してるのかしら?」
不思議そうに首を傾げるパルスィ
尚樹「こっちでも怨霊対策課を設けて色々涌き潰しとかしてるんですけどねぇ、不思議なことに一向に怨霊が減らないんですよ。むしろどんどん増え続けてると言った方がいいですね。」
パルスィ「………そう言えば、二、三週間前位から妙に怨霊をよく見かけると思ってたのよね………。」
本当に何なんだろうな、なにかの前触れとかじゃなければいいんだけど………。
パルスィ「………そう言えばね。」
唐突に話を始めたパルスィ
尚樹「ん?なんでしょうか?」
パルスィ「あなたはその頃まだここに居なかったから知らないと思うのだけれど、前にも一回怨霊が大量発生したときがあったのよ。」
へぇ、それは知らなかった………。
尚樹「原因は?」
パルスィ「地霊殿と守矢神社は分かる?」
尚樹「地霊殿はよく聞きますからね。ただ、守矢神社って言うのはちょっと………。」
地霊殿は旧都にある一番大きな館で、関わった事が無いので聞いたことしかないが、そこでは怨霊や灼熱地獄の管理を行っているらしい。
パルスィ「守矢神社って言うのは数年前に外の世界から信仰を集めに来て妖怪の山に神社を構えてるちょっと変わった連中なの。」
幻想郷に来て早々、あの山を拠点にするなんて度胸のある人達だ。あそこには天狗や河童、元々幻想郷にいた神様とかが沢山居るのにな……。
尚樹「でも、その方達はなんで地底なんかに?」
パルスィ「さぁ?神様なんてその時の気まぐれで活動するような奴らが多いからね。私もよく分かんないわよ。」
はぁ、なんかここの神様は外の世界に居た頃の想像と全く違うんだよね………。なんとなくがっかり。
パルスィ「まぁそんな気まぐれ神様が何でか知らないけど地霊殿の八咫烏に力を与えたから、八咫烏もその気になって地上を焼き尽くすとか言い出し、それに慌てた地霊殿の奴が地上に怨霊を放って危険を知らせてたって事らしいんだけど……。」
え、地上に怨霊を放つ?それも相当ヤバい事だと思うんだけど………。
尚樹「…………なんかとんでもない話しですね。」
パルスィ「本当に迷惑だったわよ、地上だけならまだしもこっちでも怨霊だらけで駆除するの大変だったんだから。あぁ妬ましい!」
いやいやパルスィさんよ、地上も駄目でしょうが……。
尚樹「とりあえずこの問題は怨霊駆除と、原因調査を引き続きやってもらうしかないか………。」
資料にその事を書き込み判子を押す。
尚樹「はぁ~、やっと終わった~!」
ぐっと背伸びをする。
ああ、この固まってたものがほぐれていく感じがとても心地よい………。
パルスィ「尚樹、お疲れ様。」
尚樹「あぁ、パルスィさん、お疲れ様。今日は本当にありがとうございました!」
パルスィ「いいわよ、そんなに何度もお礼なんて言わなくて。どうせ明日も来るしね。」
尚樹「明日も来てくれるのですか!?」
それは心強い。
パルスィ「まぁもちろん貸しだけどね!」
…………デスヨネー。
パルスィ「あなたのとこの閻魔様が復活するまでは手伝ってあげるわよ?その日にち分の働きは後で返して貰うけど。」
うぅ………きっと酒だよなぁ、お金足りるといいんだけど………。
パルスィ「とりあえず今日は帰りましょう。私、疲れちゃったわ。」
尚樹「あ、お酒どうします?」
パルスィ「また今度でいいわ。早く帰って映姫様治してあげないと、どんどん貸しが増えるわよ?」
尚樹「………そうですね。じゃあ帰りましょうか。」
尚樹が椅子から立ち上がった瞬間、勢いよく部屋のドアが押し開けられた。
小町「新人君大変だ!!」
息をきらして飛び込んで来たのは小町だった。
パルスィ「どうしたのよあなた!?そんなに慌てて。」
尚樹「小町さん、一旦落ち着いて!どうしたんですか!?」
小町「し、四季様!四季様がっ!!」
…………まさかっ!?
小町「四季様が奴らに連れて行かれたっ!!」
予報通り、嵐がやってきた。
鬼道尚樹最大の敵と共に…………。
恐らくこの話自体は後二、三話ほどで終了すると思います。
その後は続編で何か書こうと思ってるのでそれは後ほどで。
コメント、アドバイス等々お待ちしてます!