東方閻鬼録   作:狛犬太郎

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こんにちは!狛犬太郎です!

今回で三十四話目となりました。

クライマックスとか言って置きながらなんだかんだで
グダグダと話が伸びていくという状態になっている気が………。

大変申し訳ないですm(_ _)m

今回も読んで頂ければ嬉しいです(^^)


地霊殿の主

「四季様が連れていかれた。」その言葉に尚樹は耳を疑った。

 

小町にもたちの悪い冗談だと言って欲しかった。しかし現実は無情だ。小町が嘘を言っているようには見えない。

 

尚樹「小町さん、あいつは!夜叉丸はどこへ!?」

 

さっきまで落ち着いていた尚樹が嘘のように取り乱し、小町の肩を揺さぶっている。

 

パルスィ「ちょ、ちょっとあなた達!?落ち着きないよ!!」

 

しかし、真横にいるはずなのにパルスィの声は二人には聞こえてない様だ。

 

これだけ気が動転していたら周りの事など気にしていられないのだろう。しかしそれでは話が前に進まない。

 

パルスィ「あぁもう!!尚樹、ごめん!!」

 

尚樹を強引にこちらに向かせ―――― パン!!

 

乾いた破響音が辺りに響いた。

 

パルスィは尚樹をひっぱたくとそのまま尚樹を強く抱きしめた。

 

突然の事に尚樹も呆然としている。

 

パルスィ「………尚樹、落ちいて。あなたが取り乱しても何の解決にもならないわ。ゆっくりと息を吸って………吐いて………。」

 

荒かった呼吸もだんだん落ち着いてきた。

 

尚樹の呼吸が安定してきたことを確認するとパルスィは尚樹から手を離した。、

パルスィ「…………落ち着いてきた?」

 

少しの間を置いて、尚樹はハッと我に返ったようで

 

俯きながら謝罪を述べた。

 

尚樹「………ごめん、パルスィさん、取り乱して。」

 

パルスィ「いいわよ、目が覚めたのならね。」

 

尚樹「小町さんもすいません。肩痛かったでしょう?」

 

小町も今ので落ちついた様で、座り込んだままだったが尚樹の言葉に頷いた。

 

小町「こっちこそごめんね、もっと私が落ち着いて話せてたら………。」

 

パルスィ「二人共、謝罪合戦はその辺にしといて頂戴。今はそんな事してる場合じゃないでしょ。どうやら囲まれちゃったらしいわよ。」

 

尚樹もパルスィと同じように辺りを見回す。

 

そこにはいつの間に現れたのか有象無象の怨霊が尚樹達を包囲していた。

 

尚樹「……これは穏便に解決とは行かないようですね。こいつらを倒してから状況確認としましょうか。」

 

毎日稽古は欠かさなかったが、実戦は久しぶりだ。

 

尚樹は鬼道丸を抜き放つと同時に妖力を解放、そして中段に刀を構える。

尚樹「………さてと、意識があるのかどうかは知らないけど俺は今とても虫の居所が悪いんだ。退いてくれないなら、容赦無く斬らせてもらおう。」

 

小町「新人君!あたいのことを忘れてもらっちゃ困るよ!いつもなら面倒事は勘弁だけど今回は特別に手を貸してあげるよ!」

 

小町はどこからともなく愛用の鎌を取り出し、肩に担ぐ。

 

パルスィ「…………はぁ、地底と地獄の存続がかかってるのなら私も手伝うしかないわね。全く、妬ましい限りだわ。」

 

尚樹「小町さん、パルスィさん、恩にきります!」

 

小町「なぁに!貸しなら新人君の財布が空になるまで酒を飲まして貰おうかな!」

 

パルスィ「あ、私の貸しもどんどん増えてるから覚悟してね。」

 

マジか………。

 

決めた!この人たちにもう借りはつくらない!これ以上は身が持たない!!

 

尚樹は弱々しく苦笑いしながら、「程々にお願いします………はぁ………。」肩を落とすのだった。

 

尚樹「じゃあ、行きましょうか。映姫様を助けに!」

 

突っ込んできた怨霊を切り捨てたのを皮切りに戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

ーーー地霊殿の主である古明地さとりもこの異変に気が付いていた。

 

前に自分のペット達が起こした異変に似ている。

 

怨霊がそこら中から現れてくる。

 

しかし、前回と違うところは今回の異変に地霊殿は関わっていないのだ。

 

現に私の目の前には妹のこいし、ペットであり、前回の異変の関係者であるお燐、お空がいる。

 

地霊殿でお燐が管理している怨霊は特に異常は起きていない。と言うことはこの怨霊は恐らく旧地獄に封印されていた者達ということだろう。

 

そして今の今までこの4人で雑談をしていたのだ。

 

最初はお燐が何かしでかしたと思っていたが、前で言った通りお燐は私達と一緒に同じ部屋にいたのだ。

 

そもそも、お燐がこんな事する意味が無いのだ。

 

こいし「お姉ちゃん怨霊がこんな所までいるよー。」

 

さとり「本当だわ……全く、地獄の閻魔様は何をしているのやら。お燐、こっちで管理している怨霊が暴走しないように見張っておいて。」

 

お燐「は〜い!ほら、お空も行くよ。」

 

お空「うにゅ?お燐これからなにするの?」

 

お燐「今さとり様から言われたでしょ。怨霊を見張っておくの。」

お空「そっかそっか、じゃあ行こう!」

 

そう言うとペット達は部屋から出ていこうと…………

 

お空「………うにゅ?お燐?なにしにいくの??」

 

お燐「だーかーらー!怨霊を見張りにいくの!!」

 

お空「おぉ、そっかそっか!」

 

全く、これだと先が思いやられるわ。

 

さとりはため息を吐くと自分も立ち上がった。

 

さとり「お空、やっぱりあなたはいいわ。私がお燐と一緒に確認してくるから、あなたはこいしと一緒にここで待ってて。」

 

お空「あ、さとり様、わかりましたー!!」

 

相方の能天気ぶりにお燐は肩を落とした。

 

お燐「………さとり様、申し訳ありません。お空があんなんで。」

 

さとり「いいのよ、お空はあれで。逆にお空がしっかりしてたらそれはそれで気味が悪いわ。それに本来ならこれは私が管理すべきものなのにあなた達に任せてるのだからこういう時こそ私が手伝うべきだわ。」

 

こいし「あ、二人共いってらしゃ〜い!」

 

お空「いってらしゃ〜い!!」

 

さとり「すぐ戻ってくるからそれまで大人しくしててね。帰ってきたらおやつ出してあげるから。」

 

扉を閉めると同時に「イエーイ!!おやつだー!!」という二人の声に頬を綻ばす。

 

さとり「じゃあ行きましょうか、お燐。」

 

お燐「はい、さとり様!」

 

 

ーーーーー現状、地霊殿が管理している灼熱地獄跡の怨霊達に暴走は無かった。

 

要因としてはまだここには外で溢れかえっている怨霊達が入り込んでいないから。

 

もう一つは今までお燐が対話してきたから、ここの怨霊は比較的安定しているということだ。

 

お燐「………特に異常は無さそうですね。」

 

お燐は大きく伸びをしながらポツリと呟いた。

 

肩透かしをくらったような感じ。

 

これだけ外で異変が起きていればこちらでも何かしらの異常があると思っていたのだが…………。

 

さとり「まぁ、何も起こっていないならそれに越したことは無いわね。」

 

お燐も気の抜けた声で「そうですねー」と返事を返しす。

 

お燐「さとり様さとり様、それなら部屋に戻っておやつにしましょうよ。今日のおやつはなんですか!?」

 

お燐も部屋で待つ二人と同様におやつを楽しみにしているようだ。

 

さとり「そうね、あんまり時間をかけすぎるとこいし達が騒ぎ出しそうね。ちなみに今日のおやつは私お手製のアップルパイよ。」

 

お燐「ヒャッホー!!アップルパイだーー!!」

 

………………………。

 

さとり「じゃあお燐、悪いんだけどこのまま台所に行ってアップルパイを持っていってくれるかしら?私も用事を済ませたら行くから。」

 

お燐「わかりました〜!アップルパ〜イ!アップルパ〜イ!」

 

ルンルンとスキップしながらお燐は廊下を進んでいった。

 

さとり「………………で、あなたはどちら様ですか?」

 

廊下の奥、灼熱地獄跡の近く、ゆらゆらと動くぼんやりとした影のようなもが現れた。

 

夜叉「おー!流石は地霊殿の主、さとり妖怪と言ったところか!気づいてたか!」

 

するとぼんやりとしてた影がだんだんはっきりとし、その姿を現した。

 

夜叉丸「俺の名は夜叉丸。我が目的の為この地霊殿の灼熱地獄跡の蓋を開けて貰おう。」

 

さとり「………あなた、馬鹿?そう言ってはい、そうですか。って頷く奴がどこにいるのかしら?」

 

夜叉丸「そんな事百も承知、当然お前は開けないと分かって言ってるさ。頼んで駄目なら残る手段は一つだろ?俺は鬼だ。鬼ってのは嘘はつかない、戦うなら正々堂々戦う。だからこうして伝えてんのさ、お前を潰すってな。」

 

さとり「そうですか、でもあなたが私を倒すのは無理。私は嫌われ者のさとり妖怪。私は相手の心を読み取る、即ちあなたの攻撃は見切ったも同然よ。」

 

夜叉丸「………言うことは言ったぜ。それじゃあ遠慮なく行かせてもらうぞ。安心しろ、殺しはしない。まぁ手足の一本か二本千切れるかもしれんが………なっ!!」

 

弾幕を放ちつつの突撃、猪突猛進ね。

 

これなら星熊勇義の方が強いか………。

 

さっさと倒して、お燐達とアップルパイ食べよう。

 

しかし彼女の予想は大きな間違いを犯していた。

 

さとり「っ!?」

 

何っ!?こいつの心が読めない!?

 

 

 

 

 

ーーーーーー一古明地こいしはしびれを切らしていた。

 

姉とお燐が部屋を出ていってから十五分程、お燐が今日のおやつであるアップルパイを持って帰ってきた。

 

お燐曰く、用事を済ませたら行くと言っていた。

 

楽しみにしていたおやつを先に食べてしまうのは可哀想という事で待っていたのだが十分待っても二十分待っても帰ってこないのだ。

 

お空「さとり様、遅いね。」

 

お燐「………確かにねぇ、でもさとり様は多忙だからちょっと時間がかかってるだけでしょ?もう少ししたら来るって。」

 

こいし「むー!もう待てない!!私、お姉ちゃん呼んでくる!!」

 

勢いよく立ち上がると駆け足で扉へ駆け寄る。

 

お空「こいし様ー、私も着いてくよー?」

 

こいし「すぐ戻ってくるからお空は待っててー!!」

 

全くお姉ちゃんたら、どうせさっき読んでた本の前の内容を読み返したいとかそんなんでしょ!

 

前もそんな事でおやつが一時間遅れたんだから!

 

こいし「お姉ちゃん!本はいいから早くこっちに来てアップルパイ食べようよ!!」

 

姉の部屋のドアを勢いよく開ける。

 

こいし「………って、あれ?お姉ちゃん?」

 

おかしいな?普段ならいつも本棚の前に立って本を読んでるのに…………。

 

こいし「…………遂にお姉ちゃんも無意識で行動できるようになったのかな?」

 

そんな事は無いのだが、ここに姉が居ないのは事実だ。

 

となれば、まだ灼熱地獄跡の方に居るのだろう。

 

灼熱地獄跡は姉の部屋から廊下の角を曲がった奥の部屋にある。

 

こいし「…………本当になにしてるのかなぁ?」

 

廊下を進み、角を曲がった次の瞬間、灼熱地獄跡に繋がる扉が吹き飛んだ。

 

そしてこいしは驚愕で目を見張った。

 

こいし「お姉ちゃん!?」

 

彼女の先には傷だらけの姉が倒れていた。

 

どうやら凄まじい力で扉ごと廊下に吹っ飛ばされたらしい。

 

こいしは慌てて姉のもとに駆け寄る。

 

こいし「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!どうしたの!?大丈夫!?」

 

意識はあるが朦朧としているようだ。恐らく脳震盪を起こしているのだろう。

 

さとり「っ!こいし………お燐とお空を連れて早く逃げなさい!ここは危険よ!」

 

こいし「でも、お姉ちゃん………怪我だらけだよ。お姉ちゃんを置いて行くなんて出来ないよ!」

 

こいしはついには泣き出し、その場に座り込んでしまった。、

 

さとり「私はいいからっ!早く行きなさい!!」

 

夜叉丸「そろそろ限界のようだな。こっちも時間がないんでな、次で終わらせてやろう。」

 

さとりはどうにかこいしを安全な場所に避難させようとするのだが、こいしが動く気配はない。

 

夜叉丸はゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

なんとかして、この子だけでも…………。

 

その時、自分の目の前に誰かが立ち塞がった。

 

こいしではない。

 

となればここで考えられる人物は残り二人だけ。

 

お空「『爆符 メガフレア』!!」

 

お空だ。

 

そしてすぐにお燐がさとり達の元に駆け寄り二人を助け起こすとさとりを担いだ。

 

お燐「さとり様!こいし様!逃げますよ!!」

 

こいし「………お、燐?」

 

お燐「こいし様は自分で動けますね!?とりあえずこのまま永遠亭まで避難しますから、一緒についてきてください!!お空!行くよ!」

 

お空「アイアイサー!」

 

お空も適当に弾幕を放ちつつ後退し、曲がり角を曲がると弾幕を放ち壁を崩して通路を塞いだ。

 

夜叉丸「…………逃げたか、まぁ好都合か。下手に全員でかかってこられても厄介だったしな。」

 

夜叉丸「邪魔者は居なくなった。時間も無いからさっさとやるか。」

 

夜叉丸は怨霊達を閉じ込めていた蓋を破壊し、妖気を放出する。

 

強い妖気は怨霊を更に危険な悪霊に変える。

 

今まで安定していた怨霊達は悪霊に姿を変え活発に動き回っている。

 

夜叉丸「……もうお前達を縛るものは何も無い。今までの怨みを力に変えて地底を、地上を蹂躙するのだ!」

 

悪霊達はその言葉と共に勢いよく地霊殿から飛び出して行った。

 

夜叉丸「あぁもうすぐ、もうすぐですぞ!我が主!!我らの願いが目の前に!」

 

夜叉丸「残るはお前だけだ鬼道、必ず殺してやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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